第一三一話 約束
(=ↀωↀ=)<ゴールデンウィーク三日目、連続更新も三日目
(=ↀωↀ=)<なお、次の話はいま書いている最中なので明日投稿できるかは不明
(=ↀωↀ=)<あと今回は書き下ろし書籍17巻のネタバレを含みます
□■アルター王国・上空
月影と別れて、数分。
高速飛行する一団は、僅かな時間にかなりの距離を移動できていた。
数十分もすれば、ギデオンに到着するだろう。
だが、一同の表情は暗い。
「未知なる怪異。影なる猛者。誰彼の者……亡霊か」
ジュリエットは『何だったんだろう、あの影……オバケじゃないよね?』と不安がっていたし、パレードは「あ。《指名手配》解除されたんで死んだみたいですね。墜落死なのかあの黒いのに殺されたのかは分かりませんけど」と空気が読めない発言をしていた。
「月影先輩……! くそっ、どうなってるんだ! それに何であれがこっちに……!」
レイもまた、困惑の言葉を発しながらシルバーの手綱を握りしめている。
「……?」
しかし、ルークはレイの発した言葉に違和感を覚えた。
余人が聞いたならば、レイの言葉は奇襲そのものに対する狼狽とも取れるだろう。
だが、この世界で彼と最も付き合いの長い仲間であり、誰よりも心を読み解く術に長けるルークには違う意味合いを含んで聞こえた。
レイの声音には、『ここにないはずのものがある』ことへの驚愕が含まれていた。
「レイさんはアレが何か知っているんですね?」
「……同じかは分からないけど、二つ思い当たるものがある。だけど、どっちもありえないんだよ」
「聞かせてください」
ルークに問われ、レイは答える。
それは、自分の中でも整理がついていない情報。
記憶の中にあった、とある存在……ここにいるはずがない存在達との符号。
「……あいつの喋り方、【ホロビマル】と同じだった」
――【神獣狩】、確認候。
それは、かつてのイベントで彼が目撃した【ホロビマル】……の『鎧』が発した言葉。
あの影法師の見た目はまるで異なるが、無関係とも思えない重なり方だった。
「ホロビマル!? <SUBM>の!?」
レイの言葉に、ジュリエットが素の言葉遣いで驚きの声を上げる。
「ん? あっ、そうか。イベントじゃジュリエットが来たときにはもう消えてたから……」
「え?」
「今は話の続きを。二つと言いましたが、もう一つは?」
ルークに促され、レイはもう一つの心当たりについて述べる。
「俺の持ってる斧絡みだ。……斧の試練で見たのと似てるんだよ」
一つ目が喋り方の類似とすれば、二つ目は容姿の類似。
「ああいうシルエットの……昔の斧の所有者を再現した敵性ユニット、って奴だ」
この三日間、レイがこの世界で眠っている間に挑んでいた斧の試練。
あの影法師の黒塗りの姿は、試練の中でレイが相対した敵性ユニット達と酷似していた。
「所有者の再現……」
「でも、試練のっていわゆる精神世界の存在だから、現実に出てくるはずがないんだ。喋り方が【ホロビマル】と被ってる理由も不明だし、どっちも偶然かもしれないけど……」
レイの勘はそう言っていない。
何より、夢の中で何十回と敵性ユニットに殺された経験がその勘を補強していた。
形はこれまで戦った敵性ユニットのいずれとも違うが……存在として同じものだ、と。
「…………」
レイからの聞き取り、状況証拠ばかりだったが……ルークの中で繋がっていく。
「試練の類似。疾風の騎手が語るは剣の頂に至る道の門番。それは英雄の肖像」
「え……?」
話を聞いていたジュリエットがそう述べ、レイが驚いたように彼女を見る。
「レイさん。ジュリエットさんはなんと?」
「ああ……。『試練と言えば、【剣王】に転職するためのクエストは、コピーされた強い剣士と一対一の命懸けで戦うクエストなんだってライザーから聞いたことがあるよ』って……」
それを聞き、ルークの中でさらに思考が回る。
斧という特異な例だけではなく、超級職への転職クエストというこの世界に根差したシステムの中にも類似したものがある。
