2nd season will end.
おはようございます、木隠墨子です。
今日から、年に一度の学校祭が始まります。
そして昨日、楓ちゃんがわたしの家に帰ってきてくれました。楓ちゃん本人は拒否したのですが、倉田先生から実家の状況を聞いた担当のお医者さんが「まだ『要厳重観察』の状況でまともに対応してくれないようなところよりも、少なからず対応してくれるだろうから」と判断してわたしの家に帰らせてくれました。まあそんなわたしも「要定期検診」と言われてしまったのですが……。ちなみに、楓ちゃんはお医者さんから「脱走・自傷禁止令」が出されました。それと、万が一のことを考えて本人には内緒で楓ちゃんの制服にGPSを着けてもらいました。
「……行こ、楓ちゃん」
「……」
「気をつけてね。墨子も、楓ちゃんも」
「もしどちらかだけでも体調が悪くなったら、すぐに俺達に連絡すること。君もだ」
「……」
「……いいね?」
「……………………………………………………はい」
「それじゃあお母さん、お父さん、いってきます」
わたしは楓ちゃんを連れて、家を出ました。
巣原さんにいろいろと教えてもらったあの日から、わたしは考えました。
楓ちゃんの過去を知った今、どんなふうに楓ちゃんと向き合ったらいいのか。
楓ちゃんの心を溶かすには、どうしたらいいのか。
わたしは……楓ちゃんをどうしたいのか。
考えて、悩んで、そして。
楓ちゃんが帰ってきた、次の日の今日。
「……今日こそ、伝えるよ。楓ちゃん」
「……なにか、言った?」
「ううん、なんでもないよ」




