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<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム-  作者: 海道 左近
Episode Ⅵ-Ⅶ King of Crime

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第十八話 見えないモノ

 □■【遊迷夢実 ドリームランド】・内部


 レイとカーディナルAの死闘は、両者共に身を削る戦いとなった。

 レイの右腕からは今も血が流れ続け、カーディナルAの刃が振るわれる度に体のどこかから出血している。

 カーディナルAは光熱の斧が振るわれる度に神話級金属を刻まれ、血の代わりに熔解した金属片が周囲に飛び散っている。


『…………』


 両者の死闘を、ゼクスは見ていた。

 この場の誰よりも、ゼクスがこの戦いの背景を把握している。

 白い斧の造形を見れば、斧が【アルター】所縁のモノだと察しがつく。

 そして【スラル】を作った【怠惰魔王】は、スキルから推測して【邪神】所縁のジョブ。

 なぜなら、【スラル】の有り様は【邪神】が自然の木石をモンスターに変える力とあまりにも似通っている。

 ゼクスがかつて戦った【暴食魔王】の死者リソース吸収能力と合わせて考えれば、七種の【魔王】シリーズは【邪神】のスキルや特性を七分割し、それぞれに特化した性能をしているのだろうと推測することができる。

 【邪神】というジョブを作る前の試作だったのか、あるいはその逆か。

 であれば、これは【聖剣王】の亜種と【邪神】の亜種の戦いとも言える。

 数百年前の戦いの相似形だ。戦っているレイとZZZは知る由もないだろうが、見物者であるゼクスだけは知っている。

 彼にとっては【聖剣王】も【邪神】もさほど重要ではないが、しかし後々のために情報を蒐集することには意味がある。

 情報を共有する他のメンバーには有意義ということもあり得る。

 そうでなくても……レイ自身には興味を惹かれ始めている。

 ゆえに、この戦いをゼクスは傍観している。


 だが、ゼクスが見ていたのはこの戦いだけではない。

 キャンディに運ばれる自らの頭部が見る景色も、他の分体が見ている景色も、ゼクスは把握している。

 常人であれば使いこなせない複数の視覚情報を、全て分析している。

 ゼクスのアバターは全身がスライムであり、脳という器官も存在しない。あるいは、全身が脳でもある。

 そんな身体で数年を過ごしたからか、あるいは元から素質があったのか、彼の思考能力は人間のそれから変じかけている。


『……見つけました』


 そして今、彼が把握している視界の内の一つがあるものを見つけた。

 それは……【怠惰魔王】ZZZ。

 この夢の中に、ドリームランドの中にいる<マスター>自身だ。


『やはり、いましたね』


 スキルの説明をするため、そしてこの夢の中でスキルを使うためにも、本人がこの夢のどこかにいるだろうとは予測していた。

 それを分裂したゼクスの索敵によってついに発見したのだ。

 今、分体の視界の中のZZZはレイやゼクス達に説明したときと同じ雲のスクリーンを使い、レイとカーディナルAの戦いを見ていた。

 ジッと見続けて、そちらに集中している。

 今ならば、殺せるだろう。

 全身をバクの着ぐるみに包んではいるが、それが防御の用をなすかは分からない。

 意思がないものは、このドリームランドに存在しえないからだ。

 仮に意思があり、装備品として有効だとしても……ゼクスならばその守りを抜くだけの攻撃を仕掛けることはできる。

 寝首を掻く(・・・・・)ことは容易い。


(……少し、待ちますか)


 だが、今この時点での暗殺をゼクスは実行しなかった。

 レイに興味を惹かれ、彼の戦いをもっと見ていたいと思ったからだ。

 決着がつくまで、ZZZの始末は先送りにしたのである。

 それは合理的な選択ではない。

 だが、そもそも合理的に動くようなら彼は【犯罪王】などになっていないし、“監獄”にも落ちていない。

 自身の心(・・・・)のままに、あるいはそれを求めて行動するのがゼクス・ヴュルフェルという人間だ。

 彼は今もそれに沿った選択をしたのである。


(ですが、これは……)


