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<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム-  作者: 海道 左近
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329/716

第一話 蜂――王都防衛戦

Kさん<「BOOK☆WALKER様限定の特装版のボリュームは」


Kさん<「15見開き(30ページ)くらいでお願いします」


(=ↀωↀ=)<「はーい」


(=ↀωↀ=)<「ちょっとオーバーしても大丈夫ですか?」


Kさん<「多い分にはかまわないそうです」


(=ↀωↀ=)<「あ、そうなんですね。わかりました」


後日


(=ↀωↀ=)<47見開き(94ページ ※原稿段階)になりました


( ꒪|勅|꒪)<三倍じゃねーカ


(=ↀωↀ=)<どのくらいかと言えば五巻の書き下ろしよりも長いくらいですね


(=ↀωↀ=)<電子ってページ数自由だからいいよね(七巻のページ数で格闘中)


(=ↀωↀ=)<ちなみに内容は一章に出てきた


(=ↀωↀ=)<地雷原ちゃんと乳母車さんと鎖鎌さんの話です


(=ↀωↀ=)<そんな訳で


(=ↀωↀ=)<全国どこでもお買い上げいただけるBOOK☆WALKER様の特装版も含め


(=ↀωↀ=)<六巻は2月1日発売です


(=ↀωↀ=)<よろしくお願いいたします

 □■王都アルテア・市街地


 国境地帯での講和会議が決裂した頃、王都は突如として襲来した蜂人間によって大混乱にあった。

 蜂人間は毒の槍で人々を突き殺し、自らが死する時は自爆して周囲を巻き込む殺人生物兵器とも呼べる存在。

 そんな蜂人間を相手に、街中の衛兵や滞在していた<マスター>も応戦し、住民を避難させながらの迎撃を続ける。

 だが、蜂人間は単騎でも亜竜クラスを超えるステータスを発揮する強敵。

 王国のティアンではそれこそ近衛騎士団でもなければ一人で相手取るのは厳しい。

 実際、衛兵達も一パーティで一体を相手取ってどうにか、というところだ。

 そして<マスター>でも、現状は厳しい。


「ライザーさん! こいつら、かなり強い上に自爆しやがる! 近接戦闘は厳しいぜ!」


 ヒポグリフに乗った【疾風騎兵】の<マスター>……<バビロニア戦闘団>のメンバーであるラングが、傍らの人物にそう呼びかける。


『ほかのメンバーにも通達。銃器と弓矢、魔法をメインに戦闘を続行。遠距離攻撃手段がない者はクラン備蓄の【ジェム】を使用して構わない!』


 彼の傍らでドライフからの流出品であるバイクを駆っているのは、決闘六位にして<バビロニア戦闘団>のオーナー代行……【疾風騎兵】マスクド・ライザーであった。

 クランメンバーに通信魔法の機器でそう呼びかけながら、自身もバイクの車上からライフルを蜂人間に向けて発砲する。

 彼は先日の【兎神】クロノ・クラウンの襲撃で己の<エンブリオ>であるヘルモーズが損壊状態であり、まだ使用できない。流出品のバイクに乗っているのもそのためだ。

 なお、そのバイクはかつてドライフにいたブルースクリーンという名の<マスター>が、資金調達のために市場に流したものをライザーが買い取ったものである。


(……扶桑に治療してもらっておいて正解だったな)


 【兎神】との戦闘で受けた身体的ダメージは、月夜の回復魔法で全快している。

 そのお陰で、この襲撃に際しても<エンブリオ>がないことを除けば問題なく戦闘できている。


(だが、戦力は厳しい)


 現在の王都でこの襲撃に対応できている<マスター>は、さほど多くない。

 決闘ランカーは一昨日の闇討ちでほとんどがデスペナルティ中。

 クランにしても、一位の<月世の会>と二位の<デス・ピリオド>は講和会議に参加中。

 三位の<K&R>も主戦力たる二人の超級職を欠いている。

 そして他のランキングクランにしても、<月世の会>や<K&R>が本拠地を置いていることを理由に、王都とは別の都市に居を置いているクランが多い。

 結果として、対応できているクランは<K&R>の残存戦力や<バビロニア戦闘団>を含めた少数のクランしかいない。


(討伐ランカーは……不在者も多いがそもそも市街地での戦闘に適した者が少ないか)


