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【FLAME۞RULER】  作者: コガネ アカネ
3/3

第二話「炎を操る能力」

前回のあらすじ


ある日、転校生を名乗って蒼真の元にやって来た少女、渚奈によって蒼真は別世界に連れてこられてしまう。これから彼を待つものとは何か?


強い光から段々目が慣れてきた蒼真に見えてきたものはぼやけた人の顔だった。


「蒼真君、転送は無事完了したよ?」


ぼやけて見えた顔は渚奈の顔だったようだ。


「うん…ここは…?」


蒼真はゆっくりと立ち上がり、周りを見た。

周りはコンクリートの壁で、天井には電球が1つぶら下がっていた。


「ようこそ、ここが私達、反乱軍の本部よ?」


「…え?」


まだ状況がいまいち理解できないようだ。


「えーっと…あ、お父様の所に案内するね」


「あ、おい、袖が伸びる!」


渚奈は立ちすくむ蒼真の袖を引っ張り、連れていかれた。


ー廊下ー


階段を上がった先の廊下は幾らか綺麗で白やベージュの服を着た兵士が歩いていた。


「おはようございます!」


そして通り過ぎる兵士達は皆、渚奈に敬礼をしていた。


(…もうこれが夢であってもらいたいが現実だな…)


蒼真は渚奈の言っていた事が本当だということに気がついた様だ。


廊下を歩くうちに一番奥の、札に「司令官室」と書いてある扉の前に着いた。


「失礼します、渚奈です」


ノックを二回し、扉に向かって渚奈があいさつをすると、中から野太い声が聞こえた。


「よかろう、入れ」


「じゃあ、入って」


「あ…ああ」


蒼真はおそるおそる扉を開けた。部屋にはデスク、ソファー、立派な本棚らしきものもあり、窓際には1人男が居た。


「君が英雄候補か…なるほど、炎能力だな」


「英雄候補…ちょっと状況が…」


「ん?ああ、状況説明から入るか。とりあえずソファーにかけたまえ」


色黒の男は渚奈の父親で抵抗軍の副司令官「ドネル・リリーア」だ。ドネルはソファーを指さし蒼真と渚奈を座らした。


「とりあえずこの世界の話をしよう。今私達は政府と戦ってる、理由は…差別だな」


「差別…?」


「渚奈やここに居る兵士達、私も含めて全員が能力を持っている。元は政府側と1つの国だったが…政府側は私達能力者を危険な人々だと言ったんだ」


ドネルはどこからかティーを3つ出現させた。


「ん…こっちの世界で能力者っていうのは…ポピュラーじゃないのか?」


「ああ、ちょっと珍しいな。差別はわからないが故にだと思うが…」


「その…政府軍は強いのか?俺なんか呼んでも戦力には…」


「うむ、一番重要な事だな。まず君を呼んだのは「バモス」という占い師の予言のためなのだ」


蒼真は頭をフル回転させて説明を聞いた。


「占い師いわく、蒼真君、君は増大な力を秘めているらしい。だから呼ばれたんだ」


「ちょっと待ってくれ…確かにケンカとかで能力を使った事はあるが、戦争なんて…」


うろたえる蒼真にドネルは説明を続けた。


「なんとか頼む…それに、君専用の武器も用意してある」


ドネルは足元からアタッシュケースを取り出した。


「特殊な素材の剣と…デザートイーグルをモデルに改造した炎を纏った弾を撃てる銃だ」


「お願い、私達と一緒に戦ってほしいの」


横にいた渚奈も頭を下げた。


「わかった…できる限りの事をしましょう」


「ありがとう…感謝するよ…」


困った人を見放せないたちの蒼真は渚奈達と一緒に戦う事を決意した。


「でも能力者なら俺より強い奴がいるだろうに、何でまた俺なんだ?予言だからか?」


