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死出の箱舟・■■の■ その十七

(=ↀωↀ=)<本日二話目です

 □【エルトラーム号】


 エルドリッジとエミリーの戦いが始まった頃、ニアーラは白い<マジンギア>の掌に乗って動力ブロックへと向かっていた。

 本心を言えばエルドリッジの戦いを見届けたかったが、彼女は足手まといになるよりも別の役割で彼を助けることを選んだ。

 ユーゴーと共に動力ブロックの正統政府を打破することが、今の彼女の役割である。


「……という訳で、私の手札は今述べた通りです」


 即席の連携を組むことになるため、道中でお互いの手札を確認し合った。ニアーラの狙撃能力と六種の機械鳥、ユーゴーの《地獄門》と《煉獄閃》、機体スペックの情報は共有化されている。

 ニアーラにしてみれば《地獄門》は反則的なスキルであり、耐久型である【ホワイト・ローズ】と合わせれば敵はないように思える。

 だが、そうでないことは商業ブロックでのエルドリッジとの会話で分かっていた。


「動力ブロックの敵戦力が、モールの戦力同様に《地獄門》を無効化してきた場合はどうしますか?」

『……その原理は、もう概ね察しました。あれはきっと……』


 通じなかった理由に関して、ユーゴーはエルドリッジとの会話でヒントをもらい、その後に自分でも考えてある程度の答えは得ている。

 ゆえに、対処法もいくらか検討はしていた。

 自身の推測と、それに伴う対処法を、ユーゴーはニアーラに伝える。


『この形に持ち込めれば、《地獄門》を有効化できます。……無効化が今述べた推測通りの理由ならば、ですが』

「前者は問題ありません。ですが後者は……コストの問題で使用が難しいかと」


 二人は相談を続け、動力ブロックでの戦闘の予定を組み立てていく。

 ユーゴーの計画にニアーラが難色を示し、それを補うようにユーゴーが提案を行う。

 それを二、三分も繰り返し……やがてニアーラも頷いた。


「……なるほど、三段構えですか。東方のイディオムで言う、『三本の矢』……とは少し違うかもしれませんが、有効に思えます」


 なお、『三本の矢』は毛利家の教訓状の逸話であり、ことわざ(イディオム)ではない。

 『因果応報』然り、ニアーラが言う東方のイディオム云々には時折ことわざでないものが混ざる。


「総じてかなり無茶な戦術ですが、そこまですれば……。逆に、そこまでしなければいけない相手がいると思いますか?」

『……いるかもしれません』


 ユーゴーは、既にデスペナルティとなったフェイの言葉を覚えている。


 ――さっき金ぴかでデカくて強そうな<マジンギア>が走ってったっす!


 それが自身の考えている通りの存在であるならば、どれほどに警戒を重ねても足りないとユーゴーは考えた。


 ◆◆◆


 ■【エルトラーム号】・動力ブロック


『機関停止処理、完了』

『これより船体からの取り外しに掛かります』


 甲冑型<マジンギア>を装備した正統政府軍人達が、【エルトラーム号】に搭載された動力炉を前に作業を行っている。

 その作業を監督するかのように、長大なランスを構えた黄金の機体……【インペリアル・グローリー】と二機の【マーシャルⅡ】の姿もあった。【インペリアル・グローリー】は右手と肩から伸びたサブアームでランスを保持している。