まして、命懸け……実際の生命を脅かせる影響力のある存在として。
「再現、コピー……それなら」
加えて、ルークの方でも気づいた状況証拠がある。
それは先の攻防の際に抱いた違和感。
「あの影法師との戦闘で気づいたことですが、あれは併用不可能……シナジーにないジョブスキル同士を同時に発動していました」
ルークの言葉に、同じく相対したジュリエットも頷く。
決闘ランカーとして多くの相手と対戦した彼女でもあんな組み合わせは見たことがない。
「あんな動きは本来であれば不可能ですが、それが可能な存在が一つだけあります」
「それは?」
レイに促されルークは答えを……既に失われた存在を提示する。
「――【勇者】です」
【勇者】。それは特殊超級職の一種。
全ティアンの中からランダムで生じ、あらゆるジョブへの適性を持ち、サブジョブのスキルをシナジー関係なく使用できる破格のジョブ。
その名を聞き、パレードが「ありえない」と首を振る。
「はぁ? いやいや【勇者】はないでしょう。死んだばっかりですし。新しいのが生まれていたとしてもMAXでまだ生後半年くらいでしょ?」
パレードが言うように先代の【勇者】は……かの疫病王事件にて戦死している。
次代が生まれていたとしても、あそこまで育っているはずがない。
しかし、それを覆しうる情報は既に提示されている。
「レイさんの言っていた敵性ユニット……過去の存在の再現が、アレに当て嵌まるのならばありえます」
「あ……」
「そして、【ホロビマル】との関連は……」
ルークは更なる情報を自身の脳内から引き出しながら、高速で推理を回す。
疫病王事件についてはルークもよく知っている。
ルークにとってこの世界での最初の師とも言えるマリーが解決した事件であり、<マスター>の起こした最大最悪の犯罪。
探偵の性質かルークもその件については過去に調べており、関連する情報も頭の中に入れている。
かの事件で【勇者】は【疫病王】に殺され、メイヘムという小国が滅びた。
そしてメイヘムを滅ぼした【疫病王】の討伐に多くの者が乗り出したものの……それは叶わなかった。
【疫病王】が広大な範囲に蔓延した疫病に守られていたこともあるが、超長距離攻撃に対しての異常な探知能力も理由の一つだった。
そう、当時の資料を読んでみると、【疫病王】はまるで『敵』の動きを察知しているとしか思えない行動をとっていた。
疫病圏内に侵入した相手の動きを探る能力でもあるのかと思われたが、【砲神】のように範囲外から攻撃を仕掛けたものの攻撃さえも対処されている。
【疫病王】が探知できなかった例外は、《消ノ術》でこの世界から消えていたマリーのみ。
更なる情報として、資料にはない情報……倒したマリー本人から聞いたこともある。
それは彼女が【疫病王】を倒した際に、【疫病王】は他の装備とはまるで似合わない……兜を着けていた、と。
ここまでで、一つの推測が立つ。
【疫病王】が発揮していた埒外の探知能力が、【疫病王】個人の能力ではなかったとしたら。
【勇者】を殺して奪った何か……装備品の類の効果であったなら。
そして、かの<SUBM>【ホロビマル】は天地に上陸した時点で兜を失っており、【勇者】はその少し前に天地から大陸にやって来た存在だった。
(【ホロビマル】……自身を小分けして強者に配る<SUBM>。シナジーによらないジョブスキル。【勇者】。敵の位置を探る力。兜。死したティアンの模倣。疫病王事件。【疫病王】の倒された場所。僕達への襲撃。『超級職、確認候』。この戦争における……)
提示された情報を脳内に高速で走らせ、ルークは自らの中で答えを導き出す。
「……そういうことですね」
「ルーク、何か分かったのか?」
レイに問われ、ルークは頷く。
「恐らくですが、あれはレイさんが言うように【ホロビマル】……その兜です。それがかつての所有者であった【勇者】を、レイさんの言う敵性ユニットに近い状態で模倣・再現して動かしている」
