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八狂目 『不運な巨乳であるが故に選ばれ』

 

「こっちゃこい!」


 赤いランドセルを背負っている私に、八百屋のオヤジが手を招く。


「こっちゃこい! こっちゃこねぇと殴るぞ、コラ! バカヤロー!」


 青い前掛けをパンとはたき、笑顔のまま拳骨をハーッと息で温める。

 殴られるのはイヤだ…そう思った私は、おずおずとオヤジの側に寄る。


「学校行かないと…遅刻しちゃうの」


 まだ小学一年生の私は、涙を浮かべながらそう小さく言う。

 でも、オヤジは聞かずに、ゴソゴソと店の棚から何かを取り出してかかげる。


「もってけ!」

 

 オヤジは鼻毛を左右三本ずつ出してニカッと笑った。

 その手に持っているのは、巨大なカボチャだった。黄と緑のゴツゴツとした皮に覆われた、天ぷらや煮物の定番野菜だ。


「…もってけない」


 私のランドセルの中は教科書やノートで一杯だ。そんなものが入る余裕などない。

 それに小さな私の手では、そのカボチャはまるで漬け物石のような存在だ。登校で持っていくなんて、なんの罰ゲームだって話であろう。


「いいからもってけ! カボチャはいいぞぅ! カボチャは新鮮で栄養価たっぷりだ! 隣の魚屋の腐れ魚なんかよりいいぞぅ!」

「カボチャ好きくない…」


 私が反論すると、オヤジの眼がカッと見開かれた。


「カボチャを馬鹿にするのか、こんガキャー!!! バカヤロー! カボチャはな、"かろてん"とか"DNA"とか…えっと、なんだっけか、"へもぐろべんA1H"とか! 眼にも、体にも、心にも良い万能野菜なんだぞ!! カボチャさえ食ってれば間違いねぇ! 医者が言ってた! テレビでも言ってた! タバコ屋のババアも言ってた! 間違いねぇ! バカヤロー!」


 怒り狂ったオヤジは、私のランドセルを取り上げて、逆さにして中身を放り投げる!

 バサバサとノートが飛び、ドサドサと教科書が落ち、筆箱の中のシャーペンが散る。大惨事だ。


「や、やめてぇ!! せ、先生に怒られるよ! お勉強できなくなっちゃう!!」


 泣き叫びながら、オヤジの太股にしがみつく。


「バカヤロー! カボチャさえ喰ってれば、勉強だってできる! カボチャさえ喰ってれば万事解決だ! 不老不死だってなれる!! 胃痛や歯痛や、金銭問題も解決してくれるぞ! この黄色、黄金みてぇだろ! な! ゴールデン・カボチャーだ! な!」


 訳の分からないことを叫びながら、オヤジは私のランドセルにカボチャを押し込み入れようとする。

 それは、それはグイグイと力任せに押し込んでいく。手で押しきれないと見るや、膝頭でギューギューッっと体重かけて入れていく…。

 ああ、ランドセルの側面がメキメキって変な音して…なんか横に広がってる。あ、なんか、名札入れが割れて…。


「ふぃー! カボチャ・イン・ランドセル!」


 やり遂げた感じ満載で、オヤジは朝日を浴びながら親指を立てた。

 朝日が、薄い頭に流れた汗にキラキラと光ってる。


 その日、カボチャ入りのランドセルを持ってた私は、クラスメイトから"パンプキン・ガール"という不名誉な渾名あだなをつけられ、小学校を卒業するまでそれは続いたのだった………。




☆☆☆




「なーに寝ておるんじゃい!」

「はうっ!」


 ジジイのツッコミで眼を醒ます。


 どうやら、あまりの展開に一瞬だけ気を失って、走馬燈を見ていたみたい…。

 うう、なんか、頭がズキズキするんですけど…。痛い。


 短い間で夢見たことは、忘れかけていた幼い記憶だった。

 そう。あのヤオキチ号に、私は間違いなく会っていたのだと思い出す。

 嫌がる私にカボチャを無理やり渡したあのクソオヤジ。間違いない。あれはヤオキチだ。


「うおおおおおおッ!」

「うりゃりゃりゃッ!」


  シュッシュッシュ! パンパンパン! 

  シュッシュッシュ! バキバキバキ! 

  シュッシュッシュ! ズドドドン!

