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37『21号線を霊岩を目指して進む』

千早 零式勧請戦闘姫 2040  


37『21号線を霊岩を目指して進む』





 九尾市の南には木曽川が流れて、それに沿うように旧中山道の国道21号線が走っている。


 21号線は、滋賀の米原と岐阜の瑞浪市みずなみしを東西に結ぶ国道なのだが、西から東へ、岐阜、各務原、九尾、の街を貫いていて、その様子を「どうだ、だんご三兄弟みたいだろ」と小学校の竹岡先生が教えてくれた。


 だんご三兄弟♫ だんご三兄弟~(^^♪


 そのだんご三兄弟を歌いながら、我らが千早は農協の車に乗っている。


「なんだか、楽しくなってくる歌ですねえ(^▽^)」


 この春から営業の見習いをやっている米田瑞穂が助手席でリズムをとる。田中さんもハンドルを指で叩いて合わせる。


「いい歌を教えてくださったね、竹岡先生は」


「あはは、勉強の中身は忘れちゃったけどね。霊岩たまいわなんてのも、名前から恐ろし気だったから、つい昨日まで忘れてた」


「それを調査するんですよね、貞治くんの発案なんですか?」


「いやいや、こいつですよ。夏休みの自由研究の先取りだって」


「先んずればナントカよ。うまくいけば、図書だよりの特集とかになって、図書券もらえるかもだしぃ」


「しっかりしてるなあ、いまの高校生は」


「なに言ってるんですか、瑞穂さんだって、三年前までは高校生だったじゃないですかぁ」


「ひと回り違うんだよ、もう別世代よ」


「またまたぁ、っていうか、ほんとに今日は付き合わせてすみません。貞治もお礼言って」


「え、オレ?」


 完全に付き合わされている貞治だが、牧師の息子だけあって調子を合わせ「ありがとうございます、田中さん」と愛想よく礼を言う。


「いいよいいよ、土岐市の支店に行くついでだよ。それに、二人を見てると、九尾の将来は明るいって思えるしね」


「あはは、そうでしょ。市役所とかライオンズクラブとかで表彰してくれないかなあ」


「二人でいい家庭を持って、農協に預金してくださいね」


「ゲホゲホ(>△<)」


 飲みかけたお茶でむせかえる貞治。


「あら、図星だったぁ?」


「残念ながら、うちは教会でこいつは神社だからありえないです」


「ええ、そーお? それ以前に貞治ってだけでありえないんですけど」


「あ、それは傷つくなア(;'∀')」


 アハハハハハ(⌒∇⌒)(* ´艸`)(´∀`)


 明るく21号線を走る農協営業車。



 しかし、気楽そうに笑いながら千早の心は一人で浦安を舞う時よりも真剣だ。



 あの後、十兵衛から聞いたのだ――霊岩の鬼にやられました――と。その霊岩は、この21号線が山に分け入った先にある。


 21号線は、いよいよその山の中に進もうとしていた。


 



☆・主な登場人物


八乙女千早          浦安八幡神社の侍女

八乙女挿かざし      千早の姉

八乙女介麻呂         千早の祖父

八乙女和彦          千早の父

神産巣日神         カミムスビノカミ

天宇受賣命           ウズメ 千早に宿る神々のまとめ役

来栖貞治くるすじょーじ  千早の幼なじみ 九尾教会牧師の息子

天野明里           日本で最年少の九尾市市長

天野太郎           明里の兄

田中             農協の営業マン 部下に米田瑞穂

先生たち           宮本(図書館司書)

千早を取り巻く人たち     武内(民俗資料館館長)

神々たち           スクナヒコナ タヂカラオ 巴さん

妖たち            道三と家来(利光、十兵衛)

敵の妖            小鬼 黒ウサギ(ゴリウサギ)


 

 


 

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