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閑話

今日は少し休憩。

書き置きしていた物です。はい。




ネモ。彼()を作り出した主人が面倒臭がって適当に名付けた名前だ。意味は”誰でもない”。


主人からの命令により、顔を見せる事と喋る事を禁止されている。


だから、ネモ達は全員が違った仮面を付けている。口がジグザグしている仮面や、狐の仮面など。酷い場合は、両目を布で覆っている口のない仮面すらある。レパートリーは色々だ。


その中の、片目だけ空いた仮面を付けている彼ーーソラの話をしよう。


彼はネモ達の中で一番初めに作られた初号機だ。そして、ネモ達の中で一番強い。

ネモ達で力比べをしたわけではない。ただ、彼等の主人がそうしただけだ。


身体はただのデバイスで、脳はメモリーの彼等だが、彼等なりに心はある。意思も持ち合わせている。


ソラは名前の元となった空を立ち止まり、見上げて主人や仲間達を想い出す。


自分達が機械だと教えたのは、誰でもない主人本人だった。扱い方はとても優しかったとは言えない。

まるで、量産型の武器と同じような扱い方だった。何体ものネモが凶悪な魔物によって破壊された。


それでも、ネモ達は主人を守る為に意思を持って動いていた。それは、生みの親だから。などと言う理由ではない。

主人は言ったのだ「俺が嫌やったら、どこにでも行ってええで」と、ヘラヘラと笑いながら。

その言い方はまるで、ネモ達をどうでもいいと思っているかのようだった。


だが、本当の主人の気持ちは違った。新たなネモを作り出そうとして失敗する度に泣きべそをかいていた。ネモが一体死ぬと、彼は涙を流しながら亡骸を回収していた。


そんな主人を見て、彼等は、プログラムではない、己の意思で主人に従った。


「兄貴!早く行こうぜ!」


「ソラさん、どうしたんですか?」


「私、お腹すいた…」


「お兄ちゃん!早く行こっ」


遠い目をしていたソラの元に子供達が走ってきて、口々に喋り始める。

彼等は、ソラが道すがら拾った子供達だ。


ソラは柔らかく瞳を緩めて、一人一人の頭を優しく撫で、子供達に手を引かれるがまま歩き始める。


その先には、馬車の荷台に載った子供達が無邪気な笑みを浮かべながら大きく手を振っているのが見える。


不幸な子供達を助け続け、気が付けば、ここまでの大所帯と化していた。


街から街、村から村、世界中を旅しながら商業も行い、子供達の多さから、キャラバンと化した馬車の集団に各地で手に入れた物を載せ、旅人や冒険者などを対象とした壁の外での商売をしている。


街の外だが、街の中みたいに安心して寝られるような宿代わりも、薬草や回復薬、変わったもので言えば、魔物の素材なども売っている。


そんな子供達を連れたキャラバンはソラが乗ると同時に進み始める。

御者を務めるのは、子供達だ。


魔物と戦うのも、料理を作るのも、全て子供達が行う。ソラは常に親のように彼等を見守り続けている。


どんな敵が来ようとも、ソラは死ぬ気で彼等を守るだろう。


子供達に囲まれて動けないソラは荷台から指差しで次に向かう先を指示する。

ソラの指示通り、方向を変えながら進むキャラバン。


ソラは無口で、顔すら分からない。名前なんて、空を見上げて指差すから名付けられている。だけど、子供達はソラを信頼し、慕っている。


何があろうと、ソラは彼等を守り抜くだろう。例え、国が敵に回ろうと、強敵が現れようと、彼は一歩も引かず、彼等を守り通すだろう。


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