 待つことを決めたゼクスだが、レイとカーディナルAの戦いを見ていて一つの事実に気づいた。

 それは、動きの変化。

 レイの動きは変わっていない。相手の攻撃に注意しながら光の斧を振るい、撃破を狙っている。

 変わったのは、カーディナルAの動き。

 明らかに、引き気味の動きが増えている。

 仮初の命、ゴーレムに近い存在でありながら……まるで死を恐れるかのように攻める意思が失せている。

 あまりにも強力な斧に、恐れをなしたようにも見えるが……。


(……たしかに。それが最も勝率の高い戦法ですね)


 ゼクスはカーディナルAの戦術を……レイには決して対処できない戦術を看破していた。

 このままならば確実にレイは負ける、と。


「……ねぇ、オーナー」


 そのとき、ガーベラが傍らのゼクス分体に小声で話しかけた。


『何でしょうか、ガーベラさん』

「もしかして、なんだけど……」


 ガーベラは見当違いを述べることを恐れているのか自信なさげに、けれど自らが抱いた疑問を口にする。


「あいつ、……時間稼ぎ(・・・・)してない?」

『…………』


 ガーベラの抱いた疑問に、ゼクスは内心で感心した。

 それに自力で気づけるほどには成長したらしい、と。


『何のためにでしょうか?』

「夢の中で倒されるとデスペナだから、レイ(あいつ)は戦ってるけど……」


 ガーベラは懸命に戦うレイの姿を見ながら、自身の抱いた疑問の答えを……カーディナルAの戦術にレイが決して対処できない理由を口にする。


「デスペナの条件、他にもあるでしょ?」



 ◇◆◇


 □■アルター王国南端・国境山林


『……?』


 相対するカーディナルAの動きの変化を、アプリルはすぐに察した。

 形状の変化は先んじて幾度も起こっている。

 左腕の刃が折れ、左腕が砕け、尾の刃も砕けた。

 アプリルの攻撃は通じていないのに、独りでに壊れていったのだ。

 それは夢の中での破壊の結果であるが、その直後から動きまでも変化した。

 単に壊れた部位に配慮した動きというだけではない。

 アプリルと相対しながら、意識は別のところに向いている気配がある。

 そもそも、本来は眼球も何も必要ない【スラル】。

 ブサイクな粘土細工のようだったミスリルの【スラル】は目鼻がなくとも敵を感知していたように、カーディナルAもその顔の向きと視覚が一致しているとは限らない。

 歴戦の戦闘型煌玉人であるアプリルはその気配を察し、相手の動きを見計らう。

 ゼクス、ガーベラ、キャンディ、あるいはアプリル自身。誰を狙われてもカーディナルAの攻撃に対処できるように身構える。


『Gi……』


 そしてカーディナルAは動き出し、


 残った頭部の刃を超音速で射出し――空中のシルバーの脚を切断した。


『……!』

『……!?』


 まるでスペツナズナイフのような一撃。

 音速で宙を飛ぶ緋色の刃は、煌玉人と煌玉馬の不意を突いた。

 無論、アプリルとシルバーも警戒していた。

 だが初手のように爆裂させるミスリル塊も周囲になく、明らかにシルバーは間合いの外だったゆえに、その隠し武器に対応できなかった。

 また、カーディナルA同様に夢での戦闘で多くの傷を負っていたレイを庇い、激しい動きができなかったことも咄嗟に回避できなかった要因の一つだろう。

 回避できなかった神話級金属の刃により、シルバーは左側の脚を二本とも切断された。単純な飛行能力ではなく、空中に足場を作ることで宙を駆けるシルバーは足を失えばもはや飛べない。

