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カリロボ  作者: 広瀬ジョージ
学園祭編
18/95

18.大茸と仮面男


 木曜日の放課後。

 樹はイッキとなりRPAに入り込んでいた。


 RPA

 ローリング・プレイング・アクション。

 インターネット上の架空世界。

 日本が誇るゲームメーカー、リゴレ・ルーンが開発し、今では全国共通の人気ゲームになっている。

 RPAの中では人々がケータイ、パソコンなどの電子機器などで操り、自分のアバターで自由に遊ぶ事が出来る。


 RPA界には無数のコロニーがあり、コロニーはフィールドを通してつながっている。

 このコロニーにはアバター達が気に入ったに仲間達と、家を建て住むことが出来る。


 コロニーNo.332「ウインドビレッジ」。

 ここは風と風車の、のどかなコロニー。

 アバター数218。


 今日も夜空にはリゴレ・ルーンの象徴である満面の笑みの白い三日月がのぼって、アバター達を明るく照らしている。

 この夜は黒いつなぎのユニホームを着た5体のアバターが終結していた。


「久しぶりだね!皆集まるのって!」

 三白眼の熊イッキがワーイと手を挙げた。

 今日はチーム○ッキ全員が終結していた。

 イッキ自身RPAに来るのは久しぶりだ。


「ホントだよ!」

 しみじみとシマウマのロッキが頷いた。


「私、久しぶりにログインした気がします!」

 ネズミのミッキは照れくさそうに言った。

 初々しい感じの敬語で話すのが彼女の特徴だ。


 ミッキは全くといって良いほどRPAに姿を現さない。

 そのためチーム内では来るたびに大歓迎される。


「ミッキは本当に久しぶり。」

 リスのリッキはミッキに賛同した。

 ミッキと違いリッキは、四六時中RPAにいる。

 学生のイッキよりもログイン頻度もログイン時間も長いため、主婦か定年した人なのだろう。

 おそらくチーム最年長で、貫禄のある話し方をする。


「久しぶりといえばマッキも!」

 イノシシのマッキはそうですかね?と頭を掻いた。


「言われてみれば!いやぁ、上司の無茶振りで仕事が増えちゃいまして!」

 そう言って、テヘッと笑う。


 その言葉にイッキを含む残りのメンバーは仰天する。


「マッキ社会人だったの?!」

「俺、完全年下かと思ってたし!」

「私もです!」

「働いていたの?!」

 皆の反応にミッキは逆に驚いていた。


「そうだよ!!!働いてるよ!!!だって私がイノシシなのって、亥年だからなんだよ?!29だよぅ!」

 リッキはのけぞって後転した。

 周りからプロっぽいアバター操作に対するどよめきが聞こえた。

 複雑な動きはそれだけ操作が難しいがリッキはいとも簡単にやってのける。


「私と同い年…」

 その言葉にメンバーはさっき以上のリアクションで驚いた。


「ウソウ!」

 とイッキ。

「まだ、二十代?!」

 とロッキ。

「私、もっと上かと…」

 とミッキ。

「ワーイ!仲間だ!」

 とマッキ。


「なんて失礼な!そうさ私は三十路の崖っぷち女だよ!」


 今度はミッキが驚きすぎて、なぜかその場でクルクル回った。

 操作を間違えたようだ。


「女性でしたか!」

「どんだけ失礼やねん!一人称『私』いうとるやないか!」

 リッキが素早くハリセンを装備し、ミッキをどついた。


「ところで皆はいくつなわけ?」

 マッキが頭の上にハテナマークを浮かべた。

 年を教えるぐらいは個人情報に当たらないだろうと思い、イッキは応える。


「17だよ。」

「あ、俺も。」

「私は16です。」

 リッキは大げさに後ず去った。


「わかっ!若さがまぶしい!」

「若い!皆高校生だったんだ!」

 嬉しくってたまらないような面持ちでイッキは頷いた。


「毎日楽しいよ!最近は学園祭の準備とか。」

