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第五章 少年期・学園生活編:対応策

累計5000PV突破感謝です。

表記ゆれがあったため、EP32・EP52などの一部表現を修正。

ちょくちょく、過去話も修正していますので…

あれ?…ってなることもあるかもしれませんが、ご了承いただけると幸いです。

<Side:アルト>


アルトはグレアたちに…

暴行犯たちとの間で起きた…ここ数日の一連の騒動について、詳しく話した。


「暴行犯の主犯格は処罰されるから…

おそらく、気にしなくていいんだけど…

その取り巻きだった残党たちは…どう動いてくるかはわからない。

だから…」


「なるほど、つまり…そういうことか。」


ディエスは納得したように…ポン。と、手を打つ。


「俺たちで…

その残ったやつらをボコボコにすればいいってことか。」


「え?…いや、そうじゃ…」


ディエスから出された見当違いな結論を否定しようとしたアルトだったが…


「何、言ってるの?…

アルがそんなことを…私たちに頼むわけないじゃんか。」


それよりも速く…フィリアがディエスの言葉を真っ向から否定した。

そして、フィリアはさらに続ける。


「きっと、アルは…

その残党たちからフェイト君を守るために…

力を貸して欲しいって言ってるんだよ。

…そうだよね、アル?」


「そうなのか?…」


「あ、ああ…その通りだよ。」


ディエスには伝わっていなくとも…

フィリアにはアルトの意図はしっかりと伝わっていた。


「私たちに頼みたいことはわかったけど、

具体的にはどうすればいいのよ?…」


「ええと…それは…」


グレアに尋ねられ…

アルトは暴行犯の残党たちへの対応策について、

詳しく話そうとするが…


「ちょ、ちょっと…待って!」


そこに待ったをかけたのは…

他でもないフェイトだった。


「アルト、君の気持ちは嬉しいけど…

主犯格は処罰されるし、

頭のなくなった集団は瓦解するはずだから…

もういいんだって!」


「!…その話は…さっきもしたじゃないか!

楽観視が過ぎるって!」


フェイトの主張に…

アルトはそう言い返す。


その議論は…食堂に集まる以前にも二人の間で交わされたものだった。


「な、なんだ?…揉めてるのか?…」


「あのアルがあんな風に誰かと口論するなんて…」


「たしかに…珍しいわね…」


いきなり始まった二人の口論に…

残りの三人は若干、慌てつつも…静観していた。


「アルトが悲観視し過ぎなんだよ!

それに…ほぼ、初対面の相手にまで…迷惑は掛けられない!」


「そこは…君も納得してたじゃないか!

解決するには皆に協力してもらうしかないって!」


「僕は…

もう…誰も巻き込みたくないんだよ!

君のことも!…君の友達のことも!」


「!…ッ…」


叫ぶような…絞り出すような…

フェイトのそんな言葉に…

アルトは…それ以上、何も言えなかった。


周囲の喧騒がまるで嘘かのように…

その場には沈黙が流れる。


そして、しばらくした頃…


「えー…あー…

たしかに…俺たちは初対面だもんな。

もしかすると…授業かなにかで、

顔は合わせてたかもしれねえけど。」


おずおずと…その沈黙を破ったのはディエスだった。


「?…ディエス?…

一体、何を…」


アルトはディエスが何を言おうとしているのか…

イマイチわからず、困惑する。


「まあ…そんなよく知りもしねー相手に頼るのは癪かもしれねえけどよ…

だがな、アルのやつはお前を思って…

下げたくもねえ頭を下げてまで、俺たちに頼んでんだ。」


「その気持ちは嬉しいよ…

だけど、君たちにも迷惑が…」


「迷惑かどうかを決めるのは…

迷惑を掛けられている側なんだよ。

少なくとも、俺は…

いや、俺たちの誰も…こんなことで迷惑だなんて思っちゃいない。」


ディエスはフェイトの言葉を食い気味に否定する。


「で、でも…

なんで…そんな…」


「それに…巻き込みたくない云々ってのも…

話を聞いちまった時点で…十分、巻き込まれてるしな。

今更、気にすることじゃねえよ。」


「!…」


その言葉を聞いたフェイトの顔は俯き気味で…

その表情には陰りが差していた。


「なにより…そんな話を聞かされて…

ただ、放っておくだけなんて…

やっぱ…カッコわりいだろ?」


だが、ディエスは…

そう口にすると、ニヒルな笑みを浮かべた。


「え?…

ぷっ…アハハ…

君…変わってるね!」


一瞬、呆気に取られたが…

その言葉の意味を理解したフェイトは堪えきれず、噴き出した。


「さすがに…アルのやつほどじゃねえよ。」


「まあ、アルトも大概だけど…

君もかなりだよ?…

やっぱり、変わった人の周りには…

似たような人が集まるのかな?」


フェイトはそう評したが、

哀れなことに…アルトが変だということは誰一人、否定しなかった。


「その理論だと…

お前も変な奴になるぞ?…

いや、まあ…変な奴ではあるか。」


ディエスはフェイトの理論の穴をつき、鋭い指摘を返す。


「な!?…

失礼な…僕のどこが変な奴なんだ!?」


人を変人呼ばわりする割に、

自分が変人扱いされることは不服なのか…

そう言って、フェイトは食い下がる。


「うーん…なんつーか、全体的に?」


「君、適当に言ってるだろ!?」


そんな言い合いをしている間に…

つい、先ほど知り合ったばかりとは…到底、思えないほど…

いつの間にか、フェイトとディエスは打ち解けていた。


「ディエス…」


二人のやり取りを途中から静観していたアルトは…

どこか、感慨深げな表情で口を開いた。


「ん?…なんだよ?…」


「いや、癪とか…

難しい言葉知ってるんだな…って。」


「まだ、そこかよ!?

