表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/22

6話 お買い物2

「それでは間違っていても大丈夫なので、こちらを付けてみてください」


 選んだブラジャーのうち一つを渡された。

うーん、一ミリもわからないけど間違ってもいいて言ってたし付けてみるか。

紐の部分を肩にかけて。

ブラにおっぱいを乗せればいいのかな?

うまくいかないな。

最初に後ろのボタンというか引っ掛けるやつを付けちゃうか。

ああホックっていうんだっけ。

 よし。あとはいい感じにおっぱいがはまるようにっと。

できた!なんだ、意外と素人でもできるもんなんだな。


「付けれられました。初めてでも意外と付けられるものなんですね」

「はい。それでは失礼しますね」


 ん?入ってくるの?恥ずかしいんだけれども?

試着室に入ってきた店員さんがいきなりブラの中に手を突っ込んでくる。


「うぇっ?」

「ブラをつけた後は、こうやって手で周りのお肉を集めてあげるんです」


 あっという間に集められたお肉は綺麗にブラに収まり、さっきよりおっぱいが大きく見える。

 おお!これが寄せるというやつだな!上手く着けられたと思って忘れてた。

これを毎回しなきゃいけないのか。


「苦しかったり、どこか痛かったりはしませんか?」

「いえ、大丈夫そうです」

「私から見てもサイズはこれで大丈夫そうですね。他の種類も試着しますか?」

「とりあえず大丈夫です。ありがとうございます」


 正直めんどくさかったのとまた手を突っ込まれるのが恥ずかしくて断ってしまった。

まあサイズ一緒だし大丈夫でしょ。


「もしまた分からなくなってしまったら、ご家族に聞くか、もう一度こちらにいらしてください」


 それだけ言い残した店員さんは、すぐに試着室を出ていった。

鏡を見た。

先ほども下着姿は見たが今はさっきとは違い、いわゆるThe ブラみたいな形をしているため。見え方もだいぶ違ってくる。

女の子の下着姿を見てるみたいで、こっちのほうがえっちだ。

いや、まあ見てるみたいというか見てるんだけどさ。

 しかしあの店員さん何も言わずにいきなりブラに腕突っ込んできたな。

あれが普通なのか、それともこれが女の子界隈の普通何かわからない。

でもこれで着け方はわかったぞ。

よし。じゃあこれは脱いで、さっきのキャミソールを着よう。

 下着に一式6枚を母さんが買ってくれて、店を後にした。


「さて、次は普通の服ね。前の服はぶかぶかになってるだろうから結構買わないと」

「そ、そうだね」


 買い物好きな母さんには俺が男の時から頻繁に付き合わされていた。

しかも今日は女性用の服を一から買うということだから、これは絶対に長丁場になる。

正直まだ体に慣れていなくてすでに疲れ気味だけど、服がないと俺が困るため、ここは素直についていく。

 このモールは4階建てで、1階が食料品やカフェなどがあり、2階には映画館やスポーツ用品店、本屋さんなどがある。

4階は男性用の服やメインで、これから行くのは女性の服がメインで売られている3階だ。

3階は4階に行くために通るときにしか行ったことがなかったため、好奇心的な意味で少し楽しみでもある。

どうしても女性用の服が見たいとかでは決してない。ないったらない。

 3階についた俺は母さんに促されて少し大人っぽい服が売られているお店に入った。


「岬はあんまり女の子っぽくないのがいいだろうから、この辺のなんてどう?」


 母さんが俺に無地のズボンや薄手のパーカーを指さして言った。

俺が今着ているのとまんま同じ系統である。

確かにこういうのなら着やすいし動きやすいから、いいかもしれない。

せっかく女の子になったのだから、少しは女の子っぽいのを着てみたいという思いが一瞬脳裏をよぎったが、母さんにそんなことは言えないため、素直にこの中から選ぶことにする。


