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<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム-  作者: 海道 左近
第六章 アイのカタチ

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プロローグA とある男女

(=ↀωↀ=)<六章をお読みになる前に


(=ↀωↀ=)<確認のため『番外編 Valentine's Day[2044]』をお読みください


( ꒪|勅|꒪)<……いや、読んでると思うゾ?


(=ↀωↀ=)<一年前だから忘れちゃった人多いと思うのです


(=ↀωↀ=)<ちなみに作中で『。』となっている箇所あるけど


(=ↀωↀ=)<メールの文面なので演出上の『。』です

 □■二〇四四年二月一四日


『フィガロへ。

 ハンニャよ。教えてもらったアドレスにメールを送るわ。

 ちゃんと届いているかしら?

 嘘のメールアドレスを教えられたんじゃないかって不安と戦いながら、このメールを書いているわ。

 届いていると信じているけれど、届いてなかったらどうしてくれましょう。

 私は<Infinite Dendrogram>ではあなたの友達から聞いた情報を元に、レジェンダリアに向かっているところ。

 元カレと泥棒猫を踏み潰せたらまた会いに行くわ。

 そのときにはケーキを焼いて持参しようと思うので、楽しみに待っていなさい』


『ハンニャへ。

 フィガロです。メールは届いています。

 僕もハンニャとまた会うのが楽しみです。

 ケーキは僕も好きだよ。

 弟もよくケーキをお土産に買ってきてくれたり、弟自身が焼いてくれたりするね。

 僕はリアルでは刺激物が苦手だから、相対的に甘いものが好物みたいだ。

 ハンニャのケーキも楽しみにしてるね』


 ◇


 □■二〇四四年二月一五日


『フィガロへ。

 残念な報告があるわ……。

 レジェンダリアで元カレと泥棒猫を踏み潰せたのはいいのだけど、その後に集ってきた連中にデスペナされてしまったの。

 それから、指名手配されてるとかでセーブポイントが使えなくなったみたい。

 今は“監獄”にいます。

 出るまでリアルでも一年以上掛かるみたい。

 ……ごめんなさい。あなたに会いに行くのが、ずっと先になってしまったわ。

 そんなに長い間は、待っていてはくれないわよね?』


『ハンニャへ。

 “監獄”か。知り合いが入ったのは初めてだ。

 ああ、出所まで一年以上掛かっても大丈夫だよ。僕はきっと一年後もここにいるよ。

 だから、ハンニャが出てくるのを(決闘のために)ずっと待つよ。

 あ、それまでにハンニャの強さに追いつけるくらい強くならないとね。

 ハンニャも強くなるだろうけど、僕ももっと強くなるよ。

 今度、決闘ランカーとしての大きな試合もあるしね』


 ◇


 □■二〇四四年二月一六日


『ありがとう、フィガロ。

 私を(愛のために)待つと言ってくれて、本当に嬉しいわ。

 私、きっと<Infinite Dendrogram>の中であなたに会いに行くから。

 そういえば、フィガロってランカーだったのね。すごいわ。

 ところで、私の強さについて言及しているけれど。フィガロは私がレベルを上げたり<エンブリオ>を進化させたりして強くなった方が良いのかしら?』


オフコース(もちろん)


『分かったわ。私も“監獄”の中でもっと強くなって、それから出所してあなたに会うわ。

 ああ、でもそのときのことを考えるととても待ち遠しい。

 ずっと先のことなのに、もう(恋しくて)待ち切れないくらいよ!』


『うん。僕も(決闘のために)ハンニャに会いたいな。早く出所できるといいね』


 ◇


 □■二〇四四年四月一八日


『決闘王者おめでとう、フィガロ!

 動画サイトであなたの決闘を見たわ!

 結果は知っていたし、録画されたものなのに、見ているときはとてもハラハラしたわ。

 でも、勝ったときには私も画面の前で歓声を上げていたの!

 本当におめでとう、フィガロ!』


『ありがとう、ハンニャ。

 僕もこれでようやく【超闘士】になれた。

 闘士系統の超級職だから、ジョブでは君と並べたよ。

 <エンブリオ>も、先週進化した君のサンダルフォンみたいに<超級エンブリオ>に進化できれば、君と(決闘で)並べる。

 一年後に君が出てくるときが楽しみだ。』


『私もよ、フィガロ。

 あなたと(ヴァージンロードで)肩を並べるのが本当に楽しみだわ』


 ◇


□■二〇四四年六月一日


『フィガロへ。

 (ジューンブライドで)とても良いシーズンになったわね!

