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カリロボ  作者: 広瀬ジョージ
エリア2編
84/95

30.体の中では

 おそらくエリア2と思われる場所。

 おそらく朝と思われる時間帯。


『下の名前で呼ぶぐらいいいでしょ?!』

 春のトレンドを意識した桜が涙目で怒っている。


『慣れない呼び方が嫌なだけだと思うけど。』

 レディススーツ姿の桜が自己見解を述べる。


『喧嘩しないでよ……』

 ナチュラルメイクに白のブラウスを着た桜がたしなめる。


『そうだよ!なんでこうなったか考えなきゃ!』

 前髪をヘアゴムでまとめ噴水ヘアになっている桜が拳を突き上げた。


『早く戻りたい……』

 野暮ったい丸メガネとキャスケットを被った桜が、怯えながら発言する。


 そこは同じ顔をした人間が6人いる異様な空間だった。

 鏡などの反射するものが無いので自分の顔は見ることは出来ないが、目の前の5人の顔は23年、自分のものだと思って生きてきた顔そのものだ。


 6人目である自身(桜)は季節に合わせた冬のニットを着ていた。


 同じ顔をした人物が自分の他に5人いる。

 にも関わらず、桜はその状況を本人も驚くぐらい冷静に受け入れていた。


 受け入れる理由は自身を含む6人を取り囲む黒い空間。

 地に足をつけ立っている感覚はあるのに床も見えないし、壁も見当たらない。

 そこにいる人物がクッキリ浮かび上がるような漆黒空間だ。


 このような非現実的空間なので、自分の他5人の存在もそれに準ずる非現実と捉えたのだ。


 なので、これは夢。

 そう思い混んでいたのだがなかなか醒めない。


 夢から醒めてもいないのに勝手に日常が始まってしまい、やっと今焦り始め、状況の整理と把握を始めようとするところだった。


 桜は弟の樹が小さい頃見ていた戦隊ヒーローを思い出した。

 メンバーが操縦するそれぞれのメカが合体して、一つの大きなメカをみんなで操る。

 例えれば今そんな感じで、王野桜の体を操っていた。


 今主導権を握っているのは『幸』。

 その間は桜が体を動かそうとしたり、声を出そうとしてもビクともしない。

 手を振ろうとすれば、この真っ暗な空間で自分の手が動くだけで、外の体には影響はない。


 今、幸の姿は見えないが、他5人は外にいる人物をそう呼んでいる。


 黒い空間に唐突にあるモニターに映るのは巨大な敵……ではなく山下だ。

 いつものように運転席に座りこちらを見ている。


 山下はこちらを見て話しているのに、他の誰かに話しているみたいに断片的にしか聞こえない。


「……か……勝手」

「自由……付き……」


 それがもどかしくて気持ちが悪いので耳に入れないように意識を逸らした。


 おまけに山下は時折不機嫌そうに顔歪める。

 幸は山下の気分を害するような事を言っているようだ。


 外で幸が好き勝手やっているようで、桜は暗闇で頭を抱える。


「ちょっとみんな!!!」

 声を張り上げるとピタリと話し声が止んだ。

 自分も発言することが出来るようで、お互いに聞こえるようだった。


「いったん整理しよ!今ここに6人いるよね?自己紹介して!!!」


 みんな一斉に喋り出し、一人ずつ!と一喝する。


『安藤姫乃』

『王野桜、芸名は安藤姫乃』

『王野桜』

『桜だよ!』

『わ、私も……』


「みんな?!幸は幸って名前あるのに?!」

 やはり同じ顔をしているだけあり、みんな自分のことを桜もしくは姫乃と思っているようだ。


『仕方がないじゃない!』

 春服の桜はムッとしたように腕を組み。

『幸はドラマの影響でしょ?』

 キャスケットの桜は自信なさそうに呟き。

『だからさっちゃんだけ名前あるんだ!』

 噴水ヘアの桜はアニメスティックな動きでナルホドと手を打った。

 