「お!イッキの学校もか?!」

「楽しみですぅ。」

 学園祭で盛り上がる三人をよそにリッキがいじける。


「いいなぁ…青春。」

 そんなリッキの肩をポンッとマッキが叩いた。


「大丈夫。三十路になっても青春は出来るよ?」

「うっ…みそじって、言わないでよ~!」

「初婚年齢も年々上がってきてるし、まだ大丈夫だよ!」

 マッキはふふふっと笑って誤魔化した。

 リッキとは違い、マッキには迫る危機感というものがないらしい。


「学園祭のいいところって、友達たくさん出来ることだよね!」

「イッキさん、なんか可愛いですね。」

「そう?友達百人できるかな!」

 イッキは周囲に音符をまき散らしながら歌った。


「懐かしい!小学生以来だよ!」

 とロッキが言った。

「あぁ、そのフレーズ…何十年前だっただろうか…」

 リッキが明後日の方向を見つめた。


「おーい。戻ってこーい。」

 ロッキが呼び戻したところで、リッキはコホンと咳払いをした。


「さて、本題に入ろう。皆をここに集めたのは他でもない…」

 ドコドコドコドコ…

 盛大なドラムロールが響く。

 イッキは、リッキの芸の細かさに感心した。


 ドラムロールが終わった。

 ジャカジャン!


「なんと!私『車』の免許手に入れちゃいました!!!」

 リッキは光り輝く免許証を手にしていた。

 それを掲げて決めポーズをとる。


「うお!リッキすげー!!!」

「凄いよリッキ!」

「お姉さまと呼ばせてください!」

 はしゃぐチームメイトの中でミッキだけ、状況が理解できず、一人オロオロした。

 細い尻尾がクニャクニャと宙を彷徨っている。


 それを見つけたロッキが茶化す。

「あれ?ミッキ!君、レアアイテム『車』を知らないな!」

「スッ、スイマセン!」

 ミッキがピンと尻尾を直立させた。


「よし、じゃあ俺が説明しよう!」

 イッキが厚い肉球の着いた手を挙げた。

「お願いします…」

 話し始める前に、咳払いをして喉の調子を整えた。

「まず、俺たち動物アバター達じゃ、絶対にいけない場所があるよね?」

 ミッキは、早押しクイズのように正解を叫んだ。


「フィールド!」

「そう!そこに俺達が唯一、行けるようになるアイテムが『車』なんだ!」

「スゴーい!!!」

 事の重大さがわかったミッキがまたその場でくるくる回りだした。


 フィールドは彼ら動物アバターにとっては、行きたくても行けない未知の領域なのだ。

 各コロニーを繋ぎ、RPCを使う事の出来るVIPプレイヤーのみが入ることが許される。

 それがフィールドだ。


「リッキさんスゴーい!」

「リッキよく試験受かったね!」


 『車の免許』を取るためには、現実世界と同じく、講習と試験を受けなければならない。

 しかも、試験は現実界のものよりも遥かに難しいとされているうえ、VR機器を用意しなくてはならない。

 VR機器はRPCほどではないものの、なかなか値の張る物だ。

 そのため、『車』はなかなか普及していない。


「そうだ!このために二十九で彼氏も作らんで頑張っとったんじゃ!!!」

 リッキは勝者の雄叫びをあげた。

 目尻に光るものがあるのはきっと気のせいだ。


「そこでだが皆!今から時間ある?」


 察しのいいイッキは目の色を輝かせた。

「リッキ…まさか!」


「その通り!南口に『車』止めてあります!しかも五人乗れる」


 興奮したロッキが叫んだ。

「神だこの人!!!」


 イッキもまさに同じ考えだ。

 一応時間を確認する。

 午後8時7分。

 まだまだ余裕だ。

 3時間は行ける。


「私OKです!」

 マッキは豚足でピンと腕を伸ばした。

 その手にヨッシャ!とリッキがハイタッチする。


「で、若い諸君。学校あるけど平気?」

 ここで断るわけはない。


 今まで見てみたかった、未知の世界が今明るみになる!


