表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

別に理解している訳ではない

「ねー、ヒートファン。暇だから何か直すもの無いのー?」


「あるわけ無いだろ」


「じゃあ、直してあげるから、壊しても良い? ちゃーんと直すから大丈夫だよ?」


「やめてくれ」


 なんだか物騒な会話に聞こえない事もないが、この二人、ヒートファンとアンリペアラーにとっては日常的に繰り返される問答である。そもそも、二人とも機械であるのだから、実際にはそこまで物騒な話では無いわけだ。わざわざ直すために壊すというのは、色々と意味不明ではあるのだが。


「じゃあ、そこの人。壊してから直すね!」


 ただ、このアンリペアラー最大の問題は、機械と人間の区別が出来ていない。自分自身が人間に近い姿をしているせいもあるのかも知れないが、そもそも違いがあると思っていないのだ。だから、生物であっても、自分の能力で直せると思っているし、直せなかったとしても、直せなかったものに対して何か思うわけでもないのだ。


「おい! やめ」


「いっくよー。混沌せんげん[アークボルト]」


 ヒートファンの静止の声も聞かず、アンリペアラーの持つ溶接棒から電流が、偶然近くを歩いていた男に向けて、発射されてしまった。心臓なんか貫いてしまえばそのまま心停止だ。うまく逸れたとしても、重度の火傷は免れないだろう。


「なんですか!? 光術(せんげん)[バリア]」


 だが、男はすばやく自分を囲むかのように障壁を張り、電流を防いだ。防げたとはいえ、不意を撃たれたのには違いが無く、微妙に動揺している。そして、その男の正体にヒートファンが気づいた。


「なんだ、お前か」


「なんだとはなんでしょうか!? 寿命が縮むような思いをしましたよ! 流石にあんなのを直撃してしまえば、わたくしでも死んでしまいます!」


 ヒートファンの雑な反応に冷静になれない男、ロジクマス。魔王イニシエンの力によって悪魔となった元人間であるが、実は身体構造的には普通の人間と大差は無いのである。


「お前なら大丈夫だろ。アンリペアラーのおもちゃになれ」


「わたくし貴方の恨みを買うような事したことありましたか!?」


「ちゃんと直してあげるから大丈夫なのにー」


「貴方はもっと学習してください! 何も大丈夫ではありません!」


 声を張り上げるロジクマス、おそらくこの二人に絡まれてしまったのが運のつき。ヒートファンは助ける気が皆無であるし、アンリペアラーは逃がす気が皆無だ。だが、そんな三人にのっそりと近づく人が居たが、誰も気づいていない。


「もーう、なんで壊れてくれないのー」


「らしいぞ、ロジクマス」


「だから、何度も言っているはずで……!? 光術せんげん[バリア]」


 この三人に近づいていたのは、グネデア。眠そうな顔で腕を振り上げている。位置の関係的に2人よりも先に気づく事が出来たロジクマスは咄嗟に障壁を張る。そこでようやく近くに来ていた存在に残りの二人も気づくが、もう遅い。


「ガキ共がウルセェンダヨ! 技術せんげん[インパクト]」


 グネデアは振り上げていた拳をそのまま地面に叩きつける。そして、発生した衝撃波によって障壁で守られていない二人は、どこかに吹っ飛ばされていった。


「グネデアさん。もっと穏便な方法は無かったのですか?」


「メンドクセェ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