「急ぎたまえ。どうやら、状況は我々の望まぬ方へと推移している」


 【インペリアル・グローリー】のコクピットでカーティスは静かに、しかし急かすようにそう言った。

 実際、彼の言うように状況は悪くなっている。

 通信機から聞こえた突然のエマージェンシー。その理由を問い返すも応える者はなく、さらには重要な占拠ポイントだった特別ホールの担当も音信不通。

 トドメに、彼らの秘匿通信のバイパス及び他通信の妨害を担っていたホスト機が落ちている。

 敵対勢力がいるのは確実。遠からず、この動力ブロックにも手が回ると……カーティスも気づいている。


『エルドーナ少将、取り外しには十分はかかります。ここは……撤退すべきでは?』


 僚機として連れてきた二機の【マーシャルⅡ】の内の一機から、そんな通信が届く。

 特別ホールの戦力やホスト機を潰した敵戦力が、ここに押し寄せてくる可能性にカーティス同様に気づき、恐れているのだろう。

 これ以上の被害を抑えるために撤退することは、戦術上は間違いではない。

 だが……。


「愚問だ。貴官は二度と同じ発言をすべきではない」

 その言葉と共に――黄金の機体は手にしたランスを僚機のコクピットに突き立てた。


『ひっ、ヒィ……!?』


 僚機のパイロットは悲鳴を上げる。

 彼の頭部の十センチ横に……ランスの穂先があったからだ。

 それは脅しのため、パイロットに当てずに突き刺した……というだけではない。

 彼の【マーシャルⅡ】は、胸部装甲に穴が空いたこと以外は何も損なわれていない。

 ランスの接触した衝撃で他の部位にダメージが伝播させることもなく、ほんの少し穴を空けて、パイロットの真横の空間に穂先を置くだけ……そんな超精密操縦。

 それができるだけの腕前を、カーティス……【超操縦士】は持っていた。


「撤退は、ありえない」


 撤退は戦術上間違いではないが、カーティスの戦略上はありえない。

 ここで動力炉を押さえなければ、彼らはこの襲撃で何も得られず……それどころか戦力の大半を失っただけとなる。

 そうなれば再起の目は消えたも同然だ。

 少なくとも、十年単位で遠のくだろう。

 それをカーティスは許容できない。

 最短でも十年、皇国をラインハルトから解放し……クラウディアを救う日が先送りになってしまうのだから。


「失った戦力を補充するためにも、動力炉の確保と兵器開発は必須だ。できなければ、ドライフ正統政府も、貴官らの命も、今日ここで終わりだ。理解できたかね?」


 ランスの穂先をゆっくりと引き抜きながら、静かに、脅すように問いかける。

 それに対する答えは、一つしかない。


『さ、サー、イエッサー!』

「よろしい。引き続き警戒に……早速だな」


 竜頭に収まったセンサーアイが目まぐるしく動き、やがて他ブロックに通じる扉へと焦点を当てる。

 センサーアイは、その扉の向こうから接近してくる気配を捉えていた。


「このサイズ、魔力使用パターン……敵手も<マジンギア>か」


 カーティスの言葉の直後、扉を破り――氷の装甲に包まれた純白の<マジンギア>が現れた。


『――《地獄門》!』


 直後に聞こえた言葉がスキルの使用宣言であることに気づき、竜頭の<マジンギア>は咄嗟に両腕のエネルギーシールドを展開する。

 だが、スキル攻撃による衝撃はなく……代わりに僚機のパイロットや取り外し作業中だった者達の悲鳴が聞こえた。

 背部のカメラが捉えた映像は、体の半分以上が凍りついて恐怖している甲冑型<マジンギア>の姿。


(広範囲冷却スキル? だが、【グローリー】の表面温度に大きな変化はない。僚機も……片方は無事か)


 悲鳴を上げているのは、先刻ランスで胸部装甲に穴を空けられた機体だけだ。


「フ、ン?」


 カーティスが疑問の声を漏らす。

 しかし同時に操縦桿横のパネルを操作し、機体のオプション装備を起動。

 直後、【インペリアル・グローリー】のセンサーアイ……接続された逸話級特典武具【凝視三眼 ドラグサイト】が視覚モードを切り替え、周囲の変化を観測する。

 すると、敵機を中心に何らかのエネルギーが放出されていることに気づいた。

 逆に、熱エネルギーは【凍結】した者達から敵機へと動き続けている。


(あの機体、妙な力場を発散しているな? 以前討伐した【焦竜王】の対生物限定焼死スキルに近い。凍結の原因はそれか)


 悲鳴を上げる僚機を見れば、その奇妙な力場が胸部装甲に空いた穴から内部へと流れ込んでいる。

 だが、【インペリアル・グローリー】やもう一機の僚機に対しては、力場が装甲表面を流れるだけで内部には侵入してこない。


(違いは……気密性(・・・)か)


 ◇


「ッ……!」


 【ホワイト・ローズ】のコクピットで、ユーゴーは予想していた展開に舌打ちする。


(やっぱり凍らない……か!)


