村に帰ろう
おはようございます。
そして、明けましておめでとうございます。
年明けなので、一晩中起きて、書き終わらせました。
家族と遠出も疲れますね。ずっと私が運転でした。今、ようやく休憩できたので、その間に投稿しました。
全ての買い物を終えたエミルはホクホク顔で、そして、買った荷物を全て持たされているユートは苦笑いで、出歩く人が少なくなった夕暮れ時の大通りを歩いている。
「なぁ、ホンマに今から帰んの?」
「だって、村の皆待ってるんだもん!」
「けどさ、もう暗くなるで」
空を見上げ、陽の傾き具合で大体の時刻を確認するユート。それに吊られてエミルも空を見上げて自信満々で言う。
「大丈夫!だって、ユートが居るもん!」
「………」
なぜ、ここまで信頼が置かれてるのかさっぱり分からないユートは困った顔をして、視線を前方へと向ける。
角を曲がると、遠くの方に人集りが映ったが、そんな事よりもユートは、夜に街の外を歩きたくない。と言う気持ちの方が強く、エミルを引き止めようとしている。
「やっぱり、この街で一泊しよや。夜の魔物は凶暴やし、強いからさ…」
「ユートが居るから、大丈夫!」
エミルはユートが地面を抉る程の威力で、容易く魔物を倒したのを知っている。その為、彼に頼っているのだ。
だが、ユートから言わせてみれば、あれは機械の誤作動である。彼自身の力ではない。どれだけレベルが上がろうとも、彼のステータスに表示される力は弱いままだ。
困って苦笑いを浮かべる彼の事など御構い無しにエミルは大通りを元気よく歩き、外へと向かい続けている。
「心配せんでも金ならあるし、足りへんかったら俺が持ってる物売ったら作れるから。だからさ、泊まろ?」
「私は早く帰って家で寝たいの!それに、もう質屋は閉まってるよ?」
「ホンマに頼むわ。もし、エミルになんかあったら、俺、帰ったら殺されてまうやん」
「じゃあ、頑張って私を守らなくちゃね」
前を歩くエミルは足を止め、クルッと回って上目遣いで無邪気な笑みを浮かべながら言い、余計にユートを困らせる。
「うぅ…」
ユートは返す言葉を失ってしまい、頭の中の書庫をひっくり返す勢いで必死に、この街に留まらせる為の言葉を探す。
「ほら、早く行こうよ。皆、待ってるよ」
「ちょい待ってえな。荷物あるやんか…」
クルッと踵を返して歩き始めるエミル。どれだけ説得しても聞き入れてくれない為、ユートは渋々と言った風にエミルの後を追う。
少し歩くと、人集りが出来ている場所まで辿り着いた。何が起きているのか気になったユートだが、暗くなりつつある夜道を女の子一人で歩かせるのは気が引けた為、周囲の人達の声に耳を傾けながら人集りを迂回して進む。
「随分と堂々とした犯行だな」
「見ている人は居なかったのか?」
「こりゃ酷ぇな」
「誰がやったんだ?」
「兵士達の話では、目撃者が居ないらしい。そんな事、可能なのか?」
「見た感じ、魔法でヤられたような跡だな。しかも、並みの魔法じゃない事は確かだ」
誰かが殺されたような話をしている。彼等が見ているモノを見れば、もっと詳しく分かるだろう。
気になって仕方がないが、エミルの事を考えると諦めざる終えない。『村まで頑張って守るか…』と思考を切り替えて、エミルの背中へと視線を向ける。
小さな身体だ。ユートの背丈と比べ、肩にも届かないだろう。背にカバンを背負っているが、中には彼女が買った物しか入っていない。
残りの荷物は全てユートが持っている。
両手の荷物に視線を移し『守りきれるかな…』と不安になるユート。
