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第一章 幼年期編:『魔導教典』と初めての魔法

<Side:アルト>


日が明けて、翌日。


「ふんふふ~ん♪」


アルトはとてもわかりやすく…

見るからに浮かれていた。


昨晩、テレーゼに魔法を教えてもらえるように頼んだら…

時間帯が遅かったことで、また明日…と返された。


つまり、今日…魔法を教えてくれるのだ。


魔法。

誰しも…一度は使ってみたい。

そう思ったことがあるだろう。


そんな魔法を実際に、教えてもらえるのだ。

浮かれてしまうのも無理はない。


「(まだかな~、まだかな~?…)」



数日後。


「アルトは激怒した。

かの邪知暴虐の王を除かねばならぬと…以下略。」


アルトは冗談を口にしつつも、眉を寄せる。


だが、アルトが腹を立てるのも無理はない。


魔法を教えてくれるという約束をしたにもかかわらず…

あの日以降、テレーゼからはなんの音沙汰もない状況が続いていた。


初めのうちはテレーゼも忙しいだろうから…と、

アルトも納得し、我慢していたが、

もうかれこれ、一週間以上はそんな状態が続いており…

これ以上はさすがに辛抱ができなくなっていた。


「(もう我慢できない…直談判してやる!…)」


そう息巻いたものの…

いざ、行動に移そうとして、ようやく…

アルトはいくつかの問題点に気づいた。


「(あれ?…そういや…

母さんの部屋って…どこにあるんだ?)


アルトは幾度かの脱走と探索を繰り返したことで…

屋敷の大まかな構造くらいは把握していたものの、

どこにどの部屋があるかなどの細かい部分までは把握しきれておらず、

テレーゼの部屋がどこにあるのかもわからなかった。


「(ていうか…よく考えたら、

部屋の場所がわかったとしても入れないじゃん。)


もし仮に部屋の場所がわかったとしても…

アルトの身長ではドアノブに手がとどかず、

扉を開けられず中には入れない。


「(…詰んだ。)」


どうしようもないことを悟ったアルトは思わず、天を仰ぐ。

何も始まってすらいないのに、投了ボタンに手がかかりかけていた…その時。


アルトはふと気づいた。


「(いや、よく考えたら…

何も自分一人でどうにかする必要はないのか。

今回に関しては別にやましいこともないんだし。)」


散々、脱走を繰り返した弊害か…

アルトは今回も一人でどうにかしようと考えてしまっていた。


だが、別に…困った時は誰かの力を借りたっていい。


ましてや、今のアルトは幼子。

必要な時には大人の力を借りたっていいのだ。


「(うーんと…あ、いた。)」


そうと決まれば話は早く…


アルトは近くにいたメイドに声をかけ…

テレーゼの部屋まで連れて行ってくれるように頼むことにした。


アルト本人は知るよしもないが…

先日の騒動以降、使用人たちのアルトに対する態度はかなり軟化しており…

そのメイドは快く了承してくれた。


そのまま、アルトはメイドに抱えられる形で…

テレーゼの自室へと向かう。


道中、そのメイドと話したことで…

いくつか分かったことがある。


そのメイド…名前はニナというらしい…によると、

この屋敷は二階建てで…

テレーゼの自室はアルトの自室と同じ二階にあるらしい。


アルトは屋敷内の配置をあまり把握できていなかったが、

基本的に、アルトたち家族の部屋や来客用の部屋などの個人用スペースが二階にあり…

キッチンや広間などのいわゆる共用部や使用人用の部屋が一階にあるのだという。


(ちなみに、二階にある部屋は物置き代わりになっている部屋もいくつかあるが…

それを合わせても、半分も使われていなかったりするらしい。)


そんな話をしているうちに…

アルトたちはテレーゼの自室の前にたどり着いた。


アルト一人ではもっと時間がかかったであろうが…

大人の足だとすぐである。


アルトはニナに抱えられた状態で扉を開けると…叫ぶように言う。


「母様あああッ!!!!!