「!」
「そして再現した身体で、天地の【ホロビマル】と同じように強者との戦いを繰り返している。違いはあちらが定点で挑戦者を待つスタイルであったのに対し、あの【ホロビマル】は自ら動き回っていること。それも、あの言動からして超級職を優先して探し、戦いを仕掛けています。そのための探知スキルも、あの兜に備わっているんでしょう。……それで戦争中に確認されていた不可解な脱落者にも説明がつきます」
ルークの推理にレイとジュリエットが驚き、それから納得の表情を浮かべる。
だが、そこにパレードが「ちょっと変じゃないですか?」と口を挟む。
「超級職狙いって話ですけど、真っ先に殺されたのはボルなんとかさんでしたよぉ?」
パレードが言うように、あの場で最初に狙われたのは超級職ではないボルヘッドだった。
「ええ。その件を踏まえると、凡その行動原理と優先順位も見えてきます」
「へ?」
「遠くから超級職の存在を探知して近づいてくる。戦場では攻撃してくるものを優先。ただし、式神を迎撃したジュリエットさんのように即座に倒せなかったならば、その場で最も弱いものを優先して数を減らす……といったところでしょう」
「あー。あの【暗殺王】さん、もうボロボロでしたからねぇ」
「「「…………」」」
パレードは『納得納得』という顔をしているが、そうではない。
影法師がシルバーを狙ったのは、月影を殺すためではない。
あの場では飛び抜けて弱い超級職を……影の中のパレードを察知し、殺すために近づいたのだ。
そして結果として、月影が応戦しただけだ。
超級職を狙う、攻撃してきた者も殺す、手間取りそうなら弱いものを狙って数を減らす。
シンプルで分かりやすい思考だ。
繰り出される戦闘技術と乖離していると言っていいほどに。
(肉体の能力や戦闘技術が【勇者】の再現だとしても、行動は【ホロビマル】由来ということかな? それなら、付け入る隙はそこに……)
ルークが次の為に思考を続けていると、パレードが「んん?」と首を傾げた。
「ん? あれ? 兜で超級職を探せるって言いました?」
「ええ」
「……それ、距離をとってもすぐに追ってくるのでは?」
「――ええ」
偶然の会敵であれば良かった。
それならば月影という犠牲は出てしまったものの、このまま逃走することができた。
だが、ルークの推理通りならば影法師は超級職を探知して襲ってくる。
そして、今ここには……超級職が三人。
ルークの言葉に、パレードがあんぐりと口を開ける。
「どどど!? どうするんです!? ギデオンに逃げ込むの間に合いますか!? もしかしてギデオンに入っても襲ってきたりします!?」
「……いえ。恐らく、その心配はないでしょう」
怯えて狼狽し諤々と震えだすパレードを宥めるように、言葉を続ける。
「現段階では希望的観測ですが、街の中には入ってきません」
かつてのガイリュウオウ事件のように、<UBM>をはじめとする強力なモンスターやそれらの影響を受けたモンスターは、セーブポイントの影響を受けた街の中にまでも侵入することがある。
あの影法師も強さで言えば間違いなくその域であり、存在自体が<SUBM>の成れの果てとも言える。
しかし、仮に街の中に侵入可能だとすれば……現状に合わない。
影法師の仕業と思しき脱落者は国中に散っているのに、あの影法師らしきものが王国の街に侵入したと思しき報告はないからだ。街の中で待機・休息している超級職も多くいたというのに一例も、それらが襲われたことはない。
そのことから、あくまで街の外を徘徊する存在なのだろうとルークは当たりをつける。
ゆえにギデオンまで辿り着けば逃れられるかもしれない。
だが、今は単純に……。
「しかしこのままでは……こちらがギデオンに着くよりも先にまた襲われます」
逃げ切れない。
パレードが月影の死を確認してから、既に三分。
飛び続けて距離を離してはきたが、そもそも最も移動速度が遅い者に合わせた集団よりも単身で駆ける影法師の方が早い。
