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クレイジー・アクセル 【略:クレアク】  作者: 九九 零@異世界モノ大好物
第1章〜どうやら、異世界に迷い込んだらしい〜
8/108

初めての迷宮

小説の書き方をインターネットで検索すると…口に出しながら書くといいんですね

知りませんでした


っと言う事で、出来る限り善処します

できるか分かりませんが…


昨日、リリィと再会し、街の中を散策した為、二人は宿に帰って少し雑談してから久々にぐっすりと眠った。


珍しく朝早くに起きた上田は急ぎ足で冒険者ギルドに向かう。その理由は、夜間の依頼の件である。

要件を話し終え、依頼主に伝えるよう頼んでから急いで宿屋に戻る上田。


部屋に戻ると、向野は既に起きており、買ったばかりの服に着替えている。


向野の服装は、薄黒い布を使ったズボンに真っ黒のTシャツっぽい服だ。上田は白いズボンに灰色の長袖の服。向野が上田と色が被るのを嫌がった為、この色になった。


向野が着替えている間、荷物を纏めてカバンに詰め込み、二人一緒に食堂へと向かう。

そこには既にリリィが机席でムスッとした顔で座ってた。


「俺、顔洗ってくるわ」


「分かった。リリィに言うとくわ」


上田は既に顔を洗い終えているので、リリィの元に歩いて行く。そして、向野が顔を洗いに行った事を伝え、待つ。

上田は案外無口だ。自分から何かを喋りかける事を余りしない。だから、両者共に無言のまま時が過ぎる。その間、暇だった上田は自分のステータスを確認する。



名前:ユート

種族:異世界人

職業:村人D

状態:普通

レベル:6

HP:106/106

MP:23/23

STR:7

DEF:7

INT:620

DEX:402

AGI:118

スキル

【翻訳LVー】【ガレージLVー】【自動回復 (極小)】【悪運】【鑑定LV2】【指導LV2】【剛腕LV1】【器用貧乏LV1】【剥ぎ取りLV2】【解体LV1】


魔法


称号

異世界人、巻き込まれた者、迷い人、機械技師、指揮者、馬鹿力、解体師



新しいスキルが六つ増え、称号も三つ増えている。だが、どれも戦闘に役立ちそうな物はない。この二週間の仕事で得た物ばかりだ。


新しく手に入ったスキルの検証ついでに、戻ってきたばかりの向野に『鑑定』を使ってみる。

ゲームだとこれでステータスが覗き見できるはず。と予想を立てて覗き見る。



名前:リョーガ

レベル:32



驚くべき結果が出た。

まず一つは、表示される項目が少ない事。それと、向野のレベルが物凄く上がっていた事だ。

ちなみに、彼等の名前が下の名前になっているのは、その名前でギルドカードに登録したからだ。


ついでにリリィも見てみる。


名前:リリィ

レベル:18


リョーガよりレベルが低かった。だけど、上田よりレベルが高い。この差を考える上田だが、幾つかの仮定しか立てられなかった。


彼がスキルの確認をし終え、思い付いた仮定を携帯(スマホ)のメモ帳に記入している時、朝食が机に並べられた。


朝食に手を付け始める三人。食べながらこれから行う事を話し合う。


「ねぇ、本当に行くの?」


「当たり前やん。そんな楽しそうな所、行かな損やろ」


「俺は、むか…リョーガが行くんなら着いて行くで。って言っても、足手纏いにならへんように端っこで縮こまってるだけやけどな」


リリィの問いに即答した向野ーーーリョーガ。

上田ーーーユートは自らに力がない事を自負している為、彼等の手伝いをする為に着いて行く。


「それなら気を付けてよ。あなた達がどれ程強くなってるのか知らないけど、行く所は”迷宮”よ。魔物以外にも気を付けないと死んでしまうわよ」


迷宮の怖さを知らない彼等に忠告するリリィ。迷宮には魔物の他に、罠なども張り巡らされている。どれだけ力があったとしても、罠に嵌ってしまえば死ぬ事だってある。それを予期して忠告した。