そんな時、誰か呼び止める声が背後から聞こえた。
「そこの黄色の服装をした者、止まれ!」
周囲の人達の視線がなぜかユートに向けられる。勿論、エミルも不思議そうな表情で振り返ってユートを見た。
肝心のユートは首を傾げており、何が起きているか分かっていない様子だ。
視線を自分の腕へと向けると、そこには誰かが呼び止める言葉に使った黄色の服が見える。それは、ユートが着ている所々に黒い汚れが目立つ作業着の色だ。
周囲を見渡すが、彼以外に黄色の服を着ている人などいない。いや、そんな奇怪な服装をする人など、まずいないだろう。
「…俺?」
自分じゃなければいいな。そんな気持ちを込めて背後にいる人へと振り返りながら尋ねる。
「そうだ!この怪しい奴め!!」
背後に居た人は兵士だった。槍の刃先をユートに向けた兵士二人だ。ヘルムで顔が見えないが声からして怒っているようだ。
「……俺って怪しい?」
ユートの服装は作業着だ。少し改造しており、右腕と右脚部分にはベルトが巻いてあり、裂けた服を繋ぎとめている。頭には丸レンズのゴーグルを着け、首元には作業用マスクを掛けている。
苦笑いを浮かべて視線を周囲の人達に向けると、総員一致で頷かれた。唯一の救いを求めてエミルへと向けると、首を傾げられる。
ショックを受けたのか、肩をガックシと落として落ち込むユートだが表情は苦笑いのままで、彼等から見ると余計に怪しく見える。
「一緒に来てもらおうか!」
グイッと槍の矛先をユートの首筋に近付け、脅すように言う兵士。ユートは両手を挙げて敵意がない事を示しながら『逃げよっかな』と頭を横切る考えを振り払い、苦笑いのまま頷く。
兵士達はユートが頷いたのを確認した瞬間、ユートを拘束しようとする。が、その前にユートが「ちょい待って」と言葉を掛け、振り返り、買った荷物をその場に置いてからエミルへと視線を向ける。
「なんか良く分からんけど、ちょい行ってくるわ。取り敢えず、今日は宿で一泊してな」
そう言いながら、ユートの所持金の全てが入った皮袋をエミルに渡し、子供を相手にする様に優しく頭を撫でる。
「すぐ戻ってくるよね?」
心配そうにつぶらな瞳でユートを見つめるエミル。その視線が眩しすぎて視線を逸らしながら「たぶんな」と曖昧な返事を返し、あれだけ心配していたエミルの事を忘れてユートは行ってしまった。
彼が連れていかれた後、エミルは目の前に置かれた大量の荷物に困る事になり、近くにいた人に頼んで、宿まで運んでもらったのだった。
〜〜〜
ユートが兵士達に連れて来られた場所は、石造りの詰所のような所だ。灯りは松明を使用しており、薄暗い。そこで、ユートは手足を錠で拘束され、椅子に座らせられている。
窓から見える空は暗く、既に夜となってしまっている。夜なのにも関わらず、カンテラ片手に歩く人達がチラチラとユートの目に入る。
「正直に答えるんだ。貴様がやったんだろ?」
ユートの机を挟んで正面に座っているのは髭面の兵士で、ユートの両隣には二人の若い兵士が彼を逃さないように見張るように立っている。
兵士の問い掛ける声は、やけに優しそうな声音だ。なのに、瞳には強い威圧が込もっている。
「俺、買い物してただけやで?つか、何の話してんの?」
「しらばっくれるか…。貴様がアンガス様を、そして私達の仲間を殺したのだろ?早く白状しないと痛い目を見るぞ」
「せやから、知らんって…。なんで俺が疑われるんよ…」
「貴様が怪しいからだ」
髭面の兵士はとても真剣な表情で間髪入れずに返答した。それに対してユートは『それだけかよ…』と内心で呟く。
