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クレイジー・アクセル 【略:クレアク】  作者: 九九 零@異世界モノ大好物
第1章〜どうやら、異世界に迷い込んだらしい〜
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謎ばかりの世界とスキル

風邪、少し良くなりました。

これで仕事に行けます!ハッスルしちゃいますよ!


そんな事は置いといて、書き直すだけでも、かなり大変ですね。時間も掛かります。


え?それは私が未熟だから?


そんな事、分かりきってますよ!

まぁ、書き直しが終わり次第投稿してます。


あ、他の小説は少しの間停止してます。だって、私、一人しか居ませんもん…。


優柔不断で申し訳ありません…。


夜の草原に焚き火が灯り、パチパチと音を立てて周囲を照らしている。そして、そこには三人の影。


一人は三角座りで、残り二人は腹回りを拘束され、膝を折って正座している。

紛れもなく捕まっている二人は上田と向野である。上田はフルフェイスを脱いでいる。


「なるほどね…って!信じられるわけ無いでしょ!!」


三角座りで彼等の話を聞いていた少女が二人の語った話が信用できず、立ち上がりながら怒鳴った。


「そう言われても………」


上田が反論の声を漏らしたが、少女に鋭い瞳を向けられて黙り込んだ。


「証拠やったらあんで!」


使い物にならない上田は置いといて、向野は自分達を捕らえてる少女に訴えた。


「なによ?」


一度、バイクの方へと視線を向けてから、焚き火近くに置かれているポーチへと視線を移して顎で示す。


だが、少女は二人の元から離れてバイクの元へと歩いていった。

そして、その間に上田は縄から抜け出した。締め付けが弱かったのだろう。いとも簡単にスルリと縄から抜け出た。そんな上田を若干羨ましそうに見ている向野。だが、声は上げない。これから得る事が出来る物の為、決して声は上げない。


少女がバイクに集中している間に上田はポーチを探り始める。

そして、取り出したのはタバコだ。箱から二本のタバコを抜き取り、火を付ける。

そして、一本を拘束されたままの向野の口元まで持って行き、与えた。

向野が求め続けていたのはタバコだった。彼は極度のヘビースモーカーなのだ。


バイクをジックリと色々な角度から観察する少女。だが、彼女がその物を見てもただの鉄の塊にしか見えない。手で恐る恐る触れてみれば、鉄とは思えない手触りの謎の物質。彼女が見た事も聞いた事もない物質ばかりで構成されているのだ。

一通り観察し終え、それが何かを問う為に振り返る。


そして、目に入ったのは、上田が胡座をかいてタバコを吸っている姿と、拘束されたままの向野がタバコを吸っている姿だ。少女にはタバコの事を知らない。


「な、何してるのよ!!」


そう言って、二人の元へとダッシュで向かい、向野の咥えるタバコを無情にも叩き落した。

上田にも同時に攻撃が来たが、上半身を後方にズラして上手い事避けていた。


彼女からすれば、タバコは毒のようにしか見えないのだ。それは、タバコの先からモクモクと立ち昇る煙や、彼等の口から吐かれる紫煙によるものからの判断である。


向野は至福の一服を叩き落とされて悲壮な表情をしている。まるで、天国から地獄へと叩き落とされたみたいな感じになっている。

反対に、上田はヘラヘラと笑いながら「飯まだ?」と聞き、少女からは「無いって言ってるでしょ!」と返されている。彼は何度もご飯を要求している。だが、少女は「無い」の一点張りだ。


