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旅立ちの前に

本日?


続けて投稿。

なんとなく書いていたら、時が経つのも忘れ…


気が付けば夜中。


仕事が休みって良いですねぇ〜。


まぁ、あと二日だけですが…。


昨日、将棋を作り、オモチャ戦車を回収した。勿論、あの後、オモチャ戦車はただ走り回るだけの自宅警備員と化した。


そして今日、ネモから報告が来た。


リョーガはリリィと合流して王都から旅立ったらしい。

俺からの贈り物を使って、この場所に向かってるみたいだ。


喜んでくれてたらええなぁ。


それは兎も角、


「ミナは?」


「ん?儂ゃ知らんぞ?」


「そっかぁ〜」


残念。新しく作った物を試したかったんだけどなぁ〜。


「また何か作ったのかの?」


「まぁな」


「危険かの?」


「いや、少し面白い事になるだけ」


「そうか。なら、見るのは控えた方が良さそうじゃな」


レイルムは、俺が前に作った人間砲台で打ち上げられてから、トラウマが残ってるみたいだ。


用心深い事はいい事だ。


さて、新しく作ったやつを試したいしミナを探すけ。

その後、レイルムの屋敷からは日課になっているミナの絶叫が聴こえたとか聴こえなかったとか。



〜〜〜



あれから数日が経った。

朝食を食べ終えた俺とレイルムは食後の休憩にコーヒーを飲みながら雑談をしている。

メリーさんは一人で将棋盤に向かい合い、頭を捻らせていて、暇そうにしているのはミナだけだ。


俺は、毎日毎日色んな物を作り、そして楽しんで来た。

レイルム達も、それなりに楽しんでくれた。喜ばれる事だってあり、そして、俺も嬉しかった。


なのに……なのによぉ…。


「なんで?」


「一月前に言ったじゃろうに…」


レイルムに呆れられた。

けどさ、言われた覚えがないんだけど?

……認めたくないけど、たぶん、俺が忘れてるだけかもしれないけど。


「別の所に行くとか言われてたっけ?」


「言ったぞ」


ん〜……どれだけ記憶を掘り返しても思い出せん。

ネモに聴いたら手っ取り早いと思うけど、それを俺がネモにその事を伝えていたらの話だ。

ネモ達とのリンクはあるのだけど、プライバシーの問題を考慮した結果、個人の意思によって連絡を取れるようにしてる。


まぁ、俺の場合は特定の一人に送るのではなく、全員に向けて発信だけど。

だって、ネモ達の区別が付かないんだもん。


送られてきたら返す事はできるけどね。


まぁ、そんなどうでも良い事は置いといて。


「で、俺が行く所って?」


「それも言ったぞ?儂の孫の所じゃ」


「孫?拾ってきた子供やろ?」


「違うわっ!ちゃんと儂の息子が結婚して、夜の営みで産まれた列記とした儂の孫じゃ!」


そか。息子か。

俺はチラリとレイルムの下半身を見て呟く。


「今のレイルムの息子は萎れてるけどな」


「意味が違う!」


「あははっ」


相変わらずレイルムは面白い。


にしても、他の所に移動か。

レイルム達と居るの、少しばかり気に入ってたんやけどな。

レイルムは反応が面白いし、メリーさんは冷静なフリをして好奇心旺盛で、俺が作った物に興味津々で楽しんでくれるし、ミナはモフモフの猫耳と尻尾がある。

尻尾触ったらメッチャ怒られたけど…。


そう言えば、リョーガがコッチに向かってる筈やし…。あれ?嫌な予感しかしないんやけど…?


