冷たい彼女を愛してる:part2
楓ちゃんの家で家捜し中の木隠墨子です。
目的のモノを二人で探している間、巣原さんから楓ちゃんが傷ついてしまった理由についてたくさん聞きました。
楓ちゃんがこんなにふさぎ込んでしまったのは、小学二年生の頃に倉田先生と大喧嘩してからだということ。
楓ちゃんの左肩の傷は、そのときについたものだということ。
それから、楓ちゃんは特別学級でみんなに気を遣われながら小学生時代を過ごしてきたこと。
頑張って勉強して、星花に合格ラインギリギリセーフで入学したこと。
現状、楓ちゃんの成績は同学年の中で下の下だということ。いつ留年になっても、おかしくない状況だということ。
「それじゃあ、楓ちゃんは……」
「卒業できない可能性もある」
「……そう……なんですか…………」
楓ちゃんは、真っ暗な未来を見つめて、生きている。
本当に、わたしは楓ちゃんのことをなにも知らないんだ…………。
「……おっかしいなー。全然見つかんないし」
「……もうすぐ時間ですけど、見つからないですね……」
「んー、あるとしたらここだと思ってたんだけど……」
「持っていってるとか……っていう可能性はないんですか?」
「えー? よっぽどの心の変化がない限りはなー」
そう言って巣原さんがフローリングに仰向けに寝転がった直後、楓ちゃんのお母さんが部屋に顔を覗かせてきました。
「……おい、時間切れだ」
「……はいはい」
◆
「……結局、見つかりませんでしたね。……昔、楓ちゃんが倉田先生に渡したっていう…………折り紙」
「……あれがあれば、少しは仲直りの役に立つと思ってたんだけどなー。まーいーや。アンタに倉田楓のことを教えて試すことがメインの目的だったし。また機会をうかがって、忍び込んでおくかー。……ん、今の聞かなかったことにして。よろ」
「は、はい……」
「…………さて、ここだろ? アンタの家」
「あ、はい。今日は……ありがとうございました」
「ま、今日知ったことを踏まえて、将来の計画を立てたらいーよ。そんじゃまた」
「はい。……また」
……今日は、楓ちゃんのことをたくさん知ることができました。まだいろいろと理解が追いつかない部分もありますが……わたしは、諦めません。
今はまだ、冷たい表情のまま張りつめてしまっている楓ちゃん。そんな楓ちゃんを絶対に、笑顔にしてみせます。