 

 某格闘漫画よろしく、猛烈な勢いで拳と蹴りの応酬を繰り返す二体のオヤジ。

 閃光をまとい、光の筋を描きながら、ぶつかり合ったり離れたりする………近所の公園の中で。

 その一体は、私の古い知人トラウマだった。


「もしかして、私をあのヤオキチ号のパイロットにしたのは…」

「ううむ。ヤオキチの方が圧されておるな。やはり基本性能はジョジーの方が上か!」


 このクソジジイ。聞いてない。人の話を聞いてない。


「ナミよ! やはり、お前さんが乗るしかないようじゃのぅ!」

「イヤよ!」


 私が即答すると、ジジイはキョトンとした顔をする。まさか、断るとは思ってないようなムカツク顔だ。


「こいつぁ、パイロートが乗るしかないんでない!?」


 やっぱり予想通り聞こえなかった振りを決め込んだみたい。

 なんか私を見ているみたいだけど、知らなーい。


「んん、乗るしかないんでない!!??」


 寄ってくるな…近づいてくるな。


「んんん、乗るしかないでなぁいい!!!???」

「解った! 解ったわよ!! だから、こっち来ないで!!」


 根負けした私…弱いなぁ。自己嫌悪。

 でも、血走った眼のジイサンがズズッと顔を近づけてきたらキツイ。マジで。


 ってか、あれ?  このやりとりどこかで…。


「よっしゃ! こっちゃこーい! ヤオキチ!!」

「あん!? クソジジイ!! テメェまた俺を…」

「ほい! ポチッとな!」

「うんもッ!?」


 クソジジイがテレビのリモコンみたいなものを押すと、戦っている最中のヤオキチ号が、いきなりピクピクッとその場で痙攣し出す。

 そして、物理の法則を無視して、逆ジェット噴射してもの凄い勢いで飛んでくる…って!?

 私は身の危険を感じてその場を飛び退いた! 私がいたところに、ヤオキチ号のヘッドバッドが繰り出される!

 ハァハァ、危ない…。もう少しでぶつかってたし…。


「あああ!! これ、これって!!」


 どこかで見た光景…って、これはさっきと同じやりとり!

 そうだ。ジジイがヤオキチ号を呼んで、猛烈な勢いで飛んできて私にヘッドバッドをかましたんだった! それで一瞬、意識が飛んだんだ!

 この前頭部のズキズキする痛みってこれじゃん!! まさにこれじゃん!


「さあ、乗るんじゃ!」


 まるで何事もなかったかのように、クソジジイが私に命令する。


「冗談じゃないわよ!」

「ほえ?」

「ほえじゃなーい!!」

「うるさーーーい! あんまりワガママ言うと、さすがのワシもキレちまうぞ!!!」


 背中をドンと押され、無理やりにヤオキチ号に乗せられる私。


「…パイロートが乗ったか☆ これは厄介な展開だゼ!」


 ジョジー号がチッと小さく舌打ちをする。

 ってか、戦ってるのはオッサン自身なんだから…パイロットとか関係ないんじゃ?


「はぁ……。また耳元で何か言わなきゃいけないの?」


 あんな恥ずかしいことは二度と言いたくない…そう思いつつ、ジジイを見やる。


「はあ? 何いってるんじゃ!? 操縦するに決まっておろうが!!」

「操縦!?」


 え? だって、この前にゴンザレスを倒した時は…耳元で…。


「アホか! そこのレバー動かさんかい! すると、"こんそーる"がでてくるわーい!」


 言われるまま、ヤオキチの右耳後ろのレバーみたいなものを下ろす。

 すると、大砲の後部ハッチがバコンと開く。そこにはタッチパネルのようなものが現れた。


「それで戦闘方法を選ぶんじゃーい!」

「ええ!? それって、じゃあ、この前のヤツは…」

「うるさーい! いいから言われた通りに黙ってやるんじゃー!!!」


 ダメだ。何を言っても話にならない。

 私は諦めて、タッチパネルを見やる。黒い画面に白い文字で作戦行動が選べるようになっていた。



『コマンドを選んでちょんまげ! 

  1.殴りかかる

  2.激しく殴りかかる

  3.とっても激しく殴りかかる』



「なによこれ!? どれも結局は殴るじゃない!! ってか、頭の大砲での攻撃はないわけ!?」

「あれは超必殺技じゃ! そう軽々しくつかえるわけあんめぇ!! はやく選択せぇ!!」

「させるかよ☆」


 私が悩んでいると、ジョジー号が高速で突っ込んでくる!


「キャー! もうどれでもいいよぉ!! いっけぇ!!」


 慌てた私は勢いよくボタンを押す!