「孫の誕生日が明後日なのじゃ。だから、今日、発つ事になる」


「ちょっと待って」


「なんじゃ?」


さっき下半身の息子の事を言われて拗ねてるのか、レイルムは少々ご機嫌斜めだ。

だけど、これは言いたい。


「早くね?」


明日発つのならまだしも、今日、本日にここを発つ。そんな事、俺っち聴いてねぇよ。


「だから、前に言ったじゃろうに」


呆れられた…。

でもさ、前って言われても俺の記憶には残ってないから分かんないよ。


「…今日かぁ〜。明日とかに出来へんの?」


この街から離れるのは諦めがつく。が、世話になった人達への挨拶もせずに勝手に居なくなるのは流石の俺でも悪い気がした。

それに、エミルや村の皆にも手紙を送りたいしね。


「無理じゃ。それだと孫の誕生日に間に合わん」


そっか。それは残念……ん?ちょい待ちよ。


「ここから馬車で二日やんな?」


「それじゃが、それがどうしたのじゃ?」


レイルムは訳の分からなそうな表情をしてる。が、そんな事はどうでもいい。


馬車で二日。だとすれば、あれを使えば1日も掛からなくないか?


馬車は平均約10km/hで走行するだろう。そして、生き物だ。今の季節は冬だし、8km/hぐらいが妥当だろう。そして、休憩も度々必要になるだろうし、夜間なんて暗くて走れたもんじゃない。

それを考慮した結果、距離はそこまで離れていない。計算によれば、約200㌖離れた距離ぐらいだろう。


ならば、アレを使えば余裕で間に合うんじゃね?


それが想定で時速100km/hの速度が出るとしよう。だとすれば、2時間で目的地に辿り着ける筈だ。


「んじゃ、出るのは明日にしよか」


「ユートよ。儂の話を聞いておったか?」


訝しむ瞳で睨まれた。

まぁ、詳しい事を話してないから当たり前の反応だろう。


「聴いてたよ。んで、間に合うって判断したから言ったんやんか」


「……また何か作るのかの?」


「いや、もうそれは有る。ただ、出す機会が無かっただけ」


「それは危険な物かの?」


レイルムは俺が作った物には特に注意深くなる。まぁ、人間砲台で大空高く飛ばされたらそうなるよ。

それでも生きてたレイルムは素直に賞賛するけど。


「使い方次第で危険な物になるし、最高の乗り物にもなる」


事実だ。アレは凶器にもなる。だが、使い方次第で便利な乗り物にもなる。

乗り心地は馬車よりも幾分かマシだろう。

それに、魔物が出てきても一々停止せずに突破できる。


その名はTYPE-1。

リョーガにプレゼントした新作の前に作った装甲車だ。


ただ、幾つか問題があって【ガレージ】にお蔵入りしていた。


「一応、見せて貰っても良いかの?」


「ええよ。ほな、庭に行こか」



ーーー



儂はユートに連れられて庭へと向かった。

なぜかメリナとミナが付いて来るが、ユートは気は気にする様子もないし、一緒に来ても問題はないと言う事じゃな。


それから連れられて来たのは、屋敷がぐるりと周囲を囲む中庭じゃった。

てっきり、屋敷の前の庭かと思っておったのじゃが、やはり周りの人に見られてはマズイ物なのかもしれぬ。


「取り敢えず、初めて見せる(もん)ばっかやけど、変に広めるんはやめてな。特にメリーさん」


名指しされたメリナは目を逸らした。

思い当たる節が沢山有ったのじゃろう。


「初めて見るって、一体なんじゃ?危険な物かの?」


儂は明らかに警戒している。

あの悪夢が頭から離れないんじゃ。

あの、花火とか言う綺麗な火花と共に大空高く打ち上げられた人間砲台の時の事が…。


「危険はない。…攻撃せん限りはな」


攻撃せん限り…。と、言う事は、攻撃しなければ良いのじゃな。

攻撃なぞする事もないじゃろうが、何があるか分からん。警戒は怠れんぞ。


「あっ、ミナは幾らでも攻撃してもええで」


いつも思うが、ユートはなぜそこまでミナを虐めるのじゃ?

確かに、初めはミナに何度も攻撃されておったが、今じゃそんな事はないじゃろうに。


なにせ、ユートに攻撃は当たらんし、偶然当たったとしても全く意味がない。

……ユートって本当に何者なんじゃ?