 一位の【破壊王】シュウ・スターリングがそうであるように、討伐ランカーは大量のモンスター討伐に適した大火力の持ち主が多い。

 ゆえに、王都にいたとしても市街地で力を発揮できるかは別の話だった。


「くぅ! やっぱりきついですよライザーさん! これじゃこっちは金銀飛車角落ちだ!」


 ラングもまた同様のことを考えていたのか、そんな弱音を口にする。

 対して、ライザーは己の不安を飲み込みながら、オーナー代行としての言葉を発する。


『それでも桂馬と香車、そして歩は残っている。こちらの意地を見せてやろう』

「……了解!」


 ライザーの言葉に、ラングは気を引き締めなおした。


『この付近に蜂人間は見当たらないな。私は街の東側に向かう。ラングはB班と合流して西へ向かってくれ』

「了解!」


 ラングに西側を任せ、ライザーは石畳の道でバイクを走らせながら街の東側へと向かった。


 ◇◆


 ライザーがバイクを一分ほど走らせると、道を塞ぐバリケードに行き当たった。

 バリケードの向こう側には、王都に複数建設された公会堂の内の一棟が建っている。

 公会堂は避難してきた住民を受け入れているようであり、バリケードはその人々を守るためのものであった。

 バリケードの周りには動く人影があり、彼らはいずれも王都の衛兵の装備をしていた。


「貴殿は……マスクド・ライザー!」


 ライザーが近づくと、バリケードを築いていた衛兵が声を掛けてきた。

 その特徴的な仮面に加え、長く活動する決闘ランカーであることからライザーはティアンにも広く知られている。


『この近辺の状況は?』


 ライザーはバイクを降りて、衛兵に問いかけた。


「第一波と第二波は倒したが……それでこちらにも被害が出ている。第三波も来るかもしれない」

『ここが狙われている、と?』

「ああ。それにここだけじゃなく、人の多い場所は優先的に狙われているらしい」


 蜂人間は理性なく人々を襲撃しているように見えて、その実は効率的に動いている。

 その効率とは、より多くの人間を攻撃する、という一点に対する効率。

 それだけを考えて人々を襲い、死しても自爆によって巻き込んでいく。


「それに通信から聞いた他所の情報によれば、……あの蜂人間は搦め手も使ってくる」


 そして、自爆する性質ゆえの厄介な問題も生じていた。


「報告! 国教教会の避難所に、新たな蜂人間が出現! 周囲の人間を巻き込んで自爆を……!」

「クソっ……!」


 公会堂前の守護を行っていた衛兵長は、後方から齎された報告に罵声を吐いた。

 そうした報告は、これが初めてではないからだ。

 蜂人間は既に出現した者だけではなく、人の姿から一瞬で蜂人間に変貌する者もいる。

 特に避難する人間に紛れて人の密集した避難所の中に入り、正体を現して自爆する。

 多くの人間を襲う際の効率は……恐ろしく良かった。


(逃げてきた避難民を受け入れない訳にもいかない。だが、識別も難しい。……厄介な)


 《看破》でも、蜂人間の正体は掴めない。

 名前と、ステータスに見合わぬ低いジョブレベルが表示されるだけ。

 モンスターとは違って頭上のネーム表示すらもない。

 それは即ち、どれほどの異形であっても人間であることの証左であった。

 そうであるがゆえに、正体を現すまでは見破れない。


「そもそも連中は何なんだ! レジェンダリアのどこかの部族か!?」


 衛兵長の言葉に、ライザーは考え込む。


(モンスターでないのならば、常識的にあり得る可能性はそれだが……違う)


 研究者系統のジョブを取得した<バビロニア戦闘団>のメンバーによれば、変貌した後の蜂人間はいずれも種族が「魔蟲」であるという。

 虫に似た種族であっても、人間範疇生物なら「人間」と表示されるはずだが、今は「魔蟲」となっている。自然に生きていればそうはならない。

 あるいは人間をアンデッドにする【大死霊】や、鬼にする【鬼武者(オーガ・サムライ)】のように、ジョブによる後天的な種族変化の可能性も考えられたが、……《看破》で確認した限りそのようなジョブは持っていなかった。


