落下物に注意
これ、読んでる人居るのかな?
なんだか、描いてて寂しくなっちゃったよ
ま、自己満足だからいいさっ!
読んでる人がいなくたって、自分が満足できたらそれでいいさっ!
毎日投稿するの、やめようかな…
「やっぱ、でっけぇ〜」
リョーガは目の前の壁を見上げながら感嘆の声を漏らした。
天気は気持ちが良い程に晴れている。まるで、これから起きる事を祝福しているようである。
前の街、ラ・ドルミィの数倍もの大きさを持つ街、王都オーラルカ。
遠くからでも、その大きさは途轍もなく大きかった。どこかのランドパークでも遠くから見ているみたいだった。
いざ、近くで見てみると、その迫力は凄いものだ。高さ三十メートル程の壁は地平線まで続くかのように横に伸びている。
「そりゃ、なんたって王都だからな」
ニアカントが自慢気に胸を張って言う。
「そういえば、リョーガは魔法使えたのか?」
「まだや。メッチャ難いねん」
「どっちかって言うと、そのままの方が良いんだけど…」
ハーマス、リョーガ、ルミネの順で話す。ルミネの発言を聞いて、リョーガが睨んだのは言うまでもない。
彼等は現在、街の前にできた行列に並んでいる。皆、街へ入ろうとする者ばかりだ。
だが、列は進まない。
何か問題でも発生しているのか、全く列が進まない。そうしている内にも、列の最後尾が伸びていく。
人が並ぶ列の隣にある、馬車が並ぶ列も伸びている。
あまりにも進まない為、誰もが文句を口にしている。
そんな時、兵士が数十名程走って来て、馬車を退け始めた。
退けると言っても、門から直線に並んでいるのを少し横へとズラしただけだ。
兵士達が人の列と馬車の列の間に入り、門から一直線に道が作り上げる。
それから、数分後。
街の中から喧騒が聴こえてきた。その声は徐々に大きくなり始め、遂に門を挟んですぐ向こう側で喧騒が広がった。
なんだ?なんだ?と疑問を口にする行列を作る人達。彼等にはこの街で何が起きているかなど知らないのだ。
だが、知っている人は居た。彼等は一歩前に足を踏み出して、門のすぐ側まで来ている人を今か今かと姿を現わすのを待ち始めた。
兵士の一人が門から出て来たと思えば、両足を揃えて立ち止まり、丸められている羊皮紙を大袈裟に広げて内容を読み上げた。
「我々、王国は魔王打倒の為に教国から授かった魔法により勇者様方を召喚した!そして!今日、この日を持って、勇者様をお披露目する事になった!」
言い終えると同時に、兵士が並ぶ列へと参加した。
一拍、兵士の言っていた勇者だろう物達が歩いて出て来た。
それにより、文句を吐いていた人達や、それを知っていた人達は、一斉に歓声を上げた。
先頭を歩くのは、白銀色の鎧を身に付け、腰に白銀色の剣を携え、首元に白い羽を付けた金髪黒目の男性。それに続くのは、腰に刀を携え、腰まで伸びた黒髪の女性と、杖を片手に持った金髪の女性と、筋肉が服の上から盛り上がっている盾と槍を背負った男性。
全員、日本人特有の顔付きで、美男美女だ。
「リョーガさんの言ってた事、ほんとだったんですね…」
感嘆したように呟き、隣に居るリョーガへと視線を向けるユース。が、そこにはリョーガの姿がなかった。知らない髭面のオッサンが居た。
「あれ?」
周囲をキョロキョロと見渡す。
ニアカント、ハーマス、ルミネ、それと、知らない人達。だが、その中にリョーガの姿はない。
視線を後方に向けるが、そこは一面草原だ。反対側の馬車の列の向こうへと視線を向けると、そこには草原の他に林がある。
だが、リョーガの姿はない。
