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第四章 少年期・学園入学編:断るのも立派な権利だね?

すみません…ストックが完全に尽きてしまったので、

更新頻度が少し落ちます。

ですが、可能な限りは更新しますのでよろしくお願いします。

<Side:アルト>


「なにやってんのよ…?」


「あ、グレア。」


男の悲壮な叫びは

グレアの耳にも届いていたらしく、

若干、顔を顰めつつ、

グレアはアルトの側に戻ってきた。


「って…置いてったのはグレアの方じゃんか。

そういうグレアこそ何してたの?」


「いや、そうじゃなくて…まあ、いいわ。

…あれ見てたのよ。」


そう言ったグレアはギルドの一部分を指さす。


「ああ、クエストボードね。

にしても…お嬢ちゃん、あれ読めたの?」


クエストボード。


それは冒険者ギルド内の一角に設置されている

冒険者への全体公開依頼や魔物の目撃情報など、

冒険者へ向けた情報が掲示されている掲示板のことである。


(なお、冒険者たちは単に依頼板や掲示板と呼ぶことの方が多い。)


「え、ええ…」


初対面のシーラにいきなり話しかけられ、

グレアは上擦った声で返答する。


「その年でもう読み書きできるなんて偉いわね…

あ、私はシーラ。

お嬢ちゃんも私のことは気軽にシーラお姉ちゃんって呼んでね。」


シーラはアルトにしたようにグレアにも同じ自己紹介をする。


「…なにあの人?」


グレアはアルトを引き寄せ、小声で囁く。

だが、胡乱気な様子を全く隠せていない。


「このギルドの職員さんだよ…

言動はなんかちょっと変だけど…」


シーラは良く言えば、フレンドリー。

悪く言えば、距離感が近すぎる。


人見知りなグレアにとってはあまり得意なタイプではないのかもしれない。


「まあ、それはアルトも同じね。」


「へあっ!?」


グレアの思いがけない口撃に

アルトは奇妙な声を上げる。


「?…ええと、それで…

冒険者登録だったわね…

もしかして、二人とも?」


「あ、はい。

僕ら二人とも登録したくて…」


「一応、念のため確認なんだけど…

二人は今いくつ?」


「僕は八歳で、グレアは…」


「私も八歳よ。

来月には変わるけど。」


「え!?来月!?

ってことは…

誕生日、八月なの!?」


「そうよ。

アルトはたしか…二月だったわよね?

だから、私の方が年上なのよ?」


アルトは二月生まれで、

グレアは八月生まれ。


今は同い年ではあるのだが、

アルトが誕生日を迎えるまでのおよそ半年の間だけは

一つ年上になるのでグレアはお姉さんぶっていた。


「ふふ…そうなのね…

でも、さっきも言ったけれど、

さすがに少し早いと思うのよ。」


「駄目…ですか?