(それにジョブだとしても変身能力や、レベルに見合わないステータスに説明が……まさか)


 彼が思い描いたもう一つの可能性は、<エンブリオ>や<UBM>によって人間が変貌しているのではないか、というもの。

 しかし<UBM>ならばここまで計画的にテロを行う可能性は低く、結果として答えは<エンブリオ>の仕業以外にありえない。


(馬鹿な……、そんなことをする奴がいるのか……?)


 だが、ライザーはそれを認めたくはなかった。

 それが意味するのは……ティアンを人間兵器に作り替える<マスター>がいるということなのだから。

 ライザーの立場は世界派のそれであり、だからこそ考えたくはないことだった。


「……いずれにしろ、避難所への攻撃は防がなければ」


 相手が元はティアンであり、変えられた者達だとしても、無辜の人々の命を奪おうとするならば倒さなければならない。

 その決意と覚悟は既に固めている。

 今必要なのは、避難民と蜂人間を見分ける手段だ。

 しかし<バビロニア戦闘団>の現メンバーにも、この問題を解決できそうな<エンブリオ>を持つ者はいない。

 このまま後手に回り続けるしかないかと思われたとき、


「あ、あの……!」


 避難所前のバリケードにいたライザー達に、声をかける少女がいた。


『ん? 君はたしか……』


 ライザーはその少女に見覚えがあった。

 かつてのフランクリンの事件の際、中央闘技場に居合わせたルーキーの一人。

 そしてレイ達の知人として、これまでに何度か顔を合わせている少女。


「<デス・ピリオド>の、霞、……です」


 その少女の名は、霞。

 <デス・ピリオド>に所属してはいたものの、リアルの都合で昨日はログインできず、講和会議には同行しなかったメンバーだ。

 彼女の傍には、同様の理由で講和会議に参加できなかったイオとふじのんも揃っていた。


『ああ、覚えている。君達はこちらに残っていたんだな』

「は、はい……! あの、お伝えしたいことが、あって……!」

『伝えたいこと?』


 ライザーが尋ねると、霞はコクコクと頷きながら手に持った盤……霞の<エンブリオ>であるタイキョクズを見せた。


「私の、タイキョクズは……<エンブリオ>の場所や到達形態が分かるんです……!」


 かつては<マスター>の位置と到達形態しか分からなかったタイキョクズであるが、上級のTYPE:エンジェルアームズに進化してからは、<マスター>とは別に<エンブリオ>の位置も任意表示できるようになっていた。


