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家族会議


スマホ、制限掛かって投稿できぬと言う自体に陥り、Wi-Fiスポットからの投稿となりました。

後1日でこの煩わしさから解放される…。




数々の買い物を終えて、ハラサラの街から出たリョーガ達。


その数日前。


ラザラスク家では家族会議が行われていた。


「ーーっと言う訳で、感謝すれば良いのか、怒れば良いのか迷ってるんだ…」


今にも頭を抱えそうなほどに悩んでいるラザラスク家の大黒柱であるアルグ。

勿論、そんな問題を作り出したのは、この場には居ないユートである。


「私は素直に感謝するべきだと思いますよアナタ。ユートさんは、キーニの為にやってくれたんでしょ」


優しげな笑みを浮かべて夫の疑問に対して意見を出すニッサ。だけど、それは即座に否定された。


「それは違いますよ母上。あやつ、よからぬ理由があってしていたのです」


ユートの顔をを思い浮かべて忌々しげに表情を歪めるマリンの兄ーーライト。


ライトの発言にアルグが聞き返す。


「理由?」


「はい。私は確かにこの耳で聴いたんです。『これがあれば楽になる』と」


「確かに理由があるみたいだな…」


だけど、ユートのした事は怒るに怒れない。なにせ、どこの医師に頼んでも治療が不可能だと言われたキーニの目を片目だけだが治療してくれたのだ。


例え、キーニの眼球をユートが欲していたとしても、治してくれたのには変わりない。


キーニはアルグの可愛い娘だ。


彼女の眼を治療してくれた事に恩ができた。そして、恩を仇で返す事は躊躇われる。


しかし、何も言わずに治療し、そして、何も言わずに取り除いた眼球を持って行くのは看過できない事態であった。


だから緊急家族会議を始めたのだ。


シンッと静まり返る食堂。

皆が皆、ユートの目的が何かと考える。いや、二人を除いてラザラスク一家は思考に没頭した。


その2人の内一人、マリンは恐る恐ると言った風に控えめに声を上げる。


「ぼ、僕は何もしない方が良いと思います…」


ユートの厳しい教えを耐え抜くマリンは、毎日生傷が絶ず、若干大人びたように見える。

だけど、引っ込み思案な所は変わらないようだ。

相手は家族だと言うのにオドオドとしている。


「マリン…。なぜ、そう思う?」


アルグは先程まで頭にあった思考を一時停止させて真剣な顔で尋ねる。

相手は掴み所のないユートだ。だから、この中で一番近しい者の言葉は良く聞くべきだと判断したのだ。


「あの…ユートさんは…その、何かする時は必ず理由があるので…」


「その理由は何だ?」


「わ、分かりません…で、でも、邪魔すると怒ります…」


言葉が続くにつれ、徐々に小さくなる窄んだ声。マリンはユートに怒られた事があるのだろう。と言う事が彼の態度から読み取れる。


だが、アルグはユートの怒った所を見た事がない。ましてや、ユートを怒らす術すら知らない。


あの、いつもニコニコと笑みを浮かべているユートが怒るような姿、想像できやしない。

だが、怒ればどうなるかなど安易に予測がつく。


なにせ、ユートは物を作るのに関しては誰にも負けない知識を持っているのだから。


「そうか…。なら、仕方ない…か」


アルグは考えた。考えた末に出した答えは、マリンの言う通りにする。で、あった。


「父上っ!」


アルグがこうも簡単に諦めたのが納得いかなかったライトは声を荒げて勢い良く立ち上がるが、アルグに睨み付けられて大人しく座り直す。


ライトが座り直したのを確認してから、視線を会議を始めてから一言も口を開かないキーニへと向けて、決定権を丸投げする。


「キーニ。お前は満足か?」


家族全員の視線がキーニへと向く。

問われたキーニはボソッと小さく誰にも聞こえない声で何かを呟いてから頷いた。


それを肯定と取ったアルグは言葉を続ける。


「だ、そうだ。ライトもそうユートに突っ掛かるな。何をされるか分からないぞ」


「ふっ、父上。私は父上の息子です。こんな事で怖気付いたりなどしません」


「なら、ユートには十分に気を付けろよ」


アルグの伝えたい事は、触らぬ神に祟りなし。ではなく、触らぬユートに祟りなし。である。


その場に居るだけで問題を運んでくるのだ。そんな存在に安易に関わってしまえば、その問題の中の厄介事を丸投げされかねない。


アルグの注意に耳を貸さずに部屋を退出したライト。

これにて家族会議は終了した。


まさか、天井裏で盗み聞きしている彼が居るとは誰も思いもしないだろう。



ーーー



ラザラスクの屋敷の庭に建てられた作業小屋 兼 ユートの部屋。


「ーーってな事があってんよ」


「そうですか…」


先程までラザラスク一家揃っての会議の内情をアイに話したユート。


「俺って、悪者?」


「えっと……」


嘘でも『いいえ』と否定した方が良いかと思われたが、ユートが「正直に」と言ったので、渋々ながらに頷いて肯定する。


「はい…」


その一言でユートはワザとらしく膝から崩れ落ちた。


「オヨヨヨ。俺、悪者なんか…。極悪人なんか…」


「そ、そこまでは…」


「アイにまで嫌われてもうて、俺っち、悲しいわぁ〜。泣けるわぁ〜。ガラスのハートがバラバラに崩れてまうわぁ〜」


床に四つん這いになり、悲しみを全身で表現するユート。だが、ワザとらしい。

だけど、アイはユートが本当に悲しんでるものだと思い、オロオロとしながらユートの背中を摩って慰める。


そんな茶番が行われている真っ最中に扉からノックの音が聞こえてきた。


「誰や?」