「あ…ああ、もちろん、君が英雄候補と言うには理由があるんだ」 ドネルはパソコンを出すとあるサイトをつけた。


「えーっと……うん…英語はちょっと…」


「お父様、蒼真君はあんまり英語得意じゃないの」


「おっとそうか」


サイトには兵士が写った写真と文字がビッシリ書かれていた。


「IB、Iron(アイアン)beetle(ビートル)傭兵派部隊だ」


「あー…雇われ兵っすか」


「何が問題かというと…この部隊のリーダーが問題なんだ」


マウスを動かし画像を開くと眼鏡に眼帯をつけた男の画像が写った。


「こいつは「戦場の死神」って呼ばれてるのよ。ちなみに本名は誰も知らないわ」


「死神…」


「そうだ。数十年前に起きた戦争でこいつはアメリカに属していた。「死神」の由来は…こいつを戦場で見かけたら最後、生きて帰れないという事だな」


「あー…つまり?」


蒼真は少し嫌な顔をした。


「このリーダーが生きているかもしれないのよ、十年くらい前から行方不明なんだけど」


「もし、こいつが生きていた場合、対抗できるのは蒼真君、君だけなんだ」


「マジかよ…俺はそんな化けもんと戦わなきゃいけないのかよ…」


「もし、生きてたらな。さて、私は職務に戻るからな、訓練をしておいてくれ。渚奈、蒼真君を第六前線基地に連れていってくれ」


ドネルはパソコンを閉じて机に座り書類の整理を始めた。


「なんつうか…お前の父さんあっさりしてるな…」


「うん…私もちょっと困ってる…人の話も聞いてくれてるかわかんないし」


あっさりしているドネルの愚痴を言いながら二人は第六前線基地へと向かった。


ー第六前線基地ー


本部から遠く離れた基地に着いた頃にはもうすっかり日が暮れてしまっていた。


「ふぅ〜、やっと到着ね」


「どんだけ遠いんだよ…車で何時間かかった?」


何時間もトラックに乗っていた二人は身体の各所が痛くなっている様だ。


「リリーアさん、待ってましたよ、その方が蒼真君ですか?」


トラックの荷台から降りたところに白い服の兵士がやって来て渚奈に敬礼をした。


「ええ、部屋は用意出来てる?」


「はい、では、案内しましょう」


白い服の兵士に続いて二人も石造りの建物の中へ入って行った。


ー部屋ー


「では、この部屋を自由に使ってください、必要なものは出来るだけ用意します」


「ありがとう。じゃあ、あなたは警備に戻って」


「はっ!」


兵士はもう一度敬礼をすると駆け足で部屋を後にした。


「へぇ…ここって前線基地なんだよな?随分いい部屋じゃん」


「うん、綺麗にしてもらったからね」


部屋には生活に必要なものは大体揃っていた。タンス、ベッド、イス、机、等がしっかりと置かれていて、壁も廊下の様にヒビは入っていなかった。


「じゃあ、明日からしっかり訓練するからね。今日は夕食を食べて寝ましょ」


「ああ…所で、坂野はどこで寝るんだ?」


「…ここよ?」


「え…いや、ベッドが1つしか…」


「仕方ないじゃない」


ちょっと予想外な事に戸惑う蒼真に「来て」と言って食堂へ向かって行った。


ー部屋ー


「さて、夕食も食べたからもう寝ようかな」


食堂から戻って来て、後は寝るだけだが、蒼真はやはり渚奈と寝るのには抵抗があるようだ。


「あ…なぁ、坂野」


「ん?何?」


「俺、やっぱり床で寝るよ。落ち着かねぇからさ」


「だ…ダメよ、あなたを床で寝かせるなんて…風邪でも引いたらどうするのよ」


どうやら蒼真の願いは叶いそうにない様だ。


(くっ…まあ、仕方ないか…もう諦めよう)