勇者達がユースの視線の先を遮るかのように手を振りながら進む。誰もが羨み、渇望し、敬愛し、嫉妬する存在だ。なのに、ユースはそんな事は気にも止めずにリョーガを必死に探す。
もしかすると。と、良からぬ事が頭を横切り、不安と焦燥がジワジワとユースの心を埋めていく。
そして、それは起きた。
ズドォォオンッ!と、何かが空から落ちて来た。砂煙が舞い上がり、辺り一帯を不可視へと変える。
そんな中でも兵士達は即座に行動した。各々、警戒を露わに剣や槍を手に、砂煙の発生源へと向けた。
「召喚?勇者?ハッ笑わせんなや。お前らの何処が勇者やねん!どっからどう見ても中坊やろが!粋がんな!ガキが!」
ブォッと風のうねる音が聴こえ、それと共に砂煙が晴れていく。
そして、そこに現れたのは、全身に真っ黒の鎧を着た者だ。剣も、盾も、全てが真っ黒だ。
「リ、リョーガさん…」
小さな声で『やってしまった』と言う風に呟く。ユースは薄々と予想していた。もしかすると、リョーガが暴走するかもしれない、と。
そして、それは現実となった。
「何者だ!名を名乗れ!!」
武器を構える兵士の中の、リーダーっぽい一人が怒りの篭った大声で叫ぶ。それに、黒い鎧を着た者ーーリョーガは、剣を勇者へと向けて言った。
「俺の名は黒騎士!勝負や!クソガキ!」
馬車の御者席に乗る人達や、行列を作った人達は、ただただ、目の前の現状が理解できずに呆然としている。
いち早く我に返った者達は文句をリョーガに向けて吐いている。
「勇者様を失うわけにはいかん!全員、眼前の敵を倒せ!!」
「「「おお!!」」」
リーダーのような兵士が指示を飛ばすと、周囲の兵士達は大声を張り上げて、武器を構えてリョーガを取り囲もうとジリジリと動き出す。
だが、リョーガは構えようともしない。闘志に燃やした黒目と剣先を一番先頭に立つ白銀色の勇者に向けたままだ。
兵士のリーダーが剣を掲げ、攻撃の合図を出す為に、剣を振り下ろそうとする。が、それを勇者が止めた。
「待ってください!」
白銀色の勇者は数歩前へと進み出て、リーダーの腕を掴んでゆっくりと降ろさせ、リョーガへと視線を向けて純粋に疑問を口にした。
「黒騎士さん。どうして、僕達と戦おうとするのですか?」
そこからは、戦意など微塵も感じられず、反対に戦いたくないと言う意思まで感じられた。
「ハッ、何言うとんねん。お前は魔王と戦うんやろ?せやったら、俺と戦うんも道理やんけ」
勇者の疑問に鼻で笑い、遠回しに魔王の使いだと言う。それだけではなく、戦う意味を作る為に言葉を続ける。
「それにな、俺は魔神の使いやぞ。お前らの敵や。お前が戦わへんねんやったら、面倒やけど、この街潰して、人間共の首を持って帰らなあかんねん。……で、どないするよ?」
ほとんどがハッタリだ。だが、僅かに真実も含まれている。
リョーガの問い掛けに、勇者は周囲を見渡す。人々は不安そうな表情を浮かべ、助けを求めるように勇者へと視線を送り、兵士達は『私達も戦う』と戦意を高めた意思が込められた瞳を勇者へと向けている。
最後に仲間達へと視線を向ける。
「で、お前はどうすんだよ。相手さんはお前の返事を待ってるぞ」
筋肉が笑いながら言った。その表情は彼が勝つ事を全く疑っていない。
「フッ、あれぐらい私なら一瞬で細切れよ。怖気付いたのなら、私が行くわよ」
髪の長い黒髪の女性が鼻で笑いながら自信ありげに言った。
「怪我したら言って下さいね。私がすぐにサポートします」
杖をギュッと両手で掴んで金髪の女性が最後に言った。
「そうか。僕は行くしかない訳だね」
ヤレヤレと言った風に苦笑い気味笑ってから振り返り、黒騎士へと視線を向ける勇者。
その瞳は戦う意思が込められており、兵士達はそれを察して黒騎士を警戒しながら引いて行く。
