You are my family
シャワーを浴びて、着替え終わった私は、みんなが楽しくおしゃべりしているホールへと入った。
最初に私の姿に気がついてくれたのは、お父様だった。
「お、よく似合っているじゃないか紗雪。どうだ、星花女子学園の制服は?」
「うん。すっごくかわいくて、ステキ!」
「そーかそーか。私立のお嬢様学校だから慣れないところもあるだろうが、がんばってくれよ?」
「うんっ! ……えーっと、私がやることは……」
「……楓さんを見つけて、家族へ迎え入れること。楓さんから、邑さんと麻子さんの居場所を聞き出すこと。星花女子学園の生徒や職員を家族に誘うこと。そして……」
「行方不明になっちゃった茜お姉様と明日菜お姉様と霧子ちゃんがいないか、調査すること。だったよね、美雨お母様」
「……そう」
私が星花女子学園でやるべきことを整理していると、美雨お母様が右足を引きずりながら歩いてきた。
「美雨、もう杖はいらないのか?」
お父様が、心配そうに美雨お母様に聞いた。
「……はい。なんとか、歩けるようになりました……マスター」
「そうか、それはよかった。けど、視力は……」
「……もう、これ以上の回復は難しいみたいです」
美雨お母様は、左目の眼帯に手を当てて答えた。美雨お母様は昔、麻子さんを追いかけたときに消火器につまずいて転んだって言ってたけど……きっと、麻子さんが抵抗したせいだと私は思ってる。お父様は麻子さんのことをすごく愛してるみたいだけど……私は、美雨お母様から左目の視力と右足の自由を奪った麻子さんのことが……ちょっと、苦手。
……とにかく、明日からの転校に備えて、今日はもう寝ようかな。
◆
「へっくしょん!」
「どったのさ明梨、風邪?」
「ずず……うん、そうかも……」
「まったく……。昨日、お風呂で『温泉旅行ごっこ』なんてしたから……へくしっ!」
「あれ、椎名も?」
「あーもーこれ、完全に巻き添えで体冷やしたかも」
「ご、ごめんねー……。邑様と温泉旅行に行く妄想してたら、つい盛り上がっちゃって……。……あ、じゃあ私が温めてあげるよ、倉田さんになりきって」
「いやいや、もう寝ようぜ? 明日も学校あるし、そんなことしたら余計に悪化しそうだわ」
「ケチ」
「ケチじゃない。……んじゃあそういうことで。おやすみ明梨」
「もー……。おやすみ、椎名」