どうして魔法を教えてくださらないのですかッ!?」


しかし…


「あ、あれ?…」


部屋の中には誰もおらず、シーンと静まり返っていた。


「…あっ…すっかり失念しておりました。

奥方様は数日前から外出中でして…まだ戻られていないようです。」


「(…叫ぶ前に言ってほしかった。

は、恥ずかしい…)」


その後、ニナが執事長(どうやら、ギルバートのことらしい)に確認してくれたのだが…

テレーゼはどうやら、もうしばらく屋敷に戻らないとのことだった。


以前から、両親は家を空けていることは度々あった。

むしろ、気づいた時にはいないので…いる方が珍しいのだ。


基本的にアルトの世話は使用人たちがしてくれていることもあり…

留守にすら気がついていないなんてこともよくある。

…今回みたいに。


「べ…別に寂しくなんてないんだからね!」


思わずツンデレ風になってしまうアルト。


「…アルト様、何かおっしゃいました?」


自室に戻ってきて…

誰に聞かせるつもりもなく零した独り言だったのだが…

どうやら、ニナはまだ近くにいたらしく…少し聞こえたらしい。


「い、いや…なんでもないよ!」


聞かれると思っていなかったこともあり…

アルトは少し顔を赤くする。


「(くうう…にしても、こんな時に限っていないのかあ…)」


別にいないこと自体をアルトはとやかく言うつもりはない。

だが、約束してから何日も経つにもかかわらず、何の音沙汰もない。

普通なら、時間の都合などで教えれないにしても…一言二言はあるだろう。

ここまで来ると、もはや教えたくないのかな…と妙な勘繰りすらしてしまう。


「(まあ、でもしょうがないか…また今度にしよ…)」


溜め息混じりに…アルトはベッドに顔を埋めた。



それからしばらくした頃…ギルバートがアルトの部屋を訪れた。


一体、何の用だ?…と、アルトは思ったものの…


「アルト様、こちらをどうぞ。」


そう口にすると…

ギルバートは厚みのある辞書のような謎の本をアルトへと手渡した。


「ええと…これは何?…」


「『魔導教典』とよばれる魔法の入門書のようなものでございます。

アルト様が魔法を学ばれたい。とのことで、

奥方様が取り急ぎ用意されていたものでございます。」


「!?」


アルトは途中から疑い始めていたものの…

テレーゼはしっかりと魔法を教えてくれる用意をしてくれていたようだった。


「(母さん…疑ってごめんなさい。)」


テレーゼは教えてくれる気があったということがわかり…

アルトの顔に喜色が浮かぶ。


「そして、もう一つ。

奥方様から伝言がございます。

『魔法を教えてあげたかったのだけれど、

忙しくてなかなか帰れなくて、側にいてあげられなくてごめんなさい。

私もバルトも家を空けることが多くて、寂しい思いをさせてばかりだけれど、

二人とも貴方のことをとても愛しているわ。二歳の誕生日おめでとう。』とのことでした。

本当は直接言いたかったのだけれど。と悲しげに話されていましたよ。」


そうギルバートは言った。


「(え、いつの間に?…)」


そもそも、自身の誕生日すら把握しておらず、

まったく実感はなかったが…

いつの間にか、アルトは二歳の誕生日を迎えていたらしい。


「(にしても…)」


…転生して二年。

アルトは心のどこかでは孤独感を感じていた。