『仕方がないから名前つけよ。もちろん安藤姫乃、王野桜以外で。』

 スーツ姿の桜が提案し、同意を求めるように一人ひとりと目を合わせた。


 桜も頷き新たに提案した。

「じゃあ番号かけよ!1!」


『2。』

『3……』

『3っ!かぶっちゃった!』

『へへ、ニョッキキみたーい!!!』


 3回の失敗の末、6まで数えることができ、それ以降は静寂が続いた。


『今の数字覚えてる?』

『でも数字じゃ性格覚えられないよ私。』

『性格を名前にするのはどう?』

『いいよ。』

『そうだね。』

『はいはーい。』


「わかった。」

 いくつかの肯定の返事とともにつられて返事した。


『じゃあ言い出した私から』

 レディススーツ姿の桜だ。

 この桜は先程から円滑に物事を仕切っている。


『私は3番抜け。去年の女探偵役に影響受けてるみたい。だから『完璧主義』?』


 納得のネーミングだった。

 『完璧主義』はあとは1番から順番にと付け加えた。

 となると私は最後の6番目。


『はいはい!じゃあ次は1抜けの私!私『対樹』用の私!』

 前髪をヘアゴムで束ねた噴水ヘアの桜が手を挙げた。

 この桜はニョッキキみたいと笑っていた無邪気な桜だった。


「『対樹』って?」

『その喋り方ぶりっ子っぽい……』

 完璧主義が止めたら?と促す。


『だってちょっとおバカな方が樹が構ってくれるもん!』

 対樹はペロリと舌を出し、あざとい表情を見せた。


『ズルイ!!!』

『その手があった!』

 トレンド重視の桜と完璧主義が声を上げた。


 みんな同じ人物を名乗るだけあって、みんな樹が大好きなのは変わらないようだった。

 樹はこの世の中で最も可愛いく、尊く、推せる存在なのだ。


『まぁ私は『対樹』ってことにしておいて。次の子どうぞっ!』

 対樹に促され、白ブラウスの桜が話しだす。


『2番は私。今朝部屋に来た従業員と話したのは私。どこにでても恥ずかしくない対応を心がけております。……だから『外面』?』

 やや自虐混じりにおどけて、3を飛ばして4番の人どうぞと付け加えた。


『4番は私!可愛い自分大好き。でもそうじゃないとやっていけないお仕事でしょ?名前はどうしよう?』

 トレンド重視の桜が顎に人差し指を当て唸った。


『ハイハイ!『小悪魔』は?』

 対樹が声を上げた。


『悪魔はダメだけど小悪魔ならまぁ褒め言葉か!採用。 ハイハイお次どうぞ!』


 やや雑に小悪魔に振られ、丸メガネの桜が少し慌てた。

『え、えっと5番目の『心配性』。こんなんになって撮影大丈夫かなぁ……』


 心配性は6番目の桜に振ることはなく、黙ってしまった。


 一通りの自己紹介が終えた時、桜はある仮説を立てた。


 ここにいるのは紛れもなく全て『私』。

 そしてなんらかの原因で分裂してしまった。


 その証拠にここにいる桜は全員共感できる気持ちを有してるし、格好だって共感できた。

 対樹は家でリラックスしている時の格好で、外面は樹の保護者面談の時に着ていくであろう服装だった。


『みんないるし大丈夫。』

 弱気な心配性に完璧主義が力強く言い聞かせた。

『そうだよ!で、6番あなたは?』

 対樹が心配性の代わりに6番である桜に発言権を渡した。


「あ!私6番!私は……」

 困ったことに他の人格のようにコレと言った特徴がなかった。


『どうしたの6番?』

『大丈夫?』

『もう区別する必要もないんじゃない?』

『それでいいの6番?』

『決まるまで6番でいいんじゃない?』


「え?私だけ?!」


『名簿番号みたいなものだよ。』

『決まったら変えちゃえばいいよ!』


「うん……」

 桜もとい6番は釈然としない気持ちでうなづいた。


『これでだいぶ分かりやすくなった。外を見て!』

 完璧主義に促され外を見ると、山下の運転する車はもう動き出していて、幸は運転する山下の横顔を眺めていた。


『そろそろ変わって貰お!』


「え?!そんなことできるの?!」

 6番が声を上げたが返事はなく、代わりに真紅の着物の桜が暗闇にポッと浮かんだ。

 昨日洋子が着ていた着物に似ていて、こんな状況でもまだ彼女を意識しているのだなとウンザリする。


『何をする?!』

 この桜だけ明らかに話し方が違う。

 顔は桜でも洋子の格好をしているだけあって、他の桜達と比べて異質な印象を受ける。


 6番が幸を見たのはこれで2度目。

 初めに見たときは話す間も無く何処かへ行ってしまった。


『なんじゃ?』

 6番の視線に気づいた幸は居心地悪そうにしたが、あくまで強気で、身長が全く同じはずの6番を見下した。


「なんでもない……」

 なら良い。と幸は鼻で笑った。


『そなたは桜じゃな?』

「うん、まあ……」


 なんか6番ってことになっちゃってるけど。

 桜は卑屈に思われないように脳内だけに言いたいことを留めた。


 幸は歯切れの悪い返事をする桜を上から下まで値踏みするように見て、やがて飽きたようで視線をそらした。


『今誰が出てったの?』

 完璧主義が急に現れた幸を見ながら尋ねる。


「『小悪魔』がいない!」

 桜は辺りを見回し、彼女だけ居なくなったことに気がついた。


『なんじゃその妙ちくりんな名前は?!』

 たった今ここに来た幸は除け者にされたように感じたのか怒り出した。

 

