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二十七狂目 『男を見たら痴漢と思え』

 私は自分の部屋で目覚めた。


 あれ? 私は確か美容室で戦っていたはずじゃ……

 でも、ここ私の部屋? ジジイが無理やり作ったハンモックも、ヤオキチが勝手に置いたカボチャのオブジェも消えてる…?


「ナミー! ごはんよ!」


 え? ウソ…。なんか階段の下からお母さんの声?

 だって、お母さんはお父さんと一緒にジジイに金もらって海外旅行に行ったんじゃなかったの!?


「ほらー、はやく起きてきなさい! 遅刻するわよ!」


 ドキドキする胸を抑え、私は恐る恐る部屋を出て階段を降りる。

 ダイニングの前で大きく深呼吸をし、そして扉を開いて中に入った。


「ああ、おはよう。今日は遅くまで寝ていたねぇ」

「お、お父さん!」


 それは尻をこっちに向けて、放屁しながらスポーツニュースを見てる八百屋のオヤジじゃない!

 ダイニングテーブルの奥に座り、新聞を開いてコーヒーを飲んでる。それは、いつもの私のお父さんだ! 


「ほら、早くしなさい。トーストはマーガリン? それともジャム?」

「お母さん!」


 それは裸エプロンで焦げた玉子焼きを皿に手づかみで乗せてる湿布丸見えの変態ジジイじゃない!

 カリカリのベーコンと、ケチャップを添えたスクランブルエッグ。いつものお母さんの朝食メニューだ!


「う、ううっ…うえええんッ!」

「な、なんだ?」

「どうしたってのよ、このは…」


 いきなり泣き出す私に、お父さんもお母さんもビックリしていた。

 私はお母さんの胸に抱きつく。牛乳石鹸の良い香りがした。


「もう。高校生にもなっていつまでも甘えん坊なんだから。よしよし」


 そんなことを言いつつも、私の頭を撫でてくれる。そう。これが私のお母さんだ。

 ふと庭の外を見ると、お父さんの車は黒い高級車なんかじゃない。バリバリのローンの残ったピンクの軽自動車だった。


「お父さんの黒い外車は…」

「外車だって? 何を言ってるんだい?」

「だって…」


 そうだ。ジジイに高級車をもらったんじゃない。


「私たち一家にそんな高い車なんて似合わないでしょ。何を寝ぼけてるの」

「ハハハ。どうも様子がおかしいと思ったら、変な夢でもみたんだな」


 ああ。そうだ。今までのは夢。夢だったんだ…。

 そうよ。サイボーグになったオッサンに乗って戦ったり、政府を敵に回したりだなんて……そんなことあるわけないじゃない。常識に考えておかしいわよ。


「…ごめん。もう大丈夫」

「そう? なら先に顔洗ってきなさい。さっぱりしてからご飯よ」

「はーい!」


 ああ、これこそ我が家の日常だ。失われてはじめて解るありがたさ。もう決して失うものかと心に誓う。

 顔を洗いに向かおうとした時、テレビが独りでについた。お父さんは新聞を読んでるし、お母さんはキッチンに戻ってる。オートタイマー? いや、こんな時間に設定するなんて……


『……ナミよ。いかん。いかんぞい。それはまぼろ…』


 ダダッ! パチン! 


「な、何をしてるんだ。ナミ?」

「う、うん。ちょっと…」


 いきなりダッシュして、リモコンを掴んで即座に画面を消す…その素早すぎる動きを見て、お父さんは顔を若干引きつらせている。


「夢でね! 悪い霊がテレビからでてきたらすぐに消さなきゃいけなかったの! だからついやっちゃったの!」

「…そ、そうか。まだ寝ぼけてるようだね」

「うん! だから、顔洗って眠気覚ましてくる!」

「そうだね。そうした方がいいね」


 ホッ。よかった…。お父さんは気づかなかったみたい。

 テレビに映ったジジイ…あれは違う。きっと私はまだ寝ぼけているんだ。私の心の奥底にある恐怖が幻となって現れたんだわ! きっとそうに違いない!



 それから、私は普通に学校に行く。学校は壊れてもいなかったし、部室もいつもの通りだった。あと担任はゴンザレスじゃなくて、一年の時に担任だった女の先生になっていた。ゴンザレス…鬼瓦先生の存在自体がなくなってたのだ。きっと、これも私の夢の存在だったに違いない。あんなおかしいセクハラ教師が現実にいるはずがない。

 あと、それとは別の嬉しい変化があった。それは…


「すまない。山中。先生に集めたアンケート用紙を渡していて遅れてしまった」

「ああん! いいんですぅ。セイカ様ぁ! 私ごときのために息を切らせなくたって! 1時間でも2時間でも、なんなら丸1日待ってても苦じゃありません!」

「フフ。1日はさすがに私でもないよ」


 校門の前で待ち合わせしてたのは、セイカ様! なんだかよく解らないけれども、どういう経緯でか私たちは無二の親友なのだ! 嬉しい! これは素直に嬉しい!


