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リョーガの友人とは

一週間ぶりですかね?


それとも、一週間過ぎちゃいました?


まぁ、試験は数日後なんですが…。取り敢えず、少しの暇を得たので書いてみました。


たぶん、かなりメチャクチャになっていそうです…。


「あぁー、かったり〜」


「リョーガさんは何もしていないじゃないですか!」


「まぁ、そうやな〜」


見渡す限りの草原で、リョーガは寝転がって鼻を穿ってはポイッとしている。


そして、ユースは雑草を抜いては捨てて、抜いては捨ててを繰り返している。


「それにしても、なかなか見つからねぇもんだな」


そう呟くのはエリオスだ。

彼もユースとは別の場所で、雑草を抜いては捨て、を繰り返している。


「……暇やなぁ〜」


「それなら、リョーガさんも手伝って下さいよ!」


「えぇ〜、めんど〜」


エリオスは一本一本確認して抜いているのに対し、ユースは素早い手付きで、エリオスの何倍ものスピードで雑草抜きをしている。


「久々には良いもんだが、百本ってのは少し無理があるんじゃねぇか?」


「エリオスさんっ!口を動かす暇があるなら手を動かして下さい!」


「はいよー」


薬草百本。それが、今日、彼等に与えられた課題である。

リョーガは相も変わらず動こうとしないが、ユースは汗を掻きながら薬草探しをしている。


そんな時、突然、リョーガが立ち上がった。

何をするのかと思い、視線だけをリョーガに向けるユースとエリオス。

そんな彼等の気持ちを察したのか、リョーガは今から成しに行く事を言う。


「ちとションベン」


そして、近くに見える小さな丘へと気怠げに歩いていく。

それを横目にユースはひたすら薬草探し。

エリオスも負けずと薬草探し。


そんな時、唐突にリョーガが大声を上げながら戻ってきた。隠さなければならない物を隠さずに。


「おーいっ!オモロイもん見っけたでー!」


彼が走る度に下半身にぶら下がる逸物が揺れる。激しく揺れる。それはもう、己を主張するかのように激しく揺れる。


「なんです…はぁ……」


ユースはリョーガの姿を見て溜息を吐く。


「ぶはっ!なんだよアイツ!?」


エリオスはリョーガの呼び掛けに振り返り、吹いた。


その後、パンツとズボンをちゃんと履いたリョーガに連れられて二人は小さな丘を越え、見たものは。


「キャラバンか…」


「それにしても、凄く大きいですね。初めて見ました」


数十台もの馬車が集った巨大なキャラバンだ。その内の三台には人集りができ、馬車一つ一つには護衛のような人が付いている。


かなりの距離があり、そのキャラバンを遠くから見れば電車のようにしか見えない。人なんて米粒程だ。それを見て、ユースとエリオスは目を丸くした。


「あの大きさ…もしかして、”ソラの瞬き”じゃねぇか?」


「それって、あの有名な噂の巨大キャラバンですか?」


「あぁ、あれだけ大きな物になると、それしか思いつかねぇ」


「す、凄いですよリョーガさん!」


噂でしか聴いた事ないが、かの有名なキャラバンを目の当たりにできて喜びを露わにするユース。

リョーガもしたり顔で自慢げにしている。


「やろ?…で、キャラバンってなんなん?」


「それは…」


「そんな事も知らねぇのかよ」


リョーガの疑問にユースが答えようとした。が、エリオスが言葉を被せてしまった。

ユースはこの後に何が起こるかを易々と想像できてしまい、やれやれと溜息を吐いて成り行きを見守る。


「キャラバンってのはなアグッ!?」


得意げに説明を始めたエリオスは、リョーガに胸倉を掴まれて躊躇いなど一切なくキャラバン目掛けて投げられた。


ユースは想像通りの事が起きてやれやれと思いながら、心の中で空中を移動するエリオスに当てて『上から目線で偉そうに言うからそうなるんですよ』と遅い警告をした。


キャラバン付近まで綺麗な放物線を描いて飛んで行ったエリオスは、キャラバン付近で護衛をしている人に盾によって叩き落とされた。


