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瞳の連鎖

作者: 坂道ミドリ

それはある日の夜、満月、原っぱの上、風が草花を揺らし、一人の少女がただ呆然と月を見て立ち尽くしていた。この子は何を考えているのだろう。僕には見当もつかなかった。彼女の瞳は生まれて3ヶ月くらいの赤子と同じくらい真っ直ぐで綺麗な黒だった。

なんて綺麗な瞳なんだろう。僕は少女の瞳に見入った。すると、今まで月を見ていた少女が僕の方を見た。その時、僕の体は止まった。いや、動かなくなった。力が入らず、それでも依然として少女の目を見続ける。ブラックホールのように僕の視線が彼女の瞳に吸い寄せられ、ついに体も少女の方に引き寄せられた。抵抗する足、変わらぬ視線、いつしか彼女に飲み込まれたいとすら思い始めた。きっと少女の瞳に見惚れたのだろう。徐々に徐々に少女の方に引き寄せられる。飲み込まれるのも時間の問題だと悟った僕は抵抗してた足の力を抜き、少女の方に吸い込まれた。最後まで、僕は少女の瞳を見続けた。脳裏に焼き付けたいと思ったから。そしてついに僕は飲み込まれた。

気付くと僕は家にいた。

夢かと思いつつも、今でも思い出すあのリアルな情景。顔を洗おうと洗面所に行くと、鏡に映る僕の瞳は、汚れのない綺麗な黒だった。

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