料理と朝食
早くリョーガ編に行きたいなぁ〜って思って書いているんですけど、中々終わりません。
もう少し続きます。
コトコトと鍋が煮え立つ。
蓋を開けて、オタマで味見をする。
チーンとオーブンレンジが出来上がりをお知らせする。
中の物を取り出して皿に移す。
他の場所で熱しているフライパンの中にある細切れにした玉ねぎを放り込を器に取り出し、肉を磨り潰したミンチとしんなりとした玉ねぎを捏ねる。
そこに一つまみ塩を振るのを忘れない。
ついでに、フライパンに一口小に切ったバターを入れて熱しておく。
ミンチと玉ねぎが纏まったら、パン粉と牛乳を入れ、またもや纏まるまで混ぜる。
そして、溶き卵を加え、粘りが出るまでシッカリと混ぜる。
粘りが出てきたら、まな板に叩きつけて空気を抜きながら平べったい感じに形成する。
最後は、片面ずつ焼くだけだ。
焼き面に焦げ目がついたら、裏返して蓋を閉める。3分程待ち、蓋を開ければ、そこには出来立てホカホカのハンバーグが。
「手際、悪っ!」
ついつい自分にツッコミを入れてしまった。
だが、ようやく全員分が作れた。
先程、オーブンで焼いていた八枚のパンにハンバーグとレタスと薄く切ったチーズを挟み、そこに俺特製のソースを掛けて出来上がりだ。
少し時間が掛かったが、完成だ。
溶かし卵と玉ねぎのスープと、ハンバーガーと、飲み物のコーヒーを盆に載せて、台所から食堂へ運ぶ。
コーヒーは、俺のは無糖の苦いやつだが、それ以外は〈無限収納〉にあった砂糖やらミルクを入れて甘くしてある。
朝食としては少し重たい気もするが、まぁ、この世界の人達は動くから特に関係ないと思う。
もし肥るなら、動いていない証拠だ。
「お待ちどうさーん」
扉を蹴って開け、盆に載せた料理を一人一人の前に置いて行く。
一番初めに配ったのはレイルムだ。
そう言えば、今更だが、昨日の晩飯に猫耳少女のミナが俺に毒を盛っていた。後から少しづつ効いてくる猛毒だったけど、俺の身体は半分程が機械だから効果は無かった。まぁ、それでも嫌な気持ちにはなる。
だから、仕返しにミナの分にはマスタードたっぷりにしてやった。
「これは…初めて見る物だな…」
「ハンバーガーって言うねん。見たまんまやけど、パンに挟んでるのがハンバーグとレタスとチーズや。んでから、俺特製のソース。美味いで」
「ほう」
レイルムは物珍しげにハンバーガーを見ている。次に猫耳少女に配り、睨みで返される。
「あの、スプーンはあるのですが、フォークとナイフはないのですか?」
その次に配ったのは……確か、普通の人間の奴隷で、メリスやった気がする。…あれ?違う?
まぁええや。
「欲しかったら取ってくるけど、手で食べるもんやで?」
「そうですか。なら、いいです」
これ以上質問とか注文が無さそうなので、昨日使った席に座り、さっそく朝食に手を付ける。
真面目な人とかなら、ここで食前の挨拶とかするんだろうけど、俺は面倒だからしない。
まぁ、マナーとかそんなもん知らねぇーって言う人だからね。
ハンバーガーの味付けは良い感じだ。少し物足りない感じがするけれど、まぁ、良しとしよう。
スープは……物足りない。コクがない。
鶏骨と豚骨スープをベースにしたアレ作りたいな。名前忘れたけど、アレがあったら美味しいもん作れそうや。
「ブニ”ャァーーッ!!」
「ブフッ!」
「ハハハッ」
「………」
朝から賑やかで、楽しいな。
マスタードが効いたのか、ミナは驚いて椅子から飛び上がってから鼻を押さえて転げ回り、レイルムは唐突な事で食べている最中のスープを吹き出し、俺はイタズラが成功して笑っている。
メリ…なんちゃらだけが静かに食事を取っている。すぐ目の前での反応なのに、動揺しないって凄いな。
後でミナに滅茶苦茶睨まれたが、気にしない。やられたらやり返す。それが俺のやり方だ。
まぁ、そうなるのが分かっていたから、余分に作っておいた物と交換したが。
俺だけ食事が先に終わり、何をしようかと考える。
先に部屋に戻って、少し出掛ける準備をするのも良いが、それだと後片付けができない。
そう言えば、新聞屋始めたネモから出来上がったばかりの新聞が届いてるんだった。
ポケットから、印刷された少し大きめの紙を取り出す。どうやら、羊皮紙を使わず、日本にあるような綺麗な紙を使用したようだ。
あれ、作るの面倒だったはずなのに、どうやったんだろ?