遠からず、追いつかれるだろう。
「じゃ、じゃあどうやってギデオンまで逃げるんです!? 次もまた誰が時間稼ぎの生贄に!? あ、私はギデオンでビフロスト開く仕事があるのでジュリエットさんかルークさんでどうぞ!」
「「…………」」
レイとジュリエットは、『この人は思ってても普通なら言わないことを言うなぁ……』と逆に感心してしまっていた。
だが、遠からず再び会敵する影法師に無策ではいられない。
「なら、ここで迎え撃つしかないか。全員でやれば……」
「……いえ」
逃げられないなら戦うだけと述べるレイに対し、ルークは首を振る。
そして……。
「パレードさんの案でいきましょう」
「え?」
「――僕が残ります」
――自分が殿を務めると三人に告げた。
「ルーク……!?」
「レイさんはパレードさんと一緒にこのままギデオンに向かい、フランクリンとの決戦に備えてください。ジュリエットさんもレイさんの護衛をお願いします」
レイが驚き声を上げるが、ルークは冷静に指示を出す。
「……此の身は決闘の専門家」
「そうですね。一対一の戦いなら、決闘上位ランカーのジュリエットさんの方が向いています。ですが……」
ジュリエットの言わんとしたことを今回は察し、ルークは肯定する。
だが、問題はそこではないのだ。
「竜の首を断ったあの斬撃、ジュリエットさんは対処できますか?」
「……!」
あの斬撃……我流魔剣は別格だ。
それこそ、王国最速を誇るカシミヤの抜刀術にも匹敵する。
速度は劣るだろうが、振った後の刀の状態から金属操作との併用とは予想できる。ゆえに斬撃の軌道がカシミヤ以上に理解不能。
先の攻防では初手でボルヘッドの天竜に使っていたからこそクールタイムの都合で再使用していなかったが、再び会敵するころにはそれもあけているだろう。
再度の会敵では惜しまずに使ってくるはずだ。
そも、あの場で非超級職……言ってしまえば戦力的にルークやジュリエットに劣るはずのボルヘッドに魔剣も魔法も出し惜しみしなかった時点で、『惜しむ』、『温存する』という思考すら存在していないだろう。
「あの斬撃、僕には見ることさえできませんでした」
「…………」
それはジュリエットとて同じ。
そして、ジュリエットではあの抜刀術に対抗する術がない。【ブローチ】によって一度は防げるかもしれないが……むしろそれを前提に命ではなく身体を削がれて詰むだろう。
この点では、ルークとジュリエットに差はない。
だが……。
「けれど……僕の鋼魔人なら耐えられます」
ルークには《ユニオン・ジャック》――鋼魔人という手札がある。
液体金属スライムであるリズとの合体形態。
先刻までは空中戦を想定してオードリーを対象とした待機状態だったために使えなかった、今は既にリズに対象を変更して準備中だ。
そして鋼魔人化すればリズが持つ特性を獲得できるため、斬撃相手ならばほぼ無効化できる。
「あの状態の僕ならば、少なくともある程度の時間は稼げるでしょう」
「…………」
そう、時間は稼げる、だ。
ルークも自覚しているが、影法師は強大な敵だ。
相性有利で手札の半分を封じてもなお、『勝てる』と言えない程に。
「えっとぉ、残ってくれるのはありがたいんですけど、一人より二人がいいと判断してこっちを狙ってくる可能性ありません? こっちは私と何言ってるか分からない子で二人になりますしぃ……。なんならお二人で残られては?」
「…………むー」
パレードの発言にジュリエットが不満そうな顔をするが、ルークは首を振って否定する。
「あれは数を重視していませんよ。そうであればこの戦争中の大きな戦場のどこかで横入りしてきたでしょうから」
この三日間、多数の超級職が交戦する戦場は幾つもあった。
それらの戦場に影法師は一度として現れていない。
逆に今回、超級職四人で動いていたルーク達を襲ったことから数が多い相手を避けているわけでもない。