上田が縄抜けするのは、今回が初めてではない。前に二度ほど繰り返している。もう、少女は上田を拘束するのは諦めた。

何度拘束したって上田には意味がない事が分かったからだ。


上田は「はぁー」と溜息を吐いて向野の縄を解きに向かう。だが、少女は何も言わない。言う気が失せたみたいだ。

それに、逃げ出そうと思えばいつでも逃げれたはずなのに彼等は逃げようとしない。だから、拘束する必要は余りないと感じたからだ。


向野の縄が解けた途端、地面に落ちているタバコを拾い上げて吸い始めた。


「腹減ったな〜」


腹をさすりながら横目でチラチラと少女に流し目を送ながら愚痴る上田。

少女は「無いわよ」と、そんな上田にジト目で返答し、上田は肩をガックリと落した。


「まー、我慢するしかないよなぁ〜」


そう言って上田は空を見上げる。少しの間、空を眺めていると何かを思い出した風に少女へと顔を向けて声を発する。


「さっきの確認やけど、ここってホンマに地球じゃないん?」


「そうよ」


上田の問いに少女は視線を焚き火に固定したまま答える。


「んじゃ、俺らの持ってるもんって見たこと無いもんばっかり?」


「ええ」


「……ホンマに?」


口説(くど)いわよ」


上田を睨みつけて黙らせた少女。

それを横から見てる向野は笑いを堪えている。

笑い出しそうになるのを我慢しながら気になることを少女に問う。


ちなみに、彼らは「ここは異世界だ」と言われても「はい。そうですか。で?」と言うバカ丸出しな返答をするぐらいバカである。


「んじゃよ、この世界?のこと教えてや」


「世界?本当に何も知らないの?」


本当に言ってるの?と顔に出して尋ねた。それは、この世界の名前や、現在地や、人間の敵の存在すら知らないと言うことになる。


「知らへんって()ったやん」


向野の真面目な顔を見て少女は「そう」と言い、幾つか疑問を投げかける。


「一応、聴くわね。この世界の名前は?」


「知らん」


向野が返答した。


「今いる場所は?」


「草原?」


上田が返答した。


「それじゃあ、人間の敵は?」


「「人間?」」


まるで、示し合わせていたかのように二人同時に答えた。だが、本当に彼等の顔は『何?マジで分かんねぇ。答え教えて』と言っている風に見える。


少女は彼等の余りの無知に溜息一つ吐き、語る。


「この世界はパラストンよ。そして、ここは人間国、王国領土ラ・ドルミィの街付近よ。これで満足?」


「答えは「ノーだ」」


少女が嫌々ながらにも説明してくれたのに、否定の言葉を返した向野と上田。

だが、その言葉は少女には通じなかった。


「ノー?どういう意味?」


と、こういう返事が返ってきた。


「否定の言葉」


上田が意味を説明する。

頭の悪い彼等が知ってる数少ない英語を使ったのに、理解はしてもらえないようである。それだけで、本当にこの世界は彼等の知っている世界ではない事と思わせる。


「私の説明に何か不満でもあるわけ?」


「ありありやわ」


「…何なのよ」


向野が文句を言ったせいで、少女はムスッと機嫌を悪くした。

そんな事は御構い無しな向野は言う。


「この世界から帰る方法が知りたい」


「そんなの私が知ってるわけないじゃない」


キッパリと『知らない』と言われた向野は「だよな〜」と言って、空を見上げた。

空には二つの赤と青の月が輝いている。

彼等が本当にここが異世界だと判断した要因である。


事を一番重く感じている向野は溜息を吐こうと口を開ける。


「はぁー」


だが、彼の前に他の場所から溜息が聞こえてきた。その溜息を吐いた主を確認するために視線を降ろすと、向野と同じように空を見上げる上田が居た。と、言うことは上田が溜息を吐いた本人である。


「何でお前が溜息吐いとんねん」


上田は異世界に来たとしても特に何も思っていないようであった。初めはかなり動揺を露わにしていたが、今になっては慣れてしまったと言わんばかりの寛ぎようである。

なのに、そんな上田が溜息を吐いた。だから、ツッコミを入れた。


「いや、腹減ったな〜って思ってさ」


彼はこう見えて食いしん坊だ。身体は細いが、よく食べる。そりゃ、本当によく食べる。家族で食べる鍋を一人で食べきる程だ。

それを向野は良く知っている。知っているからこそ、非情に答える。


「お前は少し黙ってろや」


どのみち、上田の腹を満たせる事が出来る物はない。だから、そう言った。


「はぁー」


上田は諦めを含めた溜息を吐く。彼は食いしん坊だが、少しでもお腹に入れる事が出来れば満足なのだ。だが、一つも入れる物が無いとなると話は別だ。周囲に生えている草を見つめて食べれるか食べれないか迷い始める程なのだから。