 バランスを崩し、地上へと落下していく。


『…………!』


 それでもシルバーは《風蹄》の機能を使って空気のクッションを作り、レイへの落下ダメージを抑えることに腐心した。

 そのお陰でレイはデスペナルティになることなく、まだ生きている。

 だが、脚部を失ったために、シルバーはこれ以上動けず、必然レイも身動きができない。


『GiGiGi……』


 身動きの取れない彼らに向かって、カーディナルAが動き出す。

 そう、ターゲッティング(・・・・・・・・)は既に変わっている。

 強敵であるゼクスの体やそれを守るアプリルを狙っていたが、今は執拗にシルバーを狙っている。


 つまりは……眠ったままのレイの体を。


 それが夢の中でゼクスとガーベラが導いた答え。

 要は、先刻までのゼクスへの対処法と同じだ。

 強敵であれば、無抵抗の眠った肉体を殺す常套戦術。

 カーディナルAは圧倒的な攻撃力を獲得したレイに、夢の中で勝利することを捨てた。

 脅威に値するとカーディナルA自身が判断したがゆえに、自身が無敵を持つ現実において彼の肉体を殺すことを選んだ。

 夢の戦いは、カーディナルAにとってはただの時間稼ぎに成り果てたのである。

 無論、《悪夢の王国》のタイムリミットはあるが……まだ五分以上の時間は残されているが、カーディナルAがレイの体を殺すのに必要な時間はそれよりも遥かに短い。

 不意を討った一撃で機動力を潰しているのだから、もはや逃げることすらできない。


『…………!』


 アプリルも思案する。

 先々期文明の頃は要人護衛の役目を担っていたアプリルにとってそうした取捨選択は日常茶飯事であり、彼女の演算能力は状況を明確に分析していた。

 分析結果は、『兄弟であるシルバーとその主を助ける』か、『自身の主達を守る』かという二択に直結した。

 今のカーディナルAはレイを狙っているが、その実はレイでなくてもいい。

 ゼクス達と今のレイの位置は離れており、アプリルがシルバーとレイを守りに動けば、その瞬間にカーディナルAはゼクス達三人の誰かを狙うだろう。

 アプリルは知らない情報だが、それでも《悪夢の王国》の効果時間は伸びる。

 そうなれば、伸びた時間でレイが失血死するのを待ってもいい。

 アプリルがレイを守ろうと守るまいと、この形に持ち込んだ時点でカーディナルAは目的である殺傷を達成できる。

 アプリルは見えている全ての事象を計算し、誰かの死亡が不可避であると見積もった。

 そしてアプリルは、『自分の主達を守る』を優先する以外にない。

 レイ達に勝算はなく、既に詰んでいた。


 ◇◆◇


 □■【遊迷夢実 ドリームランド】・内部


 不意に、レイは自分の右肩に違和感を覚えた。

 眼前のカーディナルAの攻撃は被弾していないと言うのに、まるで打撲を受けたような衝撃が右肩に伝わっている。


「……なるほどな」


 それが現実の自分が受けたダメージであることを、レイはすぐに理解する。

 元よりカーディナルAの動きの変化に疑問は抱いていた。その理由が現実の自分を殺すまでの時間稼ぎだと察するのに時間は要らなかった。

 しかしそうだとしても、レイにとっては何も変わらない。

 眼前のカーディナルAを倒さない限りは夢から目覚めることができない以上、夢の中のレイがすべきはこの戦いに全力を尽くす。

 見えない世界から殺される恐怖よりも、見える世界で戦う。


「オォォッ‼」

『ッ!』


 輝く斧を振るい、カーディナルAとの距離を詰めていく。

 左腕のみで振るう斧に流されかける身体を、右腕のネメシスがサポートして体勢を整える。

 体勢を崩すことなく前進し続け、時間を稼ぐために距離を取ろうとするカーディナルAの後退を許さない。


『……Gi』


 退かず、折れないレイの前進に、カーディナルAも焦りを覚える。

 だが、もはや勝負は決しているのだ。

 既に現実でシルバーの機動力は奪っている。

 あと数十秒もあればレイは殺せる。

 ならば手を尽くしてその数十秒を稼げばいい。


『Gi……!』


 その一手として使用したのは、現実でシルバーの脚を断ち切った頭部の射出刃(隠し武器)