「行く行く!」

「俺も行く!」

「イッキさんも行くなら!」

 リッキは皆のやる気のある返事に大いに満足して頷いた。


「そうこなくっちゃ!」


 リッキが言っていた通り、普段全く用がないので立ち寄らない南口に車が止められていた。


「これが『車』か!」

 赤い車体に、頑丈そうなタイヤ。

 ジープのような形をしている。

 操縦席に、助士席、その後ろに三人乗れるようになっている。

 リッキはそうそう操縦席に乗り込んでいた。


「俺、助士席!」

 早い者がちでロッキが助士席に乗り込んだ。

 出遅れた三人は、横に並んでいた、マッキ、イッキ、ミッキの順でそのまま後部座席に乗り込んだ。


 イッキは初めて『乗り込む』コマンドを使用した。


「皆、準備はいい?」

「アイアイ、キャプテン!」

「レッツラ、ゴー!」

 古っ!と皆が声をそろえた。


『フィールドに出ますか?』


 見たこと無いテロップだ。

 操縦しているマッキが『出る』を選択した。


『いってらっしゃい!』


「凄い…」

 樹は、画面に映し出される景色に見ほれた。

 外の景色は明らかにいつもの景色とは違っていた。


 この景色は、樹が操るイッキが見ている風景をそのまま写し出しているようだ。

 その証拠に、リアルな景色の前にリスの尻尾とシマウマの鬣が見えた。

 コロニー内ではアバターの全身を俯瞰的に画面に映し出しているが、今回はイッキの目線だ。


 視点が変わったため操作に戸惑ったが何とか慣れて周りを見回してみた。 


 パッと見てすぐにゲームだとわかるような、黒い縁取りがそこにはない。

 その景色は草一本一本までよく見えて、現実世界と見分けがつかない程だった。

 CGだろうがよくできていた。

 この世界のどこかをカメラで撮っているのではないかとも思った。


 唯一空には笑う月が昇り、ゲームの世界なんだと教えてくれる。

 普段よりも大きく見えてその分不気味だ。


 アバターだけは黒い縁取りに囲まれていて、下手くそな合成画像のようだった。

 リッキのようにVR機器を持っていればさらに臨場感を味わえただろうが、VR機器はバイトもしていない樹にとっては手の届かない代物だ。


「凄!」

 真っ先に声を上げたのはロッキだった。


「こんなに凄いとは…!」

「感動です!」

「外ってこんなんなんだ…」

 みんなの反応に満足したリッキはムフフっと笑った。


「凄いのはここからだよ!」

 しばらく進んだところで、草むらを見ていたミッキが声を上げた。


「あれ!なんですか?!」

 イッキも身を乗り出して、ミッキの指差した場所を見た。

 草むらの中からのっそりと、白い毛短い毛で体を覆った動物が顔を出した。

 その姿は現実世界のどんな動物にも似ていないが、ぬいぐるみのようで可愛らしい。

 つぶらな黒い瞳でこちらの様子をうかがっていた。


「あ!あれ、ヒュポンって言うの。」

 リッキに紹介されたヒュポンは、ヨロシクというようにヒューンと高い声で鳴いた。


「そして、あれがモルソン。」

「あれは、ゴーレス。」

 リッキは、次々と現われる動物の名前を教えてくれた。


「この辺にいる動物は皆、温厚で害なし!」

 今日のリッキは賢者のようでいつもに増して頼りがいがある。


 イッキ達はそんなリッキに羨望の眼差しを向けていた。

 景色は草ばかりの平野から、木の多い茂る森に変わっていた。

 姿は見えないが梟に似た、鳥の低い鳴き声が聞こえる。

 かろうじて道と呼べる道をガタゴトと揺らしながら進んでいく。

 ウサギの鹿の角をはやしたようなゴーレスの次に現われたのは黒い体をした生き物だった。


 大きさは、イッキ達よりも大きそうだ。

 こちらに背中を向けて森の奥に入っていく。


「なにあれ?ゴリラ?」

 地面に長い腕をついて歩く姿は本当にゴリラのようだ。

 今までどんな珍獣が出てきても、スラスラと名前を出していたリッキの表情が曇った。


「なんだろう、あれ?」

 リッキが首を傾げたと同時に黒い生物がこちらを向いた。


「きゃっ!」

 それを見たミッキは、悲鳴を上げた。

 ゴリラのような、どこか人間に似た顔をしているかと思いきや、全くそんなことはなかった。

 似ている以前に、そいつには顔がなかった。


 目も鼻もなく、凹凸のない、のっぺらぼうだった。

 顔がないだけならまだしも、そいつはさらに異質な動きをし始めた。

 顔をこちらに向けたかと思えば、首を捻った状態のまま腕を引きずりながら、猛スピードで駆け寄ってきた。

 

