第三十九話 兵器
(=ↀωↀ=)<告知ー
(=ↀωↀ=)<メインヒロイン(重要)ネメシスちゃんのフィギュアが
(=ↀωↀ=)<7月21日発売!(場所によっては20日)
(=ↀωↀ=)<グッズは他にも色々出ているので気になる方は通販サイトで検索してみてね!
( ꒪|勅|꒪)<ダイマ好きだよな、お前
□■王国北西部
<墓標迷宮>襲撃に端を発したイゴーロナク追撃戦。
<デス・ピリオド>の呼びかけで参集した王国の一団は、地上と空中に分かれて移動していた。
五〇〇メテルの高度を往くのは飛行能力を持つ<エンブリオ>やテイムモンスター、【セカンドモデル】に騎乗した者達。
彼等は地上との連携を取りやすく合流もしやすい高度で、地上と速度を合わせて進んでいる。
より高速かつ高高度の移動も可能だが、相手が待ち受けている以上は戦力分散が不利になるためだ。
飛行型の速度を活かしきれないとも言えるが、五〇〇メテルでも高度に応じた遠方を見ることができ、敵陣の確認もできる。
まして、皇国は空中戦力が多くない。皇国の兵器は陸戦兵器がメインであり、【セカンドモデル】のように飛行手段となりうる量産兵器はない。
いざ空中戦となれば王国が有利と考えての行軍だった。
「…………」
ルークもまた自らの乗騎である【メテオ・ガルーダ】オードリーの背に乗り、視力強化のメガネを装備しながら周囲を探っている。
タイムリミットのある眷属化は行っていない状態だが、それでも進化によって純竜クラスの飛行戦力にはなっている(そもそも、オードリーの眷属化は人を乗せての飛行に適していない)。
また、オードリーの背にはルーク以外にも三人の人物が乗っている。
一人目はネメシス。目を閉じて自らの内なる感覚に集中し、ターゲットの進路に変更があればそれをルークに伝えている。
二人目は霞。常にタイキョクズを見つめ、王国勢以外の<マスター>の反応を探っている。
そして三人目はアルベルト。戦闘に突入した際、いつでも降下できるように待機している。
「霞さん、状況はどうですか?」
「い、今のところ変わった反応はないです。<超級エンブリオ>を示す『Ⅶ』もアルベルトさんだけで……」
現在のタイキョクズの探知範囲は都市一つよりも広いが、あまり高空になると地上の探知範囲が狭くなる。空中班がこの高度で飛んでいるのは、霞のタイキョクズの効果範囲の問題もあった。
「こちらルーク。マリーさん、そちらで何か動きは?」
『特にないですねー。感知系スキルも反応なしです。<K&R>や<バビロニア戦闘団>、他のクランも同様みたいで』
追撃戦に応じたクランとの連携は取れている。
なお、<バビロニア戦闘団>はクラン自体はランク外だが、サブオーナーのライザーと戦争ギリギリに決闘三〇位へと返り咲いたラング、新規にクランへと加入したビシュマルが参戦している。
「そうですか。それで、あの二人は……」
『カシミヤはソロで動いてたみたいでまだこっち来てませんね。トミカって子が迎えに行ってるみたいですけど。ルーク君が呼んだあの人もまだです』
「分かりました。引き続き、何かあれば連絡を……じきに王国領土の北西端が見える頃です」
そう告げて、ルークは通信を切る。
既に彼らは王国の北西部に移動し、じきにその北西部も抜ける。
あるいは、イゴーロナクは王国北西部どころかその先にいるのかもしれない。
フラッグを持っていないならば一時的に出ても問題がないため、王国の領外にまで追撃をかけることになるだろう。
(けれどきっと……)
戦闘は、その前に発生するとルークは読んでいた。
◇
地上を進む者はマリーのように自ら走る者もいたが、多くは陸上移動用の<エンブリオ>やAGI型の地竜が牽く竜車に分乗していた。
その中を、一台のバイクが走っている。
バイクの名はヘルモーズ。“仮面騎兵”マスクド・ライザーの<エンブリオ>。