「おんどりゃあぁッ!!」


 私が選択したコマンドは……"とっても激しく殴りかかる"…だった。

 ヤオキチ号の両腕、まるでハンドミキサーのように、グリュリュリュッと回転してパンチを繰り出す!


 ズガゴンッ!!


「U・N・MO・MO・SU!!」


 劇画っぽい顔をして、返り討ちにされて飛んでいくジョジー号!

 そのままテントウムシ滑り台に突っ込んで破壊する!


「や、やるな☆ さすがは、ヤオキチだゼぇッ!!」


 折れ曲がったリーゼントを直しつつ、ジョジー号はムクリと起きあがる。

 ってか、あれで怪我しないって………ホントに、マジでサイボーグなんだ。


「こうなれば、こちらも奥の手だぜ☆」


 そう言ったジョジー号は、よくボディビルダーがする、胸の前で拳を付き合わせる姿勢になる。

 すると、両肩のシリンダーがガチッと回り、その中央がニョキニョキッと飛び出した。まるでカタツムリの目玉みたいだった。

 えーっと、つまり、これって………射撃体勢ってことですよね?


「ハッハー! これが何か解るか、ベイビー? この世の腐った魚のあらゆる内蔵漬け…つまり"クサヤ"だ。それを砲弾に込めた、名付けて『クサヤボム』だゼ☆ それはクサヤの数百倍の臭さの濃縮弾! 鼻の良い人間だったら一撃でナマスだぜ☆」


 ええ!? なにそれ! なんでそんな頭の悪い攻撃方法が思いつくわけー? 単なるイヤがらせにしか思えないんですけど!!

 クサヤの数百倍って、もしかしてゴンザレスの加齢臭と同じぐらいなんじゃないの!? ありえない! そんなの耐えらんない!


「回避よ! ヤオキチ号!」

「NO! その命令は実行できません。私の辞書に、『逃げる、毛が抜ける、リストラ』の文字はありません」

「なによそれ! そんなん言ったの、どこのナポレオンか、聖帝よ!! なんで私の命令聞かないの!!」

「いけーっ! いったらんかーい!!」


 狂ったクソジジイが、ヨダレを撒き散らしながら命令する。だけど、イヤ!

 私はタッチパネルをバチバチと懸命に叩く。なんとか、回避の手段を!!!


「ヘイ!! ファアッ!!」


 ドンッ! ドンッ!


 ジョジー号の肩から、凶悪毒ガス弾が放たれる!!

 ああ、なにこれ、こういうピンチの時って誰かが助けに来てくれるんじゃないの!?


 ダメかと思った瞬間、ヤオキチ号の太股から何かが飛び出してきた。私の操作で動いたっぽい。

 それは、"某スポーツ新聞"だった! ってか、なんでそんなもの入ってんのよ!


「こ、これはぁッ!?」

 

 クソジジイがわざとらしく驚くが、アンタが作ったのにアンタが知らないわけないんでしょ!


「うおりゃあッ!!」


 ヤオキチ号は勢いよくそれを丸め、飛んでくる弾をパンパンと弾く!

 あ。この動作って、よくオッサンがゴ○ブ○を執拗に叩き潰す動作じゃない!?


「チッ。さすがは我がライバルよ! 我ら還暦以上の世代が、必ず読むスポーツ新聞をそこまで操れるとはな!」


 なんか変なこと言っているけれど、ジョジー号の手にもなぜか同じ新聞が握られていた。ってか、アンタも装備してんかい!?


「ワシも! ワシも読んどるよー!」


 自分も持っていることをしつこくアピールするクソジジイだけれど、私はシカトを決め込んだ。


「ねえ、ヤオキチさん。とにかくなんとか、あのジョジーを倒さないと…いける?」

「YES。パイロート・ナミ」

「ねえ、ワシも! ワシももっちょるんじゃよぉ! 見て、見てこっち!!」


 とにかく、戦うとなったなら…あのジョジーを倒さなきゃ。

 さっさと倒して、こんな馬鹿げたバトルはやく終わらせたい! その一心だった。


「やるねぇ。だが、クサヤボムはまだ残り4発ずつ…つまり、8発を避けなければなんねぇゼ☆ 一気に放てば、いくらチェメェーとてただではすまねぇだろ? OK?」


 うう、確かに…。ジョジー号の言うとおりだ。

 いまの攻撃も2発だったからこそ、ヤオキチも打ち落とせたような気がする。

 あの銃って、テレビとかでもでてきたけれど…たぶん連射が利くのよね? 連射されたらピンチだ。


「クサヤか…。そうじゃ、クサイものにはクサイもので対抗じゃ!」

 

