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武者震いだよな、これ……

あれから約三ヶ月。

俺とアリシアは、一つ歳が増えた。

そして、今日は御前試合がある。 後からアールカドノーマル爺さんに御前試合はそもそも何かと聞くと「森の守護するものの力が鈍っていないかを見るもの」と言われた。

俺たちが何故入れたかというと、人間に負けるぐらいで森を守れるわけなかろう! という意味合いもあるみたいだ。


「さて、爺さんに教えてもらったものすべてを使ってアリシアに勝つ!」

「おー、頑張れー」


ミルドは、興味がないようで、読んでいる本に目を落としながら棒読みのセリフが返ってきた。


「お前なぁ、俺とアリシアが戦うんだから少しは応援しに来いよな?」

「なんで? アリシアの圧勝で終わるものを見に行って楽しいか? 俺は、そんなものを見るより知識を溜め込む方が楽しいな」

「いいから見にこいよな? 面白いもんが見れるぞ」


俺は、ミルドに向かってそう言って部屋を出て行った。


♦︎


アールカドの爺さんのおかげだよな。 俺がとなりに立ちたい奴のとなりに立てそうになれたのって、俺一人だったら一生無理だった。

アールカドの爺さんだけってわけじゃねぇけど、今日やっとアリシアに追いついたことを証明できるはずだ。


「武者震いだよな、これ……」


御前試合は森の中にできた自然の試合場が会場になっている。

御前試合の会場まで来たのはいいのだが、手と足が震えていた。

アリシアと戦うのが怖いのか、それとも、楽しみなのか、俺にも分からなかった。

その時、トンッと背中を押された。


「ほれ、早ぉ行かんか」


後ろを振り返るとそこには、アールカドの爺さんがいた。


「爺さん、何しに来たんだ?」

「なんじゃ、弟子の顔を見に来て悪いか」

「そうなのか、何にも言わねぇ。 あと、ありがとな爺さん」

「何がじゃ?」


アールカドの爺さんのおかげで震えが止まっていた。

それを、アールカドの爺さんは、とぼけたように言った。


「お主は、お主とともに来た人間に勝ちたいんじゃろ? なら、勝て。 これしか言うことがない」

「あぁ、わかった。 勝つよ、必ず」


アールカドの爺さんと拳を合わせて俺は会場に入って行った。

会場内には、約十人ほどのエルフがいた。

全員美男子美少女と言えるぐらいのエルフだった。 アールカドの爺さんは、あと二百年は生きられると言っていたが、俺から見ればヨボヨボの爺さんにしか見えなかった。


「アリシアは……いない? は? あいつ、どうしたんだ? となりの部屋にはいなかったのに……」

「グーレーンー! おはよう! 元気ー?」

「…………何してんだ?」


アリシアを探してもいないわけだ。 アリシアは、匍匐前進(ほふくぜんしん)で、エルフの間を抜けてきたと思われる。

というか、エルフと俺たちを入れたとしてもかなりの人数が入るはずなのに、こいつは匍匐前進で俺に近づいて来たということは、ある一点しかない。


「グレンを驚かそうと思って」

「だろうと思ったよ」


はぁぁと、ため息をついて、俺はしゃがみ込みアリシアにデコピンをした。


「痛いっ」

「俺のデコピンなんて痛くねぇだろ」


俺がこいつに勝てたことがないからな。 デコピン一発で俺は気を失うくらい力が強いのか俺が、貧弱なのか分からないけども。

だから、俺のデコピンを何回しようとも全く痛くないと思う。


「本当は痛くないんだけどね……」

「おい、今痛くないって言ったな」

「なんのことかな? そんなことよりも、くじ引きが始まったみたいだよ」

「露骨に話をそらすなよ。 たしかにくじ引きは始まったけどよ」


会場の中心を見れば、アリシアの言う通りくじ引きが行われていた。

近くにいる人から順番に引いていっているようだから、俺たちの番は最後の方だろう。


「で、アリシア。 事実だとしてももう少しオブラートに包んでくれねぇかな?」

「だって、ねぇ」

「だってじゃねぇだろ?」


もういいや、もう少しで俺たちの番が来るからな。

くじを引くか。


「えーっと、オルバリオ? たしか爺さんがエルフの王だって聞いたような気がするなぁ」


俺は近くにいないかとあたりを見渡したがオルバリオと思われるエルフはいなかった。

どこかに行ってんのかな? まぁ、あとで見つかるだろう。

アリシアは……ん? いきなり戦うのか。


「アリシア、頑張れよ。 お前、一番最初に戦うんだからな」

「大丈夫だよ。 相手がどんな人でも手を抜かない。 本気で戦ってこそ意味があるんだからね」

「そうか、それじゃあ、見させてもらうよ」


そう言って俺は、アリシアの戦いを見るために後ろに下がった。

そうしてすぐにアリシアと対戦相手のエルフが呼ばれた。

二人には、スタッフらしきエルフから木剣をもらっていた。 あれは、御前試合に参加する人共通の武器になるのか。


「それでは、始め!」


開始の合図があったと同時にエルフの方が先に動いた。


「ファイーー」


だが、それから先の言葉が出ることはなかった。

なぜなら、アリシアが一瞬でエルフとの距離を詰めて喉元に木剣を添えているのだから。


「当たり前だな。 アリシアは、(ゴールド)レベルの実力があるからな」


アリシアは、俺たちのパーティーで一番強いのだから。

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