年齢制限は無いって聞いてたんですけど…」


アルトは小首を傾げる。


「う!…そうね…

登録に制限自体は無いのだけれど…

ギルドとしても依頼を紹介するのが憚られる場合、

依頼の紹介だったり、

そもそもの登録自体を断らせてもらったりもするわね…」


シーラは口元を抑えつつ、そう話す。


当然と言えば当然ではあるが、

冒険者ギルド側にも断る権利はあるのだ。


「(いや…でも、よくよく考えたらそりゃそうか…

せっかく冒険者になれると思ったのに…駄目かぁ…)」


アルトが気落ちしていると…


「あ…いや…そんな悲しそうな顔しないで…

なんか、すごく罪悪感が…

わかったわ。なら、一つ条件を付けましょう。」


「条件…ですか?」


シーラは心地悪そうにしながら、

一つの提案をする。


「ええ、等級制限もあるのだけれど、

討伐系依頼だとか危険度の高い依頼を受けられないように

受けられる依頼を制限させてもらうわ。」


依頼には討伐レートや周辺環境などから設定される難易度がある。


冒険者は実績などで、

上から金・銀・銅・紅・蒼・翠・黒・白の等級に分けられており、

その等級や難易度によっては受けられない依頼も存在する。


だが、それとは別にギルド側でクエストの受注制限をかけることも出来るのだ。


「それは…」


「嫌よ。」


しかし、アルトは渋り…

グレアは明確に拒絶する。


「ううん…それは嫌なのね。

ならどうしようかしら…」


シーラが頭を悩ませていたその時。


「じゃあ、試験的をして、

それに合格したら、登録。

不合格になったら、諦める。

それでどうだ?」


「「「!」」」


その声に三人は一斉に振り向く。


そこに立っていたのは先ほども目にした

くたびれた様相の男。


そう、この冒険者ギルドのギルドマスターである。


「ちっ…もう帰ってきたのね。」


「おい、聞こえてるぞ!?」


シーラは小声でぼそりと呟くが、

男には聞こえていたらしく叫ぶ。


「それで…ガキンチョたちはどうだ?」


「ガキンチョですって…?」


男の言葉にカチンときたのかグレアは男を睨む。


「グレア、今は抑え…」


アルトはグレアを諫めようとするが…


「アルトはガキかもしれないけれど私は違うわ!」


「さっき同い年だって話したのに!?」


思わずツッコんでしまう。


子供の頃は早く大人になりたく、

大人になれば子供の頃に戻りたくなるもので…

グレアは大人ぶりたいお年頃なのだ。


「ごほん…僕としてはそれで納得してもらえるのなら、

異論はありません。

…グレアもそれでいいよね?」


気を取り直し…

アルトは肯定の意思を伝え、

グレアにも確認する。


「…構わないわ。」


未だに不服そうなのを隠そうともしないものの、

グレアも頷く。


「よし…なら一旦、ギルドを出て…ギルドの裏手にまわっておいてくれ。」


「わかりました。

グレア…行くよ。」


男の言葉を受け、

アルトはグレアを連れてギルドの外に出ようとする。


だが、グレアはまだ何か言い足りないようで、

クルリと振り返り、言い放つ。


「…アルトはガキだけど、私はガキじゃないから!!」


「何回言うの!?

しかも、今度は言い切った!?

僕、そんなにガキかな!?」


二人は騒々しくしながらも、

ギルドを出て行った。



「ギルドマスター…

登録に試験なんて…」


シーラは男に尋ねる。


シーラの言う通り…

等級の昇格の際に試験がある場合はあるものの、

本来は冒険者登録に試験なんてものは存在しない。


「未熟な子供に登録させるわけにもいかないし、

かと言って、大した理由もなく登録させなければ、無茶なことをしでかしかねん。

坊主の方はともかく、嬢ちゃんの方はかなり気が強そうだったしな。

どっちもが納得のいく落としどころはまあ、このあたりだろ。」


男はアルトたちが納得し、

諦められるように、

試験という形を取ることにしたのだ。


「…なるほど。

ちなみに…試験って何をするつもりなんです?」


「なに…俺が少し相手をするだけさ。

ちょっとばっかし脅かしてやれば、

ガキンチョ共も諦めるだろ。」


「え…でも…ギルドマスターはその…」


「なに、子供相手だ。

手加減はするし…心配はいらねえさ。」


「いえ、そうではなく…くれぐれも怪我には気を付けてくださいね。」


「あれ!?

もしかして俺の方が心配されてた!?」


「ふふ…冗談です。

ギルドマスターのことはよく知っていますし。」


シーラは笑ってそう返す。


男とシーラは上司と部下という関係ではあるものの、

冗談を言い合う程度には気安い仲だった。


「シーラのはどれが冗談かわかんねえんだよな…

ってことはさっきのクビがどうこうも…」


「あ、あれは本当です。」


「マジ?」


「マジ。」


「本気と書いて?」


「マジ。」


「…」


しばらく、気まずい沈黙がギルド内を包んでいた。

○冒険者の等級分け

金・銀・銅・紅・蒼・翠・黒・白の七種。

はじめは白からスタートし、

依頼の達成率や昇格試験などを経て、

段階的に上がっていく。


○依頼の難易度

ギルド側が討伐レートや周辺環境などから決定し、

☆の数が増えれば増えるほど難易度が上がる。

(それとともに報酬も増える。)


冒険者を守る観点などから等級によって

受けられる依頼の難易度が決められている。

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