 またジジイがわけの解らないことを言い出すし…。

 

「はあ? 臭いもの? そんなものがこのへんに…」

「あるわーいッ! この公園に咲く、このドクダミじゃ! ドクダミを集めてヤオキチ号に喰わせるんじゃ!」


 言うが早いか、どこからか取り出した鎌で、ジジイは公園のドクダミを刈り始める。

 

「ドクダミだと? そうはさせねぇゼ☆」


 ってか、ドクダミ刈ってる間にやられるっちゅうの!

 そんなこと考えるまでもなく、ケリをつけようとジョジー号が飛び立つ!


「うるせぇー! ワシの邪魔すんな! ポチッとな!」

「そ、それは…U・N・MO・MO?!」


 クソジジイが何かのリモコンを操作した。そうだ。ヤオキチ号に言うことをきかせるためのヤツと同じ形だ…。

 それを押すと、ジョジー号がさっきのヤオキチ号のように動きを止め、その場で直立不動の姿勢で立つ。

 

 え? えーっと、これって……もしかして……


「ドクダミじゃ! 刈ったぞーい!」


 大量のドクダミを手に持ち、クソジジイがニカッと笑う。

 そして、そのままの状態でヤオキチ号の口の中に放り込んだ。


「ムゴガッ!!」

 

 漂うアオクサイ臭い…側にいるだけで吐きそう。

 ってか、口に押し込まれているヤオキチ号、涙目になってるんですけど。ちょっと可哀想……。


「さあ、喰ったか!? ええぞ! これで、『ドクダミ砲』が発射できーる!!」


 血走った眼で、クソジジイが笑い出す。

 そして、ヤオキチ号に向けてポチッとリモコンのボタンを押した。


「ぶぼへぇ!!」

 

 チュボーオオオオオンンッ!!

 

 嘔吐と共に、ヤオキチのヘッド・キャノン砲から緑色の弾丸が飛び出した!!


「これでもくらいやがれ!! ほれ、ポチッと!!」


 今度は、ジョジー号に向けてリモコンを押す。


「…ハッ!? お、オイラは…なにを!?」


 クソジジイは、ジョジー号の停止装置みたいなものを解除したらしい。

 いきなりのことに戸惑うジョジー号。そして、迫り来る緑の弾丸を見て眼を丸くする。


 ドチュボボボウーーーン!!!! 

 

 いかにも怪しげな緑の煙を放ち、異様な臭いが辺りに立ちこめた!!


「U・N・MO・MO・SU!!!!」


 どこぞのアンコが入った擬人化パンによって、毎回殴られて飛んでいく擬人化バイキンのごとく、ジョジー号も空高く空のお星様になって飛んでいく……。


「やったぞーい! ワシの、あ、ワシらの勝利じゃーい!!」


 クソジジイ…。全部、アンタの企み通りじゃない。

 ってか、敵をリモコン操作できるのに、なーーんで戦う必要があるのよ?


「さすがは、ヤオキチのパイロート、ナミ・ヤマナカじゃな! "選ばれた戦士"であるお主を選んだワシの眼に狂いはなかった!」


 そもそも狂ってるのはアンタだからね! 

 そう言ってやりたかったのだが、もはやそんなことを言う気力も私には尽きていた。


「…でも、なんで、私がパイロットなの?」


 かねてより疑問に思っていたことを口にする。


 そうだ。偶然、髪を切りにいって、たまたまこの白木のクソジジイと会っただけって話よ。

 ヤオキチとは知り合いだったかもだけれど、だからといって、このオヤジのパイロットにならなきゃいけない理由なんてないし…。

 それにも関わらず、こんなストーカーみたいにつきまとわれ、こんなわけの分からない戦いに強制参加させられるなんてあんまりだ………。

 私じゃなくても、他の人でも………そんな思いが込み上げてくる。


「なんじゃ。そんなこともわからんのか!」


 ジジイは、再びポチッとリモコンを操作する。

 すると、ヤオキチ号がブルンッと震え出した。


「えッ!? きゃあッ!!」


 ガチンッと何か音がしたかと思うと、ヤオキチ号のヘッド・キャノン砲の砲身が跳ね上がった!

