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【解放のゴーレム使い】~ロボはゴーレムに入りますか?~  作者: すぎモン/詩田門 文【聖ドラ改稿中】
第5章 ルータス王国奪回編

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第81話 主人公の時間~無双したいと考えておるのだろう?~

 XMG-4〈シラヌイ〉の操縦席(コックピット)で、(やす)(かわ)(けん)()は無感情に(つぶや)く。




「それにしても、凄い数だな……」


(わらわ)達の相手に、ふさわしいではないか」




 平原を埋め尽くすような、マシンゴーレムの大群。


 予期せぬ味方からの砲撃により、数を減らしてはいる。


 それでも帝国軍は、残り80機ほど。




 しかも統率を取り戻した部隊は、整然と隊列を組み直していた。


 ほとんどの機体が、賢紀の〈シラヌイ〉に向かって(さっ)(とう)する。

 

 何機かは、市街地に侵入したエリーゼ・エクシーズの〈サルタートリクス〉を追撃しようとした。


 しかしマリアの支配下にあるGR-3〈サミュレー〉が、都市防壁の上から砲撃し足止めしている。




「ケンキ。お(ぬし)の考えていることは、わかるぞ。『たまにはなろう小説の主人公みたいに、チート能力で無双したい。俺TUEEEしたい』などと考えておるのだろう? なろう小説とやらが、イマイチ良く分からぬが……」


「その通りだ、マリア。俺のポリシーには、反するがな」


 賢紀は「量産機で泥臭く戦い、生き抜いてこそ真のパイロット」という信念の持ち主。


 だが圧倒的物量を(ほこ)る帝国軍相手には、そうも言っていられない。


 せっかく〈シラヌイ〉という、1機で戦局を左右できる機体に乗っているのだ。


 その性能を発揮し、(いっ)()(とう)(せん)の活躍をする必要があった。




 いや。

 してみたいという欲求が、今回の賢紀にはあった。




「ご飯と()()(しる)という典型的な和食が好きでも、たまにはジャンクフードが食べたくなる。……そんな気分だ」


「なるほど。絶妙な例えではないか。良く分かるぞ」


「……今ので、分かるのか?」



 

 言ってはみたものの、和食やジャンクフードなど分からないだろうなと考えていた賢紀。


 マリアが納得したことに、ちょっぴり驚いていた。




「さあ。ジャンクフードの群れが、妾達に食われるのを待っておるぞ! 不健康なほど濃い味のハンバーガーと、油ギッシュなフライドポテトどもめ!」


「なあ、マリア。この世界にも、そういう食べ物があるんだよな? お前は戦闘時の思考以外に、俺が持つ地球での記憶とか読み取っていないよな?」


 ジャンクフードに対する理解があり過ぎることに、賢紀は不安を(いだ)く。


 自分の記憶まで、(のぞ)かれてはいないかと。


 操縦補助に必要な部分以外まで覗かれるのは、ご免こうむりたい。




 

(マリアにそんな、チート能力はないよな? あったとしても、そこまで無遠慮じゃないよな?)


 そう淡い期待を抱く、【ゴーレム使い】。




 彼は異次元工場兼格納庫【ファクトリー】から、大型の兵器を取り出した。




 頑強な三脚(テトラポッド)の上に乗せられた、太い砲身。


 地球でいう歩兵用ミサイルランチャーを、マシンゴーレムサイズにした物だ。


 〈シラヌイ〉はその砲口を、向かってくる帝国軍の大部隊――ではなく、彼らの上空に向ける。




「セットメニューで、まとめておいしく頂くのじゃ!」


(あやしい。やっぱりコイツ……。(あと)で、問い詰めてみよう)




 賢紀は相棒への疑念を抱いたまま、ミサイルランチャーへの撃発信号を送った。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






『前方より、飛翔体接近中!』




 味方機より、全軍に発せられた警告。


 それを聞いて帝国軍GR-3〈サミュレー〉のパイロットは、視線を少し上へと向けた。


 高速で飛翔する物体が、視認できる。


 (いっ)(しゅん)、「撃ち落すべきか?」という思考が頭をかすめた。


 しかし自分の腕とGR-3の性能を持ってしても、そのような芸当は不可能だと否定する。

 

 〈スターダスト〉のプラズマ弾を剣で切り払える、レクサ将軍の〈ルドラ〉なら可能かもしれないが。




「ん……? これは、俺らに命中する軌道じゃない?」




 その飛翔体は、明らかに自分達の頭上を通過する軌道をとっている。


 後方から炎を噴き出し、自力で飛行するその姿。


 エルフのマシンゴーレムが使用し、目標を自動追尾するという「ミサイル」を連想させた。


 しかし今回の飛翔体が、自分達を追尾して襲ってくる気配はない。


 エランの市街地に向けて、撃ち込まれたものだろうか?




