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2、洋館の住人


中に入ると予想外に散らかっていて家事が得意でない事がよく分かった。玄関入ってすぐ横に長い廊下で扉が並んでいる。その扉の1つから男性が出てきた。


「玲二その人が新しい家政婦さん?俺もっとかわいい系のドジっ子巨乳がよかったんだけど。」


「ちょっと兄さん。やめなよ。」


「ご期待に添えず申し訳ありませんご主人様。」


そして軽くお辞儀をする。家政婦だからこういう感じで大丈夫だろう。様で呼ぶかご主人様か。兄さんと呼ばれた男性は少しキョトンとしている。


「この人は兄の聡一です。私がお給料をお支払いしますので、この人の言う事は聞かなくていいですよ。」


玲二様が怒ったように言い捨てる。


「かしこまりました。」


「いやいや、俺も出すから洗濯とかしてくれ。」


「分かった。じゃあ兄さん彼女に敬意を払って。この人は仕事として家に住んで家の事をしてくれるんだから。」


「はいはい分かりました。なんて呼べばいいんだよ。」


名前か。ちらと玲二様を見ると顔色を変えずにさらっと嘘をついてくれた。


「美雨さんだよ。美しい雨で美雨さんだ。」


「自己紹介が遅くなりすみません。美雨です。」


「名字は?」


「立花です。」


「ふーんそう。じゃあね美雨さん。」


「はい。なんなりとお申し付けください。」


聡一様は玄関の前のドアを開け階段をあがっていった。


「はあよかった。上手く誤魔化せた。とりあえず美雨さんでお願いしますね。じゃあ君の部屋に連れて行くね。この廊下のつきあたりだよ。」


美雨か綺麗な名前だ。素敵な名前。

この洋館の1階はコの字を横にした形になっていて2階は四角形だ。1階の真ん中が玄関になっていて、横に長い廊下の左端の奥の部屋が私の部屋で鍵もかけられるらしい。玲二様には常に施錠するように言われたのでそのようにしておく。


「とにかく今日は規則だけお伝えしますね。」


「すみません。メモ等を貸していただけますか?」


「じゃあこれをあげるよ。」


小さなノートと4色ボールペンを渡してくれる。どちらも少し高級そうだ。


「ありがとうございます。」


「うんじゃ続きね。まず1つめ………」


1つめ仕事の内容は家の事全て、掃除や洗濯、料理やお使い等。2つめ土曜日、日曜日は完全に休み但しご飯だけはお願いします。3つめ2階の私室は頼まれた時だけ入ってもいい。4つめ兄弟に一気に頼まれ事をされたら弟を優先する。5つめ外出する時はメモを自室の扉に残す、これは兄弟も貼るので確認する。


「美雨さん大丈夫ですか?」


「はい。分かりました。では家を綺麗に保ちつつお2人の役にたてばいいという事ですね。」


「ええ簡単に言うとそうです。では明日からお願いします。キッチンはこの部屋の隣です自由に使ってください。手書きで見辛いかもしれませんがこの家の地図です。どうぞ。」


地図を受け取る。私の部屋の前が脱衣場とお風呂その隣がトイレ。私の部屋の隣はキッチンでその隣が階段、そのまた隣が食堂だ。食堂の前が物置になっている。2階にありえない部屋がある。


「図書室?」


「ああ、兄さんが小説家もやっててその資料とか父さんが元々本が好きでね、数えた事は無いけどとんでもない蔵書数だよ。出入り自由だから暇なら読んでいいから。あなたの記憶が戻る刺激になるかもしれないし。」


「ありがとうございます。」


後2階には客室が1部屋と兄弟の部屋が1部屋ずつとトイレ。


「兄さんには記憶がない事言わない方がいいと思う。まあ話してみれば分かるよ。それじゃあゆっくり荷降ろししてくださいね。もう夜遅いしそのまま休んでください。」


「何から何までありがとうございます。」


玲二様が部屋を出ていった後、施錠し恐る恐るキャリーケースを開いた。中に入っていたのは下着と服ばかりで、名前の分かるものや住所が分かるものは入っていなかった。さすがに人は入っていないかよかった。なんだか疲れたのでタオル地のワンピースに着替えて眠った。



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