「俺の何処が怪しいんよ?こんなにも可愛らしくて好青年っぽい顔してるやんか」
ニカッと笑い、冗談めかして言った。その瞬間、兵士達の視線が厳しくなるのを肌で感じ取る事ができた。
「もういい。話にならん。おい、コイツを牢に閉じ込めておけ」
「「はっ!」」
髭面の兵士が額に青筋を浮かべて若い兵士に指示を出し、彼等は息を綺麗に合わせた返事を返し、冗談が通じなくてショックを受けているユートを詰所の奥へと連れて行った。
「あと一人だ」
彼等が出て行ったのを見届けた髭面の兵士は誰にも聞こえない小さな声で呟いた。
若い兵士二人に連れて行かれて行くユート。二つの扉を抜けた先には、髭面の兵士が言っていた牢屋があった。個室が三つだけだ。
一番左端には既に先客が居り、奥で三角座りをして俯いている。
ユートは、その隣の真ん中の部屋へと連れて行かれる。
「入れっ!?いっつぅ…」
背後から兵士の蹴りを尻に喰らったが、ダメージを受けたのは兵士の方だったようで、屈みこんで足を抑えている。ユートは少しよろめいただけだ。
「貴様!何をした!?」
もう一人の兵士が槍の矛先をユートに向けて警戒心を露わにする。それを横目にユートは苦笑いのまま、牢の中に入って行きながら言う。
「なんもしてないで。そっちが蹴って、勝手に痛がってるんやん」
やれやれ、と言った風に首を振って兵士へと視線を向ける。
片方は足を痛めて蹲ったままだ。もう一人は、警戒を解かず、槍の矛先をユートに向けたまま動こうとしない。
仕方なくユートは牢の扉を勝手に閉めて、奥の方まで歩いて行き、座り込む。
牢の中は案外綺麗で、きちんと掃除がされているようだ。ベットの代わりに藁が敷かれており、トイレの代わりに壺が置かれている。
「いつまでそうしてるんよ?」
視線を牢の外に向けると、兵士は未だに構えたままで、瞳に強い警戒心を抱いている。
「き、貴様が何をするのか分からないから見張っているんだ!」
「そか。まぁ、頑張って」
仕事熱心な兵士に心にも思ってない言葉を投げ掛けて寝転がり、タバコを吸い始める。
「貴様!なんだそれは!?」
「タバコや。俺の精神安定剤みたいなもんや」
ヘラヘラと笑いながらタバコを楽しむユート。
全く警戒心を解かない兵士は若干の焦りを表情に出しながら言う。
「す、すぐに捨てるんだ!」
「嫌や」
兵士の言葉をキッパリと拒否を示し、もう話はしない。そう言う意図を込めて兵士に背を向けてタバコを楽しむ。
彼は牢屋に入れられていると自覚しているのか怪しむ程の態度である。
ユートの背後で兵士が「今すぐに捨てろ!捨てるんだ!」と言い続けているが、彼は全く聞く耳を持たず、ユートがタバコを吸い終えるまで兵士の怒号は続いた。
店主「また君達か…。すまないが、帰ってくれないか?」
リョーガ「は?何言っとんねん。俺ら客やぞ。喜んで酒出せや」
ユート「前の事があったからやろ。帰ろや」
リョーガ「嫌やし。ここまで来たんやぞ。飲まなアカンやろ」
エリオス「俺は大賛成だぞ!オヤジ!取り敢えず、発泡酒を人数分頼む!」
店主「頼むから帰ってくれ…もう、物を破壊されるのも、暴れられるのも、無茶を言われるのも、店を汚されるのもコリゴリだ」
リョーガ「はよ酒出せや!また暴れんぞボケ!」
店主「そ、それだけは止めてくれ!修繕費に幾ら掛かったか…」
ユース「おじさん、可哀想ですよ?帰りませんか」
リョーガ「黙れ!ここで飲むんじゃ!」
ユート「…らしいわ。ごめんな、おっちゃん」
店主「もう勝手にしてくれ…」