「kldhふぁld;hfん;!!!!!」

 誰かがパニックのあまり訳のわからない言葉を発した。


 イッキにいたっては、操っている樹がビビリ過ぎて、一時的にパソコンから離れていた。


「あんなのマニュアルに載ってない!!!」

 パニックに陥りながらも、リッキはハンドルを切る。

 あまりの急カーブで車体が傾いた。

 アバター達も一気に左による。


 イッキがミッキをつぶし、イッキの背中にマッキが突進した。

「!?!」

「ごめん!」

「イッキ大丈夫?牙刺さった?!」

 

 後部座席もパニックになっていたが、前ではリッキがガンガンと隣にいたロッキを揺さぶっていた。


「くるクル来るくるクル来る!!!」

「ハンドル!ハンドル!!ハンドル!!!」

 二人が互いに大声を上げていて何を言っているかわからない状態だ。


 フロントガラスには巨大な木が迫ってきていた。

「「「前!!!」」」

 後ろの三人が声を揃えた。


「ぎゃあああああああ!!!」

 車はスピードを落とさず木の幹に突っ込んでいくところだった。


 その絶望的状況で、また新たなる状況が加わった。

 猛スピードで突っ込んでいこうとする車の前に、どこからか現われた人が立ちふさがった。

 その人物は、どこかの民族衣装のようないでたちで、仮面で隠した顔の表情はうかがえない。

 フィールドにいるとなるとVIPプレイヤーだろうか?


