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9、聡一様の嘘。


聡一様は車から降りても変わらず口を閉じたまま、玄関の鍵を開け部屋に戻って行った。私は聡一様をそっとしておくと決め、荷物を全ておろし洗濯物をたたみ夕食の準備を終えた。いつも通りの時間に玲二様が帰ってきたので服を買って頂いたお礼を言った。


「おかえりなさいませ。服を買って頂きました。ありがとうございました。」


「ただいま。えっと何の話か分からないけど。」


「そうでしたか。今日、聡一様に服を買って頂いてその際玲二様にも代金を頂いていると聞いたのですが。」


「うーん知らないよ。兄さんに聞いてみるよ。」


「そうですか。お時間頂いてありがとうございます。夕食の準備もお風呂の準備も出来ております。」


「うん。じゃあ先にお風呂に入るよ。」


「かしこまりました。」


「ああ、カバンを机の上に置きに行ってくれる?このまま入りたいんだ。」


「かしこまりました。ではお部屋に置いておきます。」


玲二様が洗面所に向かうのを見送り2階にあがる。玲二様のお部屋の向かいの図書室の扉が開いていて、中で聡一様が出窓に座って、読書されているのが目に入った。いや正しくは本を持って眠ってらっしゃるようだ。とりあえず玲二様のお部屋に入りカバンを置いて静かに扉を閉める。

まだ聡一様は眠っている。もう夕食の時間だし声をかけておこう。


「聡一様。聡一様、夕食の時間ですよ。」


そっと肩を叩く。その瞬間、その手を引っ張られ聡一様の体の上に乗せられる。お腹の上に座らされ顔を両手で優しくつかまれる。聡一様は今までに見たことも無い程優しい笑顔だった。


「莉子、遅かったね。今日も一緒に寝ようね。」


と笑顔で言った後、はっとした表情の後怯えたように私をどんと押し体勢を崩し地面に座り込む私に震える声で、


「今の事は誰にも言うな。」


と言って聡一様は自身の部屋に戻ってしまった。いつもはあんなに自信に満ちた振る舞いをしている聡一様が、私に知られた事に怯えて震えて逃げてしまった。


玲二様が声をかけても聡一様は部屋から出てこず夕食は玲二様が1人でとられた。全てを片付けお風呂に入ろうと洗面所の扉を開けた時、聡一様がちょうど洗面所から出て来られて私を見るとまた怯えた様子で2階にあがってしまった。


「これは話し合う必要があるな。仕事にならないし。」


浴槽につかりながら1人呟いた。


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