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世界樹の楽団2

少しの間、投稿を休みます。


一週間後か、二週間後に覗いてくだされば、いつの間にか投稿されていると思います。


ちなみに、病気で休むわけではないです。

資格の為の勉強です。


猛烈に勉強して、合格目指さなければ、昇給に関わりますので…。






「ーーー♪」


激しくも、心に響く音楽が街に響き渡る。

指揮はネモのアルファーが取り、それに合わせて楽団の皆が演奏する。と言った感じだ。


今流れている曲は、天国と地獄。ジャック・オフェンバック作曲の全二章四場のオペレッタだ。

俺の好きな曲の一つだから、良く覚えている。


無駄な事だけ記憶して必要な事は覚えない。俺の脳はどうかしてるぜ…。


「なんだか生き生きとした音だねぇ〜」


「何言ってんだよ。あれは、音楽って言うんだよ」


「そうなのかい?それじゃあ言い直すよ。…私達の生活を語っているみたいな音楽だねぇ〜」


「だなぁ〜。さっきの落ち込んだ所とか今の乱痴気騒ぎのような所とか」


周りの人々が何かを想像するかのように呟いている。

皆、この曲を聴いて色々と思い出す事があるのだろう。


かく言う俺も、過去を思い返せば、碌でもない事ばかりだ。

イケイケゴーゴーな所が多いけど、穴に落ちてからは必死に生き抜き、なんとか脱出したのは良いが全く知らない場所に出て、そして、エミルと出会い、村に辿り着いた。


それからは、毎日がノンビリとしており、ゆっくりと流れる時間が楽しかったけど、いざ近くの街に行ってみれば捕縛され、奴隷として売られた。


思う所は色々ある。が、落ち込んでも仕方ない。と自分に言い聞かせて今まで生きてきた。

バカみたいに笑って、なんでもかんでも誤魔化して、成り行きに全てを任せていた。


まぁ、その所為で今、俺が奴隷として居るんだけどね。


それは兎も角、俺は一歩隣へと移動しておく。


すると、先程まで俺が居た場所の腹部辺りを何かが横切った。

見なくても分かる。あの音、あの空気の振動。あの動き。紛れもなくナイフである。


視線を隣に移してみれば、悔しそうに歯噛みしているミナがいる。

わざわざ俺の隣に移動してきた理由がコレだ。お粗末だな。


俺が思った事が分かったのか、それとも顔に出てしまっていたのか、ミナは余計に悔しそうに顔を歪めた。

次は殺すって目をしてるぞコイツ。超怖ぇ…。


『えー!皆さん、聴こえてますか〜!!』


大きな声によって俺の意識がミナから楽団の方へと移動する。

そこには、俺が作った試作品拡声器を持ったラッテンが笑顔で右手を大きく振っている。俺宛ではなく、この場にいる全員だろう。


『これで三曲が終了しましたが、僕達はまだまだイケます!続けますかー?!』


「「「おぉーー!!」」」


ラッテンの呼び掛けにこの場に集まった全員が大きな声で賛同した。レイルムも年寄りなのに声を張り上げている。

それが面白くて笑っていると、唐突に俺へと話を振られた。


『ユートさん!居ますよね?居たら返事、お願いしまーす』


……なぜに名指し!?

おい、レイルム。そんな羨ましそうな目で見るな。メリーさんまでなんでよ!?

あんたらの所為で俺、周りからガン見されてるんだけど!?


『あっ!ユートさーん!!』


「はぁ…」


ラッテンに気付かれた。皆に売られた気分だ。

取り敢えず、楽団の近くまで寄って行き、用を尋ねてみる。面倒な事じゃなけりゃ良いが…。


「なんや?」


『ユートさん、楽器使えるんですよね?』


なんだその含みのある言い方は…。

つか、近くに居るんだから拡声器のスイッチ切れよ。


「まぁ、一応は」


『何が使えます?』


どう答えようか。と迷ったのも束の間。アルファーが画用紙に記載した文字をラッテンに見せた。


『え!?全部使えるんですか?』


おいおいおい。それ言うなよ…。


『なら、ユートさんにはトランペットを使ってもらいまーす!』


なぜそのチョイス?つか、待て。待て待て待て。そらないやろ。なんか知らんけど、やる前提で話を進めるな!って、おいっ!背後の奴ら!押すなよ!


