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第五章 少年期・学園生活編:喋り過ぎも言葉足らずも困りもの

<Side:アルト>


アルトの馬鹿げたスケジュールが完成した

経緯はひどく単純。


初めに選んだ四つの授業だけでは…

アルトにはかなり時間の余裕があった。


そのため、アルトは「あれ?…これ、もうちょっとくらい増やせるんじゃね?…」と、

一つ、また一つと取る授業を増やしていき…

気づいた時には十二時限全てを埋めていたというだけである。


「(あんま考えてもなかったけど…

たしかによくよく考えてみれば、

ちょっと大変なスケジュールだな?…)」


授業を受けていた時はアルト自身が授業を楽しんでいたこともあり…

大して気にも留めていなかったが、

改めて考えてみると…かなり無茶なスケジュールではある。


常人ならすぐに音を上げるほどの…

いや、そもそもやろうとすら思わないほどの過酷さだが、

アルトの学びへの意欲は相変わらず強くあり…

その甲斐もあってか、

本人的には大した苦でもなくこなせてしまっていたのだ。


が、それがどれほど馬鹿げているかは…


「あっきれた…」


「馬鹿だとは思ってたけどよ…」


「普通、そんなに授業数取れないし…

取らないよ…」


その経緯を聞いたグレアたちの驚いたような…

呆れたような反応に全て込められていた。


そもそも、一日に行われる十二時限全てで授業を取ることなど…

学園側も想定していない。

授業と授業の間に短時間の休憩時間はあるが、

昼休みのような長時間の休憩時間がないことがその証拠だ。


だが…学園側が想定できないのも無理はない。


授業を多く取っている生徒でも、せいぜい四時限。

少ない生徒だと一時限…

なんなら、休日でなくとも一時限も取らない(取れない)生徒もいたりする。


そんな中、何倍もの数の授業を取るアルトが異常も異常で…

むしろ、アルトのような逸れ値を想定する方がおかしいのだ。


「…はぁ、まあいいわ。

理由もわかったし、

アルトがおかしなことをするのは今に始まったことじゃないし…」


グレアは溜め息を吐きつつ、やれやれと首を振る。


始めこそ驚きはしたものの…

三人ともそれなりの付き合いで、

既にアルトの奇行にも慣れてきており…

ツッコむのは半ば諦めていた。


しかし…


「でも、せっかく一緒に来てるんだから…

せめてお昼ご飯くらいは一緒に…」


グレアはそんな呟きをポツリと零した。


「(…え?

