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クレイジー・アクセル 【略:クレアク】  作者: 九九 零@異世界モノ大好物
第1章〜どうやら、異世界に迷い込んだらしい〜
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アップデート

太陽の光は届かない洞窟だが、朝から色々とやらかしてしまったユート。

そんな彼等は、あの後、自然に仲が元通りになり、鼻を摘みながら迷宮を進み続けた。そして、現在は五層目にいる。

ちなみに、リョーガに握らせていた物ーーーゾンビの眼球は彼が起きた際に握り潰され、どこかに行ってしまった。今頃は『ガレージ』の端の方で眠っているだろう。


現在、彼等の目の前にはこれまで見た事無い扉がある。


洞窟一杯に広がっており、見ただけで重いだろう事が予想できる赤錆だらけの扉だ。

扉の上部には何か文字が書かれているが、掠れており読めない。


ここまで来るのに三日掛かった。

そして、入るか入らないかの議論中なのだが、議論を初めて数秒後にリョーガが「俺は行く!行けるとこまで行ったるわ!!」と、リリィの反対の言葉を押し切って扉へと向かって行った。


ユートは彼等の議論には参加していない。彼の意見は『どっちでもいい』だからだ。

戦いに参加してる訳でもなく、ただの荷物持ちと、ドロップ品回収ぐらいしかしていない。偶に瀕死の魔物にトドメを刺しているだけだ。


そんな自分が意見を言える立場ではない。と、彼は思っており、端っこで壁をホジホジして一人遊びをしている。側からみれば寂しそうな人だが、彼は楽しんでいる。


リリィが必死にとめるのを他所にリョーガは扉に手を掛けた。そして、力を込めて開け放った。


扉の先は部屋だった。何もない石造りの部屋だ。太陽もないのに、部屋全体は明るく、部屋の中央には黒い渦が巻いている。


「なんやアレ?」


「アレは、この(フロア)のボスよ」


「ほな、アレ倒したらええん?」


リョーガの合ってはいるが、間違ってもいる発言に溜息を吐くリリィ。


「違うわ。今から生まれるのよ」


「生まれる?どうゆうことなん?」


「そのままの意味よ。今から魔物が、この(フロア)のボスが生まれるの」


リョーガは説明を聞いても全てを理解できなかった。だが、これだけは彼は理解できた。


「ならさ、生まれる前に殺してまえばええやん」


彼の言う通り、今の状況だと出来そうである。だが、それはリリィの言葉によって否定された。


「無理よ。あの状態の時は何をしても攻撃は当たらないのよ」


物理でも、魔法でも、だ。何をしようが攻撃が当たらないのである。


「だから、この状態の時は戦わずに先に向かうか、戦ってから先に向かうか、の二択なの」


だから、どちらかを選べ。そう瞳で訴えかける。それに迷わずリョーガは答えようとした。が、それは問題児によって遮られた。


「いってぇぇえぇ!!?」


土の壁をホジホジしていたユートが叫び声を上げながらリョーガとリリィに体当たりをかまし、突っ走って行った。そして、部屋の奥の壁に激突して倒れた。

彼の指にはミミズのような虫が噛み付いている。


「何しとんねん、あいつ…」


リリィもリョーガと同意見のようで軽い溜息を吐きながらユートの指に噛み付くミミズのような虫を踏み潰した。その時、彼女は気が付かなかった。