 そんな幸を尻目に外を見ると、役作りの為にマニキュアを取ったシンプルな爪が写っていた。

 そしてバックから鏡を取り出し、顔を眺め、桜達に向けて鏡の中でウィンクした。


『小悪魔が出てっていいの?』

 心配性はオロオロと悲鳴をあげた。

『案ずるでない!私がまた行く!』


「ちょっと待って!それが一番心配!」

『6番。心配するのは私の役目……!』


『キャ!ちょっと幸っ!!!もう!髪の分け目がいつもと違ったじゃない!』

 小悪魔がポッと出てきたかと思うと、幸がいなくなっていた。


「あれ?また変わった?幸は?」

『今出てったよ。もー!!!』

 あたりを見回しても鮮やかな赤い着物はもう見えない。


「どうしよう!幸は演技なんて出来るの?!」


『幸とお幸はやっぱり別物なんじゃない?』

『さっきみたいに撮影始まったら誰かと交代させよ!』

『せっかく貰ったチャンスを棒に振るいたくはない……』


 今回の仕事を成功させたいのはみんな共通らしい。


『じゃあ誰が出る?』

 完璧主義の一言でピシリと緊張が走る。


「私……!」

『私が出る!心配で心配で何回も練習したもん!』

 心配性が6番を遮るように主張した。


「私だって……!」

 ここ数週間の間は台本の読み込みもイメージトレーニングも欠かさなかった。


『でもここは『完璧主義』じゃない?』

『私は演技用じゃないもん。心配なくらいが丁度いいんじゃない?』

『じゃあ心配性ね!』


「そんな!」

 6番は息を飲んだ。


『仕方がないよ。みんな出たいんだもん。』

『メイクする時は私だからね!』


 ロケ地に着くと外面が出ていき、幸が戻ってきた。

 着替えになると小悪魔が出ていき、外面が戻ってきて、6番は人格の出入りを見ていることしかできなかった。


「幸!それにみんな!それどうやるの?!」

 6番は外の様子に夢中の桜達の代わりにふっと現れた幸に向かって話しかける。


『嗜みじゃ。強く念ずれば出来る。』

「嘘!出来ないし!」


『大丈夫じゃ。出れないところでしばらく困らん。』

「私が大丈夫じゃないの!」

『なぜじゃ?何が困ることがある?全部うまくいっておるぞ。』


 幸の一言に6番はうっと息を漏らした。

 確かに、外面や小悪魔が上手く動いてくれていて、共演者やメイクさんは身に起きている異変に気がついていない。


「それは普段会わない人だから……」

 だから毎日のように一緒にいる山下や樹なら気づいてくれるはず。


 幸はフンと鼻で笑った。

『ほう?山下はこの幸に「そばにいろ」と言ったぞ?』


「ウソ?!」

 今まで山下にそんな熱甘いセリフは言われたことがない。


『ウソでしょう?』

 すかさず対樹が茶化すように否定した。

『少なくともそんな言い方じゃなかったよ。』

 完璧主義がツッコミを入れた。


『同じようなもんじゃ。ほれ外を見よ!』

 幸は決まり悪そうに誤魔化した。


 外を見ると今回の共演者である新田慎吾が衣装に着替えた状態で立っていた。

 いつもの明るい印象の彼ではなく、精悍な顔つきで、一目で演技中だとわかる。