何事も無かったかのように顔を上げて視線を扉に向け、「ああ」と納得顔をするユート。

四つん這いの格好から、椅子があるのにも関わらず床に座り直す。


「アイ、開けたって」


「は、はい」


ユートの元を離れ、扉の鍵を三つ解除して、罠を解除スイッチを押し、扉を開ける。


そこに立っていたのは、ユートが黙って治療を行ったキーニであった。

キーニは何も言わずに部屋に入り、ユートの側に座る。


「………」


キーニは無口だ。口数は少なく、態度で示す事が多い。

あのアルグから産まれたとは思えない性格をしている。


だけど、アルグらしさもある。


「今日はどないしたんよ?」


アルグ同様、毎日のように会いにくるのだ。


「……」


ユートが来た理由を尋ねるが、治してもらえた左目でジッとユートの顔を見ているだけだ。


「まぁ、いつも通りやな」


そう。ユートの言う通り、いつも通りである。

理由を聞いても答えてくれない。


いつも(・・・)、二歩離れた先からずっと見ているのだ。


それは、ユートがこの家に来てからずっと。


両目が見えなくとも、彼女には別の物が見えていた。魔力と言う名の、この世界に存在する未知の物質。


「…ユート、変」


ユートの身体に視線を移したキーニがボソリと呟いた。


それは、視界に入っているユートの姿に対して言っているのか、それとも、ユートの体内にある魔力に対して言っているのか。


「そっかな?またどっかズレてたりする?」


頷くキーニ。


それにユートは少しだけ悩んだ素振りを見せ、「これでどうや?」と再度尋ねる。


「…まだ」


「そっか。上手いこといかんもんやな」


残念そうに肩を落とすユート。


彼等は彼等なりに会話が通じてるようだが、一人、全く会話についていけてないアイがいる。


「あ、あの…何の話をしてるのですか…?」


「ん?ああ、俺の身体の話や」


どこをどう聴けば身体の話になるのかサッパリ分からないアイは小さく首を傾げる。


「前に話したやろ?俺は普通の人間ちゃうって。それや」


「それと言われても…」


そんな大雑把な説明では理解など到底できやしない。例え、どれだけ理解力が高くとも理解できないだろう。


どう説明すれば理解してくれるのかと、ユートは悩みながら答える。


「うーん。えっとな……。俺の体内には魔力溜まり…核となる物が二つあんねん」


「は、はい…はい?」


アイは初っ端から疑問の声を上げたが、ユートは気にせずに話を進める。


「一つは普通の生き物が持ってる大気中の魔力を集めて溜める核ーー魔臓器。んで、二つ目は魔物だけが持ってる核。所謂(いわゆる)、魔石や」


「………」


人間が魔石を体内に取り込むと、普通は死ぬ。魔石の持つ汚染された魔力に体を汚されて肉は腐り果て、骨は朽ち果てるだろう。


それを良く知っているアイは『信じられない』と言った疑心の目でユートの胸元を見る。


「まぁ、話は最後まで聞いてや。俺の体内にある魔石やねんけど、ここ最近安定してなくてさ、魔力の流れる量がオカシイねん。試作品って事もあるやろうけど、一番は身体に負担が掛かりすぎてるんやろな」


「負担…ですか?」


「うん。前に話したと思うけど、俺の体は半分は機械で出来てて、その機械部分を魔石で動かしてんねん。せやから、軽くしてるとは言え、60キロの俺の体重と、身体の動きに色んな制限を掛けてたら嫌でも負荷が掛かってまうんよ」


「そう…ですか…」


「んで、キーニの魔力を見る目で見てもらってたってわけ」


確かにそれだと辻褄が合う。それに、


「だから、キーニさんの目を欲しがったのですか…」


ユートには魔力を見る()はない。出来るとしても、感じる事ぐらいだ。

だからこそ、ユートは欲したーーキーニの眼球を。


それがあると、自分自身で身体を知る事が出来、尚且(なおか)つ、研究も物作りも(はかど)る。


「そゆこと。魔力が不安定のままやったら、最悪、暴発しかねへんからな」


サラッとトンデモ発言を投下。


「ぼ、暴発っ…ですか…」


「そそ。範囲は半径10キロ。……そうやな、この街が100個集まっても足りへん程の大きさで、巨大なクレーターが出来るんちゃうかな?」


アイは驚愕の事実に口をパクパクをさせるしかできない。それなのに、ユートはケラケラと笑いながら「敢えて言うなら、歩く爆弾や」とまで言う。


そして、自分で言っておいて自分で傷付くと言った妙技を披露した。


「…ヨシヨシ」


自分よりも幾つも年の離れた幼いキーニに慰められるユート。

なんとも情けない姿である。そんな彼が超が付く程に危険な人物だとは誰も思えないだろう。



〜〜〜



自分の発言で自爆すると言った妙技を披露してから時が過ぎ、夕刻。


「そろそろ飯の時間やけど、どっちで食う?」


どっち。と言うのは、ラザラスク家で食べるか、ユートの作業小屋で食べるかと言う問いだ。


ちなみに、ユートの作業小屋は外から見れば小さくてワンルームの小屋に見えるが、中は【空間魔法】で広くしていたりする。

5LDKの立派な二階建ての地下付き家だ。


キーニは暫くユートの顔をジッと見つめてから呟くように答える。


「……ここ」


「そか、なら用意してもらうわ。アイ、キーニの分も頼むわ」


「は、はいぃ」


気弱な返事が台所に繋がる扉の先から聴こえてくる。


「ほな、リビングで待っとこか」


キーニが頷くのを確認したユートは、彼女の手を引いてリビングへと繋がる扉を開く。

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