もしかして自分は生まれてくることを望まれていなかったんじゃないか。

愛されていないんじゃないか。とそう思っていた。


だけど、そんなことはなかった。

一緒に過ごせる時間は決して多くはないけれど、

深い愛情で愛してくれていたのだ。


その事実を知り…アルトは思わず泣きそうになっていた。


だが、泣きそうになるのを堪え…

アルトはわくわくしながら、受け取った『魔導教典』の一ページ目を開いた。


……。


「…読めねえじゃねえかっ!」


堪えていた涙はひっこみ…アルトは頭を抱えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


さらに一年が経ち、アルトは三歳になった。


今年の誕生日はテレーゼやバルトも一緒に過ごすことができ、

パトライアス家全体で盛大にお祝いをしてくれた。


家族三人であんなに長い時間を過ごせたのは…

アルトにとっては初めてだった。


最近は二人と過ごせる時間は比較的増えてきて、

食事を一緒に取ることも増えたが…二人とも相変わらず忙しそうである。

…未だに何をしているのかはわかっていないが。


この一年間はギルバートやニナ、

その他の使用人たちにも教わりつつ、

アルトは必死に読み書きを勉強した。


その甲斐あってか、一年で読み書きはほぼ完壁にマスターできていた。


前世では、母国語である日本語以外、

ほとんど話せも読めもしなかったアルトであったが…

転生以降、どうにも物覚えがいいようだった。


「(まあなんにせよ、これでやっと『魔導教典』を読める!…)」


思わぬ障害に二の足を踏むことになってしまったが、

ようやく魔法を学べることになり…

アルトは浮足立っていた。


興奮を抑えきれない様子で…

アルトは自室の椅子に座り、『魔導教典』を開いた。



「んー、なるほどー。」


『魔導教典』を閉じつつ、アルトは身体を伸ばした。


本人的にはさらさらーっと流し気味に読んでいたつもりだったのだが、

結構長い時間没頭してしまっていたようで、

読み始めた時には燦燦と降り注いでいた日はもうすっかり沈んでしまっている。


「(勉強自体、そこまで嫌いではなかったけど、

やっぱり『魔法』というのはこれがなかなかどうして…面白い。)」


『魔導教典』はわかりやすく言えば、魔法の入門書のようなもので…

アルトは読み進めて得た情報を順に整理していくことにした。


「(まず、魔法の発動には魔力が必要不可欠になる。

魔力というのは、マナというエネルギーを変換し作られるもので、

そのマナというのは人間、動物、植物etc…この世界に生きとし生けるものすべてが

多い、少ないなどの多寡はあるものの、必ず持っているものらしい。

その魔力の量は生まれ持ったもので、鍛錬などでほとんど変わらないらしい。)」


魔力やマナなど、どこかで聞いたことのあるような不思議エネルギーのオンパレードである。


「(まあ、そんなもん感じたことないけど。)」


前世ではマナや魔力なんていう不思議エネルギーは存在していなかった。

もしかすると…存在していたのかもしれないが、

少なくともアルトは知らないし、

転生してからも、特に感じたことはなかった。


まあ、転生してからは感覚も含め、

変わっていないことの方が少ないので、

わからなかっただけかもしれないが。


話を戻そう。


「(変換された魔力は魔力回路と呼ばれる、