 普段は軟派な印象を受ける彼だが、仕事の切り替えは流石人気俳優だ。


「ヤダ……もう始まってるの?そんな……!だってこのためにずっと……!」


『泣かないで6番!』

『そんなに出たかったの?よしよし。』

『もしかして6番は『泣き虫』なんじゃ……?』

『そんなことで泣くでない!』


「そんなことじゃない!!!」

 6番の剣幕に幸はビクリと肩を震わせたが、なかったことにするように、ピンと背筋を伸ばした。


『悔しいか。ならば出たいと強く念じてみよ。』

「そんなこと……」


『試しに山下の事を考えて見るがよい。好いとるのじゃろ?』

 幸は鼻で笑いながら外を映し出すモニターを指差した。


「べつにっそういうのじゃないの!」

 赤くなりそうな頰を見られないよう顔を逸らしたが、幸ははなから興味がなかったようで、外を眺めたままほぅと相槌をうった。


『まぁ良い。私は与平に会いたいと思えばいつでも出られる。それだけ思いが強いのじゃ!』

 幸は桜がそうするようにへへへと照れ笑いした。


「与平って新田君のこと?」

『山下も同じ事を聞いてきたな。そんな輩知らぬ。』


 目の前の人だよ!と対樹が外を指しながらツッコミを入れた。


「なら与平にどうやって会うの?だって与平とあなたは……!」

『ストーップ6番!!!』

 完璧主義に遮られ、外面が耳打ちするような小さな声で告げた。


『幸の気持ち考えてあげて。あなた今なんて言おうとした?』

「ごめん……」


 二人はおとぎ話の中の人物で、その中でも非業の死を遂げているなんて気持ちの良い話ではない。

 突然のことに動揺して、自分の事しか考えられていなかった。


『おい!お主らさっきから何を喋っておるのじゃ?』

 幸はヒソヒソと話す桜達を不審そうに睨んでいる。


『何でもない!もう直ぐ休憩入るから外面準備して!』

『その前に私!着物裾踏んで崩しちゃった!直してもらわなきゃ!』


 6番は慌ただしく動く桜達を見ている事しか出来なかった。


 監督からカットがかかったようで新田の表情が緩んだ。

 何か語りかけているようだがこちらからは断片的にしか聞こえない。


『なんとかなった……!』

 外面と入れ替わりに心配性がふっと現れて息をついたが、6番は声を上げる気になれなかった。


『あ、山ちゃんだ!』

 対樹が嬉しそうな声をあげ、6番はボンヤリと外を眺めた。

 山下の困惑顔。


「治った……終わっ……病……」

 またしても山下の声は断片的にしか聞こえない。


『きゃっ!』

 黒い空間に、急に外面が現れた。


『外面どうしたの?!』

『幸が勝手に出てったみたい!』

「え?!」

 気がつくと幸の姿は隣になかった。


 外を見ると山下は困惑顔でなく呆れ顔になっていた。


「また……引っ込め……」

 相変わらず電波が悪いようだ。

 おそらく『また出たな幸、引っ込め』みたいなことを言っている。


 山下は幸の存在は認識しているようで、幸が外に出ているときは、絶えず面倒くさそうな顔をしていた。


 まるで出会った当初の山下を見ているようだ。

 仲良くなろうとして無駄絡みして避けられた過去を思い出す。

