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再周回:Did you read "A" to "Z"……?:part HUG
わたしは、木隠墨子。楓ちゃんがなんと言っても、楓ちゃんの恋人です。
「……墨子は、なにか食べたいものある……?」
「えぇと、わたしは……」
『楓ちゃんが食べたい』
「楓ちゃんが食べたい」
「……え?」
『……え?』
「…………食人欲求?」
「ううん、違うよ」
『……抵抗、しないの?』
はい。
わたしはもう、この欲望を抑えません。
だってわたしはもう、決めたのですから。
わたしは、楓ちゃんの本当の恋人になるんだって。
『……ちゃんと手を出せる時に出しておいた方がいいよ。後悔する前に』
わかっていますよ。自分自身なんですから。
「……楓」
……ちょうど、来ましたね。
「……っ! お姉ちゃ……!?」
わたしが呼んだ楓ちゃんのお姉さん……倉田先生を見た楓ちゃんがバターナイフを逆手で構えましたが、わたしが手首を掴んで抑えました。
「な、なにをするの墨子。……放して」
「放さないよ、絶対に」
こめかみに血管を浮かべる楓ちゃんからバターナイフを取り上げて。
……楓ちゃんを抱きしめます。
「す、墨子……!?」
「倉田先生、お願いします!」
「…………ああ!」