 モールでの戦闘において《地獄門》が機能しなかった理由について、エルドリッジのヒントを聞いてユーゴーも推測できていた。

 それは、気密性が関係するのだろうということ。

 機体外の歩兵は凍っても、機体内のパイロットは凍らなかった。

 そのパイロットにしても、装甲が破損するとすぐに凍りついた。

 つまり、空気が……正確には《地獄門》の影響を帯びた空気を浴びることが必要ということだ。

 その理由は、ユーゴーにも想像できる。

 キューコの《地獄門》は対象を凍結させるだけでなく、凍結の際に熱エネルギーをキューコ自身に蓄積している。

 それは第二スキルである《煉獄閃》で用いるためでもあるが、だからこそ……熱エネルギーを移動させる必要がある。

 そして空間を超越して熱エネルギーを吸収するような芸当を、キューコはできない。

 彼女は空間法則を変容させるテリトリーではないのだから。

 キューコは空間そのものに干渉するのではなく、自身と相手の間にある空気を触媒として(・・・・・・・・)熱エネルギーの移動を行っている。


 ゆえに、外気と完全に遮断された相手には――スキルが届いていない。


 空気に触れてさえいれば炎の塊と化したビシュマルの熱量も奪い切れるが、触れていなければ人間一人分も吸い取れない。


(どうして今までこの弱点に気づけなかったのかは……分かった)


 ユーゴーは《地獄門》に関して、<叡智の三角>にいた頃からフランクリンの下でいくつかの検証を行っている。

 検証の中には当然、【マーシャルⅡ】に乗った相手に対しての使用もあった。

 その際は内部のパイロットも凍ったため、ユーゴーとフランクリンは《地獄門》は<マジンギア>にも有効であると判断した。

 だが今、正統政府の機体には通じていない。

 その理由は……。


「……うちは、気密が完全じゃなかったってことかな」


 思い返すのは、ユーゴーがクランを去ったあの日。

 <叡智の三角>の――実験用プールの底に沈んだ試験用の水陸両用機。

 沈没し、コクピット内部に浸水し、失敗だと騒いでいたあの光景。



 ――水陸両用機ですら完璧でなかった気密性が、陸戦機で確保されている訳がない。



 <叡智の三角>は<マスター>の集団であり、リアルでの技術者も数多く、人型ロボットの<マジンギア>を開発した実績もある。

 だが逆を言えば、<マジンギア>に関して元々は素人だった。

 対して、正統政府……第一機甲大隊は元より甲冑型や戦車型の<マジンギア>のプロ。蓄えた魔法機械技術はエリートかつベテランのそれであり、彼らが砂漠仕様のために気密性を上げようとすれば、それは一部の漏れもなく完璧な状態となる。

 そもそも、砂漠仕様のために脚部のホバーだけでなくコクピットの気密性にまで手を出していること自体が、元の気密性が劣っていた証左。

 発想力はともかく、技術力では正統政府に一日ならぬ長があった。


(あの黄金の機体……資料写真で見た覚えがある。あれこそ、姉さんが前に言っていた特別機……。だけど、今も動いているところを見るとあれも気密性は改修されてる……)


 なぜかコクピットに穴が空いていた一機を除き、残りの二機に凍る気配はない。

 だが……。


『どうするの、ユーゴー?』

「事前の打ち合わせ通りだ……!」


 モールと違い、相手に通じないケースは既に想定内だった。


 直後――無事だった【マーシャルⅡ】の胸部装甲に穴が空いた。


「――ヒット」

 後方から聞こえてきた微かな声を、【ホワイト・ローズ】の音響センサーは捉えている。


 声の主は……長大なライフルを構えて寝そべったニアーラだった。


 彼女が構えているのは、魔力式(・・・)の狙撃銃。

 誰が使おうと威力が変動しない火薬式銃器と違い、注ぎ込んだ魔力と使い手のスキルレベルに応じて威力が変動する魔力式銃器。

 ゆえにMPをチャージし、スキルと共に発砲すれば亜竜の甲殻も……<亜竜級マジンギア>の装甲も撃ち抜ける。


 これが動力ブロックに突入する前にニアーラと打ち合わせていた手筈だ。

 もしもコクピット内の相手が凍らなかったならば、モールでの戦闘同様に装甲を破損させて凍らせる。

 ニアーラもそのために【ホワイト・ローズ】の突入前から狙撃姿勢で待機していたのだ。


『ぎ、…………!』


 ニアーラに撃ち抜かれた【マーシャルⅡ】のパイロットは被弾の痛みに悲鳴を上げようとした。だが、それよりも早く《地獄門》の二度目の判定で全身が【凍結】した。もう一機のパイロットよりも、同族討伐数が多かったのだろう。