それを満足そうに眺めていたリョーガは「よしっ、行くけ」と、何事もなかったかのようにエリオスが飛んで行った方向へと歩き出す。



〜〜〜



キャラバンまで辿り着いたリョーガ達。

目の前には、武装した子供達と、その子供達に拘束されたエリオスが居る。


「どう言うつもりだ!」


リーダーだろう先頭に立つ子供が槍の矛先をリョーガに向けて威圧する。

だが、相手が子供だから、その威圧は半減しており、リョーガが相手になっている事から全く通じていない。


「ああ?」


耳に小指を突っ込んでホジホジとほじくる。そして、ポイッと拘束されて動けないエリオスへと飛ばした。


「なっ!?何すんだよリョーガ!きったねぇ!」


エリオスが吠えているが、彼の事は無視されたまま話は進む。


「コレを投げなたのは貴様らだろ!ハッキリと見ていたぞ!どう言うつもりでやった!」


子供達は手に持った武器をリョーガに向けて敵意の篭った瞳を向ける。

だが、リョーガには全く効果がない。反対にイライラを貯めさせるだけだ。


「あ”ぁ?」


リョーガの無意識な威圧の篭った瞳が子供達に突き刺さり、「うっ」と子供達の中の数人が怯んだ。

そんな中でさえ、子供達のリーダーをしている子供は引かなかった。

勇気を振り絞って一歩前へと踏み出し、槍の矛先をリョーガに近付ける。


「リョーガさん、相手は子供ですよ。少し大人気ないですよ」


ユースは先の事をエリオスの時と同様に易々と予測でき、宥めに入った。

が、リョーガには余り意味の為さないことだ。


「は?喧嘩売ってきたら、買うんが普通やろ」


そう言って黒の剣(ブラック・ソード)を取り出し、一歩踏み出す。

それと同時にリーダーの子供は怯んだように一歩後方へと下がろうとする。が、すんでの所で踏み止まり、敵意に満ち溢れた瞳をリョーガに向け続ける。


だが、それも時間の問題だ。

ただでさえ鋭いリョーガの瞳が細められ、より極悪さが増せば、足がすくみそうになる。


と、そこにこの事態を一瞬にて収めれる人が現れた。

どこから現れたのか、ニッコリと笑みを浮かべ片目だけが空き白い仮面を着けた作業着(ツナギ)姿のネモがリーダーをしている子供の頭にポンッと手を乗せてリョーガ達の前に出てきた。


「ソラさんっ!」


子供達はそのネモを『ソラ』と呼び慕っているように見える。


そんな彼等に、ネモはポケットから絶対に出せないだろうA4サイズの画用紙をスッと何でもないかのように取り出し、サラサラと何かを描いて見せると、子供達はリョーガに敵意にの篭った瞳で一瞥くれてから、持ち場へと戻って行った。


子供達が全員持ち場へと戻ったのを確認し終えたネモは次にリョーガ達へと画用紙を見せる。

そこには、いつの間にか字が記入されていた。


『ようこそおいで下さいました。リョーガ様と、その御一行様方』


縄によって拘束されていたエリオスを一瞬の内に解放してから、ページをめくって次を見せる。


『主人の命により、私達は貴方方を歓迎致します』


そして、深々と礼儀正しいお辞儀をした。


「お?なんだ?どう言う事だ?」


身体が自由になったエリオスはネモが持った画用紙を見て、それからリョーガを見て、状況が理解できず首を傾げている。


「もしかしてやけど、このキャラバン?っての、お前がやってんの?」


リョーガの問いに画用紙のページを数枚戻し、返答する。


『はい』


そして、目にも留まらぬ速度で数枚程送り、言葉(・・)を続ける。


『厳密には、私はただの飾りで、子供達が自分達で経営しております』


「それって凄くないですか?」


ユースは正直に思った事を呟いた。

その間にネモはサラサラと新たに何かを書き記し、彼等に見せる。


『立ち話もなんですから、どうぞ中へ』


手の平で馬車の方へと指し示し、先へと歩いていき、リョーガは言う通りにその後に続く。


ネモとリョーガ達との距離が少し離れているのを良い事に、ユースは小さな声でリョーガに囁く。


「なんだか、正面から見ると不気味ですね」


ネモの姿は一度、門の前で見ているが、真っ正面から見たわけではなかった。そして、いざ目の当たりにしてみれば、無機質で、何を考えているかも分からない瞳が不気味に思えた。

