1
私は、とにかく全力疾走していた。
どうしても、どうしても、どうしても!!
全力疾走をしなければならない理由があるから。
レンガ造りの家々の隙間、言わば路地裏を駆け抜ける。
薄暗いが、気にしては負け。
立ち止まっても、負け。
負けられない戦いがここにあるのです。
私の、人生がかかっているんです!
なんか、走ってばかりでごめんなさいね?
でもね、立ち止まれないの。
そんな、私。え、どんな私?!…じゃなくて、
ベルセリカ・ロートン。18歳そろそろ、嫁がなくてはならないお年頃です。
誰か、嫁にもらってください!
「言っただろう?ベル…お前は俺が貰うと」
路地の前方を突然塞がれる。
エメラルド色の瞳を細め、妖艶な雰囲気を漂わせる男。
整った顔、口元だけ薄く笑い鼻で私を笑う。
「…嫌」
直ぐ様に踵を返すも、また前方に現れる彼。
「…なにが、不満だ?俺の、何が。」
徐々に近づいてくる彼に警戒心を強める。
「──全部!ぜーんぶ!」
一瞬、彼の顔が陰る。
「ベル、お前は俺のだ。なぜ、なぜ、縁談など!」
「だって、いい人いないもん!そろそろ結婚しなきゃ、おいてかれる!」
もう、ムキだ。もう、ムキになる!
「お前には、俺がいる。ずっと、いただろう?俺のものだ、ベルは。誰にもやらん」
そう言って、彼は私を押し倒した。
え、なんで?!
え、かた…くない?
って、ええぇぇえ!!
天井がある?
「なにを、考えている?他の男か?」
いやいや、違うって。
なんで、天井があるのかなー?
アランくーん!
美しい、金糸のような髪。
彼は同い年のお隣さんで、幼なじみ。
アラン・フォルガート。
その美貌で昔からモテるモテる。
隣の私なんて、女の子の僻みの的でしかない。だから小さい頃からずーっと、避けてたのに。
───いつの間にか、隣にいた。
なにそれ、怖い!
それが、今までずーっと。
.