『それが一体……まさか!』


 彼女の言わんとすることを、ライザーは察した。


「あの、蜂人間からは全部……『Ⅶ』、<超級エンブリオ>の反応が出てます……!」


 それは蜂人間の体内に埋め込まれた……とある<超級エンブリオ>の分体の反応。

 タイキョクズは、それを一つ一つ探知していた。


『<超級エンブリオ>……いや、それよりも! 分かるということか! 人間の姿のままの相手が!』

「はい……!」


 それは朗報だった。

 現在最も被害を拡大させているのは、避難民に紛れて避難所に入り込む蜂人間。

 それさえ防げるならば、被害は抑えられる。


『その位置を、知らせられるか?』

「はい……! 標識(・・)、します……! だから、そのことを……伝えてください!」


 霞はそう言うとタイキョクズを覗き込み、その表面を指でなでる。

 それは『Ⅶ』と記された数多の表示を一筆書きのようになぞっていく。

 そして彼女は、宣言する。


「タイキョクズ……《マーキング》‼」


 宣言の直後、周囲の景色に僅かな変化が生じる。

 避難所に向かっていた人々の内の、一人の男性の頭上。


 そこに――まるでマップアプリで見るような逆三角錐が浮かんでいた。


 それは識別の表示。

 街中にいる『Ⅶ』の到達形態表示がなされた相手への、目印(・・)の付与である。


「……その人です!」

「オッケー!」

「分かったわ!」


 彼女の言葉の直後、イオとふじのんが動き出す。

 上級職【黒土術師ランドマンサー】となったふじのんの地属性魔法が、目印のついた男性を拘束する。


『BUBUBU……』


 拘束されたと同時に、目印のついた男性はその姿を蜂人間へと変貌させる。

 しかしその直後、頭上から振り下ろされた巨大な斧――イオの<エンブリオ>であるゴリンが拘束状態の蜂人間を真っ二つに断ち割った。

 死亡と同時に爆発が起こるが、周囲に人々はいないため被害は出ていない。

 イオもゴリンの巨大さゆえに爆風はさほど届かず、ゴリン自体もびくともしていない。


「な、なんだったんだ……?」

「目印が……」


 一気に急転した状況に衛兵がざわめき、その横でライザーは現状が好転したことを知った。

 霞のスキルは直接戦闘に寄与するスキルではない。

 だが、これによって……避難所への自爆攻撃を行う者の標識はできた。


『……これは街中の全ての蜂人間に目印がついた、と考えていいのかな?』

「は、はい! 王都の中は、タイキョクズが全部カバーできて、ます。……ただ、王城の中にあった五つの『Ⅶ』は、速すぎてタッチできませんでした……」

『王城……』


 蜂人間は有力だが、速すぎるということはない。


(ならば王城の中にいる『Ⅶ』は、蜂人間とは別物ということか? あるいは……<超級>が? いや、いますべきことは……!)


 疑問は尽きないものの、ライザーは自分がすべきことを思い出し、通信魔法の機器を手に取って実行する。


『<バビロニア戦闘団>各員に通達。頭上に目印がついたティアンは蜂人間だ。念のための誰何と拘束を行い、正体を現した場合は無力化だ! <K&R>の部隊を見つけた際にはこの情報を伝達!』

