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Who(Fu) needs you(Yu)?:part2
「うるさいウルサイ五月蝿いうるさぁぁぁいっ!」
発狂するわたしに、アネの手が伸びた。
「落ち着け!」
「うるさ……い……」
両肩を掴まれ、制止させられた。
「放してっ! 放してったらっ!」
「お前……今、私じゃないものと話していただろ……」
「…………」
「医者から少し聞いたが……。それが、『幻覚』ってやつか……?」
「……だったら、なんなの」
「……どんなものが、見えているんだ」
「…………」
「頼む、教えてくれないか」
「……」
「……」
「……お姉ちゃん」
「私……?」
「そう」
「……そうか」
「わかったら早く帰って」
わたしは薄地の掛け布団を被って、姉のいない方に向かって横になった。
『……だらしのないやつだ』
「……ごめん……な」
「…………?」
いままで聞いたことのない姉の声に、わたしは思わず布団から顔を出して姉の顔を見上げた。いつもの姉の声でも、幻覚の声でもないモノに、わたしは引き寄せられた。
「私は……お前を傷つけた……」
「……なにを、いまさら…………」
そう呟いたわたしに見せてきたのは、くしゃくしゃになったオレンジ色の折り紙だった。