てか、なんつー言い草!?」


「二年前はあんなに馬鹿だったのに…

いや、さっきもあんまり話の意図は汲めてなかったし、

馬鹿は馬鹿なのか?…」


「なんだとぉ!?」


「ちょ、やめろって!?…

こんなところで暴れるなよ!?」


「そりゃあ…多少、常識知らずなところはあるかもだけど…

僕は変人じゃ…って、こら!…聞いているのかい!?」


アルトに掴みかかろうとするディエスと…

そんなディエスに言い募るフェイト。


「なんか…急にやかましくなったわね。」


「あはは…だね。」


そんな三人の様子を見て、グレアとフィリアは苦笑していた。



「さて…ちょっと、話は逸れたけど…

話を戻すね。」


そう切り出した…アルトの表情には陰りが消えていた。


「その残党たちへの対応策なんだけど…

奴らは人目を避けていたから…

フェイトには基本的に、僕らの誰かと一緒にいて欲しいんだ。」


「それは…昼間とかならともかく…

夜間とかは…寮で一人だし…

かなり、難しくないかい?」


フェイトはアルトの提示した対応策の問題点を指摘する。


どう頑張っても…

一人になる時間は必ず発生してしまうため、

四六時中、誰かと一緒にいるのは…ほぼ不可能。


だが、当然…そんなことはアルトにもわかっていた。


「いや…フェイトの部屋は奴らにも場所が割れてるし…

今朝の一件で荒れてて、修繕も必要だろうから…

フェイトはしばらく、寮には戻らないで欲しいんだ。」


「え?…じゃあ、どうすれば…」


「しばらくの間、フェイトには…僕の部屋で過ごしてもらいたい。

勿論、ベッドは好きに使ってもらって構わないし…

荷物は好きなだけ持ち込んでもらって構わないからさ。」


「いや、まあ…うん。

わかった、とりあえず…アルトの言う通りにするよ。」


フェイトは色々と言いたいことはあったものの…

それらを呑み込み、素直にアルトに従うことにした。


「アルト、だとしても…問題があるわ。

誰かと一緒だったとしても、

必ずしも…襲われないとは限らないじゃない。」


暴行犯の主犯格がフェイトの部屋に押し入ったことといい…

ありえないと思われても、物事には絶対はない。


グレアは残党たちがそういった行動に出る可能性も懸念していた。


「たしかに…その可能性はあるね。

だけど、その場合…

フェイトが魔術を上空に打ち上げて、何かしらの合図をしてくれれば…

僕がすぐに駆け付けるから。」


だが、それは…アルトも折り込み済み。

しっかりと、もしもの時のことも考えていた。


「あ、ああ…わかったよ。」


「ん?…

フェイトは…魔術を使えるのか?」


ディエスはアルトの言葉に…

頷くフェイトへそう尋ねる。


「まあ…一応、魔術科だからね。」


「よく見りゃ、フィリアと同じエンブレムだもんな…

悪い…そんなこと、聞くまでもなかったな。」


フェイトの制服についているエンブレムが…

日々、何度も目にし…

見慣れているエンブレムと同じものだということに気づいたディエスはそう詫びる。


「!…だったら、あの魔術とかいいんじゃない?」


ふと、何かを思いついたのように…グレアはそう提案する。


「あの魔術?…」


アルトはグレアの言うあの魔術がどの魔術を指しているのか…

イマイチ、わからず聞き返す。


「ほら、あの…光って爆発するやつ!」


「ああ、あれか!…グレア、ホントあれ好きだね…

でも、合図としてはわかりやすいし…いいかもしれないね。」


グレアの言うあの魔術とは…

いつぞや、アルトとグレアを救うことになった【閃光(フラッシュ)榴弾(パン)】である。


「さっきからあのだのあれだのって…一体、なんの話だ?」


だが、そんなものを…当然知るはずもないディエスはそう尋ねる。


「いや…丁度いい名前が思いつかなくて、名前つけてなくてさ…」


「え!?…名前ついてないの?

なら、私がつけてあげるわよ!」


アルトが名付けていなかったのは…

後に改良した『閃光(フラッシュ)榴弾(パン)』兼『音響(スタン)榴弾(グレネード)』の方であり…

厳密にはグレアの言うあの魔術ではないのだが…

グレアは嬉々として、名付けしたがる。


しかし…


「うーん、却下で。」


それをアルトはあっさりと一蹴した。


「どうしてよ!?…

まだ何も言ってないじゃない!」


当然、グレアは食い下がる。


「だって、グレアのセンスだしなぁ…」


「な!?…それ、どういう意味よ!?」


言外にセンスが悪いと言われ…

グレアは心外だ。と、言わんばかりに立ち上がる。


「ちょ!?…グレアちゃん落ち着いて!」


グレアはフィリアに羽交い絞めにされつつも…

アルトに掴みかかろうとする。


「な、名付ける?…何に?…

どういうこと?…何の話?…」


そんな状況の中、

フェイトは意味を理解できないアルトたちの言葉に…

ただ、ひたすら困惑していた。

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