ちなみに、〈無限収納〉は既にネモ達に渡し終えており、中身は共同だ。
だから、渡された新聞も今初めて見た。
世界各地に散らばるネモが集めた情報や事件などが白黒の写真付きで描かれている。
俺の知らない事まで記載されており、悪くない。
「……それは、なんですか?」
コーヒーを飲みながら新聞を読む、朝のお父さんを演じていたら、メリ…メリ…メリーさんでええや。彼女に尋ねられた。
「新聞って言うねん。世界中の事が書かれてる紙や」
「世界中ですか…後で読ませてもらっても構いませんか?」
メリーさんはどうやら新聞に興味があるみたいだ。同じくレイルムも、興味があるみたいな表情をしている。
「まだ余分にあるから、飯食べ終えてから渡すで」
「そうですか。ありがとうございます」
メリーさん、めっちゃ礼儀正しい!
座りながらだけど、手に持ったスプーンを置いて深々と礼をしてくれた。
「儂も、儂も欲しいのじゃ」
自分も欲しいとレイルムが主張してくる。
手には半分程食べ終えたハンバーガーが握られ、口元はソースでベットリとさせている。
子供か!?ってツッコミ入れたくなるのをグッと堪えて返事を返す。
「はいはい」
一応、新聞を二枚ポケットから出しておく。
っと、そうだった。ネモから言われてた事思い出した。
「…あっ、せや。丁度ええから、宣伝しとくわ」
「宣伝?」
「そそ。数日後に、この街にも新聞屋が出来るから、その時は是非買って下さい。やってさ」
「うむ。分かったのじゃ。その時になれば一番に買いに行くのじゃ」
それだけ新聞に興味を持ってるのか。
「そか。そう伝えとくわ」
たぶん、ネモは喜ぶんじゃないかな?
そうだとすれば俺も嬉しい。あいつらが喜んでるの、顔では分からないけれど雰囲気でなんとなく分かる。
一応、俺の子供みたいなもんやしな。
レイルム達が食事を再開するのを横目に、新聞へ再び目を通す。
そこに書かれている内容は俺にとって面白い事ばかりだ。
どこどこの街が魔物に襲われたが、撃退させる事に成功した。や、数ヶ月前に王国が勇者を召喚して、その勇者は魔法学校へと向かった。など、色々な話がある。
そこに、ネモ達がしている仕事の宣伝も書かれたりしている。
あいつら、かなり儲けてるな…。
「ん?」
その中に、一つ、この街で起きる事が書いてあった。
これは完全に俺宛だ。
だって、この街で新聞を持ってる人なんて俺しかいない筈なのだから。
そう言えば、ずっと前に『聴いて欲しい』と言われてたんだった。
「今日、この街に面白いのが来るで」
「面白い?何が来るのじゃ?」
レイルムの問いにニヤリと笑って答える。
「楽団」
「ガクダン?」
「行ったら分かるって。面白いから」
「なら、行ってみるかのぅ」
あいつらの儲け方は、行く先々で楽器を奏でて、金のある人から貰う。と言う仕組みだ。
まぁ、それだけで儲かるかと問われれば否である。が、それでネモは満足しているみたいだし、それに賛同する人も居るみたいだから、俺が口出しする事ではない。
ちなみに、あいつらの使う楽器はネモが自分で作っていた。武器にもなる優れ物らしい。
楽器を武器に使うのはどうかと思うが…。
新聞を一通り読み終え、チラッとレイルム達を見る。どうやら、既に食事を終えており、コーヒーの味を楽しんでいるようだ。
この世界に甘いコーヒーはないみたいだしね。
「さてっと」
「どこかに行くのかの?」
俺が立ち上がったら、レイルムが尋ねてきた。
昨夜がそうだったからか、そう思うのも仕方ないけれど、立ち上がった理由は別にある。
「いや、食器を片付けようと思っただけや」
自分の食器とその他の食器を回収して台所へと向かう。
メリーさんに「私がやっておきますよ」と言われたが、作ってから洗い終えるまでが料理だから、やんわりと断りを入れて新聞を勧めておいた。
久々にネモに会う事を楽しみにしながら、洗い物をする。
スポンジとか洗剤とかなかったから、一応取り出したけど、メリーさん達、使い方分かるかな?
ちなみに、料理は好評だったようで、メリーさんからは作り方を教えて欲しいと言われ、レイルムからは明日も作って欲しいと言われた。
レイルム「そう言えば、昨夜、どこに行ってたのじゃ?」
ユート「ん?少し用事済ませに行ってただけやで?」
レイルム「もしかしてだと思うが、昨夜の兵士と奴隷商の事件に関わっているのじゃあるまいな?」
ユート「いややなぁ〜。俺がそんな悪そうな人に見える?綺麗で純白な心の持ち主やで?」
ミナ「真っ黒。どす黒い。最低。殺す」
ユート「………」
レイルム「まぁ、良い。けれど、余り厄介毎を起こすんじゃないぞ?」
ユート「はいよ〜」
ミナ「………チッ」