「服は体型的に春澄のも着れるだろうから無理には買わなくて大丈夫だからね」

「わかった」


 無地のパーカーやセーター、そしてブルゾンなどをカゴに入れていく。

靴下も含めていくつか買い、店を出た。


「私ちょっと見たい店があるから岬は好きな階で見てきていいからね。終わったらLIMEするから、そしたら1階で靴を見にいきましょうか」

「わかった。じゃあその辺見てるね」


 そう言って俺たちは別れて買い物をすることになった。

いつもだったらスポーツ用品店でウェアや新作のスパイクを見に行くか、本屋さんに行くところだけど、せっかくだし女の子っぽい服もみたいなーなんて思う。

でも恥ずかしいし、俺みたいのが入って変に思われないかも心配だ…。

うーん。

 母さんも結構遠くの店に行ったみたいだし、外からちょっと覗いちゃおうかな。

俺は女の子っぽい服を見るべく、スカートやかわいらしいジャケットなどが売っている店の前に立つ。

マネキンがチェック柄でベージュ色のロングスカートを履き、七部袖のTシャツを着てデニムジャケットを羽織っている。

ロングというか七部丈?スカートや女性ものの服についてはよく知らないから名前はあとでググってみよう。

清楚っぽいし、しかもフリルとか花柄もなくてシンプルで着やすそう。

 ただ、これを着ている自分を想像すると、恥ずかしすぎてだめだ。

それにこんなの来たら女装してるみたいで落ち着かない。


「お客様、こちら試着されますか?ただいまセールをやっていまして、こちらも対象なんですよ。どうぞ奥へ」

「えっいやあの…」


 いきなり店員さんが現れ俺を奥の試着室へ連れていく。

普段あんまり服にこだわりとかなくて滅多に服屋さんに行かないため、こんな風に店員さんに話しかけられたのも初めてでどうしたらいいかわからない。

どうしよう。

これはもう試着しないといけない流れなのかな?

うーん。でもせっかくなら着てみたい気持ちもあるんだよなあ。

ただ、この状況で高校の友達と会ったら絶対誤解されそうだしなあ。

 その時ふと店内の鏡に俺の姿が映り込む。

サラサラの黒髪にぱっちり二重で大きな瞳。

おっと?これは友達と会っても気づかれないのでは?

 自分の顔を見て決心がついた俺は店員さんに促された試着室に軽い足取りで入り、先程のマネキンが着ていた服をセットでもらう。


「さて、じゃあ着替えますか」


 俺が正面の鏡を見ると、そこには先ほど店内の鏡にも映っていた美少女がいた。

うん。いや本当に可愛いんだよな。

自分で言うのもなんだけど、俺が男ならすぐに惚れてるわ。

というか自分に惚れそうで怖い。

流石にもう自分の体だと割り切ってはいるが、いきなり女の子になったんだ。

慣れるのにはまだまだかかるだろう。

浸るのはこのくらいにして試着を済ませてしまおう。

 まずは自分のパーカーを脱いで七分袖のTシャツを試着する。

店員さんが、展示用とは違うサイズのものを持ってきてくれたためちょうど良さそうだ。

次はズボンを脱いで、チェック柄のスカートを手に取る。

これをこれから履くんだな。

 履くんだな!?今ここで!

という巨人がでてくる漫画のセリフを使った脳内茶番は置いといてとりあえずスカートに足を入れてみる。

この時点でなんか罪悪感というか羞恥心みたいなものが込み上げてくる。

うーんもう悩んでないで履こう!

 俺は意を決してスカートを一気に上まであげる。

スカートをクルクル回してみると、サイド部分にファスナーがあったため、それを腰の上らへんで締める。

よし!履けたぞ!

おぉ。よくTSモノの小説である「スースーする///」は本当だったんだ。

 今は試着室だから特に問題はないけど、これで外を歩くのはなかなか慣れないだろうな。

まるでパンツ一丁でいるみたいだ。

下半身が不安だが、とりあえず上着を羽織ってしまおう。

上着は男物でも同じなため普通に着ることができた。

鏡を見るとそこには少し恥ずかしそうな顔をした美少女が立っていた。

 これは…!自分じゃなかったら惚れてるなあ。

今まではパーカーとスキニーのみのシンプルな服を着ていたが、スカートに着替えたため女性らしさが際立ちとても可愛らしかった。

スカートからはすらりと伸びた足が覗く。

再度顔の方に目をやると、デニムジャケットにサラサラの黒髪が垂れている。

俺が笑顔になると、鏡の中の女の子も笑顔になる。

この子何着ても似合いそうだなあ。

まあ俺だけど。

男の時から女性ものの服が着たいというわけではなかったが、せっかく女の子になったんだから着るのもありなのでは?

せっかくなんだからとか言ってる俺はポジティブすぎるんだろうか。


「お客様、サイズはいかがですか?」

「はい、大丈夫そうです」


 店員さんがサイズやってきて、試着室のカーテン越しにそう言った。


「それでは開けますねー」


 え!?開けるの!?恥ずかしいが?


「お似合いですね。まだ店内をご覧になりますか?」


 なんだなんだ。

全部この店員さんのペースに呑まれてしまっている。

そもそも退院帰りでお財布も持ってないし買えないんだけど。

ここまで色々試着してお金ないから帰りますは流石に言いにくい…。

 どうしたものかと考えていると、ふいに店内にいた母さんと目が合う。


「え?」


見返してみると、もう少し情景描写というか、岬の外見なんかの描写が少なかったので、以降はそこに重点を置いて描写したいです。

2.30話あたりになったら0話から見直して、小説として見やすいようにかなり手を加えようと思っています。


予定ではその日岬がどんな気持ちでどんな服を着ているかというのは、毎回必ず描写するつもりなので、そこの変化もお楽しみいただけるかなと思います。


誤字脱字、おかしな表現などがありましたら、教えていただけると大変助かります。

これからもご愛読のほどよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