兵士達や人々に見守れる中、勇者はゆっくりと黒騎士の元へと歩み寄って行く。
「やっとヤル気になったんか?」
「ああ、待たせて済まない」
黒騎士と一定距離保ち、立ち止まり、剣を鞘から抜いた。
「そんじゃ、いつでも掛かってきんしゃい」
それを確認した黒騎士は余裕を持った風に挑発するように人差指をクイックイッと動かし、武器を構えた。
武器を構えたまま、睨み合う両者。観客である兵士や人々の手には知らず知らずに汗が滲み出てくる。
「戦う前に一つ聞いても良いですか?」
構えを解かず、厳しい視線を向けながら勇者は疑問を口にする。
「なんや」
「貴方は、僕達と同じ日本人ですよね」
確信を持った言葉。
「それに、その訛り…関西ですか?」
「……フッ、フハハハハ」
構えを解き、大笑いするリョーガ。図星を突かれたから笑った。否。同郷が居たから笑った。否。昔を、友人を思い出したから笑った。
「何がおかしいんですか?」
もしかすると、何かの攻撃の予兆かもしれない。と警戒すると共に、勇者は、訝しみを含めた声で尋ねた。
「全部や。全部!ふざけんな!調子こいてんちゃうぞボケ!」
怒りに任せて剣を袈裟に振り、勇者へと剣先を向ける。
「この世界の理不尽を、お前らに教えたるわ。ありがたく思え」
言うが早いが、盾を捨てて右足を踏み出す。
「っらぁあああ!!」
踏み出した足を強く踏ん張り、力任せに振り下した。それは、はたから見れば、ただ力任せに振り下ろす素人の素振りにしか見えない。
だが、実際は違った。
「なっ!?」
剣の通った軌跡から赤黒い刃が生まれ、地面を抉りながら勇者目掛けて飛んだのだ。
よく見ると、リョーガは周りは赤黒いオーラで包まれている。剣も同様だ。
そのオーラが生み出したと見て間違いないだろう。
勇者は後方の仲間達の身を案じて、剣で受け止めようとする。
飛来する赤黒い刃。その威力は受けてみないと分からない。だが、これだけは分かる。地面に当たっているのに止まらない程の強力な威力がある。
僅か一秒足らずの速さで赤黒い刃は勇者達の元へと迫った。途端、勇者の前に誰かが割り込んだ。
ガギィンッと言う音と共に、その者と一緒に衝撃によって吹き飛ばされる勇者。
「イテテ…なんて力だよ」
その声は、勇者の仲間である筋肉の男性の声だ。と、言う事は、彼が盾で刃を受け止めたと言う事になる。
「す、すぐに回復します!」
金髪の女性が杖を掲げて何かを呟けば、二人は青白い光に包まれ、破けた服や、汚れた鎧や、擦り傷がみるみると治っていく。
「もう大丈夫だよ」
勇者はそう言って立ち上がり、再度剣を構えてリョーガへと強い警戒を含んだ視線を向ける。
リョーガは仁王立ちで剣を片手にぶら下げて笑った。
「ハッ、勇者って言う割には弱すぎ。期待したのに、ただの雑魚やんけ。お仲間に助けてもらわな立ち上がる事すら出来へんもんな」
勇者達を嘲笑い、言葉を続ける。
「別にええで。お前みたいな雑魚一人相手してもオモロないし、お仲間でかかってきぃや」
指をクイックイッとして、挑発する。それに、筋肉の男性が食い付こうとしたが、勇者が止めた。
そして、何かを言おうと口を開いた瞬間、それは起きた。
ズドォォオンッと何かが落ちて来たのだ。
それは、彼等の戦闘を止めさせる事に十分すぎる者の出現であり、奇怪な出来事の始まりだった。
ユース「あの黒騎士って、リョーガさんですよね?」
リョーガ「は?何言うてん?ちゃうに決まってるやろ」
ユース「勇者様に喧嘩を売った方ですよ?」
リョーガ「は、は〜?何言ってんの〜?違うし〜、俺やないし〜」
ユース「分かりやす!?」