拒む俺を無視して、俺は観客達に背中を押されて強制的に壇上に上がらさせられた。


壇上って言っても、箱馬車の側面が開く仕組みになっており、足を継ぎ足せば壇上の出来上がりと言った簡単なものだ。


『ユートさん、お願いしますね?』


トランペットを渡されながら、爽やかな笑みを浮かべるラッテン。

呪い殺してやろうか。って思ってしまうけど、その負の感情をなんとか心の奥底に仕舞い込んでトランペットを受け取る。


試しに吹いてみる。適当に吹いただけだから、音楽とは言えない代物だが、これでコイツの癖は掴んだ。

少し第二ピストンの動きが悪い。油差しとけよ。


「はぁ…しゃーないな」


取り敢えず、楽団の一人一人へと目配せをしておき、全員と目を合わせてから一礼をする。

そして、観客達にも一礼。


「ネ…アルファー。アレできる?あの…えーっと」


『コロブチカですか?』


「そう。それ」


俺の好きな曲の一つ。

テトリスのゲームにどハマりした時と同時に好きになった曲だ。


『可能です』


さすがネモ。俺の記憶の一部を埋め込んでいる事はある。


「ほな、それで行こか」


トランペットが必要な所は余りないが、まぁ、アドリブでするさ。

アルファーが楽団全員に目配せすると、何も言われなくても何が言いたいのか理解できたらしく、楽器と楽譜を変え、準備をささっと済ませた。

俺も適当な場所に立って、渡された楽譜を譜面台に置いて準備を済ます。


『ではでは、本日最後になります曲。コロブチカです!ご堪能を!!』


ラッテンも言い終えると、ささっと楽譜を入れ替えて椅子に座った。楽器はそのままで行くようだ。


それから、俺のアドリブによるとてもハードな楽曲が始まった。


「ーーー♪」


五分も続いた曲が終わり、大きく息を吸い込み、全て吐き出す。

観客達からは拍手喝采。それに答えて一礼する楽団の皆さん。

俺はと言えば、


『ユートさん!逃げないで下さいね?』


だから、なぜそこで拡声器を使うの!?

やめてよ!注目は嫌いなのよ!

それから、なぜ観客の皆さんは笑うの!?


『臨時参加して下さったユートさんにも大きな拍手をお願いしまーす!』


一斉に鳴り響く拍手の嵐。

これまで生きてきた中で褒められた事が少ない俺は、むず痒いものを感じた。

それと同時に、アルファーに殺意を覚える。


俺が人前に立つのとか、目立つ事が嫌いな事は、ネモ達は重々知っているはずだ。

なのに、なのに、だ。俺を壇上に立たせ、あまつさえ目立たせた。


俺は見せるぞ。仮面の裏でほくそ笑むお前の素顔が見えるぞ…。って、俺が笑ってる顔が浮かんできたし。

正直、気持ち悪い…。


引き攣った笑みで観客達の拍手に応えておいて、早々と俺はその場を退場させてもらう。


もうこんな事はゴメンだ。金輪際、絶対に、一生やらん!今回だけ特別やぞ!クソォ…。


自分の甘さを嫌ってほどに感じ取れて泣きそうになる。


後でレイルムとメリーさんに褒めちぎられたり、色々と質問があったり、ミナがコッソリと攻撃を加えてきたり、とあったが、誤魔化し半分、逃げ半分で凌ぎきった。


レイルム「のぉ、ユートよ。あの楽団とはどう言った関係なのじゃ?」

ユート「ん?あー、アレのリーダーと古い仲やねん」

レイルム「それは、あの仮面を着けた者か?」

メリナ「仮面…どこかで…」

ユート「そそ。アルファーって名前のやつやな」

レイルム「世界の情報を扱う新聞を持っていたり、これほどの娯楽を提供する楽団と知り合いとは…ユート。お主は一体…」

メリナ「あっ!仮面!」

レイルム「……どうしたのじゃ?メリナ」

メリナ「仮面と言えば、有名な大キャラバン、”ソラの瞬き”のリーダーも仮面ですよ!確か、先程の仮面の者と同じ仮面をしているとか」

レイルム「そうなのか?もしかして…」

ユート「何よ?ジジイにガン見される趣味ないで」

レイルム「ジジイ言うなっ!それよりも、お主、”ソラの瞬き”を知っておるか?」

ユート「そのリーダーなら知ってるで」

レイルム「……ユート。今更ながら、お主が何者か気になってきたぞ…」

メリナ「私もです…」

ユート「ハハハッ、そんな疑うような目せんでも、俺はただの騙されて奴隷になった平々凡々な人間やで」

レイルム「うぅん…信用できん…」

メリナ「そう言えば、昨夜、ユートさんを捕えた兵士と、奴隷商が死んだそうです」

レイルム「(ジーーッ」

メリナ「(ジーーッ」

ユート「(ε=ε=ε=ε=ε=(;゜ロ゜)ダダダッ!!」

レイルム「待てっ!逃げるんじゃない!」

メリナ「逃がしません!」

ミナ「…殺す(ボソ」






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