プロローグ
ジリリリリリリリリ………
遠くの方で仕切りに何かが鳴っている気がする。そんなことを朦朧とした意識の中思い、そして徐々にその意識をハッキリとさせながら、その音が目覚まし時計の音だと気づく。
目覚まし時計の音を消し、未だ布団から出たくないと拒否反応を起こしてる体を無理やり起こすと自分の部屋を出てキッチンへ向かう。
笹倉悠二。そう、これが俺の名前。
ごく普通の平凡な高校2年生だ。これと言った特技もなく、毎日なんの面白みもない平和な日常を過ごしている。
家には自分一人。親は仕事の都合で四国に行ってしまった。なので、今日も家全体が静寂に包まれていた。簡易な朝食を作り、それを食べてから早々に家を出る。今日は月曜日、始業式だ。いつも通り遅刻ギリギリなので小走りで学校へ向かった。チャイムと同時に学校につくと話しかけてくる者がいた。
「お前いつも遅刻ギリギリだな。もっと早く起きろよ」
「朝っぱらから自分で飯作んなきゃいけねーの」
「嘘つけ、5分10分で作れるような簡易な朝食だってこないだ言ってたろ?」
「その5分10分が命取りなんだよ…」
「なんだそりゃ、まあいっか……っておっとホームルーム始まる…」
と、言いながら自分の席まで戻っていったのは、友達の一ノ瀬徹。成績は並で常に馬鹿やって先生に幾度となく怒られている。そしてオタクだ。そして悠二も自分の席に着くと頬杖をつきながら窓の外を見た。今日は始業式だけなのでそれが終わればすぐ家に帰れる。家に帰ったら何をしようかなと遠くの空を眺めながら考えていると
「やっぱ金髪ロリって最高だよな!なんつーの?守ってやりたくなるって言うかさー。あーでも銀髪ロリもなかなか……てか悠二はどういう子が好みなんだっけ?」
いつの間にかホームルームが終わっていたらしく徹が話しかけてきた。
「んー、俺は優しければ誰でもいいかな」
「適当すぎだろ!」
実際に優しければ誰でもいいというのは本当である。悠二は外見よりも中身!をモットーにして生きているのだ。そんな悠二は日々無償で人助けをしている。周囲には『お人好し』だの『暇人』だの『忠実なパシリ』だのよく言われるがそんなことはもう慣れた。だが、今日くらいのんびりしたいので始業式が終わればすぐ帰るつもりだった。だが、そんな願いは叶わず
「笹倉!これ倉庫までお願い!今日放課後用事が入っちゃって」
とクラスの女子から資料を倉庫まで運んでほしいと頼まれた。仕方なくそれを了承し、始業式が終わった後、悠二は受け取った資料を倉庫まで運びに行った。
「はぁ〜最近忙しかったから今日こそは家でのんびりしたかったんだけどなぁ。まあすぐ終わるしいいか」
そんなことを呟きながら倉庫前まで来ると資料と一緒に渡された鍵で倉庫の扉を開けた。中は薄暗い。誰かが飛び出してきたらきっと尻餅ついて驚くだろうなと思いながら指定された場所に資料を置く。ふぅ、と一息つくと早々に倉庫を出ようとした。すると、突然倉庫の扉が閉まった。扉からの光を失った真っ暗な倉庫の中、一人佇む悠二はふと我に返ると
「いや、え、ちょ、誰かーー!!開けてーー!!まだ中に人いるんだけどーー!!」
ドンドン!と扉を叩きながら助けを呼ぶ。鍵はすぐ出るつもりだったので外に置いてきてしまった。きっと誰かが鍵をかけ忘れたのだろうと思った先生が鍵を閉めたのだろう。暗闇の中やばい、と心の中で連呼しながら必死に扉を叩きながら助けを求めるが誰も来ないことを悟り膝から崩れ落ちた。
これからどうしようか思考を巡らせているとふと誰かの声が頭の中に響いた。
「……君はそろそろ目覚めなければならない。……本当の世界への扉は既に開いた。……信じるものの為に生きろ。……然すればいつかまた……………」
頭に響く微かな声を聞きいていると段々と意識が薄れていき、その声を最後まで聞く前に意識は完全に途絶えた。
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「………い……………おい…………おーい!」
意識が徐々に戻っていく。ここは俺達2-Aの教室。今日は木曜日。明日も学校があるとダウンしてる生徒がちらほらいる。悠二もまたその一人で机に突っ伏しながら寝ているところを徹が起こそうとしていたようだ。
「いつまで寝てんだよ、もうホームルームは終わってるぞ」
「あー悪い、なんだか凄く長くてリアルな夢を見ていた気がするんだ…。ここと同じようで全く違う世界みたいな…」
「なんだそりゃ、寝ぼけすぎじゃね?それとも夢の中で異世界にでも転生したか?」
冗談を言いながら笑って聞きもしない徹。だが確かに所詮は夢と悠二も切り捨て次の時間の準備をした。
異世界転生だと思ったそこの貴方!残念、目覚めた先は現実世界。ただしこの世界は現実世界であって現実世界でないもう一つの世界。
能力バトル、魔術、魔法、機械兵器など出したいと思ってます。
次回はいつ投稿するかわからないです。気長に待って頂けると幸いです。
それと僕はとあるとFate好きです。特に一方通行さんとギル様は推しですね〜。