「じゃあ行くか」

「はい!」

「雲上も近くまで来てると連絡があった」

「じゃあ、途中でユウキちゃんと合流ですね」


 えーと、そう。あと別の学校だけど、ユウキちゃんもなんか私たちと仲良い。どういった出会いでかっての全然記憶にないんだけど。そういうことらしい。

 二人で歩きだしたとき、セイカ様の鞄から何か紙のようなものがはみ出ていることに気づく。


「セイカ様。何かが…」

「うん? …これは? しまったな。先生に渡しそびれたアンケート用紙かも知れん」


 セイカ様は、紙を取って広げる。


「…ん?」

「ど、どうしました?」


 何やらお美しい顔が曇ったので、私は心配になる。


「『性技48手のすべてを事細かに図解せよ』…なんだこれは? おかしいな。進路についてのアンケートだったはずだが。こんな物が私の鞄に入っているなんて」

「んんッ!!?」


 私はセイカ様から用紙をひったくると、そのままグシャグシャに丸めてしまう。


「や、山中?」


 セイカ様は呆気にとられた顔をしている。


「違います! ゴンザレスなんて見えてません!」

「ゴンザレス?」


 見えてない。絶対に見えてない。紙の裏側にゴンザレスの顔だなんて…きっとあれは紙のシワだ。シワが偶然、ゴリラみたいな顔になっただけだ。きっとそうに違いない。


『キッサマー! 山中ッ! この性教師たる鬼瓦に何をする! いい加減、目を覚ませちゅうちょろうがー…』

「えい! えいッ!!」


 私は紙を投げ捨て思いっきり踏みつける! 何も聞こえない! 何も聞こえないもん!!


「きっと、変態の仕業ですよ! セイカ様の美しさにいかれたクソ男子のいずれかが、こんなセクハラ紛いのわけのわからん書面をこっそり鞄の外ポッケにこれ見よがしに入れたに違いありません!」

「そ、そうなのか…?」

「はい! 間違いありませんッ!!」

「…まあ、山中がそう言うならそうなのだろう、な」

「はい! ですから、こんなのは放って、はやくユウキちゃんのところへ!!」

「そうだな」



 いつもの待ち合わせ場所…ってか、今日が初めてのような気がしないでもないけれど…あのテントウムシ公園でユウキちゃんと落ち合う。

 ユウキちゃんは公園の入口で待っていた。

 でも、あれは何やってるんだろ。車止めの石柱の下をしゃがんでジッと見てる。


「ユウキちゃん! お待たせー」

「…あ! ナミさん! セイカさん!」


 私たちの姿をみるやいなや、嬉しそうにユウキちゃんが駆け寄って来る。何だか子犬みたいな愛らしさのあるだ。


「さっき屈んで何してたの?」

「え?」

「私たちが来るまで、あそこでしゃがんでいたから」

「ああ、蟻です」

「蟻?」

「ええ。蟻が列を作っていたから何運んでるのか見てたんです」


 やっぱり、なんかちょっと変わったよね…。今時、暇潰しはスマフォ見たりだと思うんだけども。


「待たせて悪かったな。雲上」

「ううん。ボクも今来たところですから」


 ドキン! あれー、今のなんかいいわ! なんだか彼氏と彼女の待ち合わせって感じのやりとりなんですけど! ドラマのワンシーンみたい!

 相手が男だったら半殺しにするところだけれど、相手がユウキちゃんだからなんかそれは許せる! 今までのゴリラとの共演がひどかった分、寛容に受け入れられます!!

 セイカ様とユウキちゃんじゃ頭二つ分ぐらい身長差があるんで、なんか一見して年下の男の子と、超美人のお姉さまとの禁断のお付き合いって感じで…うーん、なんかキュンキュンするッ!

 ユウキちゃんってなんかパッとみた感じ男の子っぽいから、スカートじゃなくてズボンとかはいてたら可愛い系男子中学生と間違えられそうだし(胸の大きさはこの際考えないでおく)!

 アグレッシブな攻め系セイカ様と、ナイーブで受け身一辺倒のユウキちゃん…ぐへへ。こりゃたまりませんなぁ!


「山中…」

「ど、どうしたんですか。ナミさん…」


 へ? あ、いま、私もしかしてスゴイ顔してたかしら…


「い、いえ! なんでもありませーんッ!」

「そうか。山中。何か辛いことがあったら言った方がいいぞ?」

「え? いえ、大丈夫です。もう、なんか、ユウキちゃんが可愛いすぎて我を失ってただけですから!」


 私はユウキちゃんの肩を掴んで愛想笑いをする。ああ、ユウキちゃん。何かフォローをお願い!