 そして、乗っていた私の胸の上に…その砲身が当たって……止まる。


「見事じゃ! 計算通りじゃ!! すんばらしい!! 戦いに疲れたヤオキチの主砲を置く、"砲身支え"にピッタシの角度じゃ!!」

 

 満悦の顔でジジイが親指を立てる。


 ってことは………なに?


 私の胸が…この大砲を置くのにちょうどいいから選ばれたってこと!?

 なにそれ、ウソ。バカみたい…。そんなんで選ばれたなんて。ありえない。

 

 そりゃ、私は人よりは………ちょっと胸は大きい。ほんのちょっと。うん。


 いや、ちょっと、と言うのはウソ………かも。

 その………まあ、世間一般的には、かなり、大きいわけで。


 だけれど! だけれども!!!

 私にとっては、"ホルスタイン女"との異名を付けられるコンプレックスなのだ! カボチャ女に続いて、コレはないでしょ!!

 "牛女"って、まるで太っているみたいじゃない! 男子にそう言われる私の苦痛わかってんの、このクソジジイは!!

 冗談じゃない! あんなに乳首たくさんないし!! モーモーなんて鳴かないし!!


「ふざけないでよ!」

「ふざけてなんておらーん!! そのデカ乳、前傾に与える重量こそ、ヤオキチ号が本領を発揮する絶妙バランスを与えておるのじゃ! お前さんの胸は、このために作られたゴッドの奇跡じゃーい!!」


 そんなふざけた神様いるなら、私がグーで殴ってやる!!


「ウヒヒッ! ……うぐうッ!!?」


 神様の前に、目の前のジジイを殴ろうとした私だけれど…。

 急にジジイは青い顔をして、胸元を抑える。

 え? あの、ちょっと。まだ殴ってないんですけれど…。


「うんももすッ!?」


 白木のジジイは叫び声をあげたかと思いきや、白目を剥いてその場でズッダーンと倒れる!


 えっと、何の冗談…?

 いつもの冗談だよね?


 ハッとして、ようやく自意識を取り戻したヤオキチ号が、スッとジジイの首筋に手を当てる。


「…いかん。心臓が止まっている」

「ええーッ!?」


 ウソ。いままでバカみたいなことばっかり言っていたクソジジイが…死ぬ? 死んじゃうの!?


 そりゃ、私に迷惑かけるこんなジジイは死んで欲しいと思ってたけれど。本当に思っただけで死ぬなんて……。


「私、エスパーじゃないのに…。デ○ノートだって持ってないのに…」

「なにバカヤローなこと言うとんじゃ! 寿命が来たに決まってるだろうがッ! "間に合わなく"なるぞ! さあ、急ぐぞコノヤロー!! バカヤロー!!」


 ぐったりしたジジイを背負い、ヤオキチが叫んで走り出す!

 えっと、私も…いかなきゃマズイんだよね?

 そりゃ、そうだよね。


 わけもわからず、ヤオキチ号の背中を追って私は走り出しのだった………。



 敵にやられたわけでもないのに、急遽、命の危機を迎える白木博士!

 ナミとヤオキチは、日本の天才科学 者白木 卓郎を果たして救えるのだろうか!?

 

 波瀾万丈の急展開を迎えるこの作品! 白木博士と還暦型決戦兵器たちの運命やいかに!?


 そんなこんなで、次回に続く!!!!

☆還暦型決戦兵器カタログその(3)


・品番:『S-003』


・正式名称:『中距離支援兵器ジョジー号』


・生体名:鮫島さめじま 魚雅うおまさ 60歳


・生体情報:身長170㎝ 体重75kg


・主兵装:回転式肩銃砲二門


・副兵装:丸めた新聞紙など


・移動方式:背部・脚部ジェット噴射式


・攻撃力:400オヤジー


・防御力:450オヤジー


・機動力:200オヤジー


 白木卓郎博士が造りだした還暦型決戦兵器。

 遠近ともにそつなくこなせるが、一番得意なのは中距離戦である。

 両肩に備えた回転砲は、様々な種類の弾を撃ち出すことが可能。シリンダー式の弾倉の為、戦闘中でも素早く弾種を換装できるのは強み。

 防御・機動力に長け、単独戦よりも集団戦で威力を発揮する機体である。

 自慢のリーゼントにも砲が仕込んでいると思われがちだが、そんなことをすれば某人気トレーディングカードカード漫画にでてきた機械のドラゴンになってまう。ほら、コイントスで敵クリーチャを破壊する効果を持つ…ううん!

 そういうパクリをしない為に、リボルバーは両肩のみなのであーる!!

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