それゆえ、超級職を探知しているが『数』ではなく『最も近くにいる超級職』に優先して向かう単純な行動ルーチンなのだと判断できる。
捜し、追い、戦い、殺す。それだけの存在。
問題は……それが【勇者】の力と技量を持っていること。
先ほどの戦いで分かったが、アレは数や火力で押してどうにかなる類ではない。大抵の攻撃手段は先刻の攻防のようにいなされて致命打にならないだろう。
使うスキル一つ一つは珍しいものでもないのに、使いどころと身のこなしがあまりにも秀でている。
そも、模倣元と思われる【勇者】でさえも『国全体への疫病攻撃』という規格外の手段で初めて倒されているのだ。
影法師……【勇者】草薙刀理へのルークの印象は『ティアン版のフィガロ』だった。
そんな相手に、ルークは時間を稼ごうというのだ。
(……時間を稼いでも、ギデオンに近づかれるリスクは残る。街の中にいる間は手を出さなくても、フランクリンとの決戦では街の外に出ざるを得ない。そこに介入されるリスクはある。叶うならば、皇国側の超級職にでもなすりつけたいところだけど……)
完全に運任せであるし、フランクリンが最悪自分とモンスターだけで来た場合、王国側の戦力が狙われるリスクの方が大きい。
そして、そんな相手に単独で対処可能かもしれないフィガロやカシミヤはこの付近……ギデオンにはいない。
(それでも今は……僕がレイさん達が辿り着くまでの時間を稼ぐしかない)
ルークはそう決意し、それからジュリエットを見る。
「もしもこの読みが外れ、僕ではなくそちらに向かったときは……」
「了承せり」
ルークの言葉にジュリエットは頷く。
そうなったときはルークに代わって自分が相手を時間稼ぎの役目を負う、と。
(……よし。今は、これが最良。既にシュウさんから聞いていた情報を基に編んだ対フランクリンの編成や注意事項は通達済み。僕が欠けても、問題はない)
ルークが覚悟を決め、一人この場に残ろうとしたとき……。
「…………」
自分を守ろうとする者達の覚悟に、レイの表情が強張る。
これまでも繰り返した、自分を守るために前に出る仲間達。
今は……最初の仲間にその順番が回ってきたのだ、と。
「……レイさん。決戦でフランクリンの取る可能性が高い戦術については出発前に伝えたとおりです。けれど、フランクリンならばそれ以上の悪辣な手段を用意しているかもしれません。ですが、レイさんならそれを打ち破って勝てると信じています」
「ルーク……」
それだけ言い残して、ルークはオードリーの進路を反転させる。
接近してくるだろう影法師へと向かう。
そんなルークの背に……。
「ルーク!」
これから【勇者】の力を持った<SUBM>を相手にする仲間に対して、レイは……。
「――ギデオンで待ってるからな!」
――ただ一言、『お前が勝つのを信じている』と告げた。
「……、……はい!」
ルークは言葉を返し……約束した。
◇◆
そして、時は至る。
彼は天ではなく地に立って、敵を待っていた。
敵は彼を無視することなく、自らのロジックに従い、地に降りて彼に近づく。
そうして、両者は向かい合う。
「ホロビマル。あるいは、【勇者】草薙刀理」
彼方へと飛び去る仲間達に背を向けて、彼は独り、影の前。
「僕の名前は、ルーク・ホームズ」
言葉が通じるとは思えぬそれに、あえて自らの名を名乗る。
「探偵で、怪盗で、【魔王】」
語るは彼の生まれ、学び、至った座。
「そして……」
そして……。
「――ここであなたに勝つ者です」
――これから成さんとする未来。
『――【色欲魔王】、確認候』
――【勇者】の影は、【魔王】の宣言を受けて立つ。
今ここに……最も新しき【魔王】と【勇者】の闘争が始まる。
To be continued
(=ↀωↀ=)<【勇者】VS【魔王】
(=ↀωↀ=)<メタ的にはこれがやりたくて影法師投入したところはある
(=ↀωↀ=)<皇国側の準<超級>処理要員としての役目も大きかったけど
 