血管のように全身を巡っている回路を流れているらしい。

その流れている魔力を一点に集め、発動されるのが魔法というものである。)」


これが…超、端的な魔法の発動の理屈である。


「(んー、魔力ってのは血液みたいなもんか?…

なんか、想像したらちょっとキモイが…

って、ん?…魔力が全身の魔力回路ってのを流れてんのはわかったけど、

マナってのはどこにあるんだ?…)」


アルトは読み零したか?…と、

ぺらぺらと『魔導教典』をめくるが…

そういった記述はどこにも見当たらない。


「(書いてない…

これじゃ、よくわからん…)」


『魔導教典』が入門書のようなものだとはわかっていたが…

絶妙に情報が足りていない感が否めず、

アルトは思わず唇を噛む。


そんな微妙にポンコツな『魔導教典』には、

七大魔術(七大属性)と呼ばれる…

基本的な属性の魔法とその一部の魔法の詠唱や魔法陣が記されていた。


それが以下の七つだ。


・炎属性 ・水属性 ・雷属性 ・土属性 ・風属性 ・光属性 ・闇属性


それぞれの属性には相性があって、


炎は風に強く、水に弱い。

水は炎に強く、雷に弱い。

雷は水に強く、土に弱い。

土は雷に強く、風に弱い。

風は土に強く、炎に弱い。


炎<水<雷<土<風<炎…と五つの属性で竦み合う関係。


光と闇はお互いに強く、弱い相克関係。とそれぞれなっている。


「(この世界ではデ○ン系の魔法は勇者にしか使えないなんてことはないんだな…)」


ド○クエ脳である。

間違っても、他人の家や城に勝手に上がり込んで、

タンスを開けたり、ツボを割ったりしてはいけない。

普通に犯罪である。


「(よく考えたら、治癒魔法とかも載っていないな…

母さんが使っていたから魔法自体はあるはずなんだが…

『魔導教典』には載っていないだけで、

七大魔術以外にも色々あるのかもしれないけど…)」


載っていないことだらけなことに気づき…

アルトの『魔導教典』への評価はみるみる下がっていく。


「(まあ…仕方ない。

そのへんは追々聞いてみればいいか。)」


アルトは一旦、そう結論付け…せめて、載っている情報だけは整理することにした。


魔法には属性以外に、それぞれの魔法に位階…つまりは階級がある。

下から順に初級、中級、上級、超級、聖級、王級、帝級、神級となっている。


だが、聖級以上の魔法の多くは逸失していて、現存していないらしく、

事実上、超級魔法が最上位となっている。

(もはや期待はしていなかったが…『魔導教典』に載っているのもそこまでだった。)


その時、コンコン。と、アルトの部屋にノックの音が響く。


「頼まれていた物をお持ちしましたー」


メイドのニナが少し大きめの桶を持ってきてくれた。


魔法の練習用に、アルトは近くにいたニナに桶を持ってきてくれるように頼んでいたのだ。


三歳になり、しっかりと歩けるようにはなっていたが、

さすがに自分で持ってくるには、桶は大きく、重過ぎた。


「(さて、そろそろお待ちかねの実践のお時間!)」


いよいよ、念願の魔法の実践。

今回、使ってみる属性は水属性。


なぜ水属性になったかというと…単なる消去法である。

他の属性は部屋を汚したり傷つける可能性があり…

七大属性のうち、室内でも問題なく練習できそうなのは水属性だけだったのだ。


(光と闇はどういう感じかがあまり想像がつかないため除外した。)