「可愛いだなんて…。ナミさんの方がボクなんかよりも女の子っぽくて…よっぽど可愛いじゃないですか」

「え? そんなこと初めて言われたんだけど…。私なんてフツーすぎて面白くないと思うよ」


 あんまり容姿のこと褒められたことないなー。ブスでは決してないと思うけど、セイカ様みたいな美人でもないし、ユウキちゃんみたいな可愛い系でもないと思う。


「クラスの男子からはかなり人気があると思うぞ。そういうことには疎い私でも、山中の名前をよく口にしているのを耳にするからな」

「えー。変な話じゃないんですか?」


 ウシ乳とか…。デブとか…。男子がまともなこと言っているとは思えないんですけど。 


「山中は男女分け隔てなく話すだろう? だからこそ、一目おかれているんだと思うがな」

「えー。いやいや。でもまあ、セイカ様に褒められるのはそりゃ嬉しいですけど…」

「ボクもそう思います。だって、ナミさん。とっても優しいし!」

「そうだな。山中の思いやりや気遣いの細やかさはすばらしいと思うぞ!」

「な、なんですか。二人してベタ褒めとか恥ずかしいからやめてくださいよ!」


『フレンドの絆を育むのはグゥ~ド! だが、それがドリームってのはいただけないゼ☆』


 ん? なんか聞こえた…いや、違う。聞こえてない!


「あ。雨…かな」


 ユウキちゃんが手の平を出して、空を見上げる。

 いつの間にかどんよりと空は曇り、確かにポツリポツリと雨が降りだしてきたみたい。


「近くに雨宿り…ああ、あの遊具の中でしのぐとするか」


 セイカ様がテントウムシ・トンネルを指差す。途端、私の背中に冷たいものが流れた。


「や、やめましょう!!」

「え? でも…」

「この近くには入れる店はないし、傘ももって来てないぞ?」

「いえ、あの…。そうです! きっとこれ、にわか雨じゃないですから! 本降りです! 降りだしたらまず止まないです!」


 力説する私に、セイカ様とユウキちゃんは顔を見合わせる。


「走りましょう! 少し走れば市街にでて入れる店もありますから!! ちょっと濡れるぐらい平気です! さあ! さあさあ!」


 私は二人の背を押して歩きだす。二人も異論はなかったのか、特に何も言わなかったことには助かった。

 言えない。言えるわけがない。あのテントウムシ・トンネルの穴から、“リーゼント”が飛び出ていただなんて……



 駅前にある喫茶店。セイカ様のお勧めとのことで初めて来たが、昭和レトロな感じでちょっとオシャレだ。花柄のモダンなステンドガラスに、年期を感じさせる木製のテーブルチェア。奥まった常連専用のボックス席に座るなんてちょっと大人になった気分だわ。

 私はカプチーノにチーズケーキ、セイカ様はエスプレッソとモンブラン、ユウキちゃんはミルクティとティラミスを頼む。

 ああ、なんかとても良い。平和だ。女の子たちだけで囲む夕方のティータイム。外は雨がシトシト降っていて、なんとなく感傷的なんだけども、とっても大事な幸せな一時って感じ。


「…また大きくなったのか?」

「はい。もうキツくてキツくて」

「スポブラじゃそうでしょ。ちゃんとしたの着けないと」

「しかし、今まで気に入っていた服を着れなくなるのは悲しいものだな」

「そうなんですよ! ブラだって大きいサイズになると可愛いデザインの限られれてくるし!」

「はぁ。こんなに大きくならなくてもいいのに。走るとき邪魔ですし…栄養は身長にいってほしいです」


 ああ。こんな会話も女子同士だから許される。ここにあのオッサンどもがいたら単に性的好奇心を刺激するだけだわ。


「もう、いっそのこと着けなくてもいいかと思っちゃいますよ」


 ユウキちゃんは胸を抑えて言う。ってか、この三人の中でも背は小さいのに胸は一番大きいだろう。


「ダメダメ。ちゃんと抑えないと形崩れるし、汗かいて透けて見えたとき大変よ! 男子なんてみーんなケダモノなんだから! 絶対、ユウキちゃんを変な目で見ているヤツいるし!」

「ええ。ボクなんて見ている人なんて…」

「なーに言ってるの! そういうウブなこと言ってるから、危うくヌード画なんて描かれそうになったんでしょ!」


 ユウキちゃんは反省するかのようにうつむく。

 そう。ユウキちゃんの話で、なんか変な男どもに騙されて絵画のモデルになったとかで、どう聞いてもいかがわしい目的にしか思えなかったのだ。


「男子の視線みてれば解るわ。まずオッパイ、それから顔。この順番でしか男ってのは見ないんだから! 毎回毎回! 視線そらしているフリして、オッパイばかり横目で見ているのバレバレだからね!」


 なんだろう。ここには私だけしかいないのに、ドキッした人が多いような気がするけど……?