いきなり、なんの話?…

ご飯?…休日は一緒に…)」


グレアの呟きを耳にしたアルトは…訳がわからず戸惑う。


…が、すぐにその言葉の意味を悟った。


「(…いや、前までは平日でもほぼ毎日一緒に食べてた。

けど…最近はそうじゃない。

なんで?…って、言うまでもないな。

俺が取る授業を増やすようになって、

昼は軽食で済ませるようになったからだ…)」


別にアルトたちは一緒にご飯を食べると、

決めているわけでも約束しているわけでもない。

それぞれの予定や都合もあるだろうと…

アルトはそこまで重要視していなかった。


「(そのせいで…いつの間にか、みんなと一緒に過ごす時間が少なくなってたんだ…)」


だが、グレアたちからすれば、

いつも輪の中心にいた人物が何も言わず…

急にいなくなったという状況だ。

当然、何かあったのでは?…と、心配もするし、

避けられているようにも感じるだろう。


「(なるほど…急に詰め寄られたから何事かと思ったけど、

悪いのは俺だな…)」


改めて状況を見つめなおすと、

かなり自分に非があるな…なんて、

アルトが考えていると…


「仕方ないよ…

アルも忙しいんだから…」


「そうだな…

遊んでて来ないってんなら、

いくらでも文句は言えるけど、

真面目に勉強してるのを邪魔したら悪いしな。」


そう言って、フィリアたちは引き下がろうとし…


「ちょ、ちょっと待って!…」


アルトは慌てて、それを制止する。


「(たしかに俺はここに勉強しにきた…

だけど、それはみんなを蔑ろにしてまでするほどのもんじゃない。)」


アルトは望んで、『グレアたちと』学園に来た。


勉強も重要ではあるが…

アルトにとっては、

グレアたちと過ごす時間の方がよっぽど大切なのだ。


結果的に避けているような状況にはなってしまっていたが…

アルトにグレアたちを避ける意図も理由もない。


「ごめん!…僕が悪かった!」


アルトは…そう言って、頭を下げた。



「…まあ、許してあげるわ。」


「そ、そんなに謝らないで…」


「悪いと思ってんなら…それでもう構わねえよ。」


アルトの謝罪を聞いた反応はそれぞれ三者三様。

…だが、最終的には問題なく和解した。


「でも、今度からは何かあるならちゃんと言いなさいよ?」


今回のすれ違いはアルトが三人にきちんと話さなかったことで起きた。

そのため、グレアはアルトにそう釘を差したのだが…


「うう、すいません…」


既に反省モードに入っているアルトにとっては、

追い打ち以外のなにものでもなく…

アルトはしょぼくれた様子で肩を落とした。


「べ、別に怒ってるわけじゃないのよ?…

ただ…って、ああもう!」


グレアはなんとかアルトを宥めようとしたものの…

上手く言葉にできず、髪をかき乱す。


そして…


「この話はもういい!

それより…聞きたいことがあるわ!」


グレアはわかりやすく話を逸らした。


「き、聞きたいこと?…」


戸惑いながらも…アルトは問い返す。


「アルトが取ってる授業の中に気になってるのがあったの!」


「あ、私も!…

取ろうか迷ってる授業があって、

それがどんな感じか聞きたいな…って。」


グレアのそんな言葉に…

フィリアも同調する。


「(そういや、一番初めに選んだ授業は聞いたけど…

今、みんなが何の授業を取ってるかは知らないな。

みんなの取ってる授業のことも聞きたいし…丁度いいか。)」


入学当初に選択した授業に関しては…

それぞれ聞いたことがあったものの、

アルトと同じように…必ずしも選択している授業が変わっていないとも限らない。


話題にするには丁度いい機会か。と、アルトは判断した。


「オッケー…まかセロリ。

まずは何から聞きたい?…

それと…後でいいから、みんなの取ってる授業の話も聞かせてよ。」


「セロ?…まあ、いいわ。

ええと、まず…」


アルトの小ボケに困惑しつつも…

グレアは切り出した。



学科が違うこともあり、

アルトたちは特に擦り合わせたりすることもなく…

それぞれが取りたい授業をそれぞれ取っていた。


そのため、それぞれの取っている授業に関しては…

お互い、そこまで詳しく知らなかった。


しかし…


「あれ?…意外と、取ってる授業被ってんだな?…」


いつの間にか、同じ授業を選択していたのか…

さすがに四人全員が被っているということはなかったものの、

個々ではそれぞれ被っている授業がいくつかあった。


「…みたいだね。

…でも、授業で会ったことってあったっけ?」


「…私は少なくとも、誰とも会ってないわね。」


「私もない…かな?…」


「俺もないな…」


だが、アルトたちには授業で会ったという記憶はない。

無論、他にも多くの生徒がいることで気づかなかったという可能性もあるかもしれないが…

いかんせん不思議な状況にアルトたちは首を傾げる。


「あ!…多分だけど…

同じ授業でも取ってる時限が違ったんじゃないかな?…」


しばらくして、フィリアが謎の答えに気づいた。


「あ、たしかに!…

そういうことか…」


日によって選択する授業が異なることもあるだろうが…


たとえ、同じ日に同じ授業を選択していたとしても、

同じ時限でなければ…

当然、会うわけはない。


十二の時限(もっとも、そんなに取っているのはアルトだけだが。)と、

いくつもある授業の中から無作為に選び、

偶然、被るなんてことは…かなり、天文学的確率だった。


「でもさ…せっかく同じ授業取ってるなら、

取る時限くらい合わせても良くないかな?」


取りたくもないのに、

無理に同じ授業を取るのは違うが…

せっかく、同じ授業を受けるなら、

一緒に受ける方が良いだろう。


そう考えたアルトは三人に提案し…


「たしかに…

何を取るかは自由だけど、

そこくらいは擦り合わせてもいいかもしれないわね。」


「私もそう思う…」


「まあ、俺はどっちでも構わねえよ。」


賛同が得られた。

これからはちょくちょく一緒に授業を受けることもあるだろう。


「…ていうか、ディエス。

すーぐ、どっちでもいいとかいう奴はモテないんだぞ?」


「おいおい…

この状況で誰にモテるんだよ…」


「そりゃ…僕でしょ?」


「お前かい!

俺にそっちの気はねえよ!」


「いや、僕もないけど!?」


「じゃあ、言うなよ!?」


そんなアルトとディエスのやり取りを見て…


「あの二人…なんか、気づいたら漫才してるわよね。」


「うーん…それだけ仲いいんじゃないかな?」


グレアとフィリアは呆れた視線を向けつつも、

その顔には笑みが浮かんでいた。

セロリって聞くと…

なぜか、幼女が霊圧ビーム打ってる光景を想像しちゃうのは作者だけでしょうか?

ただの野菜なのに…

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