今はサイドカーも取り付けられ、そちらにはビシュマルが乗っていた。二人で遠出する際にはいつもそうしている。
しかし、今はこのバイクに三人乗っている。
「ライザーさんのバイクすっごいパワフルですね!」
<デス・ピリオド>のメンバー、イオである。
以前、王都防衛線で共闘してから何度か模擬戦やクエストを共にしていたが、今回は彼女から「バイク乗ってみたいです!」というリクエストをして後ろに乗せてもらっている。
余談だが、三人娘の残る一名であるふじのんは手持ちの【ランドウィング】に乗っていた。
友人二人がそれぞれ男と乗っているのに対し思うことはあるが、かといって誰か一緒に乗りたい人物がいるわけでもないので良しとした。
『喜んでもらえたなら幸いだ』
「はい! すごく嬉しいです!」
「ハッハッハ、モテてるなぁライザー!」
『茶化すな……。それに、そういう話でもないだろう。ヘルモーズに乗りたいというリクエストはこれまでもあった』
バイクという乗り物自体が<Infinite Dendrogram>では珍しい。
それもあって目を引くし、乗りたいと言う者も男女問わずそれなりにいた。
「ライザーさんとヘルモーズはセットでフィギュア欲しいくらいカッコいいです!」
「俺のはどうだい?」
「なんかアメコミフィギュアっぽくなりそうですね!」
ライザーは米国のマッチョな造形のフィギュアを思い出し、ビシュマルは確かにそっち寄りだなと内心で同意した。
それと、もう一つ思い出す。
『フィギュアか……たしかギデオンの職人が試供品に送ってきていたな』
実は、既にライザーとビシュマルのフィギュアはギデオンで売っている。有名な<マスター>はグッズも出ることがあり、古参の決闘ランカーである二人はそれも経験済みだ。
なお、レイのフィギュアはまだないがネメシスのフィギュアは発売予定がある(レイは装備がコロコロ変わるのでそういったことが難しかったらしい)。
『よければ譲ろうか?』
「ホントですか! ありがとうございます!」
イオは嬉しさを表現するようにライザーの背中にギュッと抱きついた。
『…………』
「おい、ハンドルミスるなよ!?」
『善処する』
少し動揺して車体を揺らしかけたライザーは、努めてハンドルを安定させた。
「お、そうだイオちゃん! 俺のフィギュアもどうだ! 嬉しさでハグしてくれてもいいんだぜ!」
「あ。ハグすると熱そうなんで遠慮します。走行中にサイドカーの方をハグするの危ないですし」
「いつになく冷静!?」
三人でコントのようなやりとりをしているが、ライザーとビシュマルは警戒を怠ってはいない。
《殺気感知》のスキルだけでなく、視覚と聴覚でも車上から異常を察知できるように集中しているが、何者かが仕掛けてくる気配はない。
「しっかし、何も起きねえな。こっちで合ってるのか?」
『ネメシス……<エンブリオ>の独自感覚による追跡だ。欺瞞を掛けるのは難しいだろう。遠からず、ぶつかるはずだ』
「近づけばうちの霞もバシッと見つけますよ!」
イオの言葉にライザーも頷く。王都での【アピス・イデア】との戦いでライザーも霞のタイキョクズは確認済みだ。
「だがよ。<超級エンブリオ>はすぐ見つかるだろうが、俺達みたいに第六止まりの奴が寄ってきたら気づけるのか?」
「んー、でもアタシ達ってみんな速度合わせてほぼ一直線に動いてますからね! ちょっと変な動きしてるのがいたら目立ちますよ!」
イオの言葉に、二人も「たしかに」と納得した。
「何かの拍子に少数で寄ってくるとかはありえますけど……」
『何か、とは?』
「えーっと、全体の動きが乱れるアクシデント、とか?」
イオが悩んだ末に具体性のない言葉で答えた直後、
――彼らの上空から幾つもの破壊音が聞こえた。
◇
その瞬間まで、上空の<マスター>達の《殺気感知》には何の反応もなかった。
『KIE!?』