 距離を詰めにかかろうとしたレイに向けて、頭部の刃を向け射出する。

 致命となりうる奇襲の一撃を、レイはその直感で辛うじて回避する。

 だが、体勢は大きく崩した。


「……!」


 レイはカーディナルAの追撃が来ると考え、それに対応すべく左腕の斧に力を込めた。

 だが、予想した追撃は訪れない。

 どころか、カーディナルAとの距離は開いている。


 カーディナルAは背を向けて……距離を取っていた。


 その身のAGIの全力でもって、夢の道の彼方へと脱兎の如く駆け出している。

 当たれば良し。

 当たらなくとも、回避しようして体勢を崩した瞬間に、距離を一気に空ける。

 最初からその算段で放たれた一撃だったのである。

 体勢を崩していても、レイの手に斧がある限り反撃の危険は消えない。

 だが、距離を取ってしまえば……彼我の速度差を考えればもうレイには追いつけない。

 初手のレーザーを使うとしても、距離があれば砲の向きを見て回避できる。

 夢の中のカーディナルAは勝率と確実性を考え、時間稼ぎの逃げに徹したのである。

 生物であり、無生物でもある【スラル】としての、計算があったのかもしれない。


 しかしそれは――最大の悪手だった。


「ネメシス、半分(・・)で止めろ」

『Form Shift ――【Shooting Wheel】』


 レイの呼びかけに、ネメシスはノータイムで応える。

 右手に固定されたネメシスの形が、第三形態β……流星風車へと姿を変える。

 同時に、風車が速度を増しながら、回転し始める。

 だが、それは無意味な行動に思えた。

 流星風車は、遠距離追尾式カウンター……《応報は星の彼方へ》に特化した形態。

 だが、【スラル】かドリームランドの特性でダメージカウンターの対象外であるカーディナルAは、ホーミングの対象にはなりえない。

 ゆえに距離をとったカーディナルAを倒す術にはなりえない。

 そのはずだった。

 しかし一点だけ、今の流星風車の形はいつもと違う。

 第三形態のもう一つの姿である黒円盾から流星風車に変わるとき、盾は花のように、星のように開き、風車となる。

 だが今は柄こそ伸びているものの――黒円盾が開いていなかった。

 まるで、変形をしそこなったような有り様だ。


「…………」


 レイは彼方のカーディナルAを見据えて、変形途中の流星風車を夢の道に接地させる。


 次の瞬間、レイの体がその場から消え去った。


「……え?」

『ふふっ……』

 戦いを見ていたガーベラはレイを見失い、ゼクスは……見切って笑った。


『Gi?』

 カーディナルAは己の背後から高速で接近する何かの音に気づき、


 己のすぐ後ろにまで迫ったレイと……目が合った。


『Gi…!?』


 カーディナルAは驚愕する。

 この敵手は、ここまでの速度は持っていなかったはずだ、と。

 だが、その驚愕はレイの手元と足元を見たときにより増大する。


 レイは……流星風車に乗っていた(・・・・・)


 流星風車の柄の先端の盾部分、本来は開いた状態で回転する部分が開かないままに回転し続けている。

 無論、そんな状態では流星を飛翔させることはできない。

 だが、閉じたままでも《応報は星の彼方へ》の予備動作である回転は実行されている。

 六〇秒の回転をそのまま車輪としての速度に変えて、電動の一輪車のような有り様で距離を詰めんとしている。

 逃走したカーディナルAとの距離を詰める、乗り物として。


『よくも思いつくものだのぅ、こんな曲芸(・・)

「発想の転換だよ。……思いつくきっかけはあったからな」


 レイが咄嗟にこの手を思いついたのは、今日の“トーナメント”での戦いによるものだ。

 バイク型の<エンブリオ>で、バイクスタントの如き曲芸疾走を見せたラング。

 あの戦いで、レイの中に『車輪による曲芸じみた高速移動』という発想が生まれた。

 それがこの土壇場で、『スキル発動準備段階の流星風車で高速移動する』という奇策を思いつく結果になった。


『汝は無茶をする』

『……まぁ、それもレイらしいということよ』


 ノーリスクだったわけではない。

 傷を負った状態の右腕が移動の反動で千切れても、市中引き回しのような有り様になってダメージで死んでいても不思議はなかった。

 だが、レイはその最初にして最後の試行で、流星風車に乗ってみせたのである。

 レイのレイたる由縁の端緒が、その行動にあった。


「次で決める……! 可能な限り出力を上げろ!」

『承知』


 時間経過に伴って少しずつ回転数を増していく流星風車の上で、レイは斧に訴え、斧もまたそれに応じる。

 

『――出力上昇(ライズ・トゥ・パワー)光熱之壱(テン・プロセント)