「イタタタタ!痛いって!」


ユートの指も一緒に踏んでいた事に。

無理矢理引き抜いた指を半泣きでフーフーしている。彼の言動を見る限り、かなり痛かったのだろう。


「あっ、ごめん」


彼女は気が付かなかった。それは、彼の指を踏んでいる事ではない。


「キィ?ギィィイィ!!」


耳に(つんざ)く金切り音が彼等後方から聴こえた。咄嗟に振り返って見たものは、産まれたばかりの魔物だった。


見た目は、薄汚れた甲冑を着た、着せ替え人形にされた子供のような姿だ。それが、剣を地面に突き立てて、両手を柄頭に乗せて凛と立っている。


「”ゴブリンナイト”?」


ユートは、痛がる指を口に咥えながら立ち上がり、部屋の中央に現れた魔物を『鑑定』して名前を呟いた。


「リョーガ!」


咄嗟にリョーガに危険を知らせる為に呼び掛けた。だが、リョーガの方は心配無用だった。なぜなら、彼は準備万端だったからだ。

敵の真似をしているのか、棍棒の先を地面に押し付けて、柄頭に両手を乗せてニヤリと笑っている。


一匹と一人の厳しい視線が交差し、交わる。それだけで彼等の強い意思は通じ合った。


「一対一や」


まるで、バットを構えるが如く、リョーガは棍棒を前に突き出してから構えた。


「ギィイ」


対するゴブリンナイトもリョーガに習い、剣を前に突き出してから腰溜めで構えた。


指をチューチューしているユートと、短剣を抜いたが使う必要がなさそうなリリィは観客として部屋の端で彼等を見守る。


今の光景を簡単に答えるならば、野球をしているお兄さんと剣道をしている少年が向かい合って構えている不思議すぎる光景である。

だが、現実はそんなに甘くない。彼等の瞳には並々ならぬ殺気が込められ、今にも掴み合って殴り合いを開始しそうである。


「ハッハー!!」


長いようで短い睨み合いをしていたが、リョーガの笑い声と共に戦闘が開始された。


両者、示し合わせていたかのように駆け出した。そして、手に持つ武器を同時に振るった。

リョーガの何も考えずに振られたフルスイングはゴブリンナイトの頭部へと向かう。

対する、ゴブリンナイトの狙って放たれた剣は迷いなくリョーガの脇腹へと向かって行く。


どちらが先に敵の部位に当たるか。それだけで勝敗が決まる。なんとも言えぬ刹那の時。


ゴブリンナイトの剣は服越しにリョーガの肉を押し付けていく。

リョーガの棍棒は一足早くゴブリンナイトの頭上を掠めて行く。ついでにリョーガの手からも離れて行く。


遂に服が切れ、肉もプツリと切れ始めた。リョーガは余りにも勢いよく接近した為にバランスを崩して、ゴブリンナイト目掛けてタックルする形になっている。


脇腹が切られて行く。と同時に前へと、ゴブリンナイトへと肩を前に突き進むリョーガ。

棍棒は明後日の方向へと飛んで行ってしまった。


ゴブリンナイトのヘルムにリョーガの肩が激突する。衝撃で後方へと飛ばされるゴブリンナイト。剣を離さなかった為、リョーガの脇腹には一筋の深い切り傷が出来上がった。だが、彼は命が助かった。その代わり、別の者が死んだ。


壁に跳ね返ってきた棍棒に後頭部をぶつけたのだ。即死だった。


それは、リョーガのタックルによって吹き飛ばされたゴブリンナイトだ。なんと偶然な事に、リョーガが手を滑らせた棍棒が頭に命中したのだ。勢い良く吹き飛ぶゴブリンナイトと、壁に跳ね返ったとしても勢いが殺しきれなかった棍棒。その破壊力は計り知れないだろう。