「オードリー?」
だから、オードリーが身を翻したのはスキルならざる直感。
空を征く神鳥の末裔、かの【ツングースカ】に連なる怪鳥の一羽としての本能に近い。
唐突な彼女のバレルロールは、危うく背の上の四人を落としかけ、
――瞬きの間に天空へと到達した砲弾を紙一重で回避した。
「!?」
ルークの顏が、彼には珍しい驚愕を象る。
だが、他の者はそれだけでは済まない。
宙にあった<エンブリオ>、テイムモンスター、【セカンドモデル】。
空中を進んでいた王国戦力の四割近くが――木っ端微塵に砕け散っていた。
「……え? えぇ!?」
「霞さんはタイキョクズから目を離さないで!」
「は、はい……!」
狼狽しかけた霞は、ルークの声にすんでのところで平静を保つ。
ネメシスは今も目を閉じて感覚に集中し、アルベルトは周囲に視線を巡らせている。
「…………」
ルークはその破壊痕や残骸の散らばりから、砲弾の飛来した方角を北西の地上部と判定。そちらへと目を向ける。
五〇〇メテルの高度ゆえに、地平線は八〇キロメテル先まで見渡すことができる。
そこには寸前まで何も無かったはずだった。
進行方向から目を離すはずもない。何かあれば、確実に見つかるはずの場所。
しかし、何も無かった荒野に幾つもの戦車が出現している。
紫電を漏らしながら、まるで空気中から溶け出すようにそこに出現する。
「光学迷彩……!」
自らの纏っていた迷彩を剥がしていく戦車達。
それらは形状もまた尋常ではない。
地球の歴史で言えば三号突撃砲やヘッツァーと呼ばれる車種と同じ……回転する砲塔のない戦車であった。
砲身も戦車として当たり前の円筒ではなく、二枚の板を向かい合わせたような奇怪な形状。
様々な意味で異形の戦車である。
しかし、異形なれどもその戦力は確かなモノ。
霞を始めとする探知能力の範囲外から、上空にあった者達を狙い撃ったのだから。
戦車で航空戦力を撃ち落とす異常。
それもこの<Infinite Dendrogram>ならありえなくはないが、問題は……。
(どうして、《殺気感知》が作動しなかった?)
自身への攻撃意思を掴む《殺気感知》。
周囲で起こる危険の気配を掴む《危険察知》。
どちらにも反応はなく、結果として多くの<マスター>が無防備に攻撃を受けた。
スキルのレンジ外から放たれた砲弾が一瞬で到達したゆえに《危険察知》が作動しなかった、という理屈は分かる。
だが、自身に向けられた敵意を掴む《殺気感知》が働かなかった理由を考えて……。
(……なるほど、そういうことですか)
ルークは戦車達の動きを見てすぐに答えを得た。
戦車は一糸乱れぬ動きで次のターゲットに照準を合わせようとしている。
そこに、人間らしい誤差や癖はほとんどない。
それらが生物としての敵意がない自動兵器だと、ルークは理解した。
「…………」
百はあろうかという台数と光学迷彩、数十キロメテル先の空中目標を正確に貫く砲の性能。
尋常ならざる無人戦車群だが、ただの兵器だと言うには皇国の従来戦車である【ガイスト】からの技術的なブレイクスルーが大きすぎる。
先だって交戦情報のあった【マーシャルⅢ】と違い、完全に未知の兵器だ。
だが……ルークは知っている。
戦車、という要素に絡んだ皇国の特記戦力の存在を。
「やはり、待ち構えていましたね。――<超級>」
――【車騎王】マードック・マルチネス大佐の存在を。
To be continued
(=ↀωↀ=)<はい。わりと予想されていたと思われる皇国側の<超級>
(=ↀωↀ=)<マードック・マルチネス大佐と無人戦車群【電波大隊】です
(=ↀωↀ=)<……この人、かなり昔に出たのにようやく初戦闘だよ
余談:
(=ↀωↀ=)<ラングが三〇位に戻ったけれど
(=ↀωↀ=)<マックスもマックスで上の順位に上がっているのでランカーのままです