「ほら、早く寝て!明日は朝早いからね!」


渚奈に急かされるようにしてベッドに押し込まれた蒼真は結局深夜まで眠る事が出来なかった。


ー翌朝 第六前線基地訓練場ー


「ほらっ!もっと強く振る!」


「うっ…痛たた…最近ロクな運動してねぇから身体が痛てぇ…」


蒼真は朝から走らされて、今は剣の素振りをしていた。


「おい坂野…ちょっと休憩しようぜ…」


「うん、まあ、いいわね」


「ふぅ…助かったか…」


訓練場のすみにあるベンチに蒼真は力無く座り込んだ。


「もう…あんまり体力ないのね…」


「俺は高校生だぜ…?無茶しないでくれ」


「はぁ…大丈夫なのかしら…?次は射撃訓練よ?」


「おっ!面白そうじゃんか!」


射撃訓練と聞いて蒼真は少しテンションが上がった感じで渚奈について行った。


ー射撃訓練場ー


訓練場から建物を挟んで真裏にマンターゲットが設置されている場所があった。


「おおっ!すげぇ!」


「じゃあ、とりあえず一発撃つ所から始めようか」


手にとったデザートイーグルを蒼真はとりあえず一発撃ってみた。


「ドォン!」とけたたましい銃声が射撃訓練場に響いた。


「うぉぉ…すげぇ」


立派な銃声に蒼真は思わず声を漏らした。


「そりゃそうよ、じゃあ、次はあなたの炎を銃に纏わせてみて?」


「ん…?こうか?」


構えた銃に蒼真は炎を纏わせ再度構えた。


再び「ドォン!」という銃声と共に今度は炎を纏った銃弾が発射された。


「おぉ…!」


「どう?すごいでしょ?」


「ああ、俺の炎ってこんな使い道あったんだな!」


「他にもあなただったら訓練すれば色々出来るんじゃない?」


「何かやる気が出てきたなぁ…!」


自信が出てきた蒼真は本気で訓練に取り組み始めた。


…………………………………………………………………………


気がつけば蒼真は夕方まで訓練していた様だ。遠くに見える山岳地帯の山の間に太陽が沈んでいくのが訓練場からはよく見えた。


「ピリリリリ!」


「はいもしもし?あ、お父様?」


渚奈の無線にドネルから連絡が入ったようだ。


「ああ、渚奈か?実は政府軍の哨戒部隊がその基地に向かってるんだ。そいつらの相手を蒼真君にしてもらおうと思ってな」


「え…実戦ですか?」


「ああ…とりあえず彼と話させてくれ」


「蒼真君!ちょっといい?」


燃え盛る剣を振り回している蒼真を呼ぶと、無線機を手渡した。


「聞こえるか、蒼真君。もしかしたら君は今から人を殺さなければいけないかもしれない。その事について君の意見を聞きたい、もし嫌ならそれで良い、機会を先延ばしにしよう」


「…」


蒼真は考え込んだ。自分に人が殺せるのか…?もしかしたら足がすくんで動けなくなってしまうのではないか…?色々な考えが蒼真の頭の中を駆け巡り、最終的に出した答えはこれだった。

「やります…この基地は俺が守ります」


蒼真は戦う事を決断した。


「ありがとう…恩に着るよ。では早速迎撃準備をしてくれたまえ」


渚奈は蒼真から無線機を受け取ると、兵士達に密かに哨戒部隊の事を話し、基地全体が警戒体勢に入った。


「蒼真君、ありがとう。でも、無理はしないでね?」


「ああ、わかった」


情報によると哨戒部隊は東側の森林から来るらしい。


「よし…いつでも来やがれ…」


剣を腰に携え、デザートイーグルを構えた蒼真は物陰から森林を見ていた。


「来たぞー!」


兵士の叫び声と共に「ドドドッ!」という銃声が辺りに鳴り響いた。


「うらぁぁ!」


蒼真も負けじと手にしたデザートイーグルを森林に向けて発射した。


森林に火が移り、政府軍の兵士の叫び声も聞こえ始めた。


「蒼真君!大丈夫!?」


数十メートル向こうから渚奈の声が聞こえた。だが、蒼真には答えを返している余裕は無かった。


そしてしばらく銃撃戦が続いたが、少し経つと向こうからの銃撃は来なくなった。


「…おい!大丈夫か!?」


こちらの兵士が叫んだ。


「負傷者を運べ!俺達の勝ちだ!」


どうやら政府軍は引き返していった様だ。

兵士達は負傷者を運びながら歓喜に溢れていた。


しかし


「ピリリリリ!」


すぐに渚奈の無線機が鳴り響いた。


「はいっ!あ、お父様!蒼真君すごいですよ!さっきの哨戒部隊も追い返してしまったんです!」


「ああ、それはよくわかったぞ。しかし油断出来なくなった…」


無線機の向こうのドネルの声は少し焦った様子だ。


「飛行物体がそっちに向かってるんだ。数は1、小さいが油断するな」


「え…飛行物体?」


「どうした?坂野?」


様子がおかしい渚奈に気づいたのか、蒼真が声をかけた。


「あっ…あのね…飛行物体がこっちに向かってるの、だから…」


「んあ?飛行物体?どんと来いよ!何が来たってこの基地はしっかり守るぜ!」


「それは頼もしいな!では、くれぐれも気をつけてくれ?本部からも増援を送る!」


無線機は勝手にドネルが切った様だ。渚奈は嬉しそうな目で蒼真を見ていた。


「ありがとう…ごめんね、巻き込んで…」


「いいさ、さぁ!迎撃準備だ!」


基地は動ける者達により、再び迎撃体勢に入った。


こんにちは、藺掟です。


投稿が大分遅れてすみません…「SUMMER MEMORY」の方ももうすぐ投稿します!


ではたまた次回!

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