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2014年/短編まとめ

寒いですね

作者: 文崎 美生

湿気…水気…雨音…雨粒……。


俗に言う梅雨の季節。


正直この季節は好きじゃない。


天気が悪くて気分的に優れないから。


「お前…この時期になると保健室に引き込もんのやめろよ」


保健医が保健室でタバコを吸いながら私を注意するが、ハッキリ言わせてもらえば説得力皆無だ。


「私のは一時的なものなのでお気になさらず」


サッサっとベッドを整えて自分の寝やすいようにする。


「それより、保健室でタバコを吸うの辞めたらどうです?生徒に示しがつきませんよ」


そう告げてベッド周りのカーテンを閉め切った。


それからしばらくは珍しく晴れの日が続いていて、少しは気分が良かった。


だからこその油断と言う奴だろう。


家を出る前は晴れていたから傘を持ってきていなかった。


さらに天気予報を見ていなかったのだ。


その為生憎折りたたみ傘も忘れた。


しかも降ってくるのは学校に着く直前。


制服はベチョベチョだ。


色の変わってしまった制服で保健室に入ると、ギョッとしたようにこちらを見る先生。


「おまっ、何でそんな濡れてんだよ…」


ズカズカと保健室に入って、タオルを取り出す。


「傘持って来てなかったんですよ。途中で雨に降られたんです」


髪の毛をタオルで包んでパンパンと水気を吸い取ってゆく。


その間にも重苦しい色になった制服から水が落ちてゆく。


「ジャージ出してやるから、それに着替えろ」


吸っていたタバコを灰皿に押し付けて立ち上がる。


戸棚を開けて取り出されたジャージを、差し出され素直に受け取った。


それを持ちそそくさとベッドまで行き、カーテンを閉める。


その遮断された世界で先生の「いや、別に見ねぇよ」という不快な発言を耳にした。


とりあえず着替えが終わると、先生を睨みつけるがタバコを吹かして無視。


実に不愉快だ。


それにしても…と溜息をつく。


「寒いですね」


雨に打たれたせいで体温が下がっている。


二の腕をさすっているといつの間に近づいたのか、先生がソファーに腰をかけた。


「なんっ…」


何ですかと聞こうとした瞬間に、ぎゅっと抱きしめられた。


先生の白衣からはいつものタバコの匂い。


噎せそうなその苦い匂いに包まれて、混乱状態に陥る私。


「な、にして…」


かぁっと顔が赤くなるのがわかる。


先生は未だタバコを吹かしながら私を抱きしめる。


「大和言葉で寒いですねは抱きしめて下さいだ」


独り言のように言い、その腕にさらに力を込める。


じんわりと体が熱を持っていった。

今度こそ季節に合わせて(笑)


本編で解説されてますが


大和言葉で寒いですねは


抱きしめて下さいです


ここから二人の中は発展するんでしょうかねー(笑)


まぁ、それは作者も知らないことってことで!

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