今回使うのは水属性の初級魔法、【(ウォーター)】。

その名の通り、水を出す。ただそれだけの魔法だ。


魔法を使うには二種類の発動方法があり…それが詠唱と刻印である。

詠唱は呪文を唱えることで魔法を発動する方法。

事前の準備が必要なく、刻印に比べ、扱いやすい。

刻印は魔力をこめた特殊なインクで魔法陣を描き、魔法を発動する方法。

事前の準備は必要にはなるが、詠唱で発動するより少ない魔力消費で魔法を発動できる。

それぞれ、短所と長所があり、どちらの方が優れているというわけではない。


今回はその特殊なインクは手元にないため、

詠唱の方で魔法を使ってみることになる。


熟練の魔法使いは詠唱を短くする『詠唱省略』や

詠唱無しで魔法を発動する『無詠唱』なんて技術で

詠唱しないこともあるらしいものの…

言うまでもなく、アルトは初心者であり…詠唱は必要になる。


「(で、出来るかな…)」


詠唱は短いが、初めての魔法の詠唱ということもあり…

アルトは内心、ちょっと緊張していた。


「(ま、まあ…とりあえず、やってみよう。)」


左手に『魔導教典』を開き呪文を確認しつつ…

右手を桶に向けながら、アルトは唱える。


「ゴホン、『我が望むは大いなる水。【(ウォーター)】』」


シーン…


「ん?…あれ?」


詠唱を唱えてみたものの…何も起こらない。

どうやらただ唱えただけでは魔法は発動しないらしく、

アルトは戸惑う。


「なんで何も起きないんだ?…

っていや、魔力ってやつを一か所に集めるんだったっけ?…」


そうは言ってみたものの、

魔力というものを扱う感覚をアルトは知らない。


一体、どうすればいいんだ?…と、アルトは思案する。


「(魔力が血液みたいなもんなら…

体中の血を一点に集めるようなイメージか?…)」


ふとした思い付きではあったが、

別に失敗しても魔法が発動しないだけだし、

まあそんなに気にしなくてもいいか…と、

アルトは手当たり次第にやってみることにした。


「(こんな感じで…どうだ!?)」


体中の血を右手の一点に集中させるようにイメージし、

アルトは再び唱えた。


「『我が望むは大いなる水。【(ウォーター)】』」


右手の一点が熱くなり…魔法陣が浮かぶ。

そして、何かが抜けていく感覚と共に…

そこから透明な水がザバっと出てきた。


「(お!?…

これは…成功か?

さっきまでは何も起こらなかったし…多分、そうだよな?

にしても…詠唱でも魔法陣は出てくるんだな?…)」


詠唱と刻印はまったく別の技術体系なのかと思ったが、

どうやらそういうわけでもないらしい。


「まあ、なにはともあれよし!」


初めての魔法は無事成功した。

一瞬、魔法を使えないのかと思ってヒヤヒヤしたが、

なんとか成功して一安心。


「童○を三十年守りぬけば、魔法使いになれる…

なんていうが、それよりも早く魔法使いになれたな!」


なんて…しょうもないことを言いつつも、

アルトは魔法の考証を始める。


桶にたまった水はおよそ一Lほどであろうが…

見た目はただの水だ。

アルトはおそるおそる…試しに飲んでみる。


「うん。普通の水だなぁ。」


魔法で出てきたこともあり…なにか違いがあるのかとも思ったが、

何の変哲もないただの水であった。


「(純粋な水なのかそれとも不純物を含むのかとかも調べたいけど、

そんなのを調べる設備は無いし…

一旦、自分の限界の方を見てみるか。)」


魔法を何回使えるのか…

つまりは、自身の魔力量を測るために

続けて同じ要領で魔法を使おうとする。


『XXXXXXXXXX【XXXXX】』


ザバアッ


「…!?…え!?…」


思考が脇に逸れてしまっていて…アルトは一瞬、気づかなかった。


「(ど、どういうことだ?…

なんで魔法が…)」


アルトが無意識のうちに使っていたのは…もっとも使い慣れた言語。


それは…『日本語』だった。


「(『日本語』で…なんで魔法が発動するんだ!?…)」


言うまでもないが、『日本語』はこの世界の言語ではない。

本来であれば、魔法は発動するわけはない。


だが、なぜか…魔法は発動した。


「(落ち着け落ち着け…

もしかして…意味が同じなら、詠唱はどんな言語でも成り立つのか?…

それとも、この世界には日本語によく似た言語があるということなのか?…

前世でも言語はかなりの数があった…

普通に考えれば、この世界にも複数の言語はあってもおかしくはない…

だが、それがたまたま日本語と同じなんてことがあるのか?…)」


その他にも言語を扱えるのであれば…

検証することもできたのだが、

あいにくアルトは『日本語』と『今使っているこの世界の言語』以外を扱えない。


より正確に言えば、簡単な『英語』…

義務教育レベルのものなら扱えないこともないのだが、かなりうろ覚えだった。

そんな状態で扱って…もし万が一、おかしなことが起こっても困る。


「(英語…もっと勉強しとくんだったなあ…)」


前世でのことを若干後悔しつつも、

追加で同じ魔法を(今度はこの世界の言語でだが)三回唱え、

合計五回【(ウォーター)】を唱えたところで、

アルトは身体がけだるくなっていた。


「(なるほど、これが魔力切れってやつか…)」


魔力というのは精神力や体力にも、

密接に関係しているようで、

魔力が少なくなると、

身体の不調として如実に現れる。


「(にしても初級魔法五回で魔力切れって…

さすがに魔力量すっくねえよな…ちょっとしょげるぜ…)」


前述の通り、生まれ持った魔力量は変わらないらしいので、

初級魔法五回分がアルトの魔力量ということになる。


魔法を使えたこと自体はとても喜ばしいのだが、

少しばかり気落ちし…アルトはふて寝した。



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