 確実にわかるのは、今ここにいちゃいけないという事だ。

 このリアルな画像で、自分が乗っている車で人を撥ねるのを見てしまったら、トラウマになるに違い無い。

 ただのゲームでそんなことになるのは御免だ。

 イッキは急いで後ろを向き、視点を変える。


 後ろにはさっきの黒い物体が速度を増して迫ってきていた。

 こっちはこっちでトラウマになりそうだ。


 イッキを操作している樹が画面から目を逸らすか、電源を切ろうか迷っている間に、ガンっという鈍い音と共に、車体が大きく揺れて止まった。


 うわ…絶対に前は向きたくない。

 きっと、物言わぬ男の死体が転がっているんだ。

 ゲームとはいえ、ただのアバターとはいえ見たくない。


「お前らどういうつもりだ。大茸を傷つけるつもりか?」


 イッキの想像をことごとく裏切り、音の無い文字だけの声が発せられた。

 ついでに、木の幹かと思われていたのは巨大茸の茎のようだ。

 イッキはおそるおそる前を向いてみた。


 そこには、片足を車のナンバープレート辺りにめり込ませた男が立っていた。

 足一本でこの車を止めてしまったようだ。


 ここはゲームの世界だ。

 なんでもあり。

 男の無事がわかりホッと胸をなでおろす。


「ここでなにをしている?」

 男はまたしても質問を投げかける。

 音が無いので、男が怒っているのか、そうでないのかもわからない。

 イッキ、ロッキが今まで会話していたように、吹き出しが出てそこに文字が表示される。


「けして、怪しいものでは!」

 放心状態のリッキの変わりにロッキがしどろもどろで答える。


「わかっている。」

 ロッキが慌てようがお構いなしに、平淡に返された。

 表情が全く読み取れず不気味だ。


「エーと私たちは…!」

「…」

 男はロッキが何か答えるのをじっと待っている。


「追われていたんです!!!」

「何に?」

 苛立たしげな男のセリフ。


「あれです!」

 ロッキが真っ青になった顔でこちらを指差す。


 知っているぞ、真後ろにいるって言うあれだ。

 知ってもついつい振り返ってしまう。


 PC画面の前で樹は『ヒィ!』と情けない悲鳴を上げた。

 黒い物体の顔らしき部分が画面いっぱいに映し出されていた。

 樹は呼吸を落ち着かせると再びイッキの操作に戻った。


「ここにいたのか!」

 男の声にイッキは再び前に向き直った。

 男は足を、めり込んでいた車体から抜き取った。

 その際に、変形したナンバープレートも取れた。


「すまん。取れた。」

 足の型がしっかり残ったナンバープレートをロッキに押し付けると、男は車の後ろに回りこんだ。

 ロッキの頭上に『アイテム:ナンバープレート』と一瞬だけ表示される。

 メンバーは呆然と男を目で追う。


「探したぞ。」

 黒い物体の横に立ち男が言う。


 あぁ、お仲間でしたか…


 そう思った次の瞬間、男は乱暴に黒い物体の首を掴み車体から引っぺがした。

 さらに地面に転がったヤツを踏みつける。


 どうやら仲間ではなかったらしい。


 さっきまでナンバープレートにめり込ませていた足を今度はヤツにめり込ませていた。

 ただ淡々と踏みつけているが、男が仮面の下でどんな残忍な顔をしているかわかったもんじゃない。

 イッキは男の仮面と物体を交互に見た。


「この時間帯は危険だ。」

 黒い塊を掴み挙げ、あらぬ方向に曲げ始めた。

「アカウントを消されたくなければ。」

 ギチギチと音を立てながら黒い塊を一まとめにしていく。

「ここには立ち寄るな。」

 男は完璧な球体になった黒い塊を作り上げて、満足気にそれを持ち上げた。

 動物アバター達は呆気にとられて口が利けなくなっていた。


 何者なんだ!

 そして、持っているそれはなんだ!


 いろんな疑問が浮かんでは消える。

 どれかを言う前に男はボールを手に背を向けた。

 彼から話す事はもう無いようだ。


「あ、ありがとうございました!」

 皆で一斉に頭を下げた。

 どんなに残忍でも一応助けてもらったのだ。


「待ってください!」

 黙っていたリッキが急に身を乗り出した。

 このまま平穏に事を終えると思っていたメンバーは、余計なこと言うなよ!とリッキに視線を投げかける。


 彼は動きを止めて振り返った。

「せめて、お名前を…!」

 リッキは少女漫画のように、潤んだ瞳を輝かせている。


「ヤマ…まあ、知る必要はない。」

 今ちょっと言いかけたよこの人!


 仮面の下の表情は読み取れなかったが、少し笑っていたような気がした。

 彼はまたこちらに背を向けた。

 今度は振り返る事も無く、森の中に入っていった。


「なんだったんだ?今の…?」

 ロッキの言葉にイッキはそうだねと頷く。

「もしかしてイベントの一種だったんじゃ?」

「だったらあんな意味不明な終わり方するかなぁ?」

「私達の言葉にも反応していましたしね。」

 とにかく、助かってよかった。


「かっこいい…!」

 そう呟いたのは、いまだに瞳を輝かせているリス、リッキだ。


「「えぇ!」」

「なんか胡散臭い人だったよ?!」


 

「この時間帯に来ればまた会えるかしら?」

と、頬を染めるリス。


「リッキ話聞いてた?危ないってよ!」

 ロッキが止めておいたほうがいいよと忠告する。


「また、助けてもらいましょう。」

 この時ばかりは皆返す言葉が無かった。

「という訳で今週土曜日暇な人!」

 皆顔を見合わせた。


「ごめんリッキ。その日は家族と出かける。」

 残念がる素振りもなくイッキが言った。

「俺、幼馴染と遊ぶ。」

 同じようにロッキが宣言する。

「私、彼とデート」

 語尾にハートマークまでつけながら、マッキが言った。


「か、彼…?えっ一人?私だけ?」

 助けを求めるようにミッキに視線を送った。


「すいません、リッキさんその日はちょっと…」

 とミッキは茶を濁した。


 肩を落としたリッキのご機嫌を取りながら、その日は何とかウインドビレッジまで戻った。

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