 斧が放つ光をさらに増大させる。

 それは光属性に限定されてはいるが、理論上発揮できる限界値である一割の出力。

 接触部分の光は【黒纏套】に吸収されているが、増大した光熱は直接触れていなくとも斧から漏れ出た光でレイの顔や体を焼き焦がしていく。

 それでもレイは斧を手放さず、ただカーディナルAとの間の縮まる距離のみを見据えていた。


『…………!』


 詰められゆく距離と自身を一撃で破壊できるだけの熱量に、カーディナルAは焦燥を濃くする。

 だが、同時に勝利を確信した。

 夢の中で追いつかれるよりも先に、現実のカーディナルAが眠るレイへと辿り着いた。

 シルバーが最後に張った紙のような《風蹄》によるバリアも破ったところだ。

 先手はカーディナルAにある。

 五秒後には追いついたレイの斧で夢のカーディナルAは仕留められるだろう。

 だが、現実のレイを殺すまでには三秒と掛からない。

 タッチの差で、カーディナルAは勝利できる。


 ◇◆


『GiGiGi!』

『…………』


 現実のカーディナルAは右の刃をレイへと振り下ろした。

 シルバーはレイを庇おうとしているが、カーディナルAの斬撃はそれで庇いきれるものでもない。

 それで、もはや結末は確定した。


 カーディナルA自身も、現実にいるアプリルとシルバーも、見える全ての状況からその結末を演算している。

 その演算は正しい。その結末を覆す要因は状況のどこにも見えない。

 ゆえに結末は……。



 ゆえに結末は――見えないモノ(・・・・・・)によって覆される。



 決着の瞬間、カーディナルAが刃を振り下ろした先にあったはずのレイの体の位置がズレた(・・・)


『……………………Gi?』


 現実のカーディナルAの刃は、空を切る。

 まるで見えないモノによって動かされたように、レイとシルバーが刃の攻撃範囲から移動している。

 それゆえ、カーディナルAが振り下ろした刃の軌道には何もなかった。


 何もなかったはずなのに……光の塵(・・・)が周囲に散っている。


 まるで、レイの代わりに見えないモノ(・・・・・・)を斬って仕留めたかのように。

 見えないモノが、レイの身代わりになったかのように。


 ◇◆


『Gi……?』

 その理解不能な光景に夢と現実のカーディナルAは一瞬だけ忘我する。

 そしてほんの二秒程度の時が過ぎて、レイとカーディナルAの彼我の距離が夢においても零になる。



 瞬間、流星風車での追い抜きざまに……輝く斧によってカーディナルAは胴と頭部を両断された。



 神話級金属で生み出された緋色の【スラル】は、己が最後の攻防で何をしくじったのか、何を見落としていたのかを……理解も感知もできないままに砕け散った。


 To be continued

(=ↀωↀ=)<薄々お察しとは思いますが


(=ↀωↀ=)<最後に何が起きたのかは次回にて


・蛇足


(=ↀωↀ=)<この話で皆さん「どうやって乗るの?」と思うでしょう


(=ↀωↀ=)<「流石に無理じゃない?」とも思うかもしれません


(=ↀωↀ=)<……


(=ↀωↀ=)<かっこ悪くなるから本文より省いた文章がこちらです


 ◇


 これはネメシス自身も意図しなかった使い方であり、曲芸同然だ。

 右手は柄の末端に固定されているが、足は爪先が柄に埋まっているようにも見える。

 だが、それは視覚的にそう見えるだけだ。

 そもそも意思のない装備はこの夢には存在しない。【紫怨走甲】も、脚部のインナーも物理的には存在しない。

 ゆえに、実際は素足であるレイは足の指で流星風車の柄を掴み、自分の体を固定していた。


 ◇


(=ↀωↀ=)<ここまで説明するとテンポ悪いし


(=ↀωↀ=)<いまいちカッコよくないので省きました!


(=ↀωↀ=)<あと完全に開いた状態で回転させようかとも思ったけど


(=ↀωↀ=)<すっごい乗りづらそうだから止めました


( ꒪|勅|꒪)(曲乗りシーンごと外せばよかったのでは?)

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― 新着の感想 ―
指で挟んでの移動、カッコ良さよりも可能性をとるというスタンスのレイ氏にぴったりだと思いますけどね。
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