Couple of girls
「今日からまた学校だね」
「……ん」
「みんな、元気にしてるかな……?」
「元気か気にするほど、墨子に仲の良い人なんていたの?」
「あ……」
夏休みが明けて、最初の登校日。夏休みに限らず、長期のお休みや行事のあとは、たくさんのところが変化します。それは校門の中に入っただけでも、わかります。
「なんていうかその……増えたね……」
「……なにが?」
「えっと、その…………」
そうやってわたしが視線を向けたのは、わたし達の前を歩く二人組の女の子。
彼女達は、手を、繋いでいました。
「……カップルが?」
わたしの指していること察した楓ちゃんは、なんの躊躇いもなく、言いました。
「う……うん……」
ど、どうしてそんな風にあっさり口に出せるのでしょうか? 恥ずかしくないのでしょうか?
「……ん」
「え?」
「手を繋ぎたいとか、そういうことじゃないの? 今の話」
「い、いいの?」
「むしろなんで駄目なのかがわからない。わたし達は付き合っているのに」
「そ、そうだね……。……ありがとう」
「感謝されるようなことはしてない」
話し方も、少し不器用な楓ちゃん。お姉さんのことになった時以外は、ほとんど感情の起伏が無い楓ちゃん。
そんな貴女とお付き合いできて、わたしは幸せです。
たとえ貴女が、わたしを好いていなくても。