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Observers

吾妻あがつまクン、ワタシの大好物の『ニアマート一部店舗限定ジャンボアメリカンチックロシアンイタリーナポリタン焼そばフランスパン』略して『ニアマートジャパン』を買うためだけに一体何分かかっているんだね」

「す、すみません臼井うすい警部。なかなか見つからなくて……」

「まったく、これだから近頃の若者は……。さあ、聞き込み始めるよ」

「は、はい!」



 ◆



「ふぅ……。結局、尼崎あまざきをよく知っている奴はあまりいないみたいだな」

「えぇ。……尼崎蓮太郎あまざきれんたろう59歳男性無職。二日前にこの付近の路地で勤務先の『天寿てんじゅ』から帰宅途中だった24歳の女性に対して顔を殴って持っていたバッグを奪って逃走。その数秒後にその場に居合わせた巡回中の制服警官に現行犯逮捕された男。奴の自宅がこのマンションだとわかって同じマンションの住人に奴の普段の様子をここまで聞き込みしてみましたが……あまり収穫はありませんでしたね」

「説明ご苦労。……さて、残すところあと二軒か。鳴らすぞ」

「はい」


 警部がチャイムを鳴らした数秒後、「どちらさまですか?」という初老の女性らしき声が扉の向こうから聞こえてきた。


「空の宮市警の者です。二日前の強盗事件について、少々お話を伺いたいのですが」

「……」


 数拍おいた後、扉はゆっくりと開かれた。

 出てきたのは、やはり初老の女性だった。


 俺と警部は手慣れた仕草で警察手帳を見せ、事の次第を説明した。


尼崎あまざきさん? そうねぇ、あんまり外には出ない人だったから、話すことも少なかったわねぇ」

「そうですか……。事件の前、なにか変わったことはありませんでしたか。尼崎あまざき本人以外のことでも、なんでも構いません」

「変わったこと……あ! そうそう! あったわ!」

「な、なんですかそれは」

吾妻あがつまクン、少し落ち着いてくれないかね。背の高い君が迫ると暑苦しいんだよ」

「す、すみません……。で、それは一体?」

「ここ一年くらいの話なんだけどね」

「い、一年……?」

「急に静かになったのよ、お隣さんが。倉田くらたさんっていう母子家庭なんだけどね」

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