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後ろは見えないものなのです

「これ、こうしたら焼けるんじゃない? 混沌せんげん[アークボルト]」


 アンリペアラーは溶接棒をエルフェの残した肉塊に向け、電撃を放つ。だが、相手のあまりの大きさに意味はあまりないように見える。ただ大きいだけのものなのだが、それだけでタフネスを誇るというものだ。


「効果は薄そうだ。だが、こんな急激な変化があったのだから、長くは持たないだろ。相手にする必要はない」


「えー、お肉はあったら焼くものなんだよ! もっと出力上げたら焼けるかもしれないよ。ねぇー、上げてよー」


 アンリペアラーの背中には、溶接棒がつながっているが、それ以外にも色々な調節ツマミ等が付いている。だが、本人は背中にあるものを弄ることは出来ないのだ。最も、自分自身でありながら、その仕組を理解してないので、弄れたところで意味は無いのだが。


「お前のその良くわからない方向に偏った知識は、誰に教えてもらったんだ?」


「レアル様」


「はぁー……。本当に嫌になる」


 項垂れるヒートファン。アンリペアラーはレアルに造られたのだが、そうとは思えないほどに純粋だ。まぁ、だからこそ問題を起こす事も多々あるとも言える。その純粋さ故にあまり疑ったりはしないのだから、変な事を吹き込まれるのは非常に困るのだ。


「どうしたの? どっか悪いの? 直す?」


「そうじゃない。レアルの言うことはあまり信じない方が良い」


「どうして?」


 そう言われてしまうとヒートファンは悩んでしまう。そもそもがアンリペアラーと前提が違うのだ。片や玩ばれ機械とされてしまった存在。片や始めから機械として誕生した存在。そして、この無垢の存在にレアルの無邪気な悪意を説明したいとは思わないのである。


「どうしてもだ」


「うーん。なんか良く解んない」


 アンリペアラーからしてみれば、創造主のレアル、今まで一緒に居てくれたヒートファン。どうすれば良いのか全く解らないのである。何せ、自分の在り方としての行動をするという考え以外には、そんなに意識が行かないのだから。


「まぁ、そうだよな……。アンリペアラー、少しそこで待っていろ」


「えぇー。私も行くよー!」


「いや、お前は来るな」


 ヒートファンはアンリペアラーの溶接棒を奪い、それを地面に突き刺す。そして、そのまま立ち去る。


「待って……!? 誰か私の背中引っ張ってる!?」


 ヒートファンを慌てて追いかけるが、地面に突き刺さったままの溶接棒と、アンリペアラーは繋がっている。そのコードの長さの限界で、転ぶ事になってしまった。


「レアル。見ているんだろ」


 アンリペアラーから距離をとった地点で、ヒートファンは誰も居ないところに話しかける。誰も居ないのに、その瞬間。まるで始めからそこに居たかのように、腕時計をたくさん着けた女性が立っていた。


「呼ばれて出てきた混沌の管理者、レアル・グレードだ!」


「そんな雑談をしにきた訳が無いだろ」


「それなら、アンタの望む雑談をしてやるよ」

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