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<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム-  作者: 海道 左近
蒼白詩篇 五ページ目 & Episode Superior 『命在る限り』

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エピローグA 星明りの下で

(=ↀωↀ=)<昨日(24時含む)四話更新してるのでご注意を


(=ↀωↀ=)<区切りの問題で短めエピローグ


(=ↀωↀ=)<このエピローグ後に他のエピローグを連続更新です

 □■カルディナ某所


 夜の砂漠を、一艘の砂上艇が進む。

 その船の舵を握るのはラスカルであり、隣の座席にはいまだ目を開かないマキナの姿がある。

 既に身体を侵食していた光は消えているが、侵食中の負荷が高かったのかまだ目覚めていなかった。

 ラスカルは船を操縦しながら、しかし時折……心配そうに彼女を見ていた。

 そんな折……。


「……ぅ……」


 回復したのか、マキナは身動ぎした後……左の瞼を開けた。


「えっと……ここは……?」

「……ようやく目が覚めたか、ポンコツ」


 目覚める前の心配などおくびにも出さず、ラスカルはいつものように彼女に接する。

 ただ、内心には安堵があり……声は自覚なく僅かに震えていた。


「……? …………あ! <UBM>に……ど、どうなったんですか!?」

「落ち着け。順を追って説明する」


 自らにしがみついてくるマキナを鬱陶しそうに左手で押しのけ――けれど僅かに口角を和らげながら――ラスカルは説明する。


「件の<UBM>、【フーサンシェン】は倒した。俺の独力ではないし、外部に手の内を明かすことになったがな」

「よかったぁ……」

「……しかし、その後に一つ問題があった」


 「問題?」と首を傾げるマキナに対し、ラスカルはその光景を思い出す。


 ◇◆◇




 □■【フーサンシェン】撃破直後


 【<UBM>【百棄弥光 フーサンシェン】が討伐されました】

 【MVPを選出します】

 【【ユーゴー・レセップス】がMVPに選出されました】

 【【ユーゴー・レセップス】にMVP特典【百折不撓 フーサンシェン】を贈与します】


 そのアナウンスは、この場の誰もが望んだものだった。

 それこそは、<UBM>の討伐を保証するもの。

 即ち、悲劇の終焉に他ならないのだから。


「終わっ…………たぁ!」


 溜まった感情を吐き出すようなソニアの声。

 カルル、『獅子面』、【ベルドリオン】との連戦は彼女と<童話分隊>にとっても最大の困難だったのは間違いない。


「おつかれさん」

「あ! グリムズ! アンタなんで最後にクトーニアン切っちゃったのよ!」

「切れたんだよ人聞き悪ぃな!? つーかこっちまだ第四だぞ!? あんなもんを数分止めただけでも大金星じゃねえのか!?」

「…………」

「『二人はマイペースだね』です。……いえ、創造主様も大概では?」


 そんな<童話分隊>のやり取りは、戦いが終わった後の緩んだ空気を象徴するようなものだった。

 だが……。


『――総員離脱!!』

『――離れろ!』


 ラピュータのグレイと【ヴィドス・グランゼラ】のラスカルから、異口同音の警告が発せられた。

 共に機動兵器の内部でセンサーに目を向けていたからこそ、二人は気づいたのだ。

 【フーサンシェン】を失い、再び身体を動かす頭脳を失った【ベルドリオン】。


 その体内で――注ぎ込まれたままのエネルギーが暴走し始めている。


 頭脳による制御を失った莫大な魔力(エネルギー)の暴走。

 それが【ベルドリオン】の機能を過剰稼動(オーバーロード)させる現象。


 即ち、<アクシデント・サークル>。


「ッ!」


 【ベルドリオン】を中心に歪み始める空間から、<マスター>達は一目散に離脱する。

 しかしその中でたった一人、離脱が間に合わない者がいた。


『ユーゴー!!』


 ベルドルベルが呼びかけた青年……ユーゴー・レセップス。

 【ベルドリオン】の胸部に肉薄し、零距離攻撃で【フーサンシェン】を仕留めた彼だけは……もはや逃れることが叶わない。


「――あ――」

 一瞬の後、巨人の残骸はユーゴーの白い機体と共に――何処かへと消え去った。


 行く先が土の中か、水の中か、……虚空の果てかさえも、今は誰にも分からなかった。


 ◇◆◇


 □■カルディナ某所


「そんな訳だ」


 ラスカルの経緯説明に、マキナは「ほへー」と驚いた顔だ。


緊急脱出機能(ベイルアウト)の再発動くらいは考えてましたけど、……<アクシデント・サークル>になるってどんだけのエネルギーだったんですかその<UBM>。四号に積めてたらな~……」