『『『了解!』』』


 王都に散らばっている<バビロニア戦闘団>に通信を繋げ、必要情報を連絡した。

 ライザーの傍では、衛兵達も同様の連絡を街中に行っている様子だった。


『ありがとう。君のお陰で、かなり状況が改善した。……?』


 ライザーは霞に礼の言葉を伝えるが、当の霞はそれを聞いていない。

 彼女は……タイキョクズを見ながら首を傾げている。


『……どうか、したのか?』

「こ、これを……」


 彼女がそう言って、震える指でタイキョクズの一点を指し示す。

 ライザーと、イオとふじのんもそれを覗き込む。

 それは王都の南の大通りにある、セーブポイントにもなっている噴水の広場。


 そこに――大量の『Ⅶ』が群がっていた。


 数字が重なりすぎて、正確な数が分からない。

 だが恐らく、一〇〇を下回ることはない。

 一つ所に出現した数としては、間違いなくこれまでで最大だ。


「さ、さっきまで……いなかったのに……」

『…………』


 元からいたのならば、先ほど目印を付けた時点で気づけただろう。

 ならば本当に、今しがた突然そこに現れたのだ。

 隠れていた者が、隠されていた者が、現れた場所。

 だとすれば……。


『あるいは、ここが蜂人間の源泉(・・)か……』


 このままでは、蜂人間の襲撃は継続する。

 元から断たなければいずれはジリ貧。

 ゆえに、ライザーは決断する。


『<バビロニア戦闘団>各員に通達。王都南の噴水付近に、蜂人間の元凶と思われる何かが出現。急行可能なものは、集合してこれに対処。俺も向かう!』


 通信機器にそう伝え、ライザーは再びバイクに跨り、目的地へと向かった。

 そんなライザーの様子に、霞達は互いに見合わせ、……頷きあう。

 そして彼女達も騎獣である【ランドウィング】に乗り、南の噴水へと走らせた。


 ◇◆


 数分の走行の後、ライザー達は通りの北側から南の噴水へと辿り着く。

 他の<バビロニア戦闘団>のメンバーの姿はまだ見えないが、移動中の打ち合わせ通りならば別方向から回り込んで包囲しているはずだ。


『これは……』


 噴水の広場にあった光景は、奇怪なものだった。

 一〇〇を超える数の蜂人間達が、その場に整列していた。

 そう、整列していたのだ。

 あたかも、訓練された軍隊のように。


『あらあら。あらあらあらあら。オホホホホ』


 整列した蜂人間達の向こうから、笑声が木霊した。

 それは人の声と蟲の羽音を混ぜ合わせたような、不快感を煽るためにあるかのような声だった。


『一番乗り、おめでとう! 貴方達が、この王都の人間で初めて……ワタシに謁見する名誉を得ました。喜ばしいです。とても喜ばしい!』


 蜂人間の鳴き声とは違う、くぐもってはいるが人の言葉として意味の通じる音。

 その声の主は、すぐに見つかった。

 声の主は、整列した蜂人間の中央……噴水の縁に優雅に腰かけていた。

 否、腰かけていたとは言えないかもしれない。


 声の主は……蜂人間よりもさらに捻じくれた体をしていた。


 豊満な女性と、蜂を何匹も混ぜたような……不整合極まる体はどこが腰かもさだかではない。

 蜂の特徴ある腹部ですら、体に複数張り付いているのだ。

 それと比較すれば、蜂人間ですらグロテスクとは言えない。

 それを一目見た霞は口元を手で抑え込んでしまう。


『お前は……誰だ!』

『誰! 誰と、美しいワタシに聞くの!? まぁ! なんて無知蒙昧!』


 金切り声であり、羽音の如くくぐもった音でもあるが、誰何を不快だと感じたことは伝わってくる。


『けれど、許しましょう。ここは王国。妖精郷ならざる神秘薄き地。ゆえに、ワタシを知らずとも無理からぬこと。許しましょう。知りえないゆえの無知は罪ではないのです』

『妖精郷……だと?』


 ライザーは、相手の言葉の中に聞き逃せない言葉があったことに気づいた。

 妖精郷……それが指し示す国は一つしかない。


『そう。ワタシの名はエ・テルン・パレ! かつてレジェンダリアにおいて、【蟲将軍(バグ・ジェネラル)】として軍部の一翼を担っていた者。そして蒙昧なる女王と彼女に与する者達により、国を追われ、叛逆者と呼ばれた者!』

『……っ!』


 エ・テルン・パレと名乗った人物は、自らを魔蟲の将軍職である【蟲将軍】だと言った。

 だが、より重要な情報は続く言葉の中にあった。


『そして今は! ワタシの正しさと美しさを認めて新たな兵を、【アピス・イデア】を授けてくれた【魂売】ラ・クリマ様と! あの御方の属する<IF>に従う者!』

『<IF>……!』


 陶酔するように吐かれた言葉の中に、最も重要な単語があった。

 <IF>の名はライザーも知っている。

 <超級>で構成された犯罪者クラン。

 この事件の裏で何者が暗躍しているのか、その答えの一端がこの発言にはあった。


『そして……ああ、そして……!』


 エ・テルン・パレは陶酔を深めるように言葉を重ね、


『今のワタシの名は、【レジーナ(女王)】‼ 【レジーナ(女王)アピス()イデア(改人)】! 蜂の女王にして、妖精郷の真の女王!』


 誇るように人体改造が施された己の名を名乗り、


『ワタシはこの戦いを通してさらに力をつけ、いずれは祖国レジェンダリアを蒙昧な女王と誤った考えから解き放つのです! 我が愛する故国を、これ以上誤らせないために……!』


 高らかに己の願望を謳い上げ、


『そのためにぃ! まずは貴方達をその贄としましょう!』


 ――配下の【アピス・イデア】をライザー達に差し向けた。


 To be continued

(=ↀωↀ=)<冒頭でお伝えしたとおり、六巻は2月1日発売ですが


(=ↀωↀ=)<漫画版二巻は1月27日発売です


(=ↀωↀ=)<そちらにも書き下ろし短編『ロボータの冒険 始動編』が収録されています


(=ↀωↀ=)<どちらもよろしくお願いいたします


( ꒪|勅|꒪)<始動編……

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ラ・クリマのエンブリオ、能力が色々とキツすぎる… どんなパーソナルしてるんだよ…
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