間食とラッテン
この小説は先程書き終えた物です。
前回のは、昼に書き終えた物です。
間違えなどが多そうです…。
人目のある街を一人で歩いていると、必ずと言っていい程に、すれ違う人達が露骨に嫌な顔をする。
なぜか。
俺はそう考える。
そして、一つの答えに至った。
俺の顔が嫌なんかな?
もう、それしか思いつかない。
だって、すれ違う人達全員が俺の顔を見て嫌な顔をしているのだから。
諦めて気配を消して行動しようかと思ってしまうが、それは出来ない。
なぜなら、俺は絶賛迷子だからだ。
レイルム達と逸れてしまった。
これも全てミナの所為だ。あいつが俺に間違った道を教えたからこうなったんだ。
「はぁ…」
まだ朝だ。太陽の傾きから考えて10時ぐらいだと思う。なのに、俺のお腹はグゥグゥと嫌な音を奏でてる。
そんなに燃費が悪かったかな?と不思議に思ってしまうほどに腹が減っているのだ。
だが、俺の所持金は生憎のゼロ。全額エミルに渡してしまっている。
確か、金貨が六十枚程入ってた筈だ。
俺が持ってる物を売って金にしようと考えたが、どの店に行っても奴隷はお断り。酷い場合なんかは盗んだと思われて兵士を呼ばれる始末。
最悪や。
その一言に尽きる。
近くに美味しそうな肉の焼ける匂いを放つ露店がある。近くに、なんだか良く分からない飲食店がある。近くの子供が焼き串を美味しそうに食べている。
そんな物を見せつけるように俺の目の前で食べてる。何かの悪意しか感じられない。
『主人。どこにいますか?』
唐突に頭の中に届いた声。そんな事が出来るのは、脳内に通信用魔力制御型チップを埋め込んでいる俺とネモ達だけだ。
って事は、やっとこの街に着いたのかな?
取り敢えず、助けてもらおう。
『俺、迷子。腹減った。助けて』
『またですか…。すぐに迎えを寄越します。動かないで下さい』
こんな時、本当に役立つネモ君。どこの家庭にも一体は欲しくなるネモ君。便利だよネモ君。
ネモ君人形〜……って、何バカな事してんだろ。
『はいよ〜』
あの言い方からして、かなり呆れてるみたいだ。またって言われたし。またって。
そんなに迷った……てるな。うん。思い返せば何一つ否定できない自分がいる。不甲斐ない。
建物に寄り掛かって三角座りの格好で待つ事数分。
「あの…ユートさんでしょうか?」
迎えが来た。声からして男だ。間違いない。
視線をそちらに転じてみれば、若い、俺と同い年ぐらいに見える男性が気まずそうに立っている。
「うぃ」
取り敢えず返事を返し、彼の背中にある物へと視線を向けてみる。
楽器の入っているだろうケースを背負っている。中身は多分、コントラバスって名前の楽器だろう。デカイし。
「良かった。違ったらどうしようかと思いましたよ。アルファーさんが黄色い服装の男性がこの辺りにいるって、とても適当な説明で私を送り出したものですから」
ホッとしているみたいだけど、笑顔を貼り付けたような表情の所為で分かり難い。
それから、とてもお喋りだ。
初めて会ったばかりの人にそこまで滑舌になるかな普通?
それと、アルファーってのがたぶんネモなんだろう。口振りからして、アイツしか思いつかない。
「あっ、申し遅れました。僕はラッテンと言います。これからも宜しくお願いしますね。それと、是非、僕達”世界樹の楽団”を観に来て下さいね」
「うん」
ラッテンの事は今初めて知ったが、それ以外は知ってる。それから、その楽団を観に行く途中で俺は迷子になってるんだよ。
そこんとこ、ネモは説明して…ないな。
「そう言えば、アルファーさんにユートさんを食事に連れて行くように言われてたんでした。でも、どうしてユートさんの場所が分かったんでしょうね?」
それはお互いの位置を常に把握しているから…とは言えない。もし言ったら、面倒な質問が来そうだ。
「さぁ?なんでやろな?」
そう言いながら立ち上がって、尻に着いた土を払い落とす。
「どこ行きます?アルファーさんに好きな所で食べて来いって言われてるので、どこでも行けますよ。高級料理店だって夢じゃないです!」
「いや、そこまで求めてないで。不味くない店ならどこでも。なんなら、食材さえあったら俺が作るし」
「ユートさん料理できるんですか!?凄いですね!私達の楽団の中で料理ができる人、二人しか居ないんですよねぇ。一人はアルファーさんなんですが、もう一人の料理と言ったら…」
何かを想像して顔を顰めている。どうやら、物凄く不味いようだ。
「でもですね、アルファーさんの料理はすっごく美味しいんですよ!頬が垂れ落ちるってこう言う事を指してるんだって初めて知りましたよ!」
そりゃ、俺の知ってる料理を全てマスターさせてるからな。教えたの俺やけど、今の俺が成長したネモと料理対決したら負けるかもしれへんけど。
「さてっ、立ち話も何ですから……あの店に行きませんか?」
立ち話させてたのは誰やねんっ!とツッコミを入れそうになるのを我慢して、ラッテンが適当に選んだ店へと向かう。
だが、入ってすぐ店員に断られた。
「奴隷はお断りさせていただいております」
だってさ。
奴隷差別はんぱねぇ。
「どうしましょうか?」
「うん。どないしよか」
この店、経営難に陥らせて潰してやろうか。それとも、店自体を夜の間に潰してやろうか。
「……ユートさん、何か別の事考えてません?とっても悪そうな顔してますよ」
「………」
てっきり俺は、この店を潰すものたと思ってたから、恥ずかしくて言えない。
「と、取り敢えず、ネモ…じゃなくてアルファーの所に行こか。んで、そこで飯食うわ」
「分かりました。けれど少し残念です。良い店に行けると期待してましたから」
「………」
こいつ、口が軽すぎやろ。罪悪感が少なからず植え付けられてるんだぞコッチは。
「まぁ、ユートさんと一緒なら良いって話だったので、僕はユートさんの意見を尊重しますよ。ただ、この街の人気店に行ってみたかったなぁ〜って思ってましたけど、ユートさんがそう言うなら仕方ありませんね」
わざとか?わざとだろ?絶対わざとだ。
くそぉ!!なんてやつ寄越しやがったネモォ!!
「なら、そこ行くか…」
「良いんですか!?行きますよ?本当に行きますよ?」
「行きたいんやろ?」
「はい!行きたいです!行きましょう!今すぐに行きましょう!場所は事前に調べてあります!さぁ、行きましょう!」
ラッテンと一緒だと疲れるな…。
元気よく俺の前を歩くラッテン。それを俺は気怠げに着いて行く。
周りの目線が物凄く気になるけど、ラッテンは全く気にしている素振りはない。
俺が小心者なだけなんかな?
こんな所だけラッテンを見習いたいと思った。




