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冷たい彼女を愛してる:part1

 巣原すばらさんについていったら、とあるマンションの十三階、「一三◯二」と刻印された扉の前に到着した木隠墨子こがくれすみこです。


「えっ!?」

「はいお邪魔しまーす」


 なんのためらいもなく、巣原すばらさんは扉を開けて勝手に上がってしまいました。


 当然、奥の部屋からこの部屋の住人らしい女の人がやってきて、わたし達を不審者を見るような目で睨み付けてきました。……あ、不審者でしたね。わたし達は……。


「……なんだ、お前らは」

「アタシはアンタとおんなじ種類の人間。そして、コイツはお宅の娘……倉田楓くらたふうのフィアンセ」

「なんだと……」

「えっ!? えっ!?」


 そ、そんな風に言われたら恥ずかしいです……。それに……。


「……わたし、まだふうちゃんのフィアンセにはなれていません。まだ……受け入れてもらえていませんから……」

「…………」

「あ……その……えっと……」


 身長はわたしよりも低いはずなのに、女の人から出てくるオーラというか雰囲気が、元々コミュニケーションが得意ではなかったわたしをさらに萎縮させます。


「……そーいえば、まだ言ってなかったっけ。この人、倉田楓くらたふうの母親」

「……お前、どうしてその事を知って」

「えっ!? あっ……ど、どうも、お邪魔します……」

「という事で上がらせてもらうから。はい邪魔邪魔~」


 そう言うと、巣原すばらさんはふうちゃんのお母さんを押し退けてとある一室に入っていってしまいました。


「……おい、人の質問に」

「さっきも言ったっしょ。『アタシはアンタとおんなじ種類の人間』だって。アタシも、アンタと同じモノを受けた。そして流し込まれた。そーゆー感じ」

「……お前っ……! 今すぐ出ていけ。今すぐだ。もしここに私が住んでいることがばれたら……」

「自分の大事な娘達だけじゃなく、まわりの人間にも被害が及ぶ。……図星?」

「…………」

「……アタシのことは別に信用しなくてもいい。もしアタシがアンタの考えているような人間だったら……明日にでもここは陥落する。アタシの口を封じるなりなんなりしたらいい。……でも、アタシはコイツを連れてきた。……コイツは、まだ汚されていない、純粋な心を持っている。コイツだけは、信じてくれ。倉田楓くらたふうの運命は、コイツが変えるから」


 ふうちゃんの運命をわたしが変える……?


「う、運命だなんて、そんな大それたこと……」

「ちょっと黙っててくれるかー?」

「す、すみません……」

「……で? アンタはどうするよ?」

「……わかった。三十分だけやる。用が済んだらさっさと帰れ」

「がってん承知の助!」

「江戸っ子……?」


 お二人の話していたことは、なんだかよくわかりませんでした。


 女の人……楓ちゃんのお母さんが奥の部屋へ戻っていくと、巣原すばらさんはこちらへ振り向いて言いました。


「……んじゃ、お宝探しを始めますか。アタシはこっちのダンボールの山を漁っていくから、アンタはこっちの山をよろしく」

「……あの、この部屋は……」

「……ここは、倉田くらた先生の部屋。まあ今はダンボールとか家具とかが雑多に置いてあるただの物置部屋になっちゃってるけど。……で、これから探すのは…………」

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