それはリョーガも同意見だったようで、肯定を示した。


ネモに案内された場所は、机が一台と椅子がご丁寧に四脚置かれた馬車の中だった。


各々が席に着き、まずネモが話題を切り出した。


『リョーガ様は既に知っていると思いますが、一応自己紹介をさせて頂きます』


ページを捲り。


『私達はネモ。その中の一人である私はソラと呼ばれています』


「んじゃ、ソラって呼んだ方がええ?」


『どちらでも構いません』


「なら、ソラで」


リョーガの質問はこれだけだったようで、タバコに火をつけて煙をくもらせ始めた。


『他に質問はありませんか?』


「僕から質問、良いですか?」


ソラの一文に、真っ先に質問を投げ掛けたのはユースだ。

相変わらず、物凄い速さで文字を書いて返答するソラ。


『はい。答えれる事なら何でもお答え致します』


「ここって何でも売っているって噂を聞いたんですけど、本当ですか?」


『「何でも」は売っていません』


ユースの聴いた噂を否定する。だが、それで終わりではないらしく、パパッと書いた文字を見せる。


『ですが、表に売っている物以外でも取り扱っております』


「例えばどんな物ですか?」


『武器・防具・道具。この世界に存在しない物まで。材料が揃っており、作成可能であれば何でも作る事ができます』


「…この世界にない物?」


画用紙に描かれている内容の一つが妙に気になり、首を小さく傾げながら考えるように呟くユース。

そんな彼の状態を見て話は終わったと思ったエリオスが質問を投げ掛ける。


「ソラ…だったっけ?お前さん、なんで喋らねぇんだ?」


『主人に禁止されているので』


「その主人ってのは誰だ?」


『それはリョーガ様以外には言えない事になっております』


「俺達はリョーガのオマケって事かよ」


『はい。そうなります』


「そこは否定しろよっ!」


余りにもアッサリと認められ、声を荒げてツッコミを入れたエリオス。ツッコミ役の素質がありそうだ。


「最後の質問」


タバコの煙をくもらせながら、リョーガが最も聞きたかった最後の質問をする。


「ユートどこにおるん?」


それにはソラですら少しの間考える素振りを見せた。

そして、次に書かれた事は、リョーガ達が同時に首を傾げる事だった。


『主人に連絡を取ってみます。少々お待ち下さい』


この世界に通信機器なる物は存在しない。遠方へ連絡するには手紙。あるいは各ギルドが所持する特殊な魔道具が必要になる。

だが、それらを使う素振りを一切見せず、ソラは『連絡が取れました』と告げた。


『主人に変わります』


最後にそう言い残し、瞳を閉じる。


そして、次に開かれた時、ソラの瞳は人間そのものである感情に満ち溢れた物になっていた。


「よっ、リョーガ。直接会うのって久々やな」


画面の奥で開かれた声音、その軽い口調は、リョーガの最も良く知る人物だ。


「もしかして…ユート?」


余りの事に驚きを隠せないリョーガ。タバコの灰がポトリと落ちるのも気が付かない程だ。


「俺以外にこんな喋り方すんの居らへんやろ。あっ、俺とお前だけ、か」


ケラケラと仮面の裏で笑い、そして、仮面を取った。銀色だった髪は仮面を取った際に先端から墨汁を垂らしたかのように黒髪へと変わり、ヘラヘラと笑みを浮かべている顔が出て来る。それはまさしく、仲の良かったリョーガが見間違う筈もないユートの素顔であった。


「ユートやんけ!なんやねんっ!おまっ、巫山戯んなや!めっちゃ近くおるやんけ!」


興奮気味にタバコを握り潰し、椅子を蹴り飛ばさんが勢いで立ち上がるリョーガ。

それを両手を軽く縦に振りながら宥めて落ち着かせようとするユート。


「まぁ、まぁ、落ち着けや。これ、俺の体ちゃうし、近くおるって言っても、俺の本体は遠いままやで」


「……は?」


「簡単に言ったら、遠隔操作や。こいつの体借りてんねん」


「…あれか?リモコンみたいなもん?」


「うん。ちょっと違うけど、そんな感じやって思っといてや」


「なら、お前今どこにおんねん」


リョーガの問いに、暫し考え、そしてユートから見て右側を指差す。


「あっち。だいたい五〇〇〇km先の街や」


「そんなん言われても分からんわ!どこやねんっ!」


リョーガの無茶振りにユートは少し困ったように頬を掻いて、答える。


「まぁ、いつかお前んとこ行くから気長に待っててや」


チラッとリョーガの両隣に座るユースとエリオスに視線を向けてニッコリと笑う。


「仲間もおるみたいやし、旅でもしてみたら?けど、一応、ネモ達に会ったら声掛けといてな」


「は?仲間?どこに?」


「え?隣におるやん」


「こいつらは俺の下僕や。とりま、お前んとこ行くから首洗って待っとけよ」


「え…俺の話、聴いてた?」


「は?知らんし」


どうやら、ユートですらリョーガの暴走は止められないようである。

だが、ユートは伊達にリョーガの友人をしていない。リョーガの扱い方を熟知しているのだ。


「まぁ、好きにしーや。っと、せやった。リリィ覚えてる?」


「忘れるわけあらへんやん」


「このキャラバンに来てんで」


リョーガにとって驚愕に値する事を発してから、最後に逃げるかのように「じゃ、またねぇ〜」と呑気な別れの言葉を口にして、無機質な瞳を持つソラへと戻った。


その後、ソラは一礼をして馬車を出て行ったが、そんな事よりもユートが最後に言い放った言葉を理解するのに頭が一杯になったリョーガ。


「………は?」


唯一、口から出たのはそんな間抜けな声だった。

ソラ『リョーガ様。これを渡しておきます』

リョーガ「ん?なんやコレ?箱?」

ソラ『大事に使ってください。では、失礼します』

リョーガ「説明とか無しかよ。っにしても、なんやこの箱」

エリオス「なんだ?何を貰ったんだ?」

ユース「僕にも見せて下さい」

リョーガ「ただの箱や」

エリオス「なんだ。ただの箱か」

ユース「なんでしょうねコレ」

リョーガ「さぁーな」

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