 同時に、他の凍りかけ(・・・・)だった者達も完全に凍りつく。


 そうして、動力ブロックに静寂が訪れる。

 動力炉は停止し、複数の氷像とモノ言わぬ機体が二機。

 それをなした純白の機体と、動力ブロックの外で狙撃銃を構え続けるニアーラ。


 そして、動かず……見に回っていた黄金の機体。


 配下が全滅するのを視覚とエネルギーの複数センサーで捉えながら、しかしカーティス本人は動かなかった。


『さて……疑問だな』


 繰り返そう。

 動けなかったのではない。

 動かなかった(・・・・・・)


『初手で仕掛けてこなかったならば、二人だけ(・・・・)か?』

「……!」


 カーティスの問いが投げかけられる。

 それと同時に、ニアーラの次弾が【インペリアル・グローリー】の胸部装甲を直撃する。


 だが、軽い金属音と共に……弾丸は弾かれて明後日の方へと跳弾した。


『この【凍結】、推測するにコクピットの破損による気密性の低下が条件なのだろう? 最初の狙撃で【グローリー】を狙わなかったのは、装甲強度が不明だったからだ。ゆえに、高確率で当てられる初弾は、確実に胸部装甲を抜ける【マーシャルⅡ】を狙った。まずは敵の数を減らすことを選択した、ということ』


 ニアーラの考えをそのまま述べたかのように、カーティスは言葉を続けた。


『第二の狙撃手、あるいは別種のアタッカーがいるのならば、奇襲の機会を逸すことはないだろう。同時に仕掛けたはずだ。だからこそ……今ここで敵対しているのは、凍結能力の君と後ろの狙撃手だけ』


 カーティスは至極冷静に、ユーゴー達の戦力を見抜いていた。


『さて、疑問を述べようか。なぜ、君は奇襲のタイミングで仕掛けてこなかった?』

「…………」


 問いかけに、ユーゴーは沈黙する。

 だが、沈黙しても……その答えはカーティスが口にしていく。


『答えは、君が知っていた(・・・・・)からだ。扉を破って、この【グローリー】の姿を見た瞬間、これが如何なるものかに気づいたからだ。つまり、君は【グローリー】を知る者……皇国の人間だ』

「……ッ!」


 ユーゴーは、核心を突かれた。

 そう、ユーゴーは【インペリアル・グローリー】のカタログスペックを知っていた。

 <叡智の三角>が総力を結集して生み出した、最強の機体だと知っていた。

 だからこそ、一目でそれと分かったときに……予定していた奇襲攻撃を仕掛けられなかった。


『付け加えれば、<叡智の三角>の関係者だ。機体を見れば分かる。<叡智の三角>の開発、それも量産段階にない試作機。機体構造に癖が見える。付け加えれば、パーツの噛み合わせが甘い点も、彼らの仕事だ』


 真正面から『<叡智の三角>の仕事は雑だ』と言われ、ユーゴーが幽かに苛立ちを覚えたが、動けない。

 動けば、その瞬間に状況が悪化すると……予感できてしまう。


『しかしその強度、神話級金属か? この【グローリー】を作るときは『神話級金属は重量と加工難易度から機動兵器には向かない。何より材料が確保できない』などと言っていたくせに、自分達の機体を作るときはこれか?』