とても悲しい倒され方をしたゴブリンナイトを横目にリョーガは両手を天井に挙げて、唖然とその光景を眺めていた二人にドヤ顔を向けた。

だが、彼等は反応してくれない。


今の光景をどこからどう見ても、リョーガの実力で勝ったものとは思えないのだ。

あのまま行けば、死んでいたのはリョーガの方だったのだから。


「なんやねん。文句あんのかよ」


棍棒を拾い、ついでにドロップ品を拾いながら二人を睨み付ける。リョーガの言葉にリリィは首を左右に振った。だが、ユートは縦に振った。


「今の、死ぬ寸前やったんちゃう?」


「は?この俺様が?ふっ、ふははははっ、戯言をほざくな!」


仁王立ちして偉そうに言い張るリョーガ。だが、彼の脇腹からは止めどなく血が流れてきている。それを彼は気が付いていなさそうである。


「いや、でもさ、そこ、怪我してるやん?」


「どこ?………あ……痛…い?」


ユートに言われて気がつく脇腹の切り傷。かなり酷い。だが、痛みがやってこない。まるで、自分の身体ではないかのように痛くない。

だが、それは一時だけだ。


「……痛っ、痛!?なに!?めっちゃ痛いんやけど!!」


初めは蟹のハサミに挟まれたような痛みだった。だが、痛みは徐々に強くなり、遂に膝をついた。脇腹からドクドクと流れ落ちる血を両手で抑える事で止めようとしながら、痛がるリョーガ。


「それ、絆創膏なんかじゃ無理やな」


「無理に決まっとるやろ!」


ユートのボケとは思えぬズレた発言にツッコミを入れるリョーガ。


「とっ、取り敢えずっ、回復薬!…ってない!?や、薬草は!?」


ゴソゴソとマイバックをほじくり返すリリィ。だが、出てくるのは食べ物や食器などで、回復薬や薬草の類は出てこない。彼女の鞄の中には入ってないのだ。その全てを前に所属したパーティーで使ってしまっていたのだ。

それを持っているのは彼だけ。道端で拾い集めていた彼だけだ。


「薬草ならあんで」


何かに使えるかも。たったそれだけの理由で、彼は色んなものを拾い集めている。全く使い物にならない石ころまで拾っているのだ。そんな彼の癖が役に立った。


「貸して!」


ユートが取り出した薬草を奪い取り、口に入れる。何度か咀嚼し、余りの不味さに顔を歪ませた。だが、リョーガは見る限り重症だ。

だから、不味すぎて吐く。などの事はせず、咀嚼を続けながらリョーガの元に駆け寄る。


そして、吐き出した物を傷口に塗り付ける。


「あ”あ”ぁっ!?…ぁぁあああ〜」


リョーガは傷口に当てられたリリィの唾液(・・)付きの薬草が染みて痛がる。が、それは一瞬だけだった。痛みに快楽を覚えたような声を上げ始めた。


今の彼は痛みを忘れたような幸せそうな顔をしている。なぜなら、女性であるリリィに看護してもらっているからだ。彼女は気が付いていないが、リョーガの頬は緩みきっている。