「そんなにお腹空いてるの?」


遂に上田がその辺の雑草を引き抜いて口に入れようとした時、少女が尋ねた。


「死ぬほど」


何の迷いもなく答えた上田。彼が食いしん坊なのは今に始まった事ではないので、向野はタバコを吸って知らんぷりだ。


さすがに見兼ねた少女は自分の鞄を漁りながら言う。


「仕方ないわね。こんな所で死なれたら私が迷惑なのよ」


言い終わると同時に、カラカラに乾燥した肉を一つづつ上田と向野に突き出した。


上田は「あんがとさんっ!」と、目をキラキラさせながら即座に受け取り、口の中に入れた。

それは保存の効くように干された干し肉である。そして、彼等が元いた世界と違い、途轍もなく硬い。なのに、上田は干しイカを食べているみたいに美味しそうに食べている。


向野は「てんきゅ」と言って受け取り、少し噛み、何かが気に入らなかったのか上田に渡した。


この干し肉には味が無いと言っていい程に薄い。それでも、噛んでいると少しづつ肉本来の味が出てくる。だから、上田は喜んで向野から干し肉を受け取った。


「一体、何なのよ…」


そう二人の存在に疑問を持ちながら、少女も干し肉を取り出して食べる。いや、頬張る。



ーーー



真っ暗な空間。近くにある筈の焚き火の灯りはなく、寝ている上田の姿や、見張りをしている少女の姿もなく何もない暗闇。

上も下も分からない場所には向野の姿がある。ただ、彼の身体はまるで周囲の闇によって形作られているかのように曖昧で、不安定だ。

この場所を彼は知っている。だから、彼は一切焦ったりはしない。


「で、俺は何すればええんよ?」


彼は先が見えない闇に問い掛ける。そこに誰かが居るかと聞かれれば答えは否だ。

姿形は勿論のこと、誰かが居る気配すらしない。ただ、闇が風に流されているかのように揺れている。


『…街へ向かえ』


重たい声が聴こえてきた。どこから聴こえているのか分からない。まるで、暗闇全体から発せられているように感じた。


「それだけじゃ分からんねん。もっと詳しく教えろや」


『ラ・ドルミィ。共に居る女子(おなご)に付いて行け』


まるで、向野達の状況を知っているかのような口ぶりだ。だが、彼はその事に付いては尋ねない。


「分かった。ちゃんと約束は守れよ」


『それはお前が我の依頼を(まっと)うした時に叶う』


向野は相手が誰かなど全く知らない。検討すらつかない。だが、向野は誰とも知らない暗闇と約束を交わした。

薄っすらと意識が薄れて行く中で、その時の事を思い出す。


初めてこの場所に来た時の事だ。それは、上田と別世界に迷い込んで初めての夜を体験した時の事。

酒池肉林の夢を見ていた時、突如として世界が闇に包まれ、それは聴こえた。


『お前の願いを言え』


どこからともなく聴こえた言葉。それに動揺(・・)焦り(・・)もせず、至って冷静に答えた。


「あ”?俺の願い?そんなん”ーーー”に決まってるやん」


『了解した。我の依頼を達成した暁には叶えよう…』


多少…いや、随分と記憶が改変されているが、願いを言った。最近の悩みである事だ。


だが、それを思い出す前に向野の意識は途切れた。



ーーー



現在、彼等は朝日が照らす道を歩いている。彼等が誰かなど明白、向野達である。


「って、事は、この世界には魔法とか色々あるんや」


「そうよ。それ以外にも、こういう街の外とかは魔物が出るから気を付けないといけないし、たまに盗賊も居るから、大変なのよ」


「まるでゲームやな」


上から向野、少女、上田だ。

少女ーーーリリィと今朝、朝食を食べながら話し合った結果、二人は近くの街まで案内してもらう事になった。と、言ってもリリィ本人も、その街に向かう予定だった。


先程までの会話内容は、この世界の常識などを教えてもらっていた。


バカな彼らが大まかに理解できたのは。


一つ、この世界は、剣と魔法の世界。


一つ、この世界には、魔物と言われる人間の敵が居る。


一つ、この世界には、ステータスと言った自身の強さを見る事ができる。


一つ、この世界には、女性が多く、男性が少ない。


これだけだった。

ちなみに、最後の所で飛び跳ねて喜んでいたのは他でもない、向野である。当然、尋ねたのも向野である。

女性は街に残る事が多く、男性は魔物と戦ったりする為に命を落としやすいとの事だ。


魔物は真っ赤な目が特徴的なゲームで言うモンスターで、人間を見ると襲いかかってくる。


それを倒すのが騎士や兵士、そして、それらが対応できない時などは冒険者と呼ばれる職業の人達が依頼を受けて魔物を倒したりする。

冒険者、剣や魔法で戦う傭兵みたいな者達の事だそうだ。一応、傭兵と言う職業もある。


最後に一番二人の興味を引き、一人の心は天国へと登らせて、もう一人の心は地獄へと突き落とされる結果を出したステータス。


声で言っても、心の中で言ってもステータスは出るらしく、言われた通りに各々の行動でステータスを開いた二人。ちなみに、上田は心で念じ、向野は大声でステータスを開いた。



〜〜〜



名前:ユート

種族:異世界人

職業:村人D

状態:腹減り

レベル:1

HP:10/10

MP:5/5

STR:1

DEF:1

INT:500

DEX:300

AGI:10

スキル

【翻訳LVー】【ガレージLVー】【自動回復 (極小)】【悪運】


魔法


称号

異世界人、巻き込まれた者、迷い人、機械技師



〜〜〜


名前:リョーガ

種族:異世界人

職業:暗黒勇者

状態:良好

レベル:1

HP:1000/1000

MP:500/500

STR:300

DEF:300

INT:10

DEX:10

AGI:100


スキル

【翻訳LVー】【黒の剣LV1】【黒の盾LV1 】【限界突破LV1】【アイテムボックスLV1】【威圧LV1】【身体強化LV1】


魔法

黒魔法


称号

異世界人、召喚されし勇者、神の加護



〜〜〜



二人は落ちていた木の枝を使って自身のステータスを地面に描いて晒しあった。ゲーム好きの二人は内容をすぐに理解できた。結果、向野は飛び跳ねて喜んだ。上田は両手両足を地に着けて落ち込んだ。


まるで、賭け事に買った人と負けた人を描いた絵である。それだけ、彼等のステータスの違いは酷かった。


上田は自分のステータスで認めたくない所がありすぎて、一度消してから、もう一度出したりしている。


ちなみに、少女は地面に書かれた”日本語”を見て、理解できずに首を傾げていた。

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