少し遅めの朝食を取り終えてから彼等は出発する。リリィの話では、ここから二日ほど歩いた距離に迷宮があるらしく、そこへリリィは馬車で行った。


だが、今回はリョーガ達が一緒である。わざわざ乗り心地が悪く、時間の掛かる馬車に乗る必要はない。なぜなら、彼等にはバイクと言う乗り物があるからだ。


なので、彼等は街を出てから少し歩き、人目につかない所でユートのスキル『ガレージ』を使ってバイクを出した。ついでに荷物を『ガレージ』置いていく。


リョーガの後ろにはリリィが乗り、ユートは遊びを控えながら運転する。何台か馬車を追い越してギョッとされながら、約一時間程で迷宮に辿り着いた。


人目の付かない所でバイクを収納し、迷宮の元まで歩いていく。

迷宮の側には人集りができ、近くにはログハウスやテントなどが張られ、露店なども開かれている。まるで、小さな町みたいだ。


迷宮はまるで、鍾乳洞(しょうにゅうどう)の入り口みたく、地下に続く洞穴だ。

穴の中には下に降りる階段があり、天井はユートの頭一つ分高い。

迷宮を前にリリィは説明を入れる。


「これは、見つけられたばかりの迷宮なの。一層目なら私一人でギリギリなんとか抜けれるわ」


「それじゃあ、リョーガなら余裕そうやな」


ユートが要らぬ事を言った所為で、キッとリリィに睨み付けられている。


「私は二層まで行ったの。で、一層目がスライム。二層目がコボルトよ」


「そのスライムとかってどんなんなん?」


魔物の名前を言われてもリョーガにはサッパリ分からない。


「見たらわかるって」


ユートは知ったような口振りで足を進める。それに伴い、リリィ達も迷宮内へと進み始める。


ユートとリョーガは示し合わせたかのように階段を降りながらタバコを取り出して吸い始める。

リョーガはタバコをよく吸う為、既にユートのタバコしか残ってない。もう残り本数は多くない。


「ずっと気になってたんだけど、それ、なに?」


リリィはタバコに興味を持ち、訝しむ瞳で尋ねた。


「気になってたんならリリィも吸ってみればええやん」


そう言ってリョーガはタバコをリリィに吸わせる。そして、盛大にむせた。


「…ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ、なによこれ!?ゲホッ、毒か何かじゃないの!?」


彼女の言う通り、タバコは毒である。だが、彼等にとっては精神安定剤みたいなものだ。


「毒やけど、けど、やめられへんねん。俺達にとってーーー」


「薬みたいなもんやからな」


ユートの台詞を取ったリョーガ。彼等の言う事は真実である。気持ちが不安定になった時などに彼等は喫煙を行う。だが、それは一種の言い訳でもある。

彼等は本気でタバコを止めようとした事はない。それは止めるキッカケが無かったからでもあるが、一番の理由はわざわざ苦しんで止めたく無かったからだ。


15段程の階段を降り終えて扉を開いたその先には、トンネルのような半円を描いた道が目の前に広がった。車が3台横に並んでも余裕がある程の広さがある。

土の壁には苔が生えており、そこから光が発せられ、周囲を照らしている。前の世界で言う光苔のようなものだ。


「ここからは、魔物が出てくるから気を抜かないでよ」


「あいよ〜」


リョーガの返事が軽いのは余裕があるからだ。


先陣を切ってズンズンと進んでいくリョーガの少し後ろを歩くユート。

リリィは、ユートの後ろを歩いて付いてきている。

横一列になっても余裕があるほど広いのに縦一列で歩いている理由は、事前にユートが弱い事を伝えているからだ。だから、一番弱い彼を守る陣形になっている。


そんなに弱いのにユートが付いてきた理由は、除け者にされるのが嫌だったからだ。彼は自分自身に劣等感を感じていた。

『負けたくない』なんかより『置いていかれたくない』と彼は強く思っていた。だから、付いて来たのだ。


リョーガとリリィは出てくる魔物(スライム)を倒しながら進む。

スライムは文字通り、色付きの半固形(ドロドロ)物体だ。中身が透けて、魔物特有の魔石が良く見えている。

弱点は”火魔法”なのだが、リョーガは力任せに倒している。リリィだけがスライムの弱点を突いている。


迷宮の魔物は、倒すと地面に溶けて行くように消える。そして、ゲームでお馴染みドロップ品を残す。ユートは勿論、戦闘には参加せずにリョーガ達が倒した魔物のドロップ品を回収している。


地上の魔物が体内に持っている魔石は、迷宮にいる魔物が時たまドロップする物と違いがある。

地上の魔物を剥ぎ取って取り出した魔石は形が不揃いで澄んだ色をしているが、迷宮の魔石は形は全てビー玉サイズで淀んでいる。


「もう少し離れてないと危ないで」


「分かった」


魔物や彼等の戦闘パターンを記憶したユートは余裕を持ち始め、戦闘中の中に足を踏み入れていた為、注意を受けた。まだまだ近寄っても自分の安全は確保できそうだったが、リョーガの言葉に素直に従い、二人から距離を置く。


三十分後。彼等の目の前には階段がある。一度、この層を突破したリリィが居た為、簡単に次の層へと向かう階段を見つけれた。


「どうするの?次の敵は私一人じゃさすがに無理よ」


「どっちでも良いんちゃう?ここのスライムのレベルは10前後やから、それを基準に考えてみたりしたら?それか、次の層で一度戦ってから考えるとか、さ?」


ユートはスライム達のレベルを確認済みだった為、それとなく伝えた。

ちなみに彼は『鑑定』を持ってる事は一度も言ってない。なぜなら、言うタイミングが見つからなかったから。あわよくば、ここで『何で分かったの?』と、聞かれ『鑑定』の事を説明しようと思っている。


「そうね。ユートの言う通り、一度下の(フロア)で戦ってから決めた方が良さそうね」


「せやな。ユートの癖に珍しく良い案出したやん」


彼のそれとなく出した事は華麗にスルーされた。また言うタイミングを逃してしまい、残念そうだ。


だが、まだ言うタイミングは幾らでもある。そして、幾らでも作れる。

そう彼は考えていた。人の命は儚いと言う事も忘れて…。

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