「そうなのか? 見てくる視線など気にしたことないが」

「ええ。何か見てくる人いますけど、ただ単にボクが変わっているせいなのかなぁと…」

「間違いありません! 男を見たら、まず痴漢だと思えです! 満員電車の中で、さりげなーく肘で胸とか、鞄を持った手でさりげなーくお尻とか触ってくるリーマンなんてうじゃうじゃいますから! それやっている本人が相手に気づかれないと思っているのが腹立たしいことこの上ないです! 男って生き物は、5歳を過ぎたら死ぬまでスケベですから! スケベは死ぬまで治らない不治の病ですよ!! 注意しなきゃいけません!!」


 セイカ様もユウキちゃんも頷く。


「減るものでもなし、見たいヤツには見せておけと思っていたが。まあ、山中がそう言うなら気を付けよう」

「そうですね。具体的に何をすればいいかわからないけど…ボクも注意します!」


 どうやら私の思いは通じたようだ。二人ともターゲットになりやすそうだから人一倍に気を付けないと。


「しかし、山中といると色々と勉強になるな」

「あ。それ、ボクもいまそう思いました!」

「え? いやー、別に普通の話じゃないですか」


 褒められるようなこと言ってないと思うけれど…。


「これからもよろしく頼む。君こそがリーダーにふさわしい」

「ナミさんがいてくれれば安心です!」


 ん? なんか違和感があったんですけれど…??


「リーダー…?」

「どうした? 山中?」

「ナミさん?」

「セイカ様。ユウキちゃん。…リーダーって、もしかしてパイロットのことじゃないですよね?」


 二人はキョトンとして眼をしばたたく。


「パイロット? 山中は飛行士が夢だったか?」

「い、いえ、そうではなくて…」


 私たち三人の共通点…そこまで考えて、あのマッドサイエンティストの満悦の笑みが思い起こされる。


「ねえ! ユウキちゃん!」

「は、はい!?」


 私がいきなり身を乗り出したせいで、ユウキちゃんは思わず口元に運んでいたティーカップを落としそうになった。


「私…いえ、私たちとユウキちゃんってどうやって仲良くなったんだっけ!?」

「え?」

「いきなり、どうしたんだ…?」

「ごめんなさい。でも、どうしても…どうしても知りたくて!」

「ボクとお二人が、ですか? それは…◯□#&*がキッカケで」


 ん? なんだ。肝心なところでノイズみたいなのが走ったけれど…


「そうだな。◯□#&*がなければ私たちは出会わなかったからな」

「はい。ボクにとってはステキな幸運でした」


 気のせいじゃない。セイカ様の台詞にもノイズがあった…ナニコレ?


 バターン!


 いきなり個室の扉が開いた!


「へい! パンプキン・ホール・ケーキお待ち!」


 ドドン! と、私たちの目の前に、半分とけかかったグロテスクな巨大なホールケーキが置かれる。生焼けのスポンジに生のカボチャを乱切りにぶちこんだとても食べ物とは思えない何かだ。


「え? こんなの頼んでなんか…」

「バカヤローッ! いい加減に目覚めやがれッ!!」


 それは中世ヨーロッパから飛び出してきたような紳士っぽい店員さんではなく、褌姿のヤオキチだった。目の前に脂ぎった顔を近づけてくる!


「これは夢だ! オメェの生み出した妄想にすぎねぇ!」

「そ、そんなウソよ。アンタこそが私の悪夢だったはず…」


 セイカ様とユウキちゃんに助けを求める視線を送るが、二人ともまるで感情を失ったかのように無表情で、虚ろな瞳をしてこっちを見ている。


「さあ、ぇるぞ!」

「い、いや! 離して! 今日の晩御飯は、お母さんの作った照り焼きハンバーグなんだもん! 私、家に帰るんだもん! アンタなんかと一緒になんか行かない!!」

「バカヤローッ! 今日の晩飯は、あのジジイが作った、石みてぇな豆腐が転がったクソ不味い麻婆豆腐だったろうが!!」

「イヤァアアーー! 切ってもいない豆腐一丁が丸ごと入ってて、煮えすぎて乾燥した高野豆腐みたいになったあんなもの人の食べ物じゃないわよ!!」

「ワガママ言うな! 文句があるなら、オメェが作れ! 女だろうが!」

「そんなの女性蔑視よぉ!!」


 ヤオキチは私を引きずって行く。セイカ様もユウキちゃんも無反応だ。

 ああ、無理。ダメ。その喫茶店の扉をくぐったら…私は……この世界から…………

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