「しない!絶対にしない!」


まるで、自分に言い聞かせるような言い方じゃ。さすがのミナも警戒しておるみたいじゃ。


儂も気を引き締めねばな。


「ほな、出すで。…【ガレージ】」


ユートが儂達の居る場所の反対側に手の平を向けると、雑草しかない地面からニョキニョキっと板のような物が出て来たのじゃ。


見た事もない白い板。それが、どこからともなく現れたのじゃ。


「な、なんじゃコレは…」


「………」


「フシャーーッ」


儂は余りの光景に驚愕の言葉を漏らしてしまったのじゃ。

隣のメリナを見てみると、意味が分からないと言った風で唖然としておる。

ミナだけが威嚇しておるな。


一拍、白い板が勝手に上がり始めたのじゃ。


ユートが何かをした訳ではなさそうだ。

なぜなら、ユートは何かを待っているかのように立っているからだ。


少しづつ開かれる板。


そして、人が横になればギリギリ通れる程の隙間が空いた時、突然、犬が板を潜って這い出て来たのじゃ。


さすがの儂もこれには肝を冷やした。

魔物かと思ったのじゃ。だが、その犬はユートを見つけると、尻尾をはち切れんばかりに振ってユートの元へと駆け寄り、頭を撫でろと言わんばかりに頭を突き出しておる。


その間にも板は開くが、儂はユートに撫でられて気持ち良さげにしている犬が気になって仕方がない。


なぜなら、犬の姿が犬ではないからじゃ。


全身が金属で出来ており、その割には本物の犬のような動きを見せる狼を連想させる犬なのじゃ。


儂が犬を気にしている事に気付いたユートがヘラヘラといつも通りの笑みを浮かべながら説明してくれた。


「あぁ、コイツらは”ハウンド・ドッグ”。【ガレージ】の警備を主にしてもらってるけど、実際は殺戮兵器や。生き物を殺す事を考えて作った魔物(・・)やな」


今、儂の耳に聞き捨てならない言葉が聴こえたのじゃ。


魔物じゃと?魔物を作ったじゃと?


そんな事、出来る筈が…いや、ユートなら出来そうじゃ。だが、なぜ魔物を作り、そして人類の敵である魔物に慕われておるのじゃ?


「こんな事で驚いてたらアカンで」


そう言ってからニヤリと笑い、ユートは【ガレージ】と呼ばれておる白い板に視線を向けおった。


儂はこの先が不安で仕方がないのじゃ。

見せて欲しいとは言ったものの、白い板がゆっくりと登る中、そこから何が出てくるのかと不安が心に広がる。


白い板が半分程まで開かれると、中の様子が少しばかり見えたのじゃ。

そこは、一言で言うならば別世界。


真っ白い空間が広がっておるのじゃ。


そして、奥から一匹、また一匹と駆けてくるハウンド・ドッグ達。


どれだけおるのじゃ!