「やめろ。地獄だ」


 【フーサンシェン】の玩具になった【ヴィドス・グランゼラ】など、【ベルドリオン】以上に世界の危機である。


「……ともあれ、その後は混乱の中でその場を離脱した。あちらも俺が指名手配されているとはいえ、追う余裕はなかっただろうからな」

「結局、ベルドリオンは回収できなかったですねー……。ご主人様も私も大変でしたし……これが骨折り損の草臥儲けってヤツですね……」


 マキナがトホホ顔で俯く。


「ベルドリオンは消えたが、逆に使われることもなくなったからよしとしよう。それに拾い物はあるぞ」

「え?」


 そう言ってラスカルは船のデッキに何かを放出する。

それは焼け焦げた機械の残骸と、人に装着する機械甲冑だった


「これって……」

「【フーサンシェン】の手駒になっていたカルディナの新兵器の残骸と、ウィンターオーブのパワードスーツだ。何かの研究の足しにはなるだろう」

「うわぁ! 転んでもタダじゃ起きませんねご主人様!」


 嬉しがるマキナに、ラスカルは笑みを浮かべる。

 今回の事件の労力や情報アドバンテージの損失、加えてしくじったときのリスクを思えばまるで足りないが……良しとした。


「そういえば、ご主人様。うちの砂上艇ってこんなのでしたっけ? 妙に速いですし」

「ああ。半壊した【サードニクス】を組み込んだ」

「え!? うわ、マジでやってますね!?」


 マキナが船の中を覗いてみれば、そこにはエンジン代わりになっている【サードニクス】の姿があった。

 なお、【ヴィドス・グランゼラ】のときのように機体をそのまま組み込んだので、どこか所在なさげなサードニクスの頭部が伸びているシュールな絵面だ。


「後で取り出して改修しておいてくれ」

「はーい……。でも大分壊れてますし、時間も掛かりますよー?」

「だろうな」


 そう言って、ラスカルはマキナの頭にポンと……優しく手を置いた。


「だが、マキナがいてくれるなら……できるだろ?」


 ラスカルは真っ直ぐにマキナの一つしかない目を見ながら、そう告げる。


「…………」


 マキナはその視線を受け止めて


「……もしかしてデレてます?」


 生体部品の皮膚を赤くしながら、照れ隠しのように頬をかいた。


「このポンコツ」

「あっ」


 ラスカルはそんな彼女の頬に手を添えて。


 星明かりの下で……少しだけ顔を重ねた。


 To be continued

(=ↀωↀ=)(この作者両思いになるとキスさせるよな)


(=ↀωↀ=)<ちなみにこの後は他陣営のエピローグですが、ユーゴーはエピローグないです


(=ↀωↀ=)<飛ばされた後にどうなったのかは再登場したときに……

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― 新着の感想 ―
モノクロームに意思があるらしいので、きっと狸もエレメンタルだし武具に意思ありそう。 能力的に機体のメンテ要員だろうか。 最後に見たきれいなおもちゃで遊べそうでよかったね。
[良い点] これまで色々あったユーゴーの手に入れたのが「百折不撓」っていうのがめちゃくちゃ熱い [一言] ラスカル&マキナはIFの面々に祝福されながら結婚式あげてくれ
[一言] 【百折不撓 フーサンシェン】 ↑ レイが不撓不屈の『不屈』だから、ユーゴーは『百折』だな!(`・ω・´)(たぶん不撓) 関節バキバキな可変機能付けなきゃwww あ、変形機能付きパワードスーツ…
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