彼は可愛い女の子に手当てして貰っているのがとても嬉しいのだ。ただ、それが顔に出ているだけであり、やましい気持ちは持っていない筈だ。


「……怪我は大丈夫なん?」


ここにも怪我人はいる。だが、リョーガと比べると小さな傷だ。そんなユートは、全く心配してしてない声で訪ねた。


「ああ、うん。痛いで。痛いけどな、気持ちええねん」


傷口に滲みるリリィの唾液が付いた薬草。それは、彼に途轍もない快楽を与えている。その為、彼の表情は幸せいっぱいである。


「そか…相変わらずやな…」


なんとも言えない表情をするユート。

リョーガが嬉しそうにしているから彼も内心は嬉しい。だけど、それと同時に『この状況で?』と言う心配と呆れが混ざった思いが浮かび上がってくるのだ。


「ちょっと!動かないでよ!」


「すまん、すまん」


膝をついた体制から胡座に変更すると、リリィに怒られたリョーガ。

リリィから漂う気持ちの安らぐ匂いを嗅ぎながら謝罪を口にする。が、その声はとても軽い。気持ちが別の方へと傾いている証拠だ。


「取り敢えずさ、それ、一通り終わったら『ガレージ』に入らへん?ここにおったら、また復活しそうやし…」


何が。とは言わなくても彼等は理解できるだろう。ユートの視線の向けた方向は部屋の中央。この部屋のボスが現れた場所だ。


「そうね。でも、ここよりも下に降りるか、出るかした方が良いんじゃない?」


「それなら下に降りよや」


リョーガが決定を下したことに誰も異論を発しない。言っても無駄だと皆が知っているからだ。


「ほな、俺は先に行って待ってるから。……ごゆっくり」


最後に笑みを彼等に見せて部屋を後にするユート。彼はリョーガに気を遣ったのだ。

なのだが、ユートが居なくなるとリョーガは無口になった。


リリィに話し掛けられれば答えるが、自分から何かを言う。と言う事はしない。

彼はこう見えて奥手なのだ。特に女性に対して。

男性や興味のない女性相手ならば躊躇いなくモノを言う。だけど、気になる女性の前では何を言えばいいか分からなくなって無言になってしまう。


そんなこんなで無言の時が過ぎ、リョーガの傷の応急手当も済み、ユートのスキル『ガレージ』にて。


ユートは、まな板の上で生地(きじ)を練っている。卵と小麦粉と水を混ぜ合わせたものだ。

携帯に表示されている時刻は午前十時なのに、彼は晩御飯を作っているのだ。


それを昼飯だと勘違いしているリョーガは、自分のバイクを点検している。

壊れている箇所がないか、修正箇所はないか、次に改造できる場所はどこか。などである。

工具もないのに、彼はバイクを隅から隅まで見つめながら考えている。


リリィは、そんなリョーガと晩御飯を作るユートを交互に見ている。


要するに、彼等は暇なのだ。


リョーガの傷が良くなるまで『ガレージ』で休憩しているのだ。

今の彼の傷は布を薬草の上に巻いて圧迫させ、出血を抑えているだけだ。その血が止まるまでこの場で休憩している。

例え、薬草の効果が薄くて小さな切り傷を治す程度しか出来なくとも、血を止める事ぐらいは出来る。


「なぁ、一旦宿に帰った方が良くない?」


ユートは生地をコネコネしながらリョーガの身を心配して提案を出す。例え、自分が怪我した訳ではなくとも、彼は友人が傷付いているのを放置するほど冷たくない。むしろ、親身になって支えるほどだ。


「は?嫌やし。ここまで来たのに何でノコノコ逃げなアカンねん。行けるとこまで行くって言ったやんけ」


「それが今やと思うんやけど?」


「誰がそんなん決めてん」


「俺やけど?」


「じゃあ拒否する。俺はまだ行けるわ。ナメんな」


そうは言ってもリョーガは重症だ。激しい動きをすれば傷が開きそうなほどに酷い。

なのに、リョーガは先に行くと言う。何が彼をそこまで動かすのか、ユートにはサッパリ分からない。


「そこまで言うんなら…」


リョーガの言い方は高圧的だった。機嫌が悪いといつもそうなのだ。それを深く理解しているユートは、これ以上言うとリョーガが暴れ出すのも予想がついた。だから、先に折れた。