 ところで、フィガロはやっぱり(結婚式の様式は)キリスト教?

 私は神前でもいいのだけど。』


『僕は一応キリスト教かな。

 英国だしプロテスタントだよ。

 まぁ、礼拝にも中々行けないから、そんなに熱心な教徒でもないのだけどね。

 そんな感じで宗教に特に拘りはないけど……<月世の会>はちょっと苦手かもしれない。

 >私は神前でもいいのだけど。

 ああ。昔話みたいな神前(決闘)もいいね。

 でも王国にあるかはちょっと分からないかな。』


『あ、そうよね。西洋風の国だものね。

 (じゃあやっぱり結婚式は教会かしら。白いウェディングドレスに憧れはあるし、それでももちろんいいわね。あ、結婚式って何人くらい呼べばいいのかしら。私ってデンドロでの知り会いは殆ど“監獄”の中にしかいないのよね。リアルでは友人いないから誘えないし、家族とも縁を切られてるし……“ぼっち”だわ。フィガロは強くて優しいからお友達一杯いて“ぼっち”とは無縁なのかしら。花舞う教会で、フィガロのお友達に祝福されながら、神父の前で指輪の交換と誓いのキス……きゃー♪ デンドロの中で結婚したら、リアルでも結婚しなきゃ。ああ、フィガロのご両親に挨拶にも行かなきゃ……きゃー♪)

 いずれにしろ、(結婚式が)とても楽しみね。』


『そうだね。僕も(決闘が)とても楽しみだよ』


 ◇


□■二〇四四年十一月十一日


『フィガロへ。

 【グローリア】というモンスターのこと、そしてお友達のことを聞きました。

 私に出来ることがあったら、言ってね。

 メールで出来ることは、あまり多くはないかもしれないけれど。

 ……ああ。こんなときに、私はどうして外にいないのかしら……。』


『……ありがとう、ハンニャ。』


 ◇


□■二〇四五年二月一四日


『フィガロへ。

 こうして文通を始めてもう一年になるわね。

 私は日々“監獄”で料理したり、カップルを料理したり、不埒な発言をした相手を料理したりしているわ。

 充実はしているけれど、こうも代わり映えしない毎日だとあなたに会いたいという思いが日増しに強くなるわ。

 そうそう。あなたが以前気にかけていたことだけれど、最近“監獄”の<超級>が増えていたわ。

 昔からいた私とフウタ、ゼクスに加えて、キャンディって男の子ね。

 キャンディは“監獄”にウィルス撒いたりして傍迷惑だったのだけど、私とゼクスにやられたらちょっと大人しくなったわ。最近はダンジョンに篭ってるみたい。

 その子は刑期が長いから、多分デンドロのサービスが続く間は出て来られないと思う。

 まぁ、それは私以外の全員に言えるのだけど』


『ハンニャへ。

 相変わらず家庭的だね。

 ありがとう。王国方面に向かっていた指名手配の<超級>が急にいなくなったって話で、ちょっと疑問に思っていたんだ。

 やっぱり噂どおり、他のPKに倒されたのかな。

 もうその情報も入ってるかもしれないけど、後で<DIN>には流してみるよ。

 僕の方も特に変化のない日々を送っているよ。結局先月の戦争にも参戦は……できなかったしね。

 前にも書いたとおり、シュウはそのことで色々考えているみたいだ。シュウが参戦できなかった事情を考えると、無理もないのだけど。今は旅に出て、レベル上げと特典武具集めをしてるよ。

 ……ああ、そうだ。

 お互いに代わり映えしない日々を気にしているなら、僕の方からちょっとした変化を出すよ。

 僕の名前はヴィンセント・マイヤーズ。

 不思議だよね。一年もこうして文通しているのに、お互いの名前も知らなかったんだ。

 ハンニャ、君がよければだけど……僕にも教えてくれないかな?

 君の、名前は?』


『…………ありがとう、ヴィンセント。

 私の名前は四季冬子。

 冬子って呼んでくれる?』


オフコース(もちろん)、冬子』


『……四月には、ようやく出所できるわ。

 そしたらすぐに王国まで、(あなたと結婚するために)会いにいくわ』


『うん。僕も冬子を、待っているよ』



Open Episode 『アイのカタチ』

(=ↀωↀ=)<基本週一ペースだけど初回は二話投稿


(=ↀωↀ=)<次回投稿は22:00

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― 新着の感想 ―
[一言] これだから省略は誤解を招くからやめろとあれほど、、、
[良い点] すれ違いって、、、怖いね!!!
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