have a story No.0004 最終話・理事長の決心
退職後、内職と夜の掃除の仕事で生計をたてながら、建設業の基礎を学ぶことをしていた。とにかく必死だった。
掃除先のオーナーから工務店の紹介を受けた。工務店側は、真美のことを受け入れ、働き始めた。知識と技術を必死に身に付け自分を磨くことに夢中になった。
数年の経過を経た頃、障がい者施設から、偶然にも仕事の誘いが届いた。
真美は、「設備は故障が小さいうちに修繕すること」を条件として出した。
同じような気持ちを二度としたくなかったからだ。"光の泉学園"で働き始める。
はじめは緊張していた真美もだんだん慣れてきて、彼女のコミニュケーション能力はすぐに評判になり、学園の利用者たちの人気者になりつつあった。
重度障がい者や、集中に欠ける状態もだんだん改善効果を出していった。
ある日、施設同士の交流に、代理で出席した真美はそこで前職の理事長と再会する。理事長は真美が退職した本当の理由を知る事となる。
施設の老朽化が、真美の心を苦しめていたこと、それを相談する環境が作れていなかったこと、コミニュケーションの欠陥を知るのだった。
理事長は後悔と共に、深く反省し、謝罪した。真美は、静かに笑みを放った。
久しぶりの真美の笑顔を刻み込んだ。
交流会を境に、理事長は行動する。自ら設備点検、職場内のスタッフとのコミニュケーションを自ら行って、スタッフ一人一人の気持ちや、悩みなどを打ち明けやすくするための交流を考えて、"交流ノート"を作り実践した。
理事長の立場と、一人の人としての交流も忘れず、利用者との交流も行った。
その結果、みんなで成長を遂げたのだった。
南十字星学園の丘にあたたかい輪の光が生まれ、真美の心と資源を大切にする意味で、大きな変化をもたらしたのだった。
環境が人を成長させること、理事長は身をもって体験、経験をしたことになるのだ。