「なんだ? ミサイルらしきものの腹が、開い……」




 そこで、彼の思考は中断させられた。




 激しい衝撃と共に、コックピットの〈仮想全天周囲ディスプレイ〉がブラックアウトする。


 〈慣性(イナーシャル)緩和魔道機(レデューサ)〉により、衝撃やGが緩和されている第2世代型マシンゴーレムのコックピット。


 だが機体が地面に打ち付けられる感触は、軽くではあるがパイロットに伝わる。


 頭部にある機体の制御系を破壊され、立っていられなくなったようだ。




 ――戦闘続行は、不可能。




「クソッタレ! 何だったんだ!? あの武器は!?」


 パイロットは苛立たしげに叫んだが、返って来るのは(せい)じゃくのみ。


 いつもは無機質な声ながらも返答をくれる、〈擬似魂魄AI〉も沈黙したまま。




 パイロットは、急激に心細くなった。






■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






「おおーっ! あれが新開発した、〈レインメーカー〉! 『高密度自己鍛造弾(EFP)』というヤツか! まさに破壊の雨! なかなか派手な(あい)(さつ)に、なったではないか!」


 〈シラヌイ〉のコックピット内で、マリアがキャッキャとはしゃぐ。


 今回巡航ミサイルから放たれたのは、EFPという兵器。


 賢紀が〈ミドガルズオルム〉との戦いで撃った、HEAT(ヒート)弾と似たような兵器だ。


 EFPは形成炸薬の衝撃波により、金属製のライナーをその場で砲弾へと変形させる。


 それにより、標的を撃ち抜くという仕組みだ。


 HEATの着弾時に形成されるメタルジェットよりも貫通力は劣るが、メタルジェットよりも威力を保てる距離が長い。


 今回は多弾頭化してあるので、EFPの砲弾は広い範囲に降り注いでいる。


 面制圧に有効な兵器として、仕上がっていた。


 驚くべきことに、これは賢紀が地球から持ち込んだ技術で作ったものではない。


 HEATの原理を元に、ドワーフのドン・レインが考案・設計したものだ。

 

 偶然にも今の地球では、この兵器の開発が進んでいる。


 だが賢紀は、そのことを知らなかった。




 逃げ場が無いほどに降り注ぐ、金属の雨。


 打たれたマシンゴーレムの大部隊は、数を大幅に減らしていた。


 上空からの攻撃だったため、頭部を破壊され倒れた機体が多い。


 マシンゴーレムの頭部には、重要なパーツが集中しているのだ。




「マリア。〈マルチプルディセプター〉、展開」


「〈マリオネイター〉で2機を制御下に置いたままじゃと、魔力コンデンサの貯蓄分を消費する(いっ)(ぽう)じゃぞ? 全力戦闘機動と合わせて、連続稼働時間は180秒じゃな」


 賢紀の視界を遮らず、それでいて見やすい位置にカウントダウン表示が浮かび上がる。




「充分だ。サクっと行くぞ」




 帝国軍の部隊が混乱している最中に、賢紀は機体を加速させる。


 向かうは敵部隊の()(ただ)(なか)


 時速300km/h(キロ)で疾走しながら、〈シラヌイ〉の姿は溶けて無くなった。


 〈マルチプルディセプター〉機能のひとつ、光学迷彩によるものだ。


 同時にもうひとつの機能、レーダー()(まん)により敵軍のレーダーからも姿を消す。


 混乱に拍車が掛かる、敵マシンゴーレムの群れ。




 賢紀は走りながら、【ファクトリー】から76mm(ミリ)狙撃砲を取り出した。


 両手で構えて照準、発砲。


 チートスナイパーのイースズ・フォウワードには、「雑な照準」と言われてしまいそうだ。


 しかし走りながらの射撃でGR-3の胴体をぶち抜いたのだから、()めて欲しいものだと賢紀は思う。




 距離を詰めていたこともあり、76mm(ミリ)ライフル弾は敵機を貫通した。


 後ろにいた機体の腰にも突き刺さり、リアクターを破壊する。




『見えないが、正面にいるぞ! 各機、ライフルモードで(いっ)(せい)(そう)(しゃ)! 撃て!』




 賢紀にも、敵部隊長の指示は聞こえてしまう。


 マリアの補助により、魔道無線を(ぼう)(じゅ)し放題だからだ。


 GR-3の主力武器、マルチランチャー〈スターダスト〉から光の矢が放たれる。


 逃げ場が無い程の密度で、プラズマ弾の雨は降り注いだ。




 つい先程まで、賢紀がいた空間に。





『残念じゃな! もう、そこにはおらぬぞ!』


「だから敵に教えるなというのに……」


 わざわざ敵全軍に、無線で叫んでしまうマリア。


 しかし、〈シラヌイ〉の現在位置を知られる心配はなかった。


 皆が周辺を警戒しているが、賢紀に視線を向けている機体は1機もいない。



 〈シラヌイ〉の現在位置は、高度80(メートル)


 空高く跳躍し、眼下にひしめくマシンゴーレムの群れを見下ろしていた。




 もうその両手に、狙撃砲はない。


 いま握られているのは、7本の砲身を束ねて作られた大型ガトリング砲だ。






 毎分4200発という、恐るべき連射速度。


 切れ間無く発射される30mm(ミリ)砲弾は、長い破壊の舌となって大地を舐め回した。

 



 地上を()いずる、帝国軍マシンゴーレム部隊もろとも。






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ユグドラシルが呼んでいる~転生レーサーのリスタート~

世界樹や戦女神リースディースなど、本作と若干のリンクがある作品
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