その会話を聞いていたリリィは『本当に大丈夫かな…』と小さく溜息を吐きながら心の中でリョーガを心配する。


生地をまな板に叩きつける音が静かなガレージ内に響き渡る。彼が何を作っているのかは、リョーガやリリィにはサッパリだ。

ただ、彼が努力して作っている。と言うことだけは伝わってくる。


なのに、リョーガはそんな事お構いなしだ。勝手にユートの鞄を漁り、スピーカーを取り出して音楽を流し始めた。


「……ねぇ、その音が鳴る物って何?何かの”魔道具”なの?」


待っている間が暇に感じているリリィはスピーカーを指差して尋ねる。


「魔道具?これはスピーカーやで?」


「スピィカ?」


「スピーカーな。この携帯に入ってる音楽流す機械や」


「…携帯?音楽?機械?」


リョーガの説明に首をカクカクと首振り人形の様に首を動かすリリィ。全く理解してなさそうだ。


「それはな、科学で作られた道具でな、目に見えへん線がリョーガの持ってる携帯に繋がってんねん。で、今流れてる音が線を伝ってスピーカーに来てるねんよ」


ユートが出来るだけ噛み砕いて説明をする。

彼はリリィ達に背を向けている癖に、まるで見えているかのような発言だ。


「科学…魔道具とは違うの?」


「全然ちゃう…って言われへんかもな。魔道具ってのが何なんか知らんし…。まぁ、言えんのは、それはこの世界にない物で、俺らしか使われへんって事やな」


「そうなの…?」


リリィは視線を背を向けているユートからリョーガへと向け、次に音楽の流れるスピーカーへと向ける。


「まぁ、そうやな。このバイクも、この携帯も、俺らが持ってんのは殆どそうやな」


近くにあるバイク。そして、片手に持っている携帯も、彼等にしか使えない。

それは、この世界の人達が誰も使い方を知らないからだ。もし、使い方を知っていたとしても、必要な物が確実に足りていない。

だから、彼等は使用を出来るだけ控えている。リョーガは気にしてないみたいだが。


「…あんた達って不思議よね。変な物ばっかり持ってるし、言葉も変だし、始めて会った時なんて変な格好してたし、今だって防具も何もつけずに迷宮来てるし…」


「「………」」


リリィのとある発言に固まった二人。彼等は完全にその存在を忘れていたのだ。いや、気が付かなかったのだ。


「…?どうしたの?」


急に動きを止めた二人に疑問を投げ掛けるリリィ。彼女には思いもしないだろう。まさか、命のやり取りを行う危険な仕事に二番目に大切な物を忘れていたなど。


「………なぁ、リョーちゃん。俺な、急に戦いたくなってんけど」


「…そうやな。丁度俺も思った所やねん。なんでやろな?」


彼等は”防具書い忘れていた”という事実を誤魔化す為にスクッと立ち上がった。リリィが頭の上に疑問符を浮かべているのを他所(よそ)にシャッターへと歩いていく。


わざわざシャッターに手を掛けて開けようとするユート。彼は現実から目を逸らしている。

同じくリョーガも現実から目を逸らしてシャッターが開くのを今か今かと待っている。


「ちょっ、ちょっと待ってよ!どうしたのよ!?」


そんな二人に、全く状況が理解できていないリリィは言葉を投げ掛けたが、彼等は返答せずにシャッターを開けて出て行った。

外では、何やら大声で笑う声と大声で「なんでやねん!」とツッコミを入れる声が響いてくる。それと、魔物の声だろう断末魔も聴こえてくる。全て途中で途切れて聴こえる。


一体、彼等は何をしているのか。それは、ガレージ内のリリィには分からない。

だが、彼等を見れば分かる。八つ当たりだ。

ここ、六層目で徘徊する魔物ーー子トロルを一掃する勢いで殺害して行っている。

出会い頭、躊躇いなくリョーガが動きの遅い子トロルを棍棒で殴り倒し、ユートがトドメを刺す。

まるで、タチの悪い通り魔だ。


ドロップ品などに目もくれず、迷宮を駆け巡る二人組。彼等が満足して帰ってきたのは、ガレージを出てから三時間後だった。



ーーーーーーーーーー



ピコンッ


誰もいない静かなガレージ内で電子音が鳴った。


『アップデートを完了しました』


誰もいない筈の部屋。なのに、どこからか声がする。


『ガレージ内、生命反応(ゼロ)。自動操作に切り替わります』


機械の声だ。その発生源は、一番奥に置かれているPC。画面には、字幕でも付けているかのように言葉が表示されている。


『ガレージ内の魔石をGP(ガレージポイント)に自動変換します』


画面が切り替わり《84個→0GP》と二種類の数字を表示した。中央の矢印はピコピコと明滅を繰り返す。

そうする間に、GPと描かれた数字は少しづつ増えていく。


『変換を完了致しました。GP(ガレージポイント)が追加されました』


最終、《84個→364GP》まで表示され、画面中央に《LODING NOW》とゲーム画面のオープニングような文字で表示された。

それが消え、真っ暗な画面にポップアップが一つ表示される。下には『はい』か『YES』の選択技がある。


『トップ画面へと自動で移ります』


自動的に『はい』の選択技を押され、画面内が真っ青になる。


『ようこそ。ガレージチューンへ』


発せられた言葉と同時に画面にも映し出される大きなロゴ。

そして、数秒も待たずに消え、ガレージ内を改装する項目があるトップ画面に移動した。

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