そやつらは、外に出てくると同時に【ガレージ】を守るかのような位置どりで警戒し始めているのじゃ。


さすがのミナも、メリナでさえ、声も出せぬ程に驚き、そして、怯えを見せている。


白い板が全て登りきり、遂に【ガレージ】の中を全てが見通せるようになった。


途轍もなく広く長細い空間。そして、壁側に存在する多数の扉。

扉の上部には何か文字が描かれておるが、儂には読めん。


それから、もうハウンド・ドックは出てこない。

代わりに、【ガレージ】を囲むハウンド・ドッグの数は数え切れない量となっておる…。


なにせ、中庭が全てハウンド・ドッグ達によって埋め尽くされておるのじゃから…。


「よし、行くで」


ユートは儂らの事など全く気にせず、軽快に足を進め始めたのじゃ。


儂も慌てて追い掛けようとする。が、所狭しと存在するハウンド・ドッグ達の所為で、一歩も足を進める事が出来ない。


「ちょっ、待つのじゃ!これでは進めないのじゃ!」


「ん?気にせずに歩いて来てや。そいつらは勝手に退くから」


ユートは、儂の気持ちなど意に関せず先へ先へと進んでいるのじゃ。

ふと、視界の端に映ったメリナへと視線を移してみると、なんとメリナとミナは怯えながらだがハウンド・ドッグの群れを掻き分けて進んでいた。


よく見ると、ユートの言った通り、ハウンド・ドッグは彼女達が通れるように道を空けているようだ。

だがの、儂は正直言うと、怖くての、足が竦んで進めないのじゃ…。


それに気が付いてくれたのかは判らぬが、【ガレージ】内に辿り着いたユートは振り返り、そして動けぬ儂を見て苦笑いを浮かべた。


「まぁ、コイツらはずっと中で暮らしてたからなぁ〜」


外に出たかったんやろ。と付け足してから、ハウンド・ドッグ達に数匹だけ残して中に戻れと指示を出した。


すると、初めから決めていたかのように迷いなくハウンド・ドッグ達は【ガレージ】内へと物凄い速さで戻って行き、二匹だけが残った。


これならば、儂でも歩けるのじゃ。


そして、儂達は【ガレージ】に入ったのじゃが、それからも驚かされる事ばかりじゃ。


扉が有るのは分かっており、そこに部屋があるのは分かっておった。が、そこを覗くと途轍もない大きさの部屋が広がっておった。

それはまるで、一つ一つの扉の先が本来の【ガレージ】の姿に見えた。


そして、その部屋に置かれていた物。それは、儂のような人間には理解の及ばない物で埋め尽くされておった。

道具のような物や多種の金属の塊。はたまた、生き物のように蠢く肉塊や一目で”神級”を超えるであろう武器や防具などなど。


途中から見るのは辞めた。扉を開け閉めするのに疲れた訳ではない。ましてや、飽きた。などと理由でもない。

ユートに『ここから先は見たらアカンで』と言われたからじゃ。


何があるのか物凄く気になった。が、ユートが注意する程だ。何か危ない物でもあるのかもしれない。


そして、歩く事30分程。

一番最奥にある部屋へと辿り着いた。


「ここに置いてるねん。まぁ、言うたらガラクタ置き場や」


ユートはそれだけを言うと部屋の中へと入って行った。

儂らはと言うと、


「レイルム様からどうぞ」


メリナは熱心に儂を先に行かそうとしてくるのじゃ。

儂は正直、このまま入って大丈夫なのかと戸惑っておる。


「レイルム様は私達の主人。主人は先に行くべきだと思います!」


ミナも儂に先行させようとしてるのじゃ。

なぜ、そこまで儂を先に行かせたがるのじゃ?


不安じゃ。本当言うと、ミナかメリナに先行して欲しい気持ちで一杯じゃ。

しかし、こやつらの瞳は本気じゃ。儂を先に行かせて犠牲になって貰おうとしているのが目に見えて分かるのじゃ。


なにせ、ユートは悪戯が大好き。何を仕掛けているか分からぬ。

儂も、何度ユートの罠に引っ掛かった事か…。


まぁ、ほとんどはミナが掛かっていたがの。


「仕方あるまい…」


儂は渋々、ドアノブを握り、ゆっくりと回して扉を開く。部屋の中は真っ暗で何も見えない。それでも、儂は意を決して中へと入って行く。


「ふぐっ!?」


そして、転んだ。


部屋に入った刹那、儂は何かに足を躓いて盛大に転んでしまった。


「レイルム、大丈夫?」


それはユートの声だ。驚いた事に、笑い声ではなく、本気で心配するような声だ。


「あ、ああ、儂は大丈夫じゃ。それより、灯を頼めんか?」


「あっ、そっか」


いたく当然な事を頼めば、ユートは納得したような声を発した。

そして、次の瞬間、


「ニ”ャッ!?」


「あぐっ!?」


灯が付くよりも早く、儂の背中に何かが落ちてきた。

何か…ではなく、間違いなくミナじゃ。


例え女の子とは言え、重たいものじゃの…。


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