 機体に接触したわけでも、攻撃したわけでもないのに、カーティスはそう言った。

 まるで、見ただけで機体のスペックが分かるかのように。


 ――実際に、分かるのだろうが。


『いや、その機体色……ヒヒイロカネの緋色ではなく白。ミカル鉱石との合金か。……皇国内の鉱床はどちらもバルバロス辺境伯領。そういうことか、……ラインハルトめ』


 そして独り言のまま、自ら答えに辿り着き……カーティスは舌打ちした。


『【グローリー】制作時は供出しなかった、ということだな。【グローリー】の制作時点で、私と敵対することも……皇王の座を奪うことも想定していたのか? あの外道……』


 カーティスは、目の前にいない誰かに恨み言を吐いている。

 その姿は、隙だらけに見えた。


『ユーゴー、しかけるなら……いま。あいつのカウントなら、いっかいのはんていでじゅうぶん』

「…………」


 自身にだけ伝わるキューコの念話に、ユーゴーは静かに頷く。

 撃破する必要はない。

 相手の気密性を崩せば、それで勝てる。

 ほんの僅かに、装甲を歪めればいいのだから。

 そして、ユーゴーは【ホワイト・ローズ】を黄金の機体へと駆けさせ、



『――ああ、この程度の速度ならば奇襲しなくて正解だったな』

 ――瞬く間に、動きを止められていた。



 右肘を貫き、床にまで届いたランスに縫い止められて、【ホワイト・ローズ】の動きは潰されている。


「……!?」


 速いのではない。

 AR・I・CAの【ブルー・オペラ】のように、超音速機動で距離を詰めたのではない。

 ただ、動きが最適すぎた。

 武芸の達人のように……ごく自然にランスを【ホワイト・ローズ】に差し込んでいる。

 だが、それをなすのは生身の人ではなく、人型の……ロボット。

 巧みな操縦技術などという言葉程度で説明できる現象ではない。

 そもそも……


「どうして、【ローズ】の装甲に……!」


 神話級合金で作られた、<マジンギア>の中で最硬の防御力を持つ機体。

 なぜいとも容易く、相手のランスに貫かれているのか。


『このランスは私の特典武具だ。【針衝暴死 ドラグスティンガー】。穂先の直径を0.1ミリメテルまでコントロールでき、しかし折れない。使い勝手のいい槍だ』


 カーティスはあっさりと手の内……かつて【針竜王】を討伐して得た特典武具の情報を明かした。<叡智の三角>の関係者であり、【インペリアル・グローリー】とカーティスに関する情報は持っていると判断したためでもある。

 だがしかし、その情報は答えにはなっていない。

 穂先の直径を変えるだけで、なぜ装甲を貫通できているのかの答えには、程遠い。

 その疑問の気配が伝わったのか……カーティスは嘆息する。


『だから、パーツの噛み合わせが甘いと言った』


 カーティスは前言を繰り返し、



『――肘関節に0.2ミリ()隙間があるではないか』

 ――針の穴より小さい穴を貫いたのだと……事もなげに言ってのけた。



 ◆


 現状の絵図を描いた者にとって、カーティス・エルドーナは道化である。

 だが、ただの道化であれば駒にすらならない。


 かつての皇国における、屈指の実力者達。

 ハイエンドであるクラウディア・ラインハルト・ドライフ。

 神話級特典武具を持つギフテッド・バルバロス。

 特務兵団団長モルド・マシーネ。

 そして彼もまた、それら破格のティアンと同格に評された者。

 皇国に接した<厳冬山脈>から降りてくる数多の地竜、そして【竜王】を狩り続けた男。


 ――大陸最強のパイロット、“竜王殺し”のカーティス・エルドーナ。


 To be continued

(=ↀωↀ=)<ああ、うん


(=ↀωↀ=)<言動や動機はあれだけど


(=ↀωↀ=)<この人もティアンの天才超人枠です


(=ↀωↀ=)<回避率や命中率ではなく、純粋な機体操縦技術で見れば


(=ↀωↀ=)<AR・I・CAよりも上です


(=ↀωↀ=)<スパロボやってる人にしか分からない例えだと


(=ↀωↀ=)<AR・I・CAは常時「閃き」と「集中」


(=ↀωↀ=)<カーティスは常時「集中」、「鉄壁」、「闘志」、「直撃」


(=ↀωↀ=)<が発動してる感じ


余談

○【凝視三眼 ドラグサイト】

光学観測、複合エネルギー観測、化学物質観測の三つのモードを持つセンサーアイ。

生前は逸話級の<UBM>、【視竜王 ドラグサイト】。

化学物質観測により獲物の残した痕跡を辿って襲撃する捕食者であり、逆に強力な敵対者のエネルギーを観測して距離を取る逃走者でもある。

カーティスにより討伐。


○【針衝暴死 ドラグスティンガー】

穂先の直径をコントロール可能だが、折れにくさは直径を変えても変わらないという特典武具らしく物理法則とズレたランス。

<マジンギア>での使用が前提に見えるが、実はサイズ調整で生身の状態でも使える。

生前は伝説級の<UBM>、【針竜王 ドラグスティンガー】。

特典武具よりも更に細くできる尾の針を用い、対象の皮膚や甲殻を貫いて内臓を破壊して殺傷してきた暗殺者の如き【竜王】。

カーティスにより討伐。

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カーティスかっこいいやん
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