 意外と人見知りする山下にとって行動が読めない幸は扱いにくいのだろう。


『山ちゃん、『治った』って言ったら『無理するな。終わったら一緒に病院行こう』だって。』

 先程まで外にいた外面が顔を赤らめている。


『いいなぁ!山ちゃん優しい!』

『撮影終わったら私が出るから……』

『ズルイ!私の方が山ちゃんのこと好きだもん!』

『幸、山ちゃんに変なことしてないかな?』


 外面は山下の格好良さについて話しているし、対樹はそれに同調。

 完璧主義と小悪魔はどちらが次に彼に会うか競い始めた。

 心配性は彼にどう見られているかしきりに気にし始めた。


 確かに外面の言っていることも口に出すことはないが常々思っているし、理解出来る。

 しかし完璧主義や小悪魔のように自分の正当性を主張し山下を取り合うような真似はしない。


 幸以外の桜とは何かしら共感できる部分があり、自分の一部であると認識できたが、そうでない部分も存在しており主張が強い。

 もしかしたら気がついてないだけで常々そう思っているのか……?


「皆、山ちゃんのこと好きすぎない?」


 5人の桜は6番の何気ない発言に、奇妙なものでも見るように6番を見た。

 5つ並んだ自分の顔。

 その迫力に思わずたじろく。


『え?6番は違うの?』

『同じ桜なのに?』

『姫乃も大好きでしょ?』

『だってパートナーだもん!』

『愛し合ってるの』


「私も好きだよ!でも……」

 6番は思わぬ反応に萎縮する。

 5人の自分から疎外されるのは妙な気分だった。


『おい戻ったぞ!誰か出ていかんか!演舞が始まるぞ!』

 声に振り返ると幸が6番の背後で腕組みしていた。


『もう勝手なんだから!』

『心配性行って!』

『もう行ったみたい。あ、いいなぁ。山ちゃんとハグしてる。』


 6番は仰天してモニターの前まで進みでる。

「ちょっと?!現場でなにしてんの?!」


 山下のネクタイ。

 次に困惑顔が見えて、6番は執念でその口がなんと動き、何を言ったのか聞き取った。


「『戻ってよかった。絶対に無理するなよ?』……?!」

 ふつふつと怒りが沸き上がる。


「『戻ってよかった』って?!戻ってないんですけど?!なんで山ちゃん気付かないの?!それに現場で何してんの!!!恥ずかしい以前に、仕事を舐め過ぎ!」


『6番どうしたの?』

『6番怖〜い情緒不安定』

『6番もしかして『怒り』なんじゃ?』

『落ち着いて6番』

『桜!そんなことで我を忘れては外に出れんぞ?』


 桜達は身を寄せ合うようにして震えた。

 6番は構わず一人飄々としている幸に目を向ける。


「……幸!さっきの話の途中!どうやって外に出るんだっけ?!」

『忙しないのう、桜。』


 外では心配性が再び撮影に向けて準備を始めていた。

 本当は自分がいるはずだったその場所に自分ではない別の『誰《何》か』がいる。


 異変に気付いてもらい、助けてもらおうという考えは捨てた。

 6番は自分の力で絶対に外に出てやると心に誓った。


 

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