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「……あぁ、魔法か」

一人納得してみた。

そうだった、彼、最強の魔法使いだった。



転移魔法、普通の魔法使いだったら魔力消費が激しいから魔結晶を使うやつをコイツは大胆にも己の魔力のみでやってのけたのか。

それも、私ごと。

しかも、自宅。彼の部屋の、彼のベッドの上へ。

おまけに靴はちゃーんと、ベッド下に転移している!

どんだけ、魔力消費してんだ、コイツは。

なのに、顔は飄々としていて、

口元は笑みでいっぱいだ。



いわば、私、捕食されかかっていますよね?

右手で、器用に私の両腕を上で抑え、

左手で、私の髪を撫でる。


「……ベル、お前の紺色の髪は美しい。俺だけの」

私の髪色は珍しいらしい。

今まで私と同じ髪色なのは、母しか見たことのないほどに。

そんな、髪を優しく梳く。

「…誰にも、触らせない。俺だけのものだ」




なに、なに?この状況!

「ベル、お前に触れれるのは俺だけだ」


肌にさす冷たい空気。

私、服脱がされてない?!

「アラ…ン」

「ベル…」


やめて、と言おうと口を開きかけ、

塞がれる私の口。


「…ん、…」

口内をコイツに侵される。

苦しい、息の仕方がわからない。

だんだんと、薄れ行く私の意識。




そこで、私の意識は途切れた。



****



アランは昔から、こう。

私が逃げても、いつの間にか隣にいて。

どんなときも、魔法を使って、私の前に現れる。

恐ろしいくらいに。


しかも、はじめて私が男性に告白を受けているときも。



「ベルセリカ、あ、え、と、好きだ!」

あんまり、話したことはなかったけれど、その一言で気になる存在にはなる。

しかし、その数秒後に

「ベル、迎えに来た。…帰ろう?」

敵意剥き出しにして、男性にコソリと耳打ち。

『ベルは、俺のものだ。手、だしたらただじゃおかない』

と、私耳いいから聞こえた。……出来れば、聞きたくなかった!



それからというもの、男性は近寄らない。

数少ない、嫉妬心を向けてこない友達によると、

『アンタ、顔いいからモテるんだけどねー』

『ダンナすでにいるし。』

『牽制されてるし、アラン氏に。見ちゃったもんね、私』

『あー、あれでしょ?ベルのこと好きだとか話してた男子にさ「ベルはすでに俺のだ。」って言ってたやつ!』

『ていうかー、確かー10歳くらいにやっぱり恋愛意識でるでしょ?その頃からだよね、牽制してるの。』



え、ってなった。

顔いいからモテる?そこは、よく分からん。

ダンナって、え、アランのこと?

え、アランが排除してきたわけ?私のモテ期。

それも、10歳から?




「ま、アンタがアラン氏のなにが不満か分からないけどさ、いいじゃん。結婚すれば。」

「そうだよ、最高の物件だよ?超魔法使い様で、高収入!王様の次くらいにいいんじゃない?」

「ていうか、アラン氏しかいないよね?アラン氏にすべて排除されてるわけだし?」


と、シャレにもならんことを次々と言われ。追い討ちをかけられました。




君たちは、分からないんだ!嫉妬の目線の怖さが!僻みの目線の怖さが!なにさ、なにさ、私、結婚しちゃダメってこと?



と思いたち、考えに考えた末に、街をでよう!となったのでした。

街をでて、隣町、果ては二つ間を挟んだ国までたどり着いた。

両親には、旅にでると置き手紙をのこして。



ある、パン屋ではたらいてみたり、花屋で、果物屋で、を繰り返し。新たな発見ばかりで楽しかった。

そして、言い寄られたりも時々。

でも、あんまりその気にはなれなかったけど。

パン屋のおばさまが、縁談を持ち込んできた。

「ベルちゃん、ベルちゃん美人さんだからね勿体ないかもだけど…どう?会うだけあってみない?」



当日、会ったは、会った。

なんか、伸びてるんですけど。え、なんで?

「ベル、探した。」

と、幼なじみ様がいらっしゃいました。




お、恐ろしい!

こんな所